兄・子世代ifチート能力を駆使して転生人生謳歌します!   作:八重歯

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95 バジリスクペットにしていい?

 

 

 

ハリー、ロン、ジニー、ジョージ、フレッド、セドリック、そして俺が戸口に立つと、一瞬沈黙が流れた。

マクゴナガルの部屋の中にいるのは、本人とダンブルドアと、ジニーの両親であるアーサーとモリーだ。

 

「ジニー!」と暖炉前に座り込んで泣いていたモリーが叫び飛び上がってジニーに駆け寄り、アーサーもすぐに続くと二人は強くジニーを抱きしめた。

 

感涙しているモリーとアーサーの頭上をフォークスが金色の光を散りばめながら通り、暖炉側にいたダンブルドアの肩に止まる。ダンブルドアはこんなにも大勢の生徒がここに集結するとは思わなかったのか、驚きつつもにっこりと優しく微笑んでいた。……いや、ごめん、ちょっとあなたの予定外のことたくさんしちゃったから笑えるのは今だけかも。

 

マクゴナガルは何が起こったのか、混乱を押し留めようと胸に手を当て深く深呼吸をする。

泣いていたモリーが顔を上げ、喜びの中に困惑を滲ませながら「あなた達がジニーを助けてくれたの?一体どうやって?」と俺たちに聞いた。

 

 

「私達全員がそれを知りたいと思っていますよ」

 

 

マクゴナガルがぽつりと呟く。

ハリーは少し躊躇しながら、一部始終を語り始めた。

姿なき声を聞いたこと、それが水道パイプの中を通るバジリスクだとハーマイオニーがついに気づいたこと、ロンと二人でクモを追って森に入ったこと、アラゴグが、バジリスクの最後の犠牲者がどこで死んだかを話してくれたこと、嘆きのマートルがその犠牲者ではないか、そして、トイレのどこかに秘密の部屋の入り口があるのではないかと、ハリーが考えたこと。

 

 

「そうでしたか。それで入り口を見つけたわけですね──その間、約百の校則を粉々に破ったと言っておきましょう。──でもポッター、一体どうやって、全員生きてその部屋を出られたと言うのですか?まさか……」

 

 

マクゴナガルが俺を見る。

ハリーもこの先は俺が話したほうがいいと判断したのか、俺に視線を向け話すように促してきた。

 

 

「えーっと、俺とセドリック、フレッド、ジョージは別ルートです。ジニーは彼らの妹ですよね?親友の妹なので、まあ助けに行こうかなと思いまして。色々魔法つかって秘密の部屋を見つけて、そこでロンとロックハート先生と会って──」

「ロックハートが?彼はどこにいるんです?」

「色々あって気絶してるんで、寝かせています。まあ場所は後々ということで。

それで、秘密の部屋の奥でハリーと気絶してるジニーと、継承者のリドルがいて。俺がリドルを倒してこうして帰ってきたと言うわけです。フォークスと組み分け帽子は、ちょっと遅かったみたいですねー」

 

 

俺はポケットから焼け焦げた日記を取り出しデスクに置き、ハリーはベルトに引っ掛けていた組み分け帽子を「結局何に使うんだったんだろう?」と考えながら置いた。

 

 

「リドル?」と、マクゴナガルが怪訝な声を出す。そんな名前の生徒、今在学しているだろうか?いや、生徒全員の名を覚えているが、そんな生徒はいない。──どこかで聞いたことがあるような気がするが。

 

 

「ああ、リドルってのはヴォルデモートの本名です。ヴォルデモートの過去であるリドルはジニーに呪いをかけ操ったんです。つまり、今回の騒動の犯人、継承者は過去の──学生時代のヴォルデモートって事です」

「な、なんだって?例のあの人が?ジニーに?」

 

 

アーサーがジニーを抱きしめながら蒼白な顔で壊れたラジオのように俺の言葉を繰り返す。ジニーはぽろぽろと涙を流し、きっと責め立てられるに違いない、と目を伏せた。

 

俺は「これを使って」と言いながら日記をダンブルドアに手渡す。ダンブルドアは日記を取り、長い折れ曲がった鼻の上から日記を見下ろす。焼け焦げ、悪臭漂う日記を見て──そして俺の目をじっと見た。

 

 

「見事じゃ」

 

 

ダンブルドアは俺を見ながら静かに言った。にこり、と笑えば、ダンブルドアはその半月眼鏡の奥の青い目を一瞬鋭くして俺を見ていたが、すぐに優しい眼差しで心の底から後悔しているジニーを見た。

 

 

「たしかに、彼は当時ホグワーツ始まって以来、最高の秀才だったと言えるじゃろう。

ヴォルデモート卿が、かつてトム・リドルと呼ばれていたことを知る者は、ほとんどいない。わし自身、五十年前、ホグワーツでトムを教えた。卒業後、トムは消えてしまった……遠くへ。そしてあちこちへ旅をした。……闇の魔術にどっぷりと沈み込み、魔法界でもっとも好ましからざる者たちと交わり、危険な変身を何度も経て、ヴォルデモート卿として再び姿を現した時には、昔の面影はまったくなかった。あの聡明でハンサムな男の子、かつてここで首席だった子を、ヴォルデモート卿と結びつけて考える者は、ほとんどいなかった」

「でも、ジニーが、うちのジニーが、その──その人と──なんの関係が?」  

 

 

ジニーがなぜ、どうやって過去のヴォルデモートに呪われたのか。モリーはジニーの痩せた頬を撫で困惑しながら聞き、ダンブルドアが答える前にジニーはわっと泣き声を上げて叫んだ。

 

 

「その人の、に、日記なの!私、いつもその日記に、か、書いていたの。そしたら、その人が、あたしに今学期中ずっと、返事をくれたの──」

「ジニー!パパはおまえに、何にも教えてなかったというのかい?パパがいつも言ってただろう?脳みそがどこにあるか見えないのに、独りで勝手に考えることができるものは信用しちゃいけないって、教えただろう?どうして日記をパパかママに見せなかったの?そんな妖しげなものは、闇の魔術が詰まっていることははっきりしているのに!」

「私、し、知らなかった。ママが準備してくれた本の中にこれがあったの。私、誰かがそこに置いていって、すっかり忘れてしまったんだろうって、そ、そう思った……」  

 

 

アーサーは心配と混乱から責め立てるような口調になってしまい、ジニーはしゃくりあげながら泣く。

フレッドとジョージとロンはいてもたってもいられずジニーの側により、慰めるようにその肩や背中を撫でた。

 

 

「ミス・ウィーズリーはすぐに医務室に行きなさい。苛酷な試練じゃったろう。処罰はなし。もっと年上の、もっと賢い魔法使いでさえ、ヴォルデモート卿にたぶらかされてきたのじゃ」

 

 

ダンブルドアはまだまだ続きそうなジニーの懺悔をきっぱりした口調で中断し、つかつかと出口まで歩いていって、ドアを開けた。

 

 

「あ」

「──なんと!」

 

 

ドアの先にはバジリスクがいた。

バジリスクは「もう入っていいのか?」と言うようにぬるりと這い顔を部屋に入れる。モリーとアーサーが悲鳴を上げ、マクゴナガルがすぐに杖を構えたが──ダンブルドアの正面に顔を出したバジリスクは舌をぺろぺろさせるだけで誰かを襲うことはない。

 

 

「バジリスクです」

「見ればわかるが?」

「継承者に操られていただけなんで無害です。一応目は俺しか取れないように目隠し魔法かけてます。……バジリスクは処刑されますか?」

 

 

体の三メートル分くらい入ってきたバジリスクに駆け寄り──セドリック達はバジリスクに触れないようにいつのまにか壁側に移動していた──口元をトントンと撫でる。バジリスクは犬がするように甘えて俺に頬擦りし、俺の体に頭を押し付ける。

 

 

「……バジリスクはスリザリンの継承者のみに従うと聞いておるが?」

「ああ、スリザリンの継承者よりも、俺の方が魂が至高だかなんだかで俺にメロメロになりました。バジリスクにとっちゃ血なんてどうでもいいそうですよ。……それで、この子ペットにしたいんですけど」

「……」

「えっ!?ペット?ノア、そんなの寝室に絶対入らないから!」

 

 

まさかバジリスクをペットにすると言うと思ってなかったセドリックが顔を蒼白にして断固反対と首を振る。

いやいや、流石に十五メートルの巨体は入らないだろう。バジリスクに魔法効きにくいから縮み薬飲ましても小さくならなさそうだし……。

 

 

「あ、そうだ。ロックハート先生も返却しときますね」

 

 

バジリスクに『吐き出してくれ』と言えば、ダンブルドアが眉を寄せた。あ、そういえばこの人って蛇語を理解できるんだっけ?

 

バジリスクはぶるぶると腹を震わせ、ぐぷり、と腹の奥から音を鳴らしそのままぱかりと口を開ける。

むわっとした生臭い臭いと共に、テラテラとした唾液に塗れたロックハートが吐き出され、ハリーとロンがかなり嫌そうな顔をした。

ロックハートは床に投げ出された衝撃で呻き、気絶から目覚めた。

げほげほと咽せながら目を擦り、ぼんやりとした目で身体中のベトベトを不思議そうに見つめ、ゆっくりと俺たちを見てまた不思議そうに首を傾げた。

 

 

「ここは一体どこかな?楽しいパーティ?私は──私は一体誰かな?」

「ダンブルドア先生、秘密の部屋で、ロックハート先生は──僕の杖で僕に忘却術をかけようとしたら、杖が逆噴射したんです」

 

 

全てを忘れているらしいロックハートに、ロンが静かに説明し、ダンブルドアは視線をバジリスクからロックハートに移すと「自らの剣で貫かれたか、ギルデロイ」と残念そうに呟いた。

ロックハートは訳が分からずへらへらと人の良い笑みを浮かべ、「ギルデロイ?」と自分の名前を言われても聞き馴染みがない、とぼんやりと聞き返すだけだった。

 

 

「ノア、バジリスクの件は後回しじゃ。……バジリスクを引かせることはできるかね?」

「勿論」

 

 

バジリスクに廊下で待ってろ、と伝えればバジリスクは頷き再びずるずると戻る。バジリスクの従順な姿に、ダンブルドアは小さくため息を吐き出し、気を取りなおすように振り返るとニコリと笑った。

 

 

「さて、ミス・ウィーズリー。安静にして、それに、熱い湯気の出るようなココアをマグカップ一杯飲むがよい。わしはいつもそれで元気が出る。マダム・ポンフリーはまだ起きておる。マンドレイクのジュースをみんなに飲ませたところでな。──きっと、バジリスクの犠牲者たちが、いまにも目を覚ますじゃろう」

 

 

ダンブルドアはキラキラ輝く目で、優しくジニーを見下ろす。ジニーはモリーとアーサーに支えられながら出て行こうとして、彼らの肩越しに俺の方を振り返り──モリーとアーサーの腕を振り払い俺部屋駆け戻った。

 

 

「ノア様!」

「んん?」

 

 

ジニーは俺の前に膝をつく。

涙をはらはらと流し、震える手で俺のローブの裾を両手で掴み首を垂れそっと額に当てた。

 

 

「本当に、ありがとうございます。私は、このご恩を一生、死ぬまで──死んでも──忘れません」

「……ジニー」

 

 

俺はジニーと目線を合わせるために膝をつく。

ジニーと初めて、至近距離で目が合う。うーん顔色悪いし隈凄いけど、確かに美少女!俺には負けるけどな!

 

 

「──君が無事でよかった」

 

 

ぽんぽん、と頭を撫でてやる。ジニーも好きなキャラだし、何よりフレッドとジョージの妹だし。これからこれを機に仲良くできたらと思っての行為だったが、ジニーはぼっと顔を赤くさせるとふらりと後ろに倒れ、慌ててそれをアーサーが受け止めた。

 

 

「おっと!──ノア、私からも言わせてくれ。本当にジニーを救ってくれてありがとう」

「ノア、ああ!あなたって本当に最高だわ!」

「はは、俺だけじゃないですよ。ハリーも……フレッドとジョージも、セドリックも、ロンも、みんながジニーを助けたんです」

 

 

アーサーとモリーの感謝の言葉は嬉しいが、それは俺一人に向けられるべきものではないだろう。

だって、本来ならハリーへであり──そもそも、俺はセドリックがフレッドとジョージを心配して探しに行こうと言わなければ、多分ここまで表立って行動しなかったし。結果的に俺がリドルと対峙しただけで。

 

二人はすぐにハリー達を抱きしめ、心から感謝した後、ジニーを連れて出て行った。

 

 

「のう、ミネルバ?これは一つ、盛大に祝宴を催す価値があると思うんじゃが。厨房にそのことを知らせにいってはくれまいか?」

 

 

ダンブルドアが考え深げに話しかけ、マクゴナガルは「わかりました」とキビキビと答えドアのほうに──一瞬外を警戒した後──向かった。

 

ドアを通る時、マクゴナガルはくるりと振り返り顎をツイとあげてダンブルドアを見る。

 

 

「彼らの処置は先生にお任せしてよろしいですね?」

「もちろんじゃ」

 

 

ダンブルドアはあっさりと答える。

処置。という不穏な単語に、ハリーとロンは顔を見合わせそう言えば次に校則を破ったら退行処分になると、車でホグワーツに来た時に言われたのを思い出したらしく不安げな顔をしていた。

セドリックもマクゴナガルがさっき言ったように校則を何十も破ったのは事実で、処罰されるのだろうと思い緊張している。フレッドとジョージはこんな素晴らしい事をしたのに処罰されるわけがないだろう!と堂々たる態度だった。

 

 

「わしの記憶では、ハリーとロンがこれ以上校則を破ったら、二人を退校処分にせざるをえないと言いましたな。どうやら誰にでも誤ちはあるものじゃな。わしも前言撤回じゃ。

六人とも『ホグワーツ特別功労賞』が授与される。それに──そうじゃな──ウム、一人につき二百点ずつ与えよう」

「ワォ!」

「もしかしてグリフィンドールが首位になるんじゃないか!?」

「えー。俺がリドル倒したのにぃ?同じ点数なんですかぁ?」

 

 

ハリーとロンは退学にならなかったことに安堵して胸を撫で下ろし、とんでもない大量得点に嬉しそうにはにかんだ。フレッドとジョージはグリフィンドール生が四人で八百点、ハッフルパフ生が二人で四百点。全員が加点されたとは言え四百点も差があれば首位は確実だと飛び跳ねて喜んでいた。

いやいや!まあみんなで来たけど?俺もモリーさんやアーサーさんには「みんなで助けたんです、にこっ!」ってしたけど?でもこれでハッフルパフ首位転落は可哀想じゃないか?

 

しかしダンブルドアは「みんなで助けたのじゃろう?」と穏やかに言っただけだった。くそっ!後一ヶ月程度で首位奪還……流石に無茶だろ!

 

むすっとしていると、ダンブルドアはセドリックにぼんやりとしたロックハートを医務室に連れて行って欲しいと頼み、セドリックはすぐに了承してべとべとしたロックハートの腕を優しく引き、扉から出て行った。

 

 

「わしはノアとハリーとちょっと話したいことがある……先に、ハリー。いいかね?ノア、廊下で待っててくれるか?ロン、フレッド、ジョージ。君たちは寮に戻りなさい。そろそろ祝宴の知らせを聞いてみんなが集まる頃じゃろう」

 

 

ダンブルドアはハリーに残るように言い、ロン達はチラチラとハリーを見つつもダンブルドアの頼みには逆らえず出て行った。

俺も一旦出て、隅にいるバジリスクの元へ向かう。なんの話だろ、バジリスクかな?それとも──?

 

 

「ノア、本当にありがとうな」

 

 

ジョージが俺にそう言い、ぽん、と俺の背中を叩く。フレッドも俺の肩を叩いて「マジでノアがいて良かった」と言いながら二人とも晴々とした笑顔を見せていた。

 

 

「ま、今後もし俺が困ったことがあったら助けてくれよ」

「勿論さ!」

「ああ、天使様ノア様の元にいつでも駆けつけるとも!」

 

 

フレッドとジョージはいつものような悪戯っぽい笑顔を見せ、わざとらしく深々と頭を下げた後、「じゃあな」と手を振ってロンを引き連れ暗い廊下の向こうへ駆けて行った。

 

 

 

バジリスクにもたれかかって待っていること数分。ドアが開きすっきりとした表情でハリーが現れ、「次はノアだって」と手招きをした。

 

ハリーと入れ替わりに入り、扉を閉める。

 

扉がパタンと閉まり、俺はダンブルドアが待つデスクまでゆっくりと歩いていく。 

机の上には焦げた日記がポツンと置かれていた。ダンブルドアはひょいと焦げた日記を手にした。

 

 

「まことに、見事じゃのう。ノア?」

 

 

ダンブルドアが俺を見る。

ああ、やっぱり気づいてたか。

 

 

「俺は最強の魔法使いなんでね」

 

 

にやり、と俺は笑い、ダンブルドアはふう、とため息をこぼした。

 

 

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