兄・子世代ifチート能力を駆使して転生人生謳歌します!   作:八重歯

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76 ハロウィーン

 

 

10月31日。ハロウィーンの日。ホグワーツではその日ハロウィーン・パーティが開催された。

大広間は生きた蝙蝠で飾られ、ハグリッドが育てた巨大なかぼちゃのランタンが薄暗い大広間をオレンジ色に染めている。

パーティの余興には魔法界では有名な骸骨舞踏団というグループが来て、骸骨っぽいゴシックでダークなメイクをして踊り狂っていた。熱狂的なファンらしい一部の生徒たちは舞台に近づき同じように踊り、ダンブルドアも髭をゆらゆらさせながら楽しそうに音楽に乗っていて、賑やかな余興になっただろう。

 

夕食はハロウィーン限定のパーティメニューで、かぼちゃのパイやらスープやら、蜘蛛の巣型のミートパイ、紫色のなんか目玉みたいなゼリーや内臓を模したケーキなど。見た目は兎も角、味は最高だった。

余興も終わり、みんなが満腹になった頃、ダンブルドアは惜しみつつもパーティの終了を伝える。満たされた腹を撫でながら、生徒たちは立ち上がりそれぞれ友達と楽しく喋りながら大広間を出て寮へ向かう。

 

 

「うーん。ちょっと食べ過ぎたかなぁ」

「ハロウィン特別ディナーはマジで美味いから仕方がないよな」

 

 

セドリックは苦笑いしつつ腹を撫で、大広間から出た人の流れに乗って進む。各寮へ向かうために、自然とそれぞれの寮の生徒たちがかたまりになって移動して行く。

ハッフルパフとスリザリンは地下への階段を降りなければならないが──。

 

 

「あれ?みんななんで降りないんだろ」

 

 

セドリックは前を進む先頭集団が地下へ向かう階段を降りずに階段を上がって二階へ行くのを見て、不思議そうに呟く。どうやら、みんな一度階段へ向かうがすぐに降りることなく上がっているようだ。

不思議に思ったものの、階段の前まで到着すればその原因はすぐにわかりセドリックは「なるほど」と呟く。

地下へと降る階段は、ヘドロ爆弾を数個爆発させたのか、かなり酷いことになっていた。悪臭が立ち込め、黒いヘドロが手すりや階段にべっとりついていてこのまま降りることは不可能だった。

 

 

「消そうか?」

 

 

他の生徒には不可能でも、俺にとっては消すことは簡単で杖を出したが、セドリックはすぐに首を振った。

 

 

「うーん。……遠回りしない?食べ過ぎたし、ちょっと散歩でもどう?」

「なるほど、だからかー」

「え?」

 

 

俺の返答に、セドリックはどういう意味だと首を傾げる。なんでもない、と杖をポケットに差しながら言い、階段を登ればセドリックもすぐに着いてきた。

 

このあと、原作通りだとかなりの生徒が何故か三階に向かって石になったミセス・ノリスを発見する。なんで大広間でのパーティが終わってからみんなが三階に行くのか、昔から不思議だったんだよなぁ。グリフィンドールとレイブンクローは兎も角、スリザリンとハッフルパフは地下にあるから階段を登る必要はないわけだし。

こうして地下への階段が塞がってるから、たくさんの生徒が石になったミセス・ノリスの前にいるハリー達を見つけることになるんだな。

 

……いや、むしろハリー達がいたのは偶然で、その場に誘導するためにヴォルが仕込んだのかもな。早く石になった見せしめのミセス・ノリスと、壁に書いた文章をお披露目したかったのだろう。

 

 

生徒たちがワイワイガヤガヤと楽しくおしゃべりをしながら、少しの散歩を楽しむ。パーティでほてった身体と、満腹の胃を宥めるには丁度いい距離なのだろう。

そのざわめきと集団は、俺の予想通り三階の廊下を曲がり、秘密の部屋へと続くトイレの前あたりでぴたりと止まった。

 

奇妙な沈黙が落ちる中、セドリックは俺に目配せをしてからすぐに人を掻き分けて進む。前の光景を見ようと押し合っていた生徒たちは俺を見て慌てて道を開けた。

 

 

「っ……!」

 

 

セドリックは先頭に立ち、ぽっかりとあいた空間の中、青い顔をして突っ立っているハリー達と松明の腕木に尻尾を絡ませてぶら下がっているミセス・ノリスを見た。ミセス・ノリスは板のように硬直し、目を見開き動かない。

セドリックが具合の悪そうな顔をしながら「助けないと」と呟き、恐々ミセス・ノリスに近づく。

 

 

「秘密の部屋は開かれたり。継承者の敵よ、気をつけよ──ねぇ」

 

 

ぶら下がってるミセス・ノリスの上に、松明の炎で照らされちらちらと光る文字で書かれた言葉を読み上げる。

 

ぶら下がりどう見ても死んでるようなミセス・ノリスしか見ていなかった生徒たちは俺が読んだ言葉を聞いて驚いたような小さな悲鳴をあげ、不安そうに騒めく。

 

 

「ノ、ノア……!僕たちがここにきた時はもうこうなってて……」

 

 

ハリーは慌てて俺に駆け寄る。蒼白な顔をしているのはハリーだけでなく、ハーマイオニーとロンも同じような顔色で頷いていた。

俺はハリー達がこんな事をしていない、とは知っているが、大多数の生徒たちは「犯人ではないのか」「そういえばパーティにいたっけ?」などと話し合い少し不信感を抱いているようで、三人を見ながらこそこそと囁き、それを聞いてさらにハリー達は青い顔をした。

 

 

「とりあえず、ダンブルドア先生を呼ぼう。セド、紙持ってる?」

「え?うーん……あ、メモにした切れ端だけど……」

 

 

セドリックはローブのポケットをごそごそと探り、中から手のひらサイズの紙を差し出す。「ありがと」と言いつつそれを受け取りぐちゃぐちゃと小さく丸める。

 

セドリックとハリー達は頭の上にハテナを飛ばしながらそれを見つめる。丸めた紙を両手で包み込み、間からふっと息を吹き込む。

 

 

「うわぁ!」

「すっげー!」

 

 

手を広げてみれば紙は白い鳥に変わっていて、俺の手のひらの上で「ちゅん」と鳴いた。それを見たハリーとロンは今の状況をころっと忘れてしまったかのように目を輝かせる。

 

 

「ダンブルドア先生のところに行って。『緊急事態発生。すぐに来るように』──って伝えてくれ」

「緊急事態発生!すぐに来るように!」

「しゃ、喋った!?そんな、ありえないわ!」

 

 

喋る鳥に、ハーマイオニーは信じられないと叫ぶ。鳥はハーマイオニーの言葉など気にする事なく、ぽかんと口を開ける生徒達の頭の上を悠々と飛んで行った。

 

 

「ありえないなんて、ありえないんぜ?」

 

 

にやり、と笑えばハーマイオニーは頬を赤つつも「でも……喋る鳥への変化魔法なんて……」とぶつぶつ呟き続けていた。

鳥が飛んでいってわりとすぐに「なんだ?何事だ?」と生徒の群れの奥からしゃがれた声が上がった。

パーティが終わって、こんな場所で生徒たちが集まっているのを不審に思ったフィルチが生徒達を肩で押し分けて現れ、立ち竦むハリーとロンとハーマイオニーを見て怪訝な顔をし──無惨な姿になったミセス・ノリスを見た途端、恐怖で顔を引き攣らせ後退りした。

 

 

「わ、私の猫だ!ミセス・ノリスに何が起こったんだ!?」

 

 

フィルチの血走り飛び出した目が忙しなく揺れ、ハリーを捕らえた。その途端「お前だな!」と叫びハリーに詰め寄る。

 

 

「お前だ!お前が私の猫を殺したんだ!あの子を殺したのはお前だ!俺が……俺が殺してやる!俺が──」

「アーガス!」

 

 

ダンブルドアの厳しい声が響く。

振り返れば、ダンブルドアだけでなくセブルスとマクゴナガルとスプラウトとロックハートがいた。

ダンブルドアは一瞬俺を見たが、何も言わず素早く俺たちの隣を通り過ぎてミセス・ノリスを松明の腕木から慎重に外した。

フィルチはまだ、血走った目でハリーを睨み肩で息をしている。顔は真っ赤で今にも掴み掛かりそうなほどで、ハリーはそんなフィルチを目の当たりにしてかなり衝撃を受けたようで、硬直し何も言えないでいた。

 

 

「アーガス、一緒に来なさい。ミスター・ポッター、ミスター・ウィーズリー、ミス・グレンジャー、ミスター・ゾグラフ、ミスター・ディゴリー。君たちもおいで」

 

 

ダンブルドアが優しく呼びかける。ハリーとハーマイオニーとロンはその声の優しさにほんの僅かに慰められたかのように表情を緩めた。

……え?俺と、セドリックも??

 

セドリックをちらりと見れば「最悪だ」と言わんばかりの表情をしていたが拒絶はしなかった。

 

 

「校長先生、私の部屋が一番近いです、すぐ上です。どうぞ、ご自由に」

 

 

ロックハートがいそいそと進み出てそう言えば、ダンブルドアは「ありがとう、ギルデロイ」と言うとすぐに上へと向かう。

 

ダンブルドアが歩き出せば、見守っていた人たちはぱっと道を開ける。ロックハートは当然のように堂々たる態度でダンブルドアのすぐあとに続き、その後にマクゴナガルとセブルスとスプラウトが続き、ハリー達が体を縮こませながら続く。

 

 

「……無関係なのに」

「一番前にいたからな」

「……長い散歩になりそうだ」

 

 

セドリックは肩をすくませながら、その後を追った。

 

 

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