兄・子世代ifチート能力を駆使して転生人生謳歌します!   作:八重歯

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88 またでた犠牲者

 

イースター休暇が終わり、そろそろ初夏が訪れるのか天候が安定し日差しは心地よくなってきた。

 

週末の今日はハッフルパフとグリフィンドールのクィディッチの試合で、天気も良く最高のクィディッチ日和と言えるだろう。

セドリックや他のチームメイトと共に更衣室へ行き、ユニホームに着替えた後チームメイトやキャプテンと作戦の最終確認をする。

まあ俺はキーパーというポジション的にやることはボールを防ぐ事だけだけど。

 

入場の時間になり、ハッフルパフとグリフィンドールのチームが万雷の拍手に迎えられて入場した。

紅色と黄色、そして俺の灰青色のフラッグが観客席で羽ばたく中、俺たちは青々とした芝生を踏み締め輝く太陽の光を受けながら澄み切った空気を胸一杯に吸い込んだ。

 

後数分もすれば試合が開始される。

選手と観客の緊張と興奮が最骨頂になる中、突然険しい表情をしたマクゴナガルが巨大な紫色のメガフォンを手に持って、ピッチの向こうから走るようにやってきた。

 

 

「この試合は中止です!」

 

 

マクゴナガルは満員のスタジアムに向かって叫んだ。一瞬の静寂の後に野次や怒号が乱れ飛んだが、マクゴナガルは一切気にすることなく試合を監督するフーチに近寄ると小声で何かを話し出した。

 

ハッフルパフとグリフィンドールのキャプテンがそれぞれ箒に跨ったままマクゴナガルに詰め寄り、何とか決勝を決めるこの最後の一戦だけでも行って欲しいと懇願したが、マクゴナガルは耳を貸さずにもう一度メガフォンを通して声を張り上げた。

 

 

「この試合は中止です。全生徒はそれぞれの寮の談話室に戻りなさい。そこで寮監から詳しい話があります、みなさんできるだけ急いで!」

 

 

どの生徒も不服そうなでぞろぞろと寮へ戻る中、セドリックが困惑した表情で俺のそばに駆け寄って来た。

 

 

「一体どうしたんだろう?まさか……」

「誰かが襲われたんだろうな」

「──もう終わったと思ってたのに……」

 

 

セドリックは俺の言葉に息を飲み、小さな声で呟く。それほど驚いていないのは、きっとどこかでクィディッチが中止になるほどの非常事態は再び誰かが石化したのだとわかっていたからだろう。

その証拠に苛立ちや怒りの表情をして不服をぶつぶつ言っていた生徒たちも、少しずつ不穏な気配を感じて心配そうな顔でひそひそと小声で囁き合い始めていた。

 

 

 

 

 

 

 

「全校生徒は六時までに各寮の談話室に戻るように。それ以降はけっして寮を出てはなりません。授業に行く時は、必ず先生が一人引率します。トイレに行く時は必ず先生に付き添ってもらうこと。クィディッチの練習も試合も全て延期です。夕方はいっさい、クラブ活動をしてはいけません」

 

 

全ハッフルパフ生が集まり満員となった談話室で、皆が黙ってスプラウトの話を聞いた。スプラウトは羊皮紙を広げて読み上げた後で紙をくるくると巻きながら生徒たちをゆっくりと見渡した。

 

 

「もし、誰かが何かを知っていたら。犯人について何か心当たりがある人がいるのなら、申し出ることを望みます。これまでの襲撃事件の犯人が捕まらない限り、安全が確認できるまで学校が閉鎖される可能性もあります。……みなさん、どんなわずかなことでもかまいません。私や監督生、信頼できる者に相談してくださいね」

 

 

スプラウトは硬い表情をしたままそういうと、談話室から出て行った。

すぐにハッフルパフ生たちは喋り始め、誰が犯人なのか、誰か何かを知っているのかと顔を突き合わせて話し合った。

 

 

「襲われたのはグリフィンドールとレイブンクローの生徒だって。それに、またマグル生まれだよ」

「犯人はきっとスリザリンの純血主義者に違いない」

「いや、やっぱりノア様を唯一無二にしたいポッターじゃないか?」

「でも、今回の犠牲者はグレンジャーだ!流石のポッターもあの子を犠牲にする?」

「そういや他のマグル生まれって、後誰が残ってる?」

「まさか、ノアさんも狙われたりして……」

 

 

ひそひそざわざわ。

恐怖と困惑、ひと匙の好奇心。

そんな歪な興奮が満ちる中、セドリックは心配そうに俺を見て「部屋に戻ろう」とジェスチャーをした。

 

部屋に向かう途中、何か言いたげなハッフルパフ生の視線が俺とセドリックを射抜くが、セドリックはちっとも気にすることなくマイペースに歩く俺の腕を引いて早歩きで進んだ。

 

 

ぱたん、と部屋の扉を閉めれば生徒たちのざわめきはかなり小さくなり、セドリックは疲れ切ったように肩を落としながらベッドに腰掛けた。

 

 

「まさか、本当にまた石化したなんて……しかも二人も」

「二人ともマグル生まれらしいな?」

「うん。これはもう偶然じゃないよ。ノア、大丈夫だと思うけど本当に一人にならないで、気をつけて」

「そうだな。素晴らしい俺の石像ができるのはまだ早いからな」

「……ノア」

「冗談だって!」

 

 

セドリックが本気で心配してくれているのはわかっているが、俺だけは石化しない自信があるから軽く考えてしまう。

バジルがその辺ウロウロしているのは知っているけど、バジルの──バジリスクの目には殺傷能力がなくなるようにサングラスを必ずつけているし。特に問題はない。そもそも飼い主の俺を裏切るなんて思えない。

 

セドリックは心配と呆れが混じった目で俺をじとりと見ながらため息を吐いた。

 

 

 

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