兄・子世代ifチート能力を駆使して転生人生謳歌します!   作:八重歯

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92 みんなで秘密の部屋へGO

 

「ここがスリザリンの秘密の部屋の入り口?」

「なんで女子トイレ?」

「なんだこのトロール級のパイプは?」

「さあね。とりあえず怪しい箇所はここだけだったんだ。この奥からジニーの匂いがするらしい」

 

 

俺とフレッドとジョージとセドリックは三階女子トイレ──マートルがいるトイレにやって来た。

本来手洗い台があるはずの場所には大人一人が滑り降りる事ができそうなほど大きいパイプが剥き出しになっている。マートルが居たらまた厄介だったが、散歩にでも行っているのかここにはいなかった。

 

魔物に案内された、という設定で教師やゴーストの目を掻い潜りここまでやって来たわけだが──魔物も、一応ここの場所が怪しいと俺に伝えに来たが──このパイプが剥き出しになっていると言うことは、ハリーとロンとロックハートはもう降りて行ったのだろう。とりあえず、原作通り進んでいるようだ。

 

 

「じゃあ、俺が一番先に降りるからその後についてこい。約束は覚えているな?ジニーを救出したらすぐに戻ること」

「わかった」

「いこうぜ。もうずいぶん経ってる」

 

 

ジョージに急かされ、俺たちは頷き合った。俺としては何度かこのパイプを通った事があるから恐怖なんてものはないが、三人はそうではなく、どこまで続くかわからない真っ暗な穴に緊張しているのか表情がこわばっていた。

 

 

「じゃ、また後で」

 

 

軽く手を挙げてパイプの中を滑り降りる。

ぬるぬるしてるし、なんか臭いし本当最悪の滑り台だな、と思いながら数分滑ればようやく出口につき、少しよろめいたもののずっこける事はなく立ち上がる。

濡れたローブやズボンを魔法で綺麗にしていると次にフレッドが転がりながら現れ、ジョージが何故か逆さまになって落ちて来て、セドリックは出口で尻もちをついていた。

 

 

「うっ──最高にスリリングだったな」

「ああ、もう一回経験したいくらいだ」

「いたた……うわっドロドロだ……」

 

 

三人は痛む体やドロドロに汚れた服や髪を嫌そうに擦り、全く汚れのない俺を羨ましそうに見る。「しょーがないな」と指をパチンと鳴らせば、三人の汚れはすっぱり綺麗になった。

 

 

「ありがとう!」

「ヘドロ爆弾並みの汚れだったな」

「清め魔法くらい自分で使えよ」

「ノアがする方が確実で早いでしょ?──さあ、行こうよ。向こうに続いてるみたい」

 

 

セドリック達はルーモスで杖先を光らせ、暗くジメジメとしたトンネルを照らしながら奥へと進む。

水溜りを踏む足音がトンネル内に反響し大きく響いた。俺たちの影が壁にうつり、不気味に伸びているのを見てセドリックは少し不安そうな顔をしていたが、すぐに口をぎゅっと引き締め足を止める事はない。

 

 

「ノア、待って。何か聞こえないか?」

 

 

数分進んだ時、俺の後ろをついて来ていたセドリックが小声で囁き俺の肩を掴む。フレッドとジョージはすぐさま俺に駆け寄り、息を殺しながら周りを注意深く照らし暗闇の中から魔物が飛び出してはこないかと警戒した。

 

その音は岩が落ちて地面に当たる音と、何かの唸り声のようだった。

 

俺は目配せをして、足元に向かって杖を振るう。セドリック達は何も変わらない足元に首を傾げていたが、一歩足を踏み出せば足音が全く聞こえなくなっているとわかり驚いていた。

足音が消えていても警戒を怠る事なくゆっくりと進み、トンネルの曲がり角に差し掛かる。音の大きさ的に、多分この先だろう。

 

俺たちはちらり、と顔を覗かせて──そして、俺よりも先にフレッドとジョージが息を飲み、そのまま飛び出した。

 

 

「ロン!」

「わあああああっ!!──あ?あ、あれ?ジョージ?フレッド?なんでこんなところに?」

 

 

やはり、音の正体はロンだったか。

 

いきなり名を呼ばれ、ロンは叫んで飛び上がり手に持っていた石をめちゃくちゃに投げた。それは幾つかフレッドとジョージの足元や顔の横スレスレを飛んでいったがフレッドとジョージは気にする事なくロンに駆け寄り、見るからに狼狽えた。

 

 

「それはこっちのセリフだ!」

「なんでこんなところにいるんだ?」

「そ、それは──僕、僕、ジニーを助けようと思って、ハリーと来たんだ。ここが秘密の部屋だってわかって……」

 

 

ロンは安堵からか、緊張の糸が一気に切れたからか、目に涙を溜め声を震わせながら説明をする。今年ずっと継承者と秘密の部屋を探していたこと。石になる直前、ハーマイオニーがヒントを残してくれて秘密の部屋の入り口が三階女子トイレであり、パーセルタングを使えなければ部屋は開かないと知ったこと。

それでハリーとロックハートと共にここに来たは良いもののロックハートが折れたロンの杖を使い忘却魔法をかけようとして逆噴射し、爆発してトンネルが崩れてしまった事、最後にハリーはこの先に行った事を伝えた。

ロックハートは少し離れた場所で大の字になって伸びていて、ぴくりとも動かなかった。

 

ロンは焦っているからか、説明も飛び飛びで全てを把握する事はできなかったがとりあえずフレッドとジョージは「俺たちもジニーを探しにきたんだ」とだけ説明し、トンネルを塞ぐ岩山を見上げた。

 

 

「ノア、これどうにかなるか?」

「え!ノアが来てるの?」

 

 

ロンは俺とセドリックに全く気づかず、驚愕の声を上げさっと顔色を変えた。フレッドが後ろを向いたところで、ようやく少し離れた場所に俺とセドリックがいることに気づき慌てて両手と首を振った。

 

 

「駄目だよ!ノアは戻らないと……ハリーが巻き込んじゃいけないって……」

「ハリーが?」

 

 

思ってもみない言葉に首を傾げれば、ロンは「あ!」と小さく声を上げ口を手でパチンと押さえる。ごまかせないかと暫く視線を彷徨わせていたが、やはり一度吐き出した言葉を無かったことにできないとわかったからか──それとも俺たちからの視線に耐えられなかったからか「あー……のね」と言い淀みながら話し出した。

 

 

「今年、僕とドラコとハーマイオニーは、ハリーに何回もノアに相談しようって言ったんだ。でも、ハリーはノアはマグル生まれだから絶対に駄目だって……あんなに完璧で美しくて最高の人なんだから、もし巻き込んだら絶対に継承者に狙われるからって……」

「ハリーは俺を心配してたのか?」

「うん、そりゃあもう。毎日ノアを探してたし、毎晩ノアに何もないようにって祈ってたよ。寝室の一角に祭壇があって、ハリーとネビルが色々飾るから凄いことになってるんだ……」

 

 

祭壇に突っ込みたい気持ちがあったが、ロンの言葉は真剣そのもので茶化すような雰囲気は微塵も感じられなかった。こんなシリアスな雰囲気は久々すぎてついふざけてしまいそうになるが──いやいや、もうすぐクライマックスのはず。俺は今まで何も知らなかったってコイツらを騙し切らなきゃいけないし、真面目にしないと。

 

ふむ、今年全然ハリーが相談しにこないなって思ってたら、俺がマグル生まれだから心配してくれていたのか。

俺が世界最強の魔法使いだと知っていて、それでも優しいハリーは気遣ってくれるんだな。

 

ま、色々相談されてたら嘘を重ねることになってちょっと面倒になっていたかもしれないから、そこはよかった!

 

 

「この先にハリーがいるんだな。何分くらいに前に行った?」

「多分、十分くらい」

 

 

十分なら、まだ色々終わっていないか。

まあハリーは死なない。死なないと信じているがリドルが俺に関する余計なことを言わないかどうかも気になるし、不安はある。

フレッドとジョージはすでに居ても立っても居られず岩を手で無理やり退かそうとしているし、ハリーが戻ってくるまでここで待つ事はできない。

 

 

「急がないとな」

 

 

俺は岩に向かって杖を振るう。

ごとごとと岩が動き、道を塞いでいた岩山の中央に岩造りの無骨な扉が現れた。フレッドとジョージは歓声を上げ、すぐに飛びかかろうとして──ジョージがくるりと振り返った。

 

 

「ロン、お前はここで待ってろよ」

 

 

ジョージの言葉に、セドリックの後について入ろうとしていたロンは憤り「僕も行く!」と言い返す。しかしジョージは厳しい顔でロンの空っぽの両手に視線を落とした。

 

 

「ダメだ、杖がないんだろ?杖無しでどうにかなるもんじゃない」

 

 

ロンの杖はロックハートと共に吹き飛ばされてどこに行ったのかわからないのだろう。

わかったところで、ほとんど折れている杖は使い物にならず身を守る事は不可能だ。

ロンもそれをわかったのか、恥いるように何も持っていない手を背の後ろで隠しながら、「でも」と何度か言葉を探す。フレッドとセドリックと俺に助けを乞うようにちらちらと視線を向けたが、フレッドとセドリックはジョージの意見に賛成であり、俺としてはこれ以上人が増えてほしくなくて助け舟は出さなかった。

ロンは挫かれたような顔をしつつも、涙声で「だって」と呟く。

 

 

「でも、僕だってジニーが心配だ、ハリーも、みんなの事も──それに、こんなところで一人待つなんて──いつロックハートが目覚めるか……杖は使えないし……」

 

 

心配な気持ちが殆どだが、こんなところに置き去りにされたくない気持ちも嘘ではないのだろう。

震えて泣き出しそうなロンを見てもフレッドは早くジニーを探しに行きたいのか「駄目だ」とイライラと答えたが、ジョージはぎゅっと眉根を寄せて頭をガシガシと掻きながら大きくため息をついた。

 

 

「……わかった。仕方ないな!……俺がここでロンと待つ。フレッド、セドリック、ノア……頼んだぞ」

 

 

ジョージの言葉にロンは感極まった吐息をこぼし、目に浮かんでいた涙を乱暴な手つきで拭った。

 

 

「ジョージ、あの鏡をずっと持ってろよ。ジニーを見つけたらすぐにそれを通って撤収するからな」

「了解、待ってるからな」

「頼んだぜ、兄弟」

 

 

フレッドは拳を突き出し、ジョージは拳をコツンとぶつけた。

すぐに俺とフレッドとセドリックは扉を開け、その先へと進む。

「待ってるからな!」「帰る道探しておくからね!」というジョージとロンの声援も曲がり角を曲がるたびに少しずつ聞こえなくなっていき、もはや降りているのか同じところをぐるぐるまわっているのかわからないほど長く続くパイプを進む。

 

トンネルは何度もくねくねと曲がり、ルーモスで照らしていても曲がり角のせいで奥まで見えなかった。

数えきれないほどの曲がり角を過ぎた時、前方に固い壁が見えた。二匹の蛇が絡み合った彫刻が施してあり、蛇の目には輝く大粒のエメラルドが嵌め込んであった。

 

俺たちは並んでその扉を見上げる。

蛇は今にも動き出しそうなほど精巧な造りで、光に反射してエメラルドの目がチラチラと光り揺れていた。

 

 

「パーセルタングが開く呪文ってロンは言ってたよね?」

「そうだな」

「その……パーセルタングを使えるのって──ううん、なんでもない。どうせこの先に行ったらわかる事だよね」

 

 

セドリックは言い淀み、首を振る。

今ホグワーツで蛇と会話できるのはハリーと俺だけだ。他に稀有な蛇語使いがいるのか、それとも噂にあったようにハリーが道化を演じているだけで実は継承者なのか?とセドリックはつい考えてしまったんだろうな。

 

さて、ついにセドリックとフレッドを連れて秘密の部屋の目前まで来てしまった。

目標はとりあえずジニーの救出、と、リドルの暴露の阻止だ。

 

 

「セドリック、あのローブ持ってきてるだろ?自分で被るんだ。フレッド、鏡の片方はあるな?とりあえず、ジニーを見つけたらその中に入れろ。二人ともその中に逃げ込め。ハリーも連れてな。後でジョージが持っている方から抜け出せば良い。守護魔法と、透明化魔法はかけるから。

二人は、この先何があってもまず第一に自分の身を守る。その次にジニーの救出。俺のことは気にするな」

「ノア、みんなで逃げよう。僕は君だけをここに置いていくつもりはないからね」

 

 

セドリックが獄炎獣のローブを羽織りながら強い目で俺を見て当然のことのように言う。

えーと、困ったなーそれはちょっとなー。

と悩んでいると、セドリックはマジな顔で念押ししてきた。

 

 

「ノア、OK?」

「……はいはい、オーケーオーケー」

 

 

降参、と手を上げ肩をすくめれば、セドリックはようやく納得したようだ。

 

 

「よし、んじゃ──行くか」

 

 

俺は二人に魔法をかけ、蛇の装飾を見て『開け』と囁いた。

 

 

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