銀河英雄伝説~転生者の戦い~   作:(TADA)

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銀河の歴史がまた一ページ……


029話

 さて、自由惑星同盟の内乱が終結したのだから、当然のように帝国のほうでも内乱が進行中である。

 とは言っても原作でもそうだったようにこの世界でもラインハルト陣営の一方的な勝利の真っ最中である。

 クラインゲルト子爵の情報によれば、原作通りに貴族率いて出撃してきたシュターデンをこれまた原作通りのミッターマイヤーが敗北させ、貴族の一部が戦死、シュターデンも捕虜になったそうである。

 さらに原作でラインハルト軍の侵攻を食い止めた石器時代の勇者ことオフレッサーは何故か俺の下にいるので、ラインハルト軍の快進撃が進んでいる。

 それに待ったをかけたのがこれまた原作通りのメルカッツである。

 ファーレンハイトと共に出撃したメルカッツはオスカーを攻撃。オスカーもその宙域を無理に占拠することはなく、撤退し、ラインハルト本軍の到着を待って反撃、メルカッツとファーレンハイトも無理に戦うことなくその宙域を放棄して再びガイエスブルグ要塞まで撤退したらしい。

 オスカーとメルカッツとか俺に関係して普通に面識があったはずなので、オスカーの撤退もお互いの談合した結果な気がしなくもないが、まぁ、気にしたほうが負けである。

 着実に帝国の内乱も決着に近づいているころ、俺はクラインゲルト子爵に呼ばれてクラインゲルト子爵の館に向かった。

 執事に案内されて応接間に通されると、そこにはすでに同盟を組んでいるシュタインメッツ提督とアイゼナッハ提督がいた。

 お互いに同盟式と帝国式の敬礼をした後に、俺はソファーに座る。背後には従卒としてついてきたカリンと副官のフィッツシモンズ大尉がいる。

 ちなみにオフレッサーがいないのはシュタインメッツ提督とアイゼナッハ提督の陸戦隊、そしてクラインゲルト子爵が編成した武装自警団の合同訓練の指揮をさせているからだである。

 軍人で白兵戦の訓練を受けていた両提督の陸戦隊はともかく、つい最近まで一般人だった子爵のクラインゲルト領武装自警団の人々にはオフレッサーの訓練を受けるとか同情を禁じ得ない。

 そしてすぐにクラインゲルト子爵が応接室に入ってきた。俺とシュタインメッツ提督、アイゼナッハ提督はそれぞれ起立して敬礼をし、クラインゲルト子爵も貴族の簡易礼を返してきてソファーに座った。

 そしてそのまま口を開く。

「皆様にお力を貸していただくことになりました」

 その言葉に俺とシュタインメッツ提督、アイゼナッハ提督の背筋が伸びる。

 クラインゲルト子爵に力を貸す。それ即ち辺境に対しての侵攻が始められたということであった。

 クラインゲルト子爵は真面目な表情を崩さずに言葉を続ける。

「門閥貴族連合の副盟主・リッテンハイム侯爵が、ブラウンシュヴァイク公と確執の挙句に五万隻の艦隊を率いて、辺境に向かってきております。辺境星域を支配下につけるという名目ですが、事実上の分派行動となるでしょう」

 これも原作通りの流れである。

 クラインゲルト子爵の言葉にシュタインメッツ提督が眉を顰める。

「五万隻とはまた集まりましたな……」

 その言葉にクラインゲルト子爵は「これはメルカッツ提督からの情報ですが」と前置きをして言葉を続ける。

「リッテンハイム侯の艦隊に職業軍人はほぼおりません。それどころか、シュターデン提督が捕虜にされたため門閥貴族連合内部に艦隊指揮官級の職業軍人は数えられるほどだそうです」

「相手は素人の貴族が相手、ということですか」

「そうなります」

 俺の言葉にクラインゲルト子爵は頷く。

「それとリッテンハイム侯はすでにキフォイザー星域のガルミッシュ要塞に入っているようです」

 そこまで言うとクラインゲルト子爵が執事に合図を出す。するとクラインゲルト子爵の執事は機械を操作して辺境貴族連合の図を出す。

「キフォイザー星域のガルミッシュ要塞は我々辺境貴族連合の入り口に当たります。最初からガルミッシュ要塞をこちらで抑えておくいう意見も辺境貴族連合の中にはあったのですが、下手に刺激して大侵攻を引き起こしても嫌なので放置しておきました。そのために皆さんには面倒を押し付けてしまいますが……」

「ガルミッシュ要塞も落として欲しい、ということですね」

 俺の言葉にクラインゲルト子爵は鎮痛な面持ちで頷く。

 クラインゲルト子爵の言葉に俺がシュタインメッツ提督をみると、シュタインメッツ提督は力強く頷いた。

「我々は問題ありません。オフレッサー装甲擲弾兵総監……いえ、オフレッサー客員大将に鍛えられた陸戦隊の力をみるいい機会です」

 シュタインメッツ提督の言葉に今度はアイゼナッハ提督が一度指を鳴らす。するとアイゼナッハ提督の副官が前に出てきて敬礼して口を開く。

「失礼いたします。閣下はガルミッシュ要塞攻めの前に艦隊戦があるのではないか、とのことです」

 そこまで言うとアイゼナッハ提督の副官は再び敬礼して下がる。俺とシュタインメッツ提督がアイゼナッハ提督をみると、アイゼナッハ提督は真面目な表情で頷いた。

 そして俺達の視線は辺境貴族連合の宙域図に移る。

「ふむ、シュタインメッツ提督ならばどこでリッテンハイムを迎撃しますか?」

 俺の言葉にシュタインメッツ提督は即答した。

「我々が辺境の守護を掲げているからにはキフォイザー星域で叩くしかないでしょうな」

「同感です」

 自分達は辺境の守護を掲げている。それゆえに、辺境に侵攻してきた軍勢はその入口で叩くしかないだろう。これで失敗すれば辺境貴族連合自体が瓦解しかねない。

 それがわかっているのかクラインゲルト子爵も真面目な顔で俺達の会話を聞いている。

「シュタイナー提督には何か策があるでしょうか?」

 数の上ではリッテンハイム艦隊のほうが上である。だから俺に策を尋ねてくる。

 だが、俺の脳内には原作でも屈指の有能キャラである赤毛のキルヒアイスくんがついている。

「私の艦隊を持ってリッテンハイムの艦隊を中央から真っ二つに分断します。それと同時にシュタインメッツ提督とアイゼナッハ提督は分断された両翼に攻撃を開始。私の艦隊もリッテンハイムの艦隊の背後に回り次第、まず艦隊規模が少ないアイゼナッハ提督の方を支援。そちらが片付き次第全艦隊をもって残存艦隊を撃滅します」

 これは完全に原作の赤毛くんのパクリだが、ここからちょっとアレンジを加える。

「この艦隊攻撃と同時にリッテンハイム艦隊の兵士達に向けて降伏勧告をします。指揮をとる門閥貴族を捕らえるか射殺して艦ごと降伏を促すのです。これが成功すればシュタインメッツ提督とアイゼナッハ提督の艦隊を増やすこともできるかもしれません」

 この案もまぁ原作のパクリではあるんだが、艦を動かす九割は門閥貴族とは関係の薄い兵士達である。ほぼ負けが決まっている状態でこれをやれば絶対に降伏してくる兵士はでてくる。

 俺の案にシュタインメッツ提督もなるほど、と言った感じで頷く。

「そうなると降伏勧告をするのはクラインゲルト子爵しかおりませんな。クラインゲルト子爵は艦をお持ちですか?」

 シュタインメッツ提督の言葉にクラインゲルト子爵は困ったような表情になる。

「骨董品、というような旧式の戦艦でしたら一隻」

「充分です。クラインゲルト子爵には戦っていただくわけではありません。それで我らの艦隊の最後尾についていただきましょう」

 シュタインメッツがそう言うと、クラインゲルト子爵が執事に指示を出して、艦の準備をさせにいった。

 そしてクラインゲルト子爵は俺達三人をみる。

「艦隊戦はそれで問題なさそうですね。あとはガルミッシュ要塞の占拠ですが……」

「それならば適任者がおります」

 クラインゲルト子爵の言葉に俺が即答すると、クラインゲルト子爵は不思議そうに首を傾げ、シュタインメッツ提督とアイゼナッハ提督は納得した表情である。

 その時、応接間の扉が勢いよく開く。

「主!! ご指示通り各陸戦隊の訓練完了しましたぞ!!」

 そこには俺の忠犬(ただし獰猛さが半端ない)であるオフレッサーがやってきた。

 そんなオフレッサーに俺は軽く声をかける。

「オフレッサー、リッテンハイムがキフォイザー星域のガルミッシュ要塞にいるらしいのだが、もし連中が立てこもった時はお前に一任していいか?」

「お任せを!! あのにっくきリッテンハイムの首、我が主に捧げましょう!!」




ヘルベルト・フォン・シュタイナー
原作の策が通用しそうなら押し通すスタイル

クラインゲルト子爵
実は骨董品レベルの戦艦なら持ってる(現代戦は無理

シュタインメッツ、アイゼナッハ
シュタイナーくんが噂通りの名将の片りんをみせて複雑な気分(今は味方だけど将来的に敵になる可能性があるため

オフレッサー
ヒャッハー!! 獲物のほうからやってきたぜぇ!! でテンション上がった



そんな感じで今月分の更新でございます。

ついにシュタイナーくんが帝国の内乱に本格介入開始。そして速攻で立つリッテンハイムの死亡フラグ。
果たしてリッテンハイムは猟犬・オフレッサーから逃げられるか!!


活動報告のほうでは書いたのですが、作者はカクヨムとアルファポリスにて源為朝が九州戦国時代の阿蘇に転生して天下統一を目指す『鎮西八郎為朝戦国時代ニ転生ス~阿蘇から始める天下統一~』を毎週土曜日更新で連載をし始めました。

ご興味があったらご一読いただけたら幸いです。
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