銀河英雄伝説~転生者の戦い~   作:(TADA)

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銀河の歴史がまた一ページ……


024話

 政府から帝国領辺境守備を命じられた俺は参謀長のチュン少将と副司令官のカールセン少将に出撃準備を指示。ヤンがハイネセンにいっている間に出撃の準備は整い、ヤンがハイネセンでクブルスリー本部長とビュコック大将に内乱の可能性を伝え、イゼルローンに戻ってきたタイミングで俺の艦隊の出撃準備が整ったので我が第十四艦隊はイゼルローン要塞から出撃した。

「帝国領に入ります」

「密約があるとは言え、ここは敵地になる。各艦警戒は怠らないように、と」

「了解です」

 フィッツシモンズ大尉の言葉に俺が指示をだすと、フィッツシモンズ大尉は改めて各艦に指示をだしている。

 それを聞きながら俺は椅子を回転させて会議用の机に向かう。艦橋の会議用の机に座っているのは参謀長のチュン少将、副参謀のラップ大佐、艦隊副司令官のカールセン少将、分艦隊司令官のモートン少将。そして陸戦隊指揮官のオフレッサー客員大将である。

 従卒のカリンが用意してくれた紅茶を一口飲んでから俺は口を開く。

「さて、今回の出兵の意義……というか方向性について話していきましょう」

「方向性と言いますと?」

 チュン少将の言葉に俺は軽く頷きながら言葉を続ける。

「帝国の辺境守備……言葉に表すと簡単ですが、実のところ帝国辺境というのは結構広大です」

「広義の意味ではイゼルローン方面からフェザーン方面。逆になるが地球方面も辺境と帝国では言われておりますな」

 俺の言葉にオフレッサーが補足してくれる。それに頷きながら俺も言葉を続ける。

「今回に限って言えばイゼルローン方面の辺境が守備の中心になります。しかし、クラインゲルト子爵を中心に組まれた辺境貴族連合にはフェザーン方面の辺境貴族もおります」

 そう言いながら俺はフィッツシモンズ大尉に指示をだしてクラインゲルト子爵から提供された帝国の宙図をだす。

 辺境貴族連合の惑星地域が赤くなった宙図は、イゼルローン方面からフェザーン回廊に向かって広がっていた。

 その宙図をみながらカールセン少将が顎を撫でながら呟く。

「我が艦隊だけでは全てを守り切るのは現実問題不可能ですな」

「その通りです。ラインハ……ローエングラム伯が侵攻してくることはないでしょうが、門閥貴族側は攻めてくる危険性はあります」

「そこも疑問なのですが、ローエングラム伯が辺境に兵を進めない確信などはあるのですか?」

 モートン少将の言葉に、俺はモートン少将のほうに向きながら答える。

「軍司令官の質はローエングラム伯のほうが圧倒的に上です。しかし、兵力という点においては門閥貴族達のほうに軍配が上がります」

「ああ、なるほど。兵力で劣っているからにはローエングラム伯は兵力を門閥貴族に当てるのが上策ということですか」

 俺の言葉にモートン少将が納得したように答える。それに頷きながら俺は言葉を続ける。

「その通りです。常識的に考えれば門閥貴族側も兵力をローエングラム伯にぶつけるのが当然なのですが、私が言うのもなんですが門閥貴族に常識は通用しません。なんだったら門閥貴族内部で仲違いして辺境に進軍してくる可能性もあります」

「門閥貴族の首班がブラウンシュヴァイクとリッテンハイムですからな。仲違いは遠い未来の話でもないでしょう」

 俺の言葉にオフレッサーが続けると、今度はラップが口を開いてきた。

「そこが疑問なのですが、正面にローエングラム伯、脇腹に辺境貴族連合を抱えながら仲違いする可能性が本当にあるのですか? そんなの各個撃破してくれと言っているようなものだと思うのですが」

「職業軍人の皆さんには理解できないかもしれませんが、貴族が第一に考えるのは己の面子です。そして門閥貴族は本格的な軍人教育を受けている者は少ない。つまり何をしでかすかわからない、というのが本音です」

 原作でもブラウンシュヴァイクとリッテンハイムは戦争中に仲違いしてリッテンハイムは離脱。そしてリッテンハイムは辺境平定に出ていたキルヒアイスに討たれた。

 そしてブラウンシュヴァイクも民衆反乱のあったヴェスターランドに核を撃ち込んで虐殺するというちょっとありえないことをやってのけている。

 だいぶ原作から逸れ始めているこの世界ではあるが、おそらくブラウンシュヴァイクとリッテンハイムの連合もそう長く続くことはないだろう。

 コーヒーをのみながらチュン少将が口を開く。

「そうなると仲違いしたブラウンシュヴァイク、リッテンハイムのどちらかが辺境貴族連合領に攻め込んでくる可能性が高い、ということですね」

「その通りです。その時に問題になるのが分派した門閥貴族の兵力です。ブラウンシュヴァイクより少ないリッテンハイムでも十四艦隊の五倍はあります」

 俺の出した兵数に幹部達から騒めきがでる。単純計算で一個艦隊で五艦隊規模を相手にしなくてはならないのだ。

 騒めきが収まってから全員の視線が俺に集中したので、俺は真剣な表情で口を開く。

「どうしましょう」

「そこは何か秘策があるところだろ、シュタイナー」

「創作の世界じゃねぇんだぞ、ラップ。そう簡単に秘策が浮かんでたまるか!」

 ラップの思わずの突っ込みに俺も返すと、幹部達だけでなく、艦橋にいてこの会議を聞いている軍人達からも笑い声がでる。

 とりあえず笑いが収まってから俺は言葉を続ける。

「いえ、実際問題本当に困ってまして。私たち第十四艦隊だけで辺境領を守れ、というのも無茶ぶりなんですが、実際に侵攻された時に迎撃するための兵力も足りていないというちょっと洒落にならない状況なんですよね。というわけで何かいいアイディアください」

 俺の言葉にまず発言を求めてきたのはオフレッサーだった。

「……オフレッサー、本当に意見聞いて大丈夫か?」

「ご安心ください。閣下のお悩みを晴らせる策を御覧にいれましょう」

 オフレッサーの言葉に俺は難しい表情をする。何せ意見をだそうとしているのは原作ファンから石器時代の勇者と呼ばれて恐れられているオフレッサーだ。門閥貴族に乗り込んでブラウンシュヴァイクとリッテンハイムの首を刎ねましょうとか言いかねない。

 俺の苦悩をみたのかチュン少将が苦笑しながら言ってくる。

「シュタイナー提督。オフレッサー客員大将も帝国で上級大将まで昇りつめたお人です。きっと大丈夫ですよ」

「……そうですねチュン少将。すまないオフレッサー。少し疑心暗鬼になっていたようだ。お前の意見を聞かせてくれ」

「は! 簡単ですぞ閣下。こちらからブラウンシュヴァイクとリッテンハイムの所に乗り込んで首を刎ねてしまいましょう」

「予想通りだよ!!」

 思わず机を叩く俺。あちゃ~、と言った感じで空を見上げるチュン少将。爆笑するラップとフィッツシモンズ大尉。苦笑いのカールセン少将。困った表情のモートン少将。そしてカリンは当然のように突っ込む。

「オフレッサーさん。どうやってブラウンシュヴァイクとリッテンハイムのところまで行くんです?」

「む? そんなのまっすぐに連中の本拠地までいければ、あとは俺が首を落として閣下の前に並べてみせるが?」

「……本当にできそうなのがオフレッサー客員大将の怖いところだな」

 オフレッサーの当然といった感じの返答にラップも思わず真顔で呟く。

 たぶんオフレッサーなら本当にやりかねないが、それをやるまでに艦隊に大規模な打撃を受けること受けあいなので却下する。

 すると今度はチュン少将が口を開いた。

「シュタイナー提督、帝国の辺境には駐留艦隊などはいないのですか?」

「一応、辺境守備のために数は少ないですがいるはずです」

「それをこちらにつけることはできませんか?」

「それだ!!!」

 チュン少将の言葉に俺は思わず立ち上がりながら叫ぶ。

 考えてみたら原作でもシュタインメッツは辺境守備についていて、その兵力と辺境を手土産にラインハルトに降伏していた。そして恐らくだがキルヒアイスは辺境にいて門閥貴族側についたそのような兵力を平定していく役目もあったのだろう。

 それを考えると全て合わせれば複数艦隊規模の艦隊になる可能性もある。それができれば辺境貴族連合領の守備と門閥貴族が攻めてきた場合の兵力の差もどうにかできる。

「フィッツシモンズ大尉。クラインゲルト子爵に通信して、辺境守備についている軍人を辺境貴族連合側につけるようにお願いをしてみてくれ」

「了解です」

 とりあえず一番の悩みが解決はまだされていないが、なんとか糸口がみえたので俺は紅茶を一口飲む。そしてカリンと目が合った。

「ヘルベ……シュタイナー提督、皆さんにあのことをお伝えしなくていいのですか?」

「あの事……? ああ、あれか。え? わざわざ言う必要ある?」

「皆さんとの関係を考えればお伝えしておいたほうがいいかと」

 カリンの言葉に俺は全員を見渡すと、全員が興味深そうに俺をみていた。

「あ~」

 俺は一度帽子をとって髪の毛をかき混ぜると、俺は口を開く。

「私的な話になりますが、妻との間に子供ができました」

 俺の言葉に一瞬沈黙する幹部達。

 そして勢いよくオフレッサーが立ち上がって大きく叫んだ。

「うおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉん!!!!!!!!!!! 閣下に!!!!! 閣下にお子がぁぁぁぁぁあああああああ!!!!!! このバルドゥル・フォン・オフレッサー、感激のあまり言葉にできませんぞおおおおぉぉおぉぉぉぉ!!!!!!!!!」

「こうなるから言うの嫌だったんだよ!!!」

「なんだ。やることやっていたんだな」

「その指やめろラップ!!!!!」

 泣き叫ぶオフレッサーとニヤニヤしながら下ネタの指を作るラップ。

 そう、俺とアンナの間に子供ができたのだ。まぁ、ラップの言う通りやることやっていたのでいつかはできるだろうと思っていたが、割と早くできて俺も驚いている。

 そしてこれは完全に『銀河英雄伝説』という物語とは別れたというべきだろう。何せ原作ではラインハルトの血縁者はアンナを除けば物語終盤に産まれた実子だけだ。

 だが、この世界では甥か姪かわからないが、血縁者が増えたことになる。下手したらローエングラム王朝の内部分裂の危機でもある。

(まぁ、先のことは先に考えよう)

 チュン少将やカールセン少将、モートン少将から祝福の言葉を受けながら俺はそう考えるのであった。




ヘルベルト・フォン・シュタイナー
素直に部下に意見を求める系司令官

チュン・ウー・チェン
第十四艦隊の名実共に頭脳

バルドゥル・フォン・オフレッサー
ハイパー脳筋忠臣系

シュタイナーくんとアンネローゼの子供
なんか産まれるそうですよ



そんな感じで辺境守備に出かけたシュタイナーくん率いる第十四艦隊の方針公開回です。

普通に考えて兵力差をどうにかしようとするよなぁ、と考え原作でもシュタインメッツが辺境にいたので、この連中を味方につけるために暗躍開始(尚、実際に動くのはクラインゲルト子爵の模様

そしてさらっと出されるこの作品オリジナルキャラ!!(まだ産まれていない

銀英伝の原作読んだ方なら思うであろう割と重要な立ち位置になりそうな赤ん坊。
安心してください。その予想当たってますよ。

そういえば基本的にキャラの声は石黒監督版で脳内再生していたんですが、シュタイナーくんの声帯誰だろうなぁ、と思った時に思いついたのはシリアスからコミカルな幅広い役ができる子安武人さんかなぁ、と思いました。

みなさんはどうですか?
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