兄・子世代ifチート能力を駆使して転生人生謳歌します!   作:八重歯

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77 ロックハートの部屋

 

 

ロックハートの部屋に入ると、暗がりの中で写真立ての中のロックハートが動き回っていた。

ロックハートが机や部屋中の蝋燭を灯せば、壁一面にロックハートの写真があるのが見える。その数は数えきれないほど。

机の後ろには一番目立つ位置に、どの写真よりも大きく引き伸ばされ、額縁も金の煌びやかな装飾が施された……俺とのツーショットがあった。

悪の帝王笑みたいなちょいワルの表情をしているロックハートと、妖艶な笑みを浮かべる俺。俺は楽しげに笑い、俺たちに手を振った。

 

 

「うわ、俺マジ可愛くねぇ?」

「しっ!今そんな雰囲気じゃないよ!」

 

 

セドリックは小声で俺に注意した。

確かに、今のこの部屋の雰囲気はめちゃくちゃシリアス……ってか空気が重すぎる。ハリー達は灯りの届かない部屋の隅のソファに座って縮こまってるし、フィルチは机の脇にある椅子に座りさめざめと泣いている。

先生達は机の上に置かれたミセス・ノリスを観察し、調べ。ロックハートはみんなの周りをうろうろしながら何か意見を言っている。

俺とセドリックは、少し離れたところで突っ立ちそれを見守っている。

 

ダンブルドアは身を屈めてじっくりと観察し、毛の状態や目の様子を見る。近くにいても聞こえないほど小さな声で何か呪文を唱えると、杖で軽くミセス・ノリスを叩いたが、ミセス・ノリスに変化は無かった。

多分、石化を解く反対呪文を試したのだろう。

 

 

「アーガス、猫は死んでおらんよ」

 

 

ダンブルドアはゆっくりと体を起こし、フィルチに優しく伝える。

途端にロックハートは今まで自分が未然に防いだ殺人事件の話を止め、フィルチは顔を覆っていた手を降ろし、涙で濡れた目でダンブルドアを見上げた。

 

 

「死んでない?それじゃ、どうして──こんなに固まって、冷たくなって?」

「石になっただけじゃ。ただし、どうしてそうなったのか、わしには答えられん……」

「あいつに聞いてくれ!」

 

 

フィルチは憤怒の表情でハリーを睨み、指差す。

 

 

「あいつがやったんだ!あいつが壁に書いた文字を読んだでしょう!あいつは見たんだ。私の事務室で。私が、私が……出来損ないのスクイブだって知ってるんだ!」

「僕、ミセス・ノリスに指一本触れてません!それに、僕、スクイブが何かも知りません!」

 

 

ハリーは立ち上がり、慌てて叫ぶ。

フィルチは怒りや恥や何やらで顔を赤くしながら「バカな、あいつはクイックスペルから来た手紙を見やがった!」と負けじと叫び返す。

しかし、ダンブルドアは優しい目でフィルチを見ると、落ち着かせるために彼の怒れる肩をぽん、と叩いた。

 

 

「アーガス。二年生がこんな事できるはずがない。……ただ一人を除いてのう」

 

 

ダンブルドアが俺を見た。

セブルスも、マクゴナガルも、スプラウトも。なんならセドリックも俺を見ている。

 

できるかできないかで言われれば。

 

 

「……できるかできないかって言われたら。……まぁ、多分、似たようにはできますけど」

「ゾグラフお前がっ!」

 

 

フィルチは叫び俺に飛びかかろうとしたが、ダンブルドアが手を広げてそれを制した。

全身金縛り魔法、じゃなくて石化魔法だろ?なんかそんなの読んだ事ある気がするし。でもなぁ。

 

 

「ロックハート先生」

「な──なんだね?」

 

 

にこ!と笑いかけ、俺の微笑みの爆弾でロックハートが固まった隙に杖を向ける。石化魔法と心の中で唱えながら振れば、先から水色の光線が飛び出てロックハートを射抜く。

途端に、打たれた胸から瞬く間に石化し、ロックハートは服も含めて石化した。

 

 

「ほら、石化は石化でも物体の石像化ですよ。変身術由来の」

「……」

 

 

よく見てみれば、ミセス・ノリスの石化とロックハートの石像化は少し異なる。ダンブルドアは石像化したロックハートをじっと見ていたが、すぐに視線を俺に向けて眼鏡の奥の目をすっと細め、ふう、とため息を吐く。

 

 

「ミネルバ。この魔法は──わしの記憶に間違いがなければ、闇の魔術じゃったな?」

「……残念ながら、そうです」

「え!」

 

 

え!?

いや、レイブンクローが残した魔法の中ではまだ優しい分類だったけど!確かに倒したら割れて死亡とか書いてあったけど!いやいや、闇の魔法とか──まさかあの本にあるの全部ダメなやつ?闇判定ゆるくない?

 

 

「いや、でもほら。禁じられた魔法じゃないし。別に使ったからと言って罰せられは……?」

「……悪意を持ち人に使用した場合はそれ相応の罪に問われるじゃろう」

「セーフ!……ほら、ただ試しただけですし」

「しかし、ゾグラフ。君とは話し合わなければならない事がありそうじゃのう」

 

 

ダンブルドアが髭を撫でながら言う。

う──まあ、仕方ないか。

 

 

「わかりました。……とにかく、ダンブルドア先生は気づいてると思いますけど。ロックハート先生と、ミセス・ノリスの石化は別物でしょ?ミセス・ノリスはその姿のまま固まってるけど、ロックハート先生は衣服も含め全て石になってます。……ね?俺じゃないでしょ?」

 

 

バジリスクの目を間接的に見てしまい石化させられた物は、蛇に睨まれたカエル──のように硬直する。その硬直は金縛り魔法に似ていて、ただ固まっているだけだ。考えられる反対呪文を試しても解けないだけで。

俺がロックハートにかけた石化魔法は、本当に石に変える魔法であり、色が灰色になっている。あと、倒したら割れる。

 

 

「ふむ……この石化魔法ならば、解く事ができるからのう」

 

 

ダンブルドアはぶつぶつと反対魔法を呟きロックハートを杖で軽く叩く。石化魔法が解けたロックハートはきょとん、としながら俺たちを不思議そうに見ていたが、全員がなぜか自分に注目しているとわかると慌ててドヤ顔をして胸をそらし、いつものように白い歯を見せて笑った。

 

 

「どうされました?みなさん私に見惚れて!」

「……校長、一言よろしいですかな」

 

 

ロックハートの言葉を無視し、セブルスが口を開く。

 

 

「ポッター達は単に間が悪くその場に居合わせたのかもしれませんな。とは言え、疑わしい状況ですな」

「あ……あの、スネイプ先生」

 

 

今まで我関せずだったセドリックは、セブルスの言葉におずおずと手を挙げる。

 

 

「僕とノアは、大多数の生徒と同じで大広間でパーティしてそのままあの場に行っただけです。場が混乱していたので収めようと……ノアが魔法で先生達を呼んだだけで、はじめからあの場に居たのは……」

 

 

セドリックは視線をハリー達へ向ける。

一つのソファに身を寄せ合い座っていたハリーとロンとハーマイオニーはびくりと肩を振るわせ、小さく頷いた。

 

ハリー達は口々に絶命日パーティの説明をし、その場に居たゴースト達が自分たちがそこに居た事を証言するはずだと告げる。

絶命日パーティ後、何故ハロウィーンパーティに戻らなかったのかとセブルスはネチネチとハリー達を責めたが、ハリー達は「疲れていて」と少し苦しい言い訳をしつつ切り抜ける。

想像通り、セブルスのハリーをクィディッチチームから外せというセブルスの要望は、マクゴナガルがすぐに反論した。

 

 

「疑わしきは罰せずじゃよ、セブルス」

 

 

ダンブルドアがセブルスにきっぱりと言い、セブルスは不服そうに眉根を寄せる。

……俺、証拠も無く疑われたばっかりなんだけど?

 

 

「私の猫が石にされたんだ!罰を受けさせなけりゃ収まらん!」

「アーガス、君の猫は治してあげられますぞ。のう、スプラウト先生?」

「ええ、マンドレイクがようやく手に入りましたからね。十分に成長すれば、回復薬が作れます」

 

 

スプラウトはフィルチを慰めるように言い、フィルチは回復薬がある、という言葉にようやく──渋々だったが──怒りを収め、小さく頷きソファに座り直した。

やっと事態が落ち着いた、と皆が思った時「私がそれをお作りしましょう!」とロックハートが突然口を挟んだ。

 

 

「私は何百回作ったかわからないくらいですよ。マンドレイク回復薬なんて、眠ったって作れます」

「お伺いしますがね。この学校では、我輩が魔法薬の担当教師のはずだが」

 

 

冷ややかなセブルスの声に、流石のロックハートも笑顔のまま視線を逸らす。……とても気まずい沈黙が流れる。

そういや、マンドレイク回復薬の作り方ってなんだっけ?

 

 

「ゾグラフ以外は、帰ってよろしい」

 

 

ダンブルドアの言葉にハリー達は少し心配そうな目で俺を見たが、大人達の無言の視線に耐えきれず部屋を出ていった。

 

 

「さて、ギルデロイはアーガスを医務室に連れていってくれるかのう。暖かいココアを飲めばいっそう楽になるじゃろう」

 

 

ロックハートは「お任せあれ!」と演技かかった口調で言いフィルチを支えながら部屋を出る。残された先生達とダンブルドア、そして、俺。

 

 

「……さて、ノア。君はあの魔法をどこで知ったのかね?」

「えーっと……俺のファンってレアな魔法薬の材料や、宝石、服とかくれるんですけど。中には魔導書もあるんです。その中に色々あって」

 

 

用意していた言い訳を伝えれば、じーーっとダンブルドアに見つめられた。

開心術かけようとしてない?よくわからないが、その青く澄んでる目で見られるとイタズラがバレた子どもみたいな気持ちになるな。

 

 

「……ノア、君はきっと今までのどの生徒よりも優れた能力を持っておるのじゃろう。しかし、その意味を理解する能力は少々欠けているようじゃな」

「はぁ……」

 

 

ダンブルドアは相変わらず難しい言葉でしか説明しなかった。よくわからず首を傾げつつ曖昧な返事をすればダンブルドアは小さくため息をついて「もう帰ってよろしい」と言う。

 

 

「はーい。……あ、この騒ぎの犯人が俺じゃない証拠、そういえばありますよ」

 

 

扉に手をかけながらそう言い、振り返れば怪訝な顔をしているダンブルドア達と目があった。

 

 

「俺はマグル生まれですよ」

 

 

ひらり、と手を振ってそれだけを伝え部屋から出て行った。

 

 

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