兄・子世代ifチート能力を駆使して転生人生謳歌します!   作:八重歯

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96 秘密の部屋編終了!

 

 

 

ダンブルドアとの幾つかの簡単な話が終わり、宴会に向かうためにドアを開ければその先に蛇に睨まれた蛙のようになっているルシウスとドビー、それを見守るハリーがいた。ルシウスは多分、バジリスクが門番みたいになってて通れなかったのだろう。

 

 

「あ、ルシウスさん」

「……ノア、この蛇は一体──」

「秘密の部屋にいたバジリスクです。俺のペットとして飼うことが決定しました」

「ペット……」

「あ、本当に飼うんだ」

 

 

ルシウスは愕然としながら巨大なバジリスクを見上げてひくりと頬をひくつかせ、ハリーは本気でバジリスクを飼うのかと少し驚いていた。

 

 

「今晩は、ルシウス」

 

 

ドアの先にルシウスが居ることに気づいたダンブルドアはゆったり、とした動作で廊下に出てきて機嫌良く挨拶した。

バジリスクにより出鼻を挫かれたルシウスだったが、ダンブルドアを見るとすぐに胸を張り顎を上げ背の高いダンブルドアを睨む。

 

 

「それで、お帰りになったわけだ。理事達が停職処分にしたのに、まだ自分がホグワーツ校に戻るのにふさわしいとお考えのようで」

「はて、さて、ルシウスよ。今日、あなた以外の十一人の理事がわしに連絡をくれた。正直なところ、まるでふくろうのどしゃ降りに遭ったかのようじゃった。アーサー・ウィーズリーの娘が殺されたと聞いて、理事たちがわしに、すぐ戻ってほしいと頼んできた。結局、この仕事に一番向いているのは、このわしだと思ったらしいのう。

奇妙な話をみんなが聞かせてくれての。もともとわしを停職処分にしたくはなかったが、それに同意しなければ、家族を呪ってやるとあなたに脅された、と考えておる理事が何人かいるのじゃ」

 

 

ルシウスはさっと顔を蒼白にし押し黙る。しかし、その目は怒り狂っていてこのまま引き下がる事を良しとしていない。

 

 

「すると──あなたはもう襲撃をやめさせたとでも?犯人を捕まえたのかね?」  

「それは、そこにいるノアがやってのけたのじゃ」

 

 

ルシウスは勢いよく俺を振り返る。「ノア、君が?」と信じられないのか、信じたくないのか声が少し震えていた。

 

 

「捕まえたというか、倒したというか。まだ世界を旅してもいない同年代のヴォルデモートを打ち負かすことなんて、路地であなたの幼いドラコを救うのと同じくらい簡単な事でしたよ」

 

 

ポケットから杖を抜き、くるりと回す。

 

 

「そういえば、その時に言ったこと覚えてますか?報酬に何が欲しいのか──?」

 

 

ルシウスは覚えているかな。

俺も今ふと思い出しただけで、それほど責めたいわけではなかった。しかし、俺の一言はルシウスにはかなりショックなものだったらしく、顔を蒼白通り越して土気色になり口を震わせ一歩、下がった。

 

 

「なんの事だか……」

「俺って預言者でもあるのかもしれませんねぇ。……そういえば、ドラコもこの事件に胸を痛めてハリーと一緒に継承者探ししてたみたいですよ。マグル生まれの俺が狙われるのを防ぐためにね。タイミングが少しでもずれていれば、ハリーと俺と仲の良いドラコが、継承者である過去のヴォルデモートと対峙することになったかもしれませんね。……な、ハリー?」

「え?──う、うん。本当は秘密の部屋に行く時にドラコも誘おうと思ったけど、時間がなくて。ドラコは今回の事件で本当に心配してたから」

 

 

ルシウスの後ろに控えていたドビーをじっと見ていたハリーは少し反応が遅れたが、すぐに俺の言いたい事を理解し大きく頷く。

俺とハリーの言葉に自分の行いが最愛の息子を巻き込んだかもしれない──それを理解したルシウスはついに黙り込んだ。

 

 

「ルシウス、今回のヴォルデモート卿は他のものを使って行動した。この日記を利用してのう」

 

 

ダンブルドアは真ん中に大きな穴の開いた、小さな黒い本を取り上げる。ぴくり、とルシウスの指が動いたのが見えた。

 

ハリーはドビーが奇妙なことをしているのを見て目を瞬かせる。ドビーは大きな目で、いわくありげにハリーのほうをじっと見て、日記を指差しては次にマルフォイ氏を指差し、それから拳で自分の頭をガンガン殴りつけていた。

ようやく、ハリーはピンときてこの日記の元の持ち主がルシウスであり何らかしてジニーに渡したのだと察したようだった。

 

 

「なるほど……」

「狡猾な計画じゃ。なぜなら、もし、このノアとハリーが友人とともに、この日記を見つけておらなかったら、おぉ──ジニー・ウィーズリーがすべての責めを負うことになったかもしれん。ジニー・ウィーズリーが自分の意思で行動したのではないと、いったい誰が証明できようか……そうなれば、いったい何が起こったか、考えてみるがよい……。ウィーズリー一家は純血の家族の中でももっとも著名な一族のひとつじゃ、アーサー・ウィーズリーと、その手によってできた『マグル保護法』にどんな影響があるか、考えてみるがよい。自分の娘がマグル出身の者を襲い、殺していることが明るみに出たらどうなったか。幸いなことに日記は発見され、リドルの記憶は日記から消し去られた。さもなくば、いったいどういう結果になっていたか想像もつかん……」

 

 

抑揚を押さえ、静かな声でルシウスを見ながら言うダンブルドアと、能面のような顔でそれを聞くルシウス。ルシウスは何とか「それは幸運ですな」と無理やりぎこちなく言うとこの場にもういる意味はないと判断したのか、くるりと背を向けた。

 

 

「マルフォイさん!まさか、フローリシュ・アンド・ブロッツ書店で。あの時ジニーにぶつかったとき、助けるふりをしてジニーの古い『変身術』の教科書を拾い上げて、その中に日記を滑り込ませた。そうですか?」

「……何を根拠に?」

 

 

背中に投げられた言葉に、ルシウスは振り向く事なく静かに聞き返す。そういや本来はルシウスとアーサーが殴り合いの喧嘩してたけど、友達同士の父という微妙な立場だったし喧嘩しなかったのかな?

 

 

「あぁ、誰も証明はできんじゃろう」

 

 

ハリーが食い下がる前に、ダンブルドアはハリーに微笑みながら言った。

 

 

「リドルが日記から消え去ってしまったいまとなっては。しかし、ルシウス、忠告しておこう。ヴォルデモート卿の昔の学用品をバラ撒くのはもうやめにすることじゃ。もし、またその類の物が、罪もない人の手に渡るようなことがあれば、誰よりもまずアーサー・ウィーズリーが、その入手先をあなただと突き止めるじゃろう……」

「……」

 

 

ダンブルドアの言葉にもルシウスは反応せず、背中では怒りや屈辱を存分に表し、「ドビー、帰るぞ!」と代わりにドビーに怒りを向けた。

ドビーが耳を下げながら駆け寄ると、遅いとばかり蹴飛ばす。廊下を歩きながら、ドビーが痛々しい声をあげているのを聞いてハリーはいても経ってもいられずダンブルドアを見上げた。

 

 

「ダンブルドア先生。その日記をマルフォイさんにお返ししてもいいでしょうか?」

「よいとも、ハリー。ただし急ぐがよい、宴会があるからのう」

 

 

ダンブルドアはウインクをしてハリーに日記を手渡す。ハリーはきゅっと唇を結びながら、ドビーの悲鳴がする方へ駆けて行った。

 

暗い廊下に残ったのは俺とダンブルドアと、バジリスクだけであり、ダンブルドアは自分の髭を撫でながらまじまじと巨大なバジリスクを見上げる。

 

 

「きっと、ハグリッドが小躍りして喜ぶのう」

「森の中の大蜘蛛も減ってロンも飛び上がって喜びそうですねぇ」

 

 

バジリスクは森の奥で飼うこととなった。

城の秘密の部屋の中では飼うことはできなかったが、無闇な殺生を好まないダンブルドアはバジリスクは継承者に操られただけとしてその罪を問わなかった。ま、殺そうとしたのはリドルであり、べつにバジリスクはそういう性質を持ってるだけだしな。

 

俺の言葉に、ダンブルドアは少しだけ面白そうに目元を緩め「自然の食物連鎖は致し方ない」と答えた。

 

 

 

 

 

石になった犠牲者達が目覚め、夜遅くから開かれた宴会は次の日の朝まで続いた。宴会の途中でダンブルドアは勇気を持って継承者を打ち破り長く続いた事件を解決した功績を称え俺、セドリック、フレッド、ジョージ、ハリー、ロンの六人がホグワーツ特別功労賞を授与したと話した。

俺たちは何があったか、誰が継承者だったのかを口々に聞かれたが、示し合わせたわけではなく何も答えずのらりくらりと交わした。ま、ジニーがヴォルデモートに操られていたなんて言えないしなぁ。

 

次の日の授業は無くなり、ついでに学校からの祝いとして期末試験も無くなった。殆どの生徒が歓声を上げ、ロックハートが記憶障害により学校から去ることになったとその後告げられたが、みんな聞いてなかっただろう。

 

残りの数週間で起こった変化といえば、闇の魔術に対する防衛術の授業が無くなったことと、ルシウスがホグワーツの理事を辞めさせられたことだ。

ドラコはショックを受けていたが、表立って拗ねることもなくいつも通り暮らしていた。

 

ルシウスがジニーにリドルの日記を預けたと知っているのは俺とハリーとダンブルドアだけだ。ダンブルドアはわざわざ個人的にドラコと話すことはないし、ハリーはドラコとの友情のために黙っておくことにしたようだ。──ま、証拠はないしな。

 

それと、ジニーは今年暗かったことが嘘のように明るくなり、友だちと楽しく過ごせるようになった。──俺を見る度に顔を茹蛸にすることはなくなり、その代わりに祈るようになってしまったが、まあ彼女の友だちも同じようにしていたし色んな意味で同志なのだろう。

 

寮対抗杯は、俺とセドリックの加点を持ってしても数週間で四百点を覆すことはできず、今年はグリフィンドールが取得する事となった。

 

 

 

気がつけば今年もなんとか、ちょっと想定外なことは起こったが大きく外れることなく終了した。

想定外の問題は、俺がリドルを倒してしまったばかりにハリーがグリフィンドールの剣を手に入れられなかったことだ。まぁ、分霊箱の壊し方はいつかハリーに俺から伝えればいいし、バジリスクの牙を折ってもっていけばいいか。

……うん、多分。俺なら何とかなるだろう、その時やばいことが起こってしまったら、未来の俺がなんとかしてくれるはずだ。

 

そう、未来の俺に丸投げしつつ、ホグワーツ特急で揺られながら考える。

コンパートメントには俺とセドリックの二人だけだ。帰る時にハリーに一緒に座ろうと誘われたが、そこはハリー、ロン、ハーマイオニー、ジニー、フレッド、ジョージがすでにいて窮屈な思いをして数時間過ごすのは嫌だったから断った。

 

 

「また夏休み遊びに来てよ、父さんと母さんも待ってるし」

「そうだなぁ」

 

 

セドリックは期待を込めて俺を見る。

うーん、この夏は色々やらなきゃならない事があるからなぁ。

 

 

「予定が合ったら、かな。仕事もしなきゃだし。色々立て込んでるんだ」

「そんなに大きな仕事なんだ?」

「いや、仕事は関係ない事ではあるんだけど。この夏には終わらせたい事があって」

「……?」

 

 

詳しく説明しない俺に、セドリックは訝しげな顔で「どういうこと?」と聞いた。

俺は窓枠に腕を置き、唇に人差し指を当て目を細め笑う。

 

 

「ナイショ」

「えー。気になるなぁ」

 

 

セドリックは唇を尖らせ、俺の内緒話を聞きたがったが、俺は笑うだけで答えなかった。

 

 

そうこうしている間にホグワーツ特急はキングズ・クロス駅に到着し、飛ぶように流れていた景色がゆっくりと動き、ついに止まった。

 

 

 

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