ガンバライダーロード外伝〜消えた幻想と学園のお話 作:覇王ライダー
真っ暗な夜中になり、皆が帰る時間。様々な人が街を行き交い自分の家や他の場所を目指す。ごく当たり前のことだが帰れずにとほほとため息をつくものも中にはいる。そう、早苗のように
「こんな時間に帰ったら諏訪子様や神奈子様に何と言われるか・・・」
学業に勤しんで遅くなったならまだしも他の用事で遅くなりましてや今は休日、言い訳のしようもない。帰れば怒りの雷が落ちることはやむを得ないだろう。遠くで街が光に照らされる中周りは心情を表すように真っ暗だ。早苗がそうしてため息をついているとどこかから声が聞こえてくる
「わかったわかった了解了解、すぐに現場へと向かう」
その声に聞き覚えがあった。早苗が目を向けた方にいたのはチヒロだ。こちらからだとあまり何をしているか分からないがどうにもモニターらしきものがこちらからもみえている。というかモニターが自分の前に映し出せるとかどんな近未来なんだ!?疑問が降り注ぐ中こっそりと観察しているとチヒロは月を見ながら木から降りる
それに気付かぬチヒロはロードとたわいのない会話を始める。彼らは二重人格、早苗にその声が届くことはないだろう
「距離はどんなもんだ?」
「西に3km、まあ5秒あれば着くんじゃないかな?」
そうか。とチヒロは呟く。空白の後に気まずそうな話し方でチヒロへと問う
「いいのかい?霊夢や魔理沙にあんな嘘ついちゃって」
「つかなきゃならねえ嘘もあんだろ。それにアイツらは一般人、巻き込むわけにもいかねえし」
彼の考え方にどこか納得したようなしなかったような言い方でそっか。とロードはまたこっそりと意識から遠のきチヒロは大きく息を吸い込む。そして腕を前に差し出して彼は呼び出す
「来い、バルディッシュ」
"Yes sar"
呼応するように現れた鎌をそっと握り締めるとチヒロはその力なのか彼自身の力なのかすごい速度で空を飛び去っていく。その速さは早苗が何かを反応する動きよりも早く文字通り光の速さといったところだ。風が舞った大地で早苗は何だったのだろうと空を見る。もしかしたら何か彼は大きな秘密を隠しているのかもしれない
チヒロと会ったその日の夜のこと、鈴仙と妖夢は同じ帰り道だったこともあって二人は様々なことを話しながら帰っていた。チヒロのこと、そして霊夢と魔理沙が見たという怪人のことだ
「霊夢さんや魔理沙さんが嘘をつく人だとは思えないけどやっぱり怪しいよね」
鈴仙の言葉に妖夢は軽く頷く。もちろん二人とも信じていないわけでもないし嘘だと弾糾するつもりもない。しかしこの世のものとは思えない怪人が街や人を襲い攫い、果てはそれを助けてくれた男性がいるなど、本来なら御伽噺の世界で起こることであり見ても恐らく彼女たちは信じられないだろう。しかし
「私は二人を疑いたくないな。仮に二人の話がどこまでも信じ難い嘘だったとしても」
鈴仙は少し渋ったような顔をして妖夢を見る。鈴仙も気持ちは同じはずだ、同じはずなのだが・・・
「!!?」
けたたましく響いた叫び声が聞こえて二人は騒然とする。妖夢と鈴仙は遠くの叫び声に気付き話し合ってる場合じゃないと走り出した。何かは分からないが彼女たちを駆り立てる何かが突き動かす。到着した時、妖夢は目の前の光景に立ち止まり腰を抜かして倒れ込む
「え・・・何・・・?」
目の前に映ったのは人を襲う赤い化け物と大きな図体をしたツノの生えた化け物だ。化け物たちは嬉々として二人へ近づく
「ヒョー!ザリガーナ様の餌が増えたなぁ!」
「これから貴様らはこのサイ怪人のように強く逞しい体を手に入れる改造手術を受けるのだ!」
改造手術?怪人?起こったことに何も頭が働かず手足を動かして立ち向かうどころか震えることしか出来ない。大丈夫かと妖夢に問いかけようとしたが腰を抜かして声が出ない彼女を見て一瞬で察した。彼女に手を出させまいと鈴仙は妖夢を守るように抱きかかえながらその悲惨な状況を見ていた。目の前の男は一人で立ち向かったのか突然として襲われたのか傷だらけになりながら二人へと手を伸ばす
「た・・・助けてくれ。し・・・死にたくない!」
そう手を伸ばしたが届かず、それを見たザリガーナは後ろから男を背を蹴り飛ばす。そのまま飛ばされた男は妖夢たちの前に転がってくる
「やめて・・・来ないで!!!!」
腰が抜けて倒れている妖夢はその男性すら悪魔に見えて体の震えが増して恐怖のあまり目から涙が落ちる。鈴仙は妖夢から離れて怪人へと走り出す
「あ・・・アンタたちの好きになんかさせない!」
「鈴仙!やめて!!」
「ほお・・・いい度胸だ!ならば死ねェ!」
ザリガーナは妖夢の呼びかけを振り切った鈴仙へと殴りかかる。鈴仙は心の中で誰かへ助けを求める。御伽噺でもなければそんな救済があるわけがない。そんなことは分かってるし自分は死ぬんだと震えながら殴りかかりお互いの手が届きそうになったその時だ
"BIND"
ザリガーナとサイ怪人の両手両足が黄色い光が輪になり両腕に装着されるとそのまま彼らを拘束する。鈴仙が膝をつき倒れると彼女の目の前には赤い鎧とマントを纏った戦士が立っていた。戦士は光の鎌を構えて一気に振り抜く
"Ark Saber"
鎌の先端は意志を持ったように戦士から離れてサイ怪人とザリガーナに襲い掛かる。ザリガーナは強靭な肉体で弾き返したがサイ怪人は真っ二つに切り裂かれてそのまま目の前で叫び声と共に爆発四散した
「貴様、まさかガンバライダーか!?」
戦士はザリガーナに対して銃口を向けて何発か弾丸を撃ち込む。直撃した弾丸は煙となり周囲の視界をくらませる。ガンバライダーと呼ばれた戦士は砂煙の中膝をつく三人に視界を向けた
「あなた・・・は?」
戦士は鈴仙に声も出さず目を向けて行けと首を振る。察した鈴仙もそれに頷き妖夢と男性に逃げることを促してその場を去った。男性はふらつきながらもそれに頷いて走り去っていく。煙が晴れると力技で拘束を解いたのかザリガーナが鈴仙たちを追おうと走り出す
「待てェ!それは私のものだァ!」
「お前の餌なんてどこにもねえよ。」
"ビート"
戦士の拳はザリガーナの肩を直撃してそのまま弾き飛ばす。しかしザリガーナは強靭な体からか痒そうにその部分を撫でる
「そんなものでこのザリガーナ様を倒そうなどと愚かにも程がある!」
もう一度ザリガーナが殴りかかってきたのを何度も避けて何度も何度も拳をぶつける。ザリガーナがもう一撃と攻撃しようとした時、戦士はもう一度拳をぶつける
「無駄だ・・・何っ!?」
ザリガーナの鎧の一部分は砕けてボロボロと落ちていく。戦士は剣を召喚してザリガーナに先端を向ける
「その鎧は確かに硬い。だが砕けねえなんて誰も言ってねえよな?」
炎を纏った剣はザリガーナへと降りかかり一閃、一撃で切り裂かれる
"セイバースラッシュ"
ザリガーナはサイ怪人同様、その場で爆散し炎と煙を上げた。それを近くで見たものもいれば遠くで見つめたものもいる。早苗は遠くの爆発を見て確信する
「やっぱりあの人が」
確かめる必要がある。どんな手を使いどんな形であっても
誰もいない深い夜、この場所には逸話が生まれた
それはここの奥にある森に入ると人は帰って来れず大蜘蛛に食されてしまう。しかしそれを打ち砕いた者は勇者として崇められるだろう
いかにも胡散臭くて古い伝承のような話だが最近ここを通った者が街から消えているとかいないとか、そんな噂を調べるべく一人の男が森へと入っていく
「これで伝承が嘘だって証明できるぜ・・・へへへ」
どうせ嘘っぱちで街から人がいなくなってるってのも違う場所で自殺やら何やらでいなくなっているだけだろう。男がそう思い進んでいくと一つの大きな箱へと辿り着く。見たところ雑に作られた木箱や小屋のようだ。どこか伝承は本当だったのかもしれない、と男に身震いが走る
「い、いや伝承なんてねえよ。嘘だ嘘」
男は扉を開けて中へと入る。入った瞬間後ろの異変に気づく
「扉が!?」
開けようとした扉は開かず完全に閉じ込められてしまう。叩いても何をしてもその扉が開くことはない。仕方がないと男は震えながら進む。しかし呆気なく最奥地へと足を運ぶ。なんだ、何もないじゃないか。男が部屋へと入った時床に手をついて声が震え出した
「何だよ・・・これ」
男の目の前に映ったのは多くの繭と人間の亡骸、それが男が人生で最後に見た光景だった。男が死に至る瞬間外から声が聞こえる
"ゴラゲパボボゼギブボザ"
チヒロはGRZ社の人間と朝に何かあったか、無かったかなど調査の報告をし合う時間がある。朝の日課のようなものなのだが今日のお互いはかなり噛みつき合うような言い方だった
「だから反応が一瞬しか出なかったってどういうことだよ!」
「それ以上もそれ以下もありません。反応は瞬時に消えたのです。報告はこれ以上ありません」
「お前ふざけんなよ!結果そうだったとしても推測として結界や時空移動のエネルギー震源は見つけられんだろうがよ!」
チヒロが頭爆発といった状況の中ロードはチヒロへと話しかける
「結界や時空移動の震源は見つけるのが難しい、それに人が来たみたいだから平穏を保った方が良さそうだよ?」
ロードの言葉にチヒロは舌打ちしながら言い返す
「反応の周囲に怪しいものがないか確認、頼んだぞ」
通信を切ると、遠くに人影が見える。緑色の髪にカエルの耳飾りを付けているのがここからでもわかる
「おはようございますー!」
「おお、早苗じゃないか。今日は霊夢や魔理沙と待ち合わせか?」
そうです!と早苗は元気にチヒロへと返す。チヒロもまたそうかそうかと頷く。早苗はチヒロへと話を切り出した
「そういえば昨日の爆発について何か知ってます?」
「ん?爆発?」
早苗は頷いて話を続ける
「何でも街中で爆発があったらしくて被害者の人は化け物に襲われたーみたいな話をしてるらしいんですよね」
チヒロはへぇ。と何食わぬ顔で早苗に聞き返した
「俺は知らなかったけど何?結構な話題なの?」
「そりゃもう、何かヒーローが助けてくれたとか何とかって話してるらしいですよ?ここら辺は見晴らしがいいのでなんか見えてたんじゃないかなぁと思って」
勘が鋭いし何かの探りを入れているかのような口振りにチヒロはうーん。と何となく考える素振りをみせた。チヒロが何かを言おうとしたその時だ
「お、早苗じゃない!」
「待っててくれたのか?いやあ待たせたか?」
遠くから来たのは霊夢と魔理沙だ。そんなことないですよと早苗は二人へと駆け寄る。安堵するチヒロに気づかずに早苗もまた今度聞かねばと心の奥で誓った
その日の昼休憩は昨日の爆発、そして当然ながら鈴仙と妖夢が見た赤い戦士のことで持ちきりだった。霊夢と魔理沙は体を前屈みにしながら鈴仙たちの話を聞いていた
「なるほどねぇ」
「しかし怪人にそれを倒す謎の戦士か・・・。ますますすげえ話になってきたよな!」
御伽噺のような話がいよいよ本当になってきている。各々が頷く中、早苗は窓の外をまるで遥か遠くに何かあるように見ていた
「早苗」
「は、はい!?」
我に帰ったような焦りようだ。咲夜は早苗に問いかける
「あなた、何かあったの?」
「そ、そんな何にもありませんよー!ちょっと空がいつもより青いなーって!」
詩人にでも取り憑かれていたのか早苗は咲夜にそう返す。咲夜もそう。とそっけなく返した
「でもあの怪人はその人のこと"ガンバライダー"って呼んでたわ。もしかしたら何か名前があるのかも」
「ガンバライダー・・・か。聞いたこともない名前ね」
霊夢の言葉にそれぞれが頷きあーでもないこーでもないと答えのない問答を繰り返していると後ろから話しかけてきたのは射命丸だ
「そーんな皆さんにちょっとした情報を持ってきたんですよー!」
あまりに胡散臭い。そんな空気が流れる中自信満々饒舌に少女は語り出す
「最近の行方不明事件に新しい動きがありましてね・・・。森の奥の小屋に入った者は大蜘蛛に食われてしまう!なんて噂がつい最近流れてるんですよねぇ」
やはり胡散臭い話だ。そんな荒唐無稽でフィクションみたいな話があるだろうか
「裏のとれてる話しなさいよアンタ・・・。こちとら大真面目なのよ?」
呆れたようにそう言った霊夢に対して咲夜は目を向ける
「でも、これまで彼女たちが化け物の被害に遭っているなら大蜘蛛くらい出てきてもおかしくないのかもしれないわね」
「咲夜、コイツの持ってくる新聞知ってるでしょう?」
文々。新聞、文が新聞部で配っている新聞なのだがどこからの情報なのか様々な記事が載っている、ということくらいは咲夜も知っている。だが
「コイツの話裏取れてない話ばっかりなのよ?今これ言われてもねぇ」
「裏は取ってますよー!真実を確立する清く正しい射命丸ですよ!?」
霊夢と射命丸がそう話していると鈴仙がボソッと話し出す
「そういえば、今日てゐが学校休んでるのよね」
-因幡てゐ-鈴仙と同じクラスの人で学校を休んだこともない優等生だ。もっぱら彼女は鈴仙とも仲が良くよくいたずらを仕掛けられるらしいが
「ますます怪しいんだぜ。その大蜘蛛ってやつ」
「えー、でも人間食べちゃうんですよ?アイツらの目的が誘拐ならりゆうにならなくないですか?」
そう話しているとチャイムが鳴り入ってきたのは紫だ。もうそんな時間とわらわら他のクラスの人たちが教室から出て行く
「んもう、皆本来なら遅刻なんだからね?」
紫がそう呆れたような声で話すところから授業は始まった。しかし咲夜の頭にはずっと先程の大蜘蛛が脳裏を過るのだった
-紅魔館-咲夜の帰る場所であり彼女が住み働く場所、見る人を魅了するほど大きく美しい館だ。もちろんここで働く者が誇りを持って一人一人仕事している・・・と思う。咲夜は帰るといつも通り主人の元へと向かう
「今帰りました-レミリアお嬢様-」
お帰り。と主人である-レミリア・スカーレット-は返す。報告を済ませて仕事に戻ろうとする咲夜にレミリアが声をかける
「咲夜、今日はどこかぼやっとしてるわね。どうしたのかしら?」
「え?いや何もございません」
そう返す咲夜にレミリアはふーん。と少し退屈げに返す。何か気が触ることでも言っただろうかと身構える咲夜にレミリアが話し出す
「咲夜、実は今日小悪魔がメイドの仕事を手伝いたいと言っていたの」
「レミリアお嬢様ァ!?」
聞いていた従者-小悪魔-の驚きを無視して咲夜に話を続ける
「普段紅魔館に休みはないのだけれどあなたは若くしてメイド長をしている。今日は特別なあなたの休みよ。気晴らしでもしてきなさいな」
何かしたのか?小悪魔が何かやらかしたのか咲夜が何かやらかしたのか。色んな思考が巡る中レミリアは咲夜に更に問いかける
「咲夜、「はい」の返事は?」
「は、はい」
咲夜は不安なままレミリアの元を去る。小悪魔はレミリアに近づき話しかける
「ちょ、ちょっとお嬢様!?咲夜さんの様子がおかしいからってこれは」
「主である私が良いと言ったの。さあ小悪魔、皆を呼んでちょうだい。話したいことがあるわ」
小悪魔は頷きすぐにレミリアの部屋を出る。レミリアは何を考えているのか、そしてこの意味は?小悪魔がそれを知る由などない
外に出た咲夜が向かっていたのは昼の話題に出ていたあの森だ。人を喰らい餌とする大蜘蛛、そんな伝説の生き物みたいなものがいるのだろうか。もし射命丸の嘘だとするとこれは無駄足となる。しかしなぜか歩みが止まらない、彼女の好奇心がそうさせているのかそれとも何か確信があるのかなど彼女にさえ分からない。そう歩いていると咲夜を呼ぶ声が遠くから聞こえる
「魔理沙?それに・・・鈴仙?」
咲夜の目の前にいたのは魔理沙と鈴仙だ。二人は咲夜を手招きしてコソコソと話し始める
「お前いいのか?レミリアに許可とってきたのか?」
「お嬢様には休みをいただいたわ。それに何であなたたちが?」
魔理沙は鈴仙の目をチラッと見ると話し出す
「そりゃ大蜘蛛だぜ?見れりゃ大スクープってもんだ。それに」
「魔理沙には私からお願いしたの。てゐは憎たらしいけど放っておけないじゃない」
そうね。と咲夜は頷く。そう話しながら進んでいると大きな箱を見つける。ドアも付いているのでどちらかと言うと小屋というべきか。小屋を見つけると魔理沙は近くの木の棒を二本拾い一本はドアを開けた時に床へと置いた
「え?何してるの?」
「こういうの本で読んだ時出れないトラップなんてあったりするだろ?もし閉まったら私たちが帰る術もないからな。保険だよ保険」
「もう一本は何に使うの?」
「化け物が出てきた時の自衛用さ。何もないよりマジだろ?」
そんなものが大蜘蛛のような化け物に効くとは到底思えないのだが・・・。言っても仕方ないだろうとそう、とだけ鈴仙と咲夜が返すと三人は更に奥地へと進む。周囲には何もなくただ壁と扉が続くだけだ。あまりの不気味さに鈴仙は一歩一歩慎重に歩く。それを見た咲夜が鈴仙の手を引く
「え?咲夜?」
「怖いのでしょう?大丈夫、私たちがいるわ」
ちぇ、主人公みたくかっこつけちゃってさ。魔理沙は自分じゃ絶対ああいうことは出来んだろうなと半ば羨ましそう、半ば安心した表情で咲夜を見た。昨夜はその視線に気づき少しいたずらした子供のように魔理沙に問う
「あら?魔理沙も怖いのかしら?手を繋ぐ?」
「いらねえ!私は歩けるっての!」
思いの外からかいが効いたのか魔理沙は顔を真っ赤にして咲夜にそう返す。ごめんごめんと謝りながら三人は更に奥地へと進む。進むと一つの部屋へと辿り着いた。ドアは開いていて彼女たちの視界にその部屋の一部分が見えた。その時三人の足がすくんだ
「何・・・あれ」
部屋から見えたのは大きな蜘蛛の巣と縦長に巻き付けられた繭のようなもの、そして落ちているのは首や腕が切り落とされた人間の亡骸だ。三人がゆっくり、ゆっくりと進むと部屋の端から声が聞こえる
「れい・・・せん」
「てゐ!」
声の主は行方をくらませていたてゐその人だ。手足を糸のような物で巻き付けられて壁へとくっ付けられていた。助けようと咲夜と鈴仙がてゐに向かって走り出した時魔理沙が気配に気付く
「二人とも危ない!!」
「っ!?」
魔理沙の声に反応して振り向いた時には遅かった。遠くから狙い撃ちされた粘膜は咲夜と鈴仙を捕らえてそのまま床へと倒れ込ませた。身動きを取ろうと二人はもがくが強力な接着剤のように体から離れない
「なに・・・これ」
「体が動かない・・・」
魔理沙はどこだと辺りを見渡すがその気配の後から姿どころか気配すら感じない。魔理沙が周りを見渡していると背後からの気配に気付く
「しまっ・・・」
動こうとした時にはもう遅く足に先程の糸を足に吐きつけられてそのまま倒れる。魔理沙は抵抗しようと棒を投げつけたがそこには敵の姿はなくそのままくるくると回って落ちていった。魔理沙が二人に寄って行こうとした時だ。咲夜と鈴仙は文字通り目にも止まらぬ速さで糸を巻き付けられて声を出す間もなく縦長の繭にされてしまいそのまま巣へと叩きつけられた。それを見て魔理沙はあの繭が捕らえられた人間たちだと気付く。諦めまいとてゐへと近づく
「てゐ、お前だけでも・・・」
「魔理沙!あなただけでも逃げて!」
二人の言葉はそれが最後だった。二人は咲夜と鈴仙同様一瞬で繭にされてそのまま巣へと叩きつけられた。てゐの視線に映った景色は魔理沙へと近づく八つの目を持った緑色の怪人だった