ガンバライダーロード外伝〜消えた幻想と学園のお話   作:覇王ライダー

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第3話

GRZ社からの連絡でチヒロは木から飛び降りすぐにモニターを開く。そこに映る社員へとすぐに話しかける

「以前の反応と同じか!?」

社員ははい。と淡々と話を続けチヒロたちは彼女の言葉に耳を傾ける

「全く同じかは反応だけなので不明ですがほぼ同位置の反応なので恐らくは同じでしょう。至急向かってください」

そうとなれば立ち止まってられない。すぐに動き出そうと走り出したその時だ

「行くぜ・・・ってぐえっ!?」

何かに躓いたのか空中で一回転してそのまま背中から叩き落ちる。驚きと痛みに頭を抱えながらゆっくりと立ち上がり後ろを見るとこんなところにあったかどうかさえ分からないバナナの皮が落ちていた

「クッソ・・・誰だこんなところに捨てたやつ・・・ってあだっ!?」

上から落ちてきたタライがチヒロの脳天を直撃、その衝撃で間抜けな声を出しながら頭を抱える。不幸、というか不可思議現象レベルだ。何だよと苛立ちながら周りを見ていると小さな声が聞こえる

「お腹すいたよ・・・ご飯欲しいよお・・・」

声の主に目を向けるとそこには青髪で服はボロボロだが綺麗な青色の目をした少女が悲しそうに草を食べていた。チヒロは近づいて少女に話しかける

「おい・・・大丈夫か?」

少女は話しかけられたことに驚いたのか少し怯えた素振りを見せながら頷く

「いや別に怖がんなくてもだな・・・。お前、名前なんて言うんだ?そんな服でどうした?」

少女は脅されているかのような怯え具合で小さな声で話す

「私は依神紫苑、ずっとご飯がないだけだから大丈夫なの。でも私には何もできない。それに私がいると皆不幸になる、だから・・・」

チヒロは大きなため息を吐きながら何言ってんだか、と話し始める

「いいか?例えバナナで転んだのも上からタライが落ちてきたのも周囲に不幸が起きまくるのもお前の不幸体質?みたいなのだとしてもだ。そんな卑屈になってちゃ始まんねえだろ。どんなに不幸でも生きていけば絶対に幸せは見つかるし周りを不幸にしてでも守りたいものもそのうち見つかる。だから諦観なんて絶対すんなよ?」

紫苑は小さく頷き説教したわけではないのだが蹲る。チヒロはどうしたもんかと紫苑の隣に座っていると遠くから声がして二人は声の方向に振り向く

「姉さんやっと見つけた!もうホント探したんだからね?あ、一緒にいてくれたんですね!これはどうも」

すごい早口で話されるものだからチヒロは少女に軽く会釈するとチヒロは立ち上がり紫苑の頭を撫でた。紫苑は少し安堵の表情を浮かべてチヒロを見る

「あんじゃねえか。他者を不幸にしてでもお前があるべき幸せってやつが」

チヒロはその場を去り、その少し後に流星のような光が空を彩った。少女は大きな声で叫ぶ

「私!依神女苑って言いますー!姉がおせわになりましたー!!!!」

女苑が口にした感謝の声は空にこだまして周囲に響き渡った

そう感謝をする者もいればその流星の光をシャッターに収めるものもいた。隠れながら少女は小さく呟く

"スクープゲット"と

 

チヒロたちは先程のレーダーに映ったポイントへと高速で駆け抜ける。そのスピードは風を生み周囲の木々を揺らし留まっていた鳥たちが逃げるように羽ばたいていく

「あの小屋か!」

小屋は何かが挟まっているのかずっと開いたままで薄暗い周囲に小さく光をもたらしている。ロードは頷きそのまま突っ走れとチヒロへと言う。当然だとそのままチヒロもドアを吹っ飛ばして入っていった

深層部へと入っていくと小さな部屋が見えてそこへと突撃していった。着いた部屋を見て二人は唖然とする

「何だ・・・これ」

周囲には人間の亡骸、そして縦長の繭、さらには巨大な蜘蛛の巣まであるではないか。不気味な雰囲気を醸し出す周囲を見渡しているとロードは気配を感じると赤かった複眼が緑になり飛んできた糸を回避した。その方向を見ると八つの目に緑のボディ、いかにも化け物であろう爪を持った怪人がいた。ロードはなるほど、と呟く

「ズ・グムンバ。ここにいた人たちはゲゲルの犠牲、と言うわけか」

ロードはグムンバの攻撃を避けてそのままタイタンソードを召喚する。ロードはモニターを開き通信を取ろうとした。しかしすぐに異変は起こった

「こ・・・ら・・・ラ・・・グ社・・・応・・・よ」

通信が不安定で全く何を言っているのかわからない。ロードはすぐに察して通信を切った

「これほど強い結界を張れるってことは誰かが裏で仕組んでそうだねぇ・・・。大ショッカーかそれとも究極の闇か・・・」

グムンバの攻撃を避けながらロードは思考を巡らせる。大ショッカーが使役しているグロンギと言う考えもあれば彼らが復活させた際に勝手にゲゲル、殺人ゲームを始めたという考えもなくはない。しかしそんな余裕はないと気付いたのかチヒロはロードの思考を押し退けて動き出した。赤色になった複眼の戦士は剣を構えて一気に切り抜く

「チヒロ!?何!?どういうこと?」

「音だ。まだ繭のなかにいきている人がいる。人質のつもりかもしんねえがこいつをぶっ倒してから黒幕は考えるぞ!」

タイタンソードを振り抜くがグムンバの移動速度はチヒロたちですら追いつけず距離を突き放す。これでは埒が開かないとチヒロはペガサスボウガンを召喚して床へと着地する

「チヒロ、超感覚はこっちで任せて!君はブラストペガサスで撃ち抜くことだけを考えろ!」

オーケー!とチヒロは目を瞑り神経を研ぎ澄ます。やつの動き、音、この部屋の全てを感覚で見た。しかしチヒロの耳に違う音が入り込んできた

"けて・・・たす・・・けて"

"こんな・・・はずじゃ・・・なかった"

"わいよ・・・怖いよ・・・"

"ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・"

「チヒロ!」

チヒロが目を開いた時グムンバは距離を縮めチヒロへと爪を立てて切り裂いた。チヒロは火花を散らしながら攻撃を受けて倒れ込む。撃とうとしたその時には目の前にグムンバはいない。チヒロはやれやれと立ち上がる

「人質のつもり・・・とは言ったがホントに最悪の状況らしいな」

チヒロの耳に届いた声は間違いなく咲夜、鈴仙、魔理沙の三人ともう一人の声だ。もう一撃を避けようとするがふらつくチヒロに対しての猛攻であることには変わらずグムンバの鋭い爪が直撃する

「いってえ・・・こうなりゃライジングマイティキックの一撃で」

「ダメだ!そんなことしたらこの小屋ごと吹っ飛びかねない」

ロードはそう言うものの埒が開かないしここからの打開策がないのも事実、どうしたものかと痛みに耐えながらチヒロは大きく息を吐いて蜘蛛の巣へと叫ぶ

「咲夜!魔理沙!鈴仙!俺の声が聞こえるか!?今助けてやるからもうちょっとだけ我慢してくれ!」

「ちょちょちょチヒロ秘密どこいったの!?!?」

ロードはチヒロの突発的な叫びに慌てふためく。チヒロはロードの慌てる姿など目もくれずまた周囲を見始めた。グムンバは確かに早い。しかしガンバライダーで追いつけない速度で動くなどあり得ない。何か裏があるはずだと辺りを見渡す。動いた瞬間ロードが何かに気づく

「・・・糸?」

動いた瞬間グムンバは動き出しチヒロへと攻撃する。チヒロが目の前の糸を引っ張るとそのレールに乗ったようにグムンバは真っ直ぐチヒロへと飛んできた

「カラクリがわかりゃこっちのもんだ!」

チヒロはグムンバを殴り飛ばして地面へと叩きつけた。グムンバは受け身を取ると攻撃される前に逃げろとすばしっこくまた飛翔して壁へと張り付いた

「クッソ、何かいい手立てはないか・・・」

カラクリが分かっても確実に倒す手立てになったわけではない。チヒロとロードが辺りを見渡していると入り口に落ちていた木の棒に気付く。誰かが自警用に持っていたのかはたまた流れ込んできたのか。それを見てロードはふと気付く

「僕にいい考えがある」

「信じるぞ?」

複眼が緑になるとそっと木の棒を取りに行って軽く握りしめたあと空中に思いっきり投げた。グムンバはその木に対して真っ直ぐ飛んでいく。ロードはビンゴ、と小さく呟いて銃口を向ける。木に攻撃しようとしたその時だ

「お人形と遊んでる暇はなくてね・・・。さっさと封印されてもらう!」

銃弾はグムンバを撃ち抜きロードの頭上で断末魔と爆破へと変わった。煙が晴れるとチヒロはすぐに蜘蛛の巣へと走り召喚した剣で四つの繭を切り開いた。開けると蹲る四人の姿があり怯えながら繭から出てきて起き上がる。鎧を纏った戦士は良かった。と腰を下ろして四人に話しかける

「ホントに心配したんだからなお前ら?無茶なんかするもんじゃねえぞ」

全員が説教を受けてしょぼくれる中口を開いたのは鈴仙だ

「私がてゐを助けに行きたいって言ったんです。そしたら皆付いてきてくれて・・・だから今回は私が悪いんです!すいませんでした!」

鈴仙は涙ぐみながら深々とチヒロに頭を下げた。それを見たチヒロは小さくため息をついて立ち上がる

「助けたかったんじゃあ仕方ねえか。よく勇気を出したもんだ」

皆は目を見合わせて少し微笑む。魔理沙は得意げにチヒロの肩に手を置いた

「んまあ私は信じてたぜ?ヒーローは絶対に来るってな」

「やめろその手と肩書き重いから」

チヒロはそっと魔理沙の手を離す。それぞれが安堵する中てゐはチヒロへと近づいて話しかける

「ねえ、私みたいな見ず知らずを何で助けてくれたの?」

不思議な質問だ。チヒロはうーん、と少し上を向いてすぐにてゐの目を見て話す

「見ず知らずとか知ってるからとか、そんなんで人を区別しねえよ。守れる者は守るってだけだ」

言葉では伝わりにくいなぁ。とチヒロもロードも感じたがてゐは納得したのか頷いて鈴仙の元へと駆け寄る。それぞれが落ち着いたのを見たのか魔理沙は出口へと歩き出す

「さあて帰ろうぜ!皆の帰る場所にな」

皆が魔理沙を先導に部屋から出ていく。咲夜は残ったチヒロに問いかける

「あの、今日あったことって内密・・・ですよね?」

チヒロは頷きながら咲夜よりも少し前を歩きだす

「俺とお前らが関わってると知ったら相手は何してくるか分かんねえからな。自衛だと思って内密にしていてくれ」

咲夜は頷いてチヒロの後ろを歩く。チヒロは出口の近くになると変身を解き鎧を外す。腕などにはいくつもの傷があり肩からは少しではあるが流血していた

「あの、その・・・」

咲夜が離そうとした時チヒロはいいんだ。と制止する

「今回傷ついたのが俺だけで良かった。これくらいの血は闘いで慣れっこだ」

皆が待つ場所へと二人は歩いていく。追いつくとチヒロはよーし、と四人に問いかける

「家まで送るから全員乗れ」

"アドベント"

ベルトから放たれた光から赤い龍が召喚されてチヒロは軽く飛び乗る。四人も恐る恐るその龍へと乗った

「頼んだぞ、ドラグレッダー」

ドラグレッダーは空を飛翔して雲の隙間を駆ける。見下ろすとそこには学校や街、森など様々なところが一望できた。楽しむものもいればそれに慄くものもいた。そんな四人にとっての不思議な体験は少々ばかり続いた

 

咲夜と魔理沙を家の付近へと送った後、チヒロは三人か・・・と呟く

「え、どうしたんですか?」

鈴仙の問いかけにチヒロは反応して答える

「いや、」三人くらいならバイクでいいか。と思ってな」

「バイ・・・」

「ク・・・?」

ピンときてなさそうな二人を見てチヒロは絶句する。いやはやまさかな?まさかバイクがない世界なんてこれまでもなかったぞ?チヒロはあー、と軽く間を入れて話し始める

「んじゃあ、バイクってのを見せてやるし乗せてやる」

チヒロはロックシードの錠前を開きバイク"ローズアタッカー"を召喚してそれに跨る。鈴仙は後ろにてゐは前に促されるまま乗った。ローズアタッカーのエンジンは点火されてその加速のまま街を駆け抜ける。鈴仙はチヒロにぐっと捕まりてゐも同じくしがみつく。恐怖感はもちろんあるのだがそれ以上に前の景色や突風のような風に高揚感さえ覚えていた

「どうだ?」

「たーのしい!」

「怖いですけど・・・すごい楽しいです!」

チヒロの問いかけにてゐは嬉しそうにそう叫ぶ。鈴仙もまたチヒロへとそう伝える。ローズアタッカーはそのまま加速を続け、大きな竹林の前へと辿り着いた。鈴仙とてゐはこの奥地にある屋敷に住んでいるそうだ。大層な家なのだろう、チヒロは竹林を眺めてそう感じた

「ありがとうございました!」

「お兄さんありがとう!」

二人とそう会釈していると後ろから少女に飛びつかれて二人は倒れ込む。少女は泣きながら二人へと伝える

「永琳も帰ってこないし二人もいないしでずっと寂しかったのぉぉぉぉ!!!!帰ってきてよかったぁぁぁぁ!!!!」

「姫様、ご迷惑をおかけしました」

「輝夜ごめんね・・・」

二人は輝夜にそう伝えるといいの、とかぐやも返す。かぐやは帰ろうとするチヒロを見てすぐに近づく

「何これかっこいい!!ねえねえ私も乗せて?後ろに乗るの?」

「何だ乗るか?街くらいなら走れるが」

興味津々な輝夜にチヒロは子供に接するような話し方でそう聞くと輝夜はうんうん、と何度も頷く

輝夜のわがままに付き合わされたチヒロはこのまま輝夜が眠くなるまでバイクを走らせたとかそうじゃないとか

 

その明くる朝、チヒロはいつも通り木の上で呆然と空を眺めていた。側から見るとぼーっとしているように見えるが彼の中にはさまざまな思考が巡っていた。昨夜のグムンバのことだ

奴らが行った殺人ゲーム"ゲゲル"、もしあれがグロンギの復活という象徴であるならば恐らく様々なグロンギが暗躍して活動を続けているのだろう。もしくは大ショッカーがグロンギなどの怪人もそのまま復活させたかのどちらかだろう。まあどちらにせよチヒロやロードにとっては脅威になりうる存在、早めに芽は摘んでおきたいのだがそうもいかないだろう。ああでもないこうでもないと考えていると木の下から声がする

「人類の脅威になりうる存在、それと戦う戦士。何とも怪異と言えるお話だけど本当のようね」

チヒロはハッと声の主に臨戦体制をとる。桃色の髪を靡かせた少女は違うと手を振りながら誤解を解こうとした

「ごめんなさい!そんな怒ると思ってなくて・・・。私はただあなたの心の声を読んだだけなの」

「心の・・・声?」

この少女は何を言っているのか分からずチヒロは少女の言葉に疑問符を浮かべながら問う。少女は頷きながら話を続ける

「私は古明地さとり、何でかわからないけど生まれた時から心の声が聞こえるの。だからあなたの心の声も、今驚いてることも分かるの」

不思議な能力を持った人間がいたもんだ。チヒロはふーん、と少女に再び問いかける

「んじゃあ、俺のことも分かるのか?どんな人間であるかも」

「あなたがいろんな怪物と戦ってること、そしてもう一人の人間を心に宿してることも私には分かるわ」

にわかに信じ難い話だがこれは信じるしかなさそうだ。チヒロはそうか、と頷いて話し始める

「僕のことまで分かるとは恐れ入ったよ。僕はロード、先程まで話していたチヒロとは別の人格さ」

口調が変わりさとりにそう優しく話す。落ち着いた話し方に少女は戸惑いながらも頷く。そして少女の後ろから二人ほどの人が走ってきた

「さとり様ー!学校遅れちゃいますよー!」

「あら、お燐にお空。それはいけないわ。」

少女はロードに手を振る。そして去る際に少女は少年にこう呟いた

"ありがとう、ガンバライダー"

そんな不思議な少女が去っていくとロードはまたそっと裏へと消えるようにチヒロと人格が変わる。チヒロがまた空を眺めているとまた遠くから声がした。片方は聞き覚えのある声、片方は知らない声、というべきだろうか

「なあアリスー!今日ちょっと宿題見せてくんね?終わらなくてさぁ」

「いいけど、魔理沙が課題も終わってないなんて今日は槍の雨でも降るかしら?」

そう歩いていた魔理沙とチヒロはバッタリと目が合い魔理沙は少しバツが悪そうな顔で会釈を交わす、チヒロもまたその会釈に手を振り返した。それを見ていたアリスは魔理沙に話しかける

「魔理沙、知り合い?」

魔理沙は戸惑いながらあぁ、と頷く

「コイツはチヒロ、ちょっと前に知り合った私の友人だ」

チヒロはどうも、とアリスへと歩み寄る。アリスもまた歩み寄り握手を交わした

「私は"アリス・マーガトロイド"、魔理沙がいつもお世話になっている様でありがとうございます」

「そんな堅くなくてもいいよ。俺はチヒロ、ここら辺に最近越してきた人間だ」

丁寧な少女に対してチヒロはそう砕けた口調で話す。アリスはチヒロを見ていると肩に包帯が巻いてあるのに気づいてアリスはそれに近づく

「あのー、お仕事か何かでどこか怪我でもされたんですか?」

あー、とチヒロが答えを探そうとした瞬間、魔理沙は少し早口で話しながら手を引く

「あーそろそろ学校にも遅れちまう!アリスー!行くぞー!」

「えっ?ちょ、魔理沙!?」

そのまま引っ張られてアリスもまた走り出す。魔理沙の表情はどこか焦りや不安のような表情に見えた

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