ガンバライダーロード外伝〜消えた幻想と学園のお話 作:覇王ライダー
あれから数日の時が経つ
突如学園に現れたアリエス・ゾディアーツによって襲われた学園は殆どの人間を睡眠状態に陥れて支配を行おうとしていた。目覚めていたある者は助けを求め、ある者は油断させるべく味方をも欺いて生き延びる術を探した
そして助けにきた青年は窮地に陥ったものの、彼女たちへ禍々しい怪人の姿を見せてその姿でアリエスを破滅させてその場を去っていった
滅茶苦茶になった学園は改修が行われることとなり、暫くの間生徒、職員は立ち入り禁止となったらしい。無論、誰が校舎を破壊してこんな状態にまで追い込んだのか、という証拠は全てGRZ社によって消されているらしいが
そんな状況報告をチヒロが聞いているとオペレーターはため息をついてチヒロへと言葉の牙を向ける
「いいですか?我々は人々を巻き込まないために気密に動いてくださいと申し出ているのです。被害を出さないためにもあなたの姿はあくまで隠す。いいですね?」
わかってるよ。と通信のパネルを触りながらチヒロは面倒そうに彼女へ伝える。本当に聞いてるのやら聞いていないのやら、そんなことも露知らず話そうとした時だ。突然通信が切れてパネルからチヒロの姿が消える
「・・・もう」
オペレーターがそう怒りを露わにしていると後ろから声をかけられてすぐに振り向く。そこにはメガネをかけた黒髪の男が立っていた
「大変だろ?彼の相手」
「九重さんの言う通り本当に一筋縄ではいきませんね」
九重一成
ガンバライダーノヴェムの変身者でありチヒロと共に旅を重ねてきた彼の戦友とも言える存在だろう。九重は苦笑いしながらモニターを見る
「でもね、あんなバカみたいな人間が時々正解を生んじゃうんだからこの世界も捨てたもんじゃないよね」
正解を生むなんてことあるのだろうか、彼と旅をしてきた九重だからこそ分かることなのかそれとも不正解を正解にしてしまっているだけなのだろうか。九重の言葉に疑問符を浮かべながら彼女はモニターを見る。モニターにはチヒロと二人の少女の姿が映っていた
チヒロは異様な雰囲気にすぐに気付き通信を切る。怪人でもないがかといって霊夢たちのような穏やかな雰囲気でもない。すぐに後ろを振り向くとそこには二人の少女が立っていた。一人は大柄な女性、二人目は小柄で瓢箪をぶら下げた少女だ。しかし違和感に気づいたチヒロとロードはすぐに構えを取る
「あの角・・・、人間の角か?」
チヒロの疑問にロードはどうだろう?と曖昧な答えを返す。大柄な女性には一本、小柄な少女には二本の立派な角が生えていた。鈴仙のウサギの耳といいこの少女たちといいこの世界には変わった人間が住んでいるのだろうか。不思議な角をまじまじと見ていると女性と少女もまた構えをとる
「何だい?アタシらが喧嘩したいってわかるとはいい判断じゃないか?」
「まあそう焦りなさんなよ勇儀。私らも体を動かしたいのは事実だけどさぁ」
ただのチンピラではなさそうだがこの違和感はなんなのだろう、人ならざる空気を醸し出す彼女たちは一体何者なのか。瞬間、女性はチヒロの懐へと入り込み一気にアッパーを当てる。空中へと飛ばされた青年を追い討ちしようと少女が飛びかかったその時だ
「答えは今分からず・・・か」
チヒロは少女の腕を掴みそのまま地面へと投げ飛ばす。うまく着地すると少女は再び勢いをつけて飛び上がり右拳を彼へと向ける
「舐めプするってんなら・・・容赦はないよ!!!!」
「萃香!待ちな!」
"魔術回路 高速化"
女性が止めた時にはもう遅く、男は少女の右拳を通り過ぎていく。そしてチヒロは少女の腹を抱えてそのまま急降下する
「やめろ!離せ!」
「うまく着地してやるからそのままじっとしてろ!危ねえだろうが!」
少女を抱えながら着地した瞬間、女性は自分の左拳を地面へと叩きつける。その瞬間地響きと地鳴りが起きてその一帯の地面がひび割れていく
「アンタやっぱ強えみたいだからなぁ・・・。アタシと一戦やらないかい?」
「おいおいマジかよコイツ!」
チヒロはすぐさま少女を抱えながらその場から離れる。ホールドされたままの少女はジタバタしながら彼の腕の中で暴れ回る
「離せ離せ!子供じゃないんだぞ!」
「分かったからちょっと待て!ここ空中だぞ!?」
一撃だけで地震のような地響きを起こせるあの攻撃をこの子供を抱えながら受けたら恐らくこの子もろとも吹き飛ぶだろう。人間離れした相手とはいえ怪人ではない故に対処のしようがない。どうすればいい、ロードは辺りを見渡す
「空でやりあうしかないんじゃないかな?」
「・・・正気か?」
ロードの言葉にチヒロは聞き返す。確かに空中で戦えば地響きのような被害も出ずこの子もここに置いてはいける。しかし空気抵抗や酸素濃度が薄まるなどデメリットも大きく存在する。先程は一瞬だったため何とか留まれたがどうなることやら。そう考えていると女性は一気にこちらへと走ってくる
「そっちから来ないなら私からいくよ!!」
「おい!こっから動くなよ!」
チヒロは少女をその場で離し女性の攻撃を間一髪で回避、足元に羽を生み出す
「いくぞレイジングハート!」
"All right"
そのまま腕を掴んで空へと投げると女性は空中で受け身をとり一気にチヒロへと迫る。チヒロもまた女性へと突撃する
お互いの雄叫びがこだまし交差する。チヒロは見下ろして少女たちに問う
「これでも勝敗が付かなかった。と言いたいか?」
女性の腕には光の輪が灯り、綺麗に輝いていた。女性は高笑いして見上げて話し出す
「アタシたちの負けだ。いやあ久々にいい運動をさせてもらったよ」
「勇儀がそう言うなら仕方ないねぇ。暴れ足りないがそういうことにしておこう」
チヒロは地上に降りて光の輪を解くと、二人に背をトンと押した
「俺も色んな奴とやり合ってきたがお前らみたいな実力者と戦ったのは久しぶりだ。でもあんまり暴れ回るんじゃねえぞ?」
おう!と二人は手を振って離れていく。それを彼もまた見送る
「アタシは星熊勇儀!楽しかったよ!」
「私は伊吹萃香。またやり合おうじゃないか」
勇儀と萃香を見送ると、チヒロもまた歩き出す。しかしその目の前に一人の女性が通りかかった。中華服のような服装で淡い桃色のような髪色の女性だ。右腕には包帯、左腕には枷のような物をつけた女性はチヒロへと話しかける
「ちょっといいかしら?さっきこの辺で地響きがあったと思うのだけれど君は関係者?」
あー、とチヒロは少し溜めを作り、そして間を置いて話し出した
「地響きがあったのは知ってるけど俺じゃねえや。悪いが他を当たってくれ」
チヒロは逃げるように人里の方へと降りていった。女性はそんな姿を見て怪しい。と呟いた後その後を追うのだった
アリエス・ゾディアーツを始末した怪物は少女たちに背を見せて鳳凰のような翼をゆらめかせながら天を見つめる。永琳は悲しそうな彼の背を見て話しかける
「ねえ、あなたは一体何者なの?」
怪物はその質問に絞り出したかのようにこう答える
「これが俺の本当の姿だ」
鈴仙が声をかけようとするその瞬間、黒い渦のようなものに入り込みその姿を隠した。その一瞬はまるで姿を見られた鬼の子のように映った
あれから数日、チヒロの姿を鈴仙は見ていない、いや見に行けていないだけなのかもしれない。何を迷っているのだろうか?これまで自分達を守ってきてくれたのは紛れもなく彼だ。姿形が変わったとしてもその事実は変わらないんじゃなかろうか?怯えているのか、それとも迷いなのか。当人でさえその真相を知ることはない
「鈴仙さん?」
「・・・えっ?」
長い間の後に早苗の声に気づくと鈴仙は腑抜けたような声で返す。ぼーっとしていたらしく何度か早苗の呼びかけに気づかなかったらしい。謝ると早苗も首を横に振って横に並んだ
「鈴仙さん、最近すごい悩んでるように見えます」
そうかな?と俯いてそうこたえるとそういうところだと早苗は言い返す
「隠し事があることは咎めませんけど一人で抱え込むくらいなんだったら誰かに相談するべきです!一人で悩んだら絶対にそのうち倒れますよ!」
鈴仙がそうだね。と口を開こうとした瞬間背筋に不思議な威圧を感じた。もしチヒロがショッカーと戦っていて正体が怪人だと知ればどんな表情をするだろうか。もしかしたら彼女との絆を引き裂いてしまうのかもしれない。そう思うと口が思うように動かない
「鈴仙・・・さん?」
鈴仙は震えながら早苗よりも少し早い速度で歩き出す
「早苗・・・ごめん。やっぱり私は話せない」
怖くなってしまって話せるはずがない。皆の絆を砕いてしまうともう二度と戻れない。そう感じてしまう
先ほどの女性から逃げるように人里へと姿を見せたチヒロは少し座り込みため息をつく
「ちょっと死んだかと思ったなあれ」
「あんな戦闘能力持つ人間と戦った上に疑いをかけられるとはねぇ・・・」
チヒロの焦りにロードも同意する。さっきの人間たちとまた同じレベルの強さの可能性もあると考えるとたまったもんじゃない。次こそお陀仏確定だっただろう
立ち上がるとそのまま街中を歩いていく。コンクリートなどで舗装された道などなく土煙の漂ういい意味で風情を感じるような街並みだ。そんな街を歩いていると彼に声をかけたのは霖之助だ
「どうしたんだい?そんな汗だくになって」
「あぁ、ちょっと色々あってな」
苦笑いしながらそう答えると霖之助の店にふらりと立ち寄る
香霖堂
霖之助が切り盛りする店の名前で骨董品もあれば服もある。いわば何でも屋みたいなところなのだろう。チヒロは辺りを見渡しながら霖之助に笑いかける
「いやあしかしすげえよなこの店。何でも置いてんじゃねえか」
霖之助はそうだろう?と自慢げに商品を撫で始めた。メガネをクイっと上げるとチヒロへと一歩歩み寄る
「しかし悲しいかな電気があまり通っていないもんでね、あまり普及はしないのさ」
へぇ、と聞きながらチヒロとロードは首を少し傾げる。それを見て霖之助も首を傾げる
「これって昔からある骨董品とかではないのか?」
「あぁ、どこからか流れてきたものでこういうものを持ってるのも僕くらいなんだ」
流れてくる物、先ほどの超馬鹿力の人間、ウサギの耳や角のついた人間。これが本当に当てはまるとするなら、と神妙そうな顔で考えていたその時だ
「待ってくれよーーー!!!!泥棒ーーー!!!!」
大声で叫ぶ声が聞こえたのでチヒロも霖之助も急いで外に出るとそれは遠くから声が聞こえたらしくここから数百メートル離れたところと言えるだろう。霖之助が諦めて店に戻ろうとしたその時だ
「霖之助さん、ちょっと俺行ってくるわ」
正気か!?と聞こうとしたが彼の眼差しは真剣そのものだ。だいたいどう追いつくつもりなのだ?人混みにまみれた数百メートル離れた距離を埋められるものなのか?霖之助が止めようとした時には彼の視界にはチヒロたちの姿はなかった
「えっ?どこにいっ・・・」
「屋根登りゃあワンチャンあるだろ?んじゃあ行ってくるわ」
そう霖之助に告げるとチヒロはそのまま家の屋根を伝って走り去っていった。その走る様は凄まじく早くまるで忍者のようだ
「あら、霖之助さん?」
振り向くとそこにいたのはアリスと妖夢だった。挨拶を済ませたのちにまた霖之助は遠くを見つめ始める
「どうしたんですか?」
「いやあ最近越してきたっていう子が泥棒捕まえるのに屋根伝って走り去っちゃったんだよ」
それを聞いた途端に妖夢は人混みの中へと走って行ってそれを追うようにアリスも走り出す
「どうしたのよ妖夢!」
「チヒロさんかもしれない・・・。追わないと!」
一方でチヒロは屋根を伝って走り続けるが一向に声と自分の足が追いつく瞬間が訪れない。そんな時通信が開かれたがそんな暇じゃないと言い返す。通信を開いた主はおいおいと言い返す
「相棒にそんな口聞いちゃあ寂しいだろ?チヒロ」
「んだよ九重か・・・。残業代もらうだけなら帰ってくんねえか?」
まあそう言うなと九重は笑みをこぼす。九重はモニターのコンソールパネルを開き始める
「追ってるターゲットとの距離は約九○○メートル、普通に走って追いつく距離じゃない。そこでワープポータルを開いて一気に追いつこうって算段だ」
「・・・信じていいんだな?」
チヒロは走り続けながら彼に問う。彼は任せろ。と一言告げてパネルを触りながらニヤリとにやつく
「んじゃあワープポータルを百メートル先に出す。間に合ってくれよ?」
そう言って開かれた穴にチヒロが飛び込むと一瞬にして走っていた男の目の前へと着陸する。チヒロはそのまま飛びかかり地面に男を叩きつけると腕を一気に押さえ込む
「何盗んだ?言ってみろ」
「あー!!!ありがとう!返せ私のパーツ!」
走ってきたのは小柄な青い髪の少女だ。チヒロは少女に頷いてそのまま男を押さえ込む。男はジタバタしながら暴れ回る
「離せよ!テメェには関係ねえだろ!」
チヒロが締め上げると更にジタバタと暴れ始めて足をふらつかせる。少女は男のポケットを漁り小さな機械のパーツを取り出した
「ありがとう!私が返して欲しかったのはこれだよ!」
少女が離れたことを確認するとチヒロは拘束を解いてそのまま男から離れる。そこに彼に追いつこうと走っていた妖夢とアリスが息を上げながら呼びかけた
「チヒロさーん!」
チヒロはそのまま彼女たちの元へと歩いていく。笑顔で迎える彼女たちの顔を見ていてその時全く後ろを見ていなかった。完全な油断がその事態を招いたのだ
「ッ!?」
その時周囲は騒然とする。男は持っていたナイフでチヒロの腹を突き刺し周囲に赤黒い血溜まりを生んだ。震える者もいれば目を背ける者もそこにはいた
「そんな・・・私のせいで」
青髪の少女は絶望からかその光景を見て立ち尽くしていた。チヒロは口から血を吐きその場で立ち止まる。服は赤黒い血がついて背中は真っ赤に染まる。高笑いする男の声がこだまして周囲はパニック状態だ。チヒロはナイフを離した男の方を向いてその腕を掴み再び地面へと叩きつける
「俺じゃなきゃあアンタの勝ちだったな」
咄嗟のことに男は抵抗もできずにそのまま目を丸めながらチヒロを見つめる。ナイフを抜かぬままそのまま伏せさせた男に寄ってきた白髪の少女がチヒロへと話しかける
「自警団を務めています犬走椛と申します。この男は私が取り押さえますのでご安心を・・・って怪我大丈夫ですか!?」
離れようとする前にチヒロはあぁ、と椛へと話しかける
「悪いがナイフ抜いてくんねえか?刺さったまんまじゃあ痛みが引かなくなっちまう」
椛は若干引き気味に頷いて彼の背に刺さっていたナイフを抜き取る。再び抜いた時に出てきた血が男の顔にかかる。チヒロは男に笑いながら話しかける
「いいか?お前が刺したこの血の色、絶対忘れんなよ?この血の色がいつかアンタは怖くなるだろうよ」
そう言い残してバトンタッチすると椛は男を取り押さえてそのまま立ち上がった。そうして連れて帰ろうとしたその時だ
「そこの栄えある勇士よ、よくやってくれた。貴様も我々と同じくショッカーの怪人にしてくれよう!」
そう言うと怪人は遠くから光の弾降り注ぎチヒロたちを襲う。倒れ込み立ちあがったときに怪人たちはその姿を見せる
「我が名はカメバズーカ!貴様らを葬り去るためにショッカーの手で蘇った怪人である!」
「こんな時に来てんじゃねえぞ雑魚キャラが!」
騒然とする人々は逃げ惑いショッカー戦闘員はその人間たちを襲うように走り回る。チヒロはすぐに戦闘員から剣を奪うと戦闘員たちを切り裂いていく。そんな彼に妖夢は駆け寄ろうとするが青髪の少女とアリスがそれを止める
「ダメよ!今行けば巻き込まれかねない!」
「でもチヒロさんがあんな怪我で動き回ったら死んでしまいます!」
静止を振り切ろうとするがそんな彼女たちには目も向けずチヒロはその剣を振るう
「人様が怪我してる時に走り回りやがってこのお邪魔虫が!」
「チヒロ、隠れよう!ここじゃ変身できない!」
ロードはそう提案するしかし場所は開けた土地、隠れる場所など一つもありはしない。セレジオンで対抗するかもしくは・・・
「いや、オーバーロードの力は使えないか」
妖夢やアリスたちを巻き込みかねないし何よりこの姿を彼女たちに見せたくはない。チヒロはカメバズーカに剣一本で挑むもすぐに弾き飛ばされてしまう。地面に伏せた彼の腹を踏みその傷を抉る。抉られた傷の痛みで断末魔の叫びが周囲に響き渡る
「どうだ?人一人守れぬ貴様の弱さを思い知るがいい!」
カメバズーカは辺りを見渡して戦闘員たちが暴れ回る様をほくそ笑みながら見ていた。子供たちを連れ去ろうとする者、街を攻撃する者。そうだ仮面ライダーに打ち勝ちこやつに絶望を味わせる。それこそが我ら悪党の悦楽というものだ
カメバズーカに踏まれて抵抗力を失いかけていたチヒロに対して男は椛に押さえられながら大きな声で叫ぶ
「なあ!?アンタ強いんだろ!?守ってくれよ!!死にたくねえよ!!」
チヒロは踏まれながらも搾り出すような声で男へと叫ぶ
「あったりまえだろ?誰もここにいる奴は死なせやしねえ」
チヒロの映る視線には妖夢たちを攫おうとする戦闘員たち、そしてそれに対して必死に抵抗する妖夢たちの姿が見えた
「チヒロさん!負けないで」
「私たちは信じてます!あなたが絶対に救ってくれると!」もうガンバライダーの姿を見せるしかあるまいか。そうガンバドライバーを取り出そうとした時だ
「異世界に連れてこられたと思ったらこんなところでも戦いか」
戦闘員たちを殴り倒して走ってきたのは一人の男だ。男は妖夢とアリスたちを助けるとすぐにカメバズーカを蹴飛ばして退けた。その隙に立ち上がったチヒロは男に目を向ける
「アンタは・・・?」
「俺は飛電或人。おそらく君と同じだよ」
或人はすぐに腰からベルトを取り出すと、アイテムを装填する。それと同時にチヒロもまたリンゴロックシードを取り出してベルトを装着した。二人は同時に鎧を纏う
「変身!」
"メタルライズ!飛電メタル メタルクラスタホッパー"
"リンゴアームズ デザイアフォビドゥンフルーツ"
変身した二人は一気にカメバズーカに切り掛かり腹を蹴り飛ばす。カメバズーカは背中のバズーカを放つが二人はそれを弾き飛ばしてそのまま走り出す
「何だ貴様はァ!」
「俺は仮面ライダーゼロワン、令和で最初の仮面ライダーだ!」
「れい・・・」
「わ・・・?」
聞いたことないワードのオンパレードに困惑するセレジオンをよそにゼロワンは周囲に銀色のバッタを放つと一瞬で戦闘員たちを消し去り文字通り一撃で葬った。それを見たセレジオンは愕然とする
「おいおいマジかよ」
「こんな能力僕らのデータにさえない」
カメバズーカは光線を放つがセレジオンの盾に防がれてその隙にとゼロワンの斬撃を受ける。カメバズーカはその攻撃に退き、突撃したセレジオンの攻撃を受けてしまう
"リンゴオーレ"
「グレイシアルエンド!」
カメバズーカの脳天に喰らった蹴りは凄まじい攻撃力でそのままカメバズーカを後退させてそのまま倒れ込ませる。その隙をついてゼロワンはセレジオンの肩を叩いて頷く
「こいつらを倒せるのは俺たちだけだ!いくぞ!」
セレジオンも頷くと二人は空中で一回転して同時に蹴りを放つ。ベルトから放たれたエネルギーは一瞬にして足へと送り込まれる
"リンゴスパーキング"
撃ち抜かれた瞬間カメバズーカは叫び声を上げながら爆散して彼らの背で灰となる
"メタルライジングインパクト"
カメバズーカを倒したことを確認した二人が変身を解くと妖夢とアリス、そして椛たちが駆け寄る。チヒロはふらつきながらも笑いかける
「怪我はないか?」
「チヒロさんこそ怪我は大丈夫なんですか!?」
「刺さって怪我が大丈夫はないわよ!早く治療しないと・・・」
妖夢とアリスはチヒロを介抱して肩を担ぐ。チヒロは乾いた笑いを妖夢たちに向ける
「情けねえなぁ。これじゃあまだまだ守れるもんも守れなくなっちまう」
或人はそんなチヒロへと近づき、そんなことはないと呟く
「彼女たちを守れたのは紛れもなくあなたの功績だ。俺はあなたの行いが間違いだとも情けないとも思わないよ」
そうかい、と返すと青い髪の少女はチヒロの目の前に現れて一礼した
「私は河城にとり、助けてくれてありがとう!そして巻き込んでごめんなさい!」
チヒロは血のついた手でにとりの帽子を撫でて笑いかけた
「にとりに怪我がなくて何よりだ。お前が持ってる機械で人を笑顔にしてやんなよ?」
にとりは何度も何度も頷いた。そんな光景を遠くから見ていた者の一人は確信をつき呟いた
"やはり彼が元凶となっているに違いない"