銀河英雄伝説~転生者の戦い~   作:(TADA)

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銀河の歴史がまた一ページ……


030話

 俺率いる自由惑星同盟第十四艦隊と銀河帝国軍のシュタインメッツ提督とアイゼナッハ提督の連合軍は門閥貴族連合が進駐してきた五万隻と対峙していた。

 数の上では圧倒的に不利な状況であるが、チュン少将は門閥貴族連合の艦隊の布陣をみて思わずつぶやいていた。

「高速巡航艦の隣に砲艦……まるで素人のような布陣だ」

 チュン少将の呟きにオフレッサーは鼻を鳴らして不快気に答える。

「連中は軍事の素人だ。布陣もクソもなかろうよ。俺としてはここまで艦隊を維持してきただけでも拍手ものだと思うがな」

 オフレッサーの言葉に俺も苦笑いしながら付け足す。

「中には正式な軍人もいるでしょうが……まぁ、貴族に頭を押さえつけられていて何もできないでしょう」

「シュタイナー大将。後方のクラインゲルト子爵から降伏勧告の通信が流され始めました」

 フィッツシモンズ大尉の言葉に俺は指揮机に胡坐をかいて座り直すと通信を開く。通信先は副司令官のカールセン少将と分艦隊司令のモートン少将。

「全艦隊、手筈通りに方錐陣形を組んでください」

『『は!!』』

 俺の指示にあっというまに第十四艦隊は方錐陣形になる。両脇を固めるシュタインメッツ提督とアイゼナッハ提督もすでに陣形を敷きおえている。

 俺はそれを確認すると一言指示をだす。

「全艦隊突撃せよ」

 その言葉にモートン少将の分艦隊を先鋒とする第十四艦隊が門閥貴族連合の艦隊を立ち割っていく。

 その光景をみながらラップが思わず呟いた。

「やわらかいな。まるでチーズのようだ」

 ラップの言う通り門閥貴族連合の艦隊は第十四艦隊の突撃を防ぐこともできず、真っ二つに割られていく。

 そして割られた艦隊は順次シュタインメッツ提督とアイゼナッハ提督に攻撃されて宇宙の塵になっていく。

「敵陣突破します!!」

「まずは味方の少ないアイゼナッハ提督を支援する。右背後を攻撃せよ」

 オペレーターの言葉に俺は次なる指示を出す。それを受けるようにチュン少将達も順次艦隊に指示を出し、門閥貴族連合の右翼は第十四艦隊とアイゼナッハ艦隊により包囲された。

 それを見届けると俺はカリンを呼ぶ。自分の席で目を白黒させながら戦いの推移をみていたカリンは慌てた様子で俺のところにやってきた。

「カリン、紅茶を頼むよ」

「え? で、ですがまだ戦闘が……」

 カリンに答えたのは自分の席でむっつりした顔で戦いをみていたオフレッサーだ。

「カリン、見ていたらわかると思うがもう我が主の仕事は終わった。後はチュン参謀長やカールセン副司令官でもどうにでもなる」

「ですね。あとは私達の仕事です」

 オフレッサーの言葉にチュン少将が苦笑いで続ける。それを聞いて俺は軽く肩をすくめる。

「そんな感じでこの陣形になった時点で俺の仕事は終わりだ。後はクラインゲルト子爵の降伏勧告とそれの受け入れのためにシュタインメッツ提督とアイゼナッハ提督の仕事になる」

 そこまで聞いて納得したのかカリンは紅茶を淹れにいった。

 どんどん数を減らしていく門閥貴族連合を見ながら俺は思わず呟く。

「無駄に死ぬことはあるめぇよ。さっさと門閥貴族フン縛って降伏しちまえ」

「門閥貴族連合の艦から降伏する通信が流れています!!」

「よし!!」

 フィッツシモンズ大尉の言葉に俺は思わずガッツポーズをする。

 一隻でも降伏した艦が出たのなら後は早い。

 俺の予想通り雪崩をうったように降伏してくる艦が増える。中には当然貴族を捕虜にして降伏してくる艦もいる。

 そして右翼の流れを左翼も止めることはできなかったのか、左翼からも大量の降伏艦が出る。

 俺がカリンから紅茶を受け取って呑気に飲んでいると、後方のクラインゲルト子爵から通信が入った。

『シュタイナー提督、少し困ったことになりました』

「? 敵はほとんど降伏しました。何も困ることはないと思いますが?」

 俺の言葉にクラインゲルト子爵は困った表情のまま言葉を続ける。

『降伏してきた捕虜の中にリッテンハイム侯がおります』

「ぶふぅ!!」

 思わず飲んでいた紅茶を吹き出してしまう。

 まさかの敵副盟主の捕虜化である。

 ぶっちゃけこれは予想していなかった。てっきり原作さんが仕事して逃げるかと思っていたからだ。

『とりあえず降伏の諸々はアイゼナッハ提督にやっていただいて……申し訳ありませんがシュタインメッツ提督と共に私の艦に来ていただけますか』

「承知しました」

 予想以上の大戦果すぎてクラインゲルト子爵自身もどうしていいのかわからないのだろう。なので俺やシュタインメッツ提督と相談したいのもわかる。

 だから俺は前もって言っておく。

「オフレッサー、トマホークは持っていくなよ」

「なぜ!?」

「殺しちゃまずいからだよ」

 当然のようにトマホークを持ち出そうとしていたオフレッサーに先に釘を打っておくのであった。

 

 

 俺がフィッツシモンズ大尉だけを連れてクラインゲルト子爵の艦を訪れて艦橋にいくと、すでに護送してきたのかシュタインメッツ提督と困り顔のクラインゲルト子爵、そして手錠をかけられたリッテンハイム侯がいた。

「マジかぁ……」

 俺もリッテンハイムの顔をみて思わず呟いてします。クラインゲルト子爵も困った表情だったが、シュタインメッツだけは不思議そうな顔であった。

「失礼、私は敵の大将を捕らえられて喜ばしいことだと思うのですが、何にお困りで?」

 シュタインメッツの問いにクラインゲルト子爵が困った表情のまま口を開く。

「私達、辺境貴族連合は『中立』を謳っております。そのためにここでリッテンハイム侯を処刑すればローエングラム侯に味方したことになり、かと言って何もせずに解放してしまえば門閥貴族連合に組したと思われても仕方ありません」

「なのでガルミッシュ要塞に立て籠もっているときに事故とみせかけて殺すつもりだったのですが……」

 俺の言葉にクラインゲルト子爵が苦笑いで続ける。

「正直、門閥貴族連合の人望のなさを低く見積もっていましたね」

 クラインゲルト子爵の言葉に俺は頷く。シュタインメッツ提督もクラインゲルト子爵の説明に納得したようで困った表情になっている。

「クラインゲルト子爵、どうなさいますか?」

 シュタインメッツの問いにクラインゲルト子爵も困り顔である。

 そこに空気を読めないリッテンハイム侯が口を挟んできた。

「わ、私は栄光あるゴールデンバウム王朝の大貴族たるリッテンハイム侯爵だぞ。早くこの縄を解き、私に従え」

「……うわぁ。この状況でも高圧的に出れるとか門閥貴族侮ってたわ」

 思わず俺が素で突っ込んでしまう。だが、完全に捕らわれていて、生殺与奪の権がこっちにあるにも拘わらず高圧的なのには思わず感心してしまった。

 とりあえずうるさいだけで何も生産的なことを言わない大貴族様には麻酔(常人用)を打って強制的に静かにさせる。

 そこまでの作業をして再び三人で相談に入る。

「クラインゲルト子爵、どうなさいますか?」

「ふ~む」

 俺の言葉に少し考えていた様子のクラインゲルト子爵だったが、すぐに何か思いついたのかシュタインメッツ提督に尋ねる。

「シュタインメッツ提督、貴族以外の降伏してきた方々は何か要求をしておりますか?」

「家族の下に返して欲しい。それが叶わないならせめて辺境貴族連合で戦いたい、と」

 その言葉にクラインゲルト子爵は頷いた。

「この状況下では家族の下に返すのは難しいでしょう。降伏者はシュタインメッツ提督とアイゼナッハ提督に分けて配属させてください」

「シュタイナー提督のところへは良いのですか?」

「シュタイナー提督は自由惑星同盟の艦隊です。帝国軍を配属できないでしょう。ですね、シュタイナー提督?」

 クラインゲルト子爵の言葉に俺は頷く。

 それに納得したのかシュタインメッツも頷いた。

「承知しました。私とアイゼナッハの艦隊に降伏者を振り分けましょう。それで肝心の貴族達はどうします?」

 シュタインメッツの言葉にクラインゲルト子爵は言葉を続ける。

「捕虜となった貴族、及びそれに従う家臣を纏めて一隻の輸送船に詰め込んで辺境貴族連合の宙域から追放とします」

「それが一番でしょうね」

 クラインゲルト子爵の言葉に俺も頷く。少なくとも追放という形をとれば辺境貴族連合の掲げる『中立』という立場は守られる。

 そして今度は俺が言葉を続ける。

「こうなると、ガルミッシュ要塞もこちらの手に落としておいたほうがいいかもしれませんね。今は空のはずですから1個艦隊でも落とせるでしょう」

「ふむ、ならばアイゼナッハの艦隊にやってもらいましょう。アイゼナッハならばその後のガルミッシュ要塞の防衛もうまくやるでしょう」

 とんとんと話が進んでいってあっというまにガルミッシュ要塞の攻略も決定した。

 一応と思って俺はシュタインメッツ提督に提案する。

「もしよければオフレッサー客員大将を与力として出せますが?」

 俺の言葉にシュタインメッツは苦笑しながら首を振った。

「私達ではオフレッサー上級大将は扱えないでしょう」

 獰猛すぎる猛獣。たぶんそれが今の銀河でのオフレッサー評である。

 するとクラインゲルト子爵が不思議そうに尋ねてきた。

「そういうオフレッサー上級大将は? てっきりトマホーク片手に乗り込んでくると思ってどうやって止めようか悩んでいたのですが」

「そうなるとわかっていたのでカリン……私の娘を監視役として旗艦に置いてきました」

 なお、俺がエクシールを出るまで「主!! 斬首しましょう我が主!!」と叫んで我が艦隊の首脳陣を苦笑いにさせていたのは完全に余談である。




ヘルベルト・フォン・シュタイナー
戦いがちょろすぎと思ったら戦後処理で面倒になったの巻

クラインゲルト子爵
どんどん優秀になっていくやり手爺。爺キャラは強い(確信

シュタインメッツ アイゼナッハ
降伏艦隊を受け入れたので一気に艦隊規模が膨張

リッテンハイム侯爵
ギリギリ命は繋がった

オフレッサー
斬首!!! 絶対に斬首ですぞ我が主!!!(トマホークぶんぶん)



そんな感じで今月分の更新です。

ぶっちゃけ原作以上に勝ち確の状況なので戦闘シーンはあっさりと流す方向で。そして運よく捕虜になったリッテンハイム。
石器時代の勇者に出会わなかったことにより生存フラグが立ちました(ラインハルト陣営の処刑フラグは知らん
そして流れるようにガルミッシュ要塞をアイゼナッハに接収させます。これは今回の降伏者がいっぱいいて艦隊規模が膨れたからできること。
まぁ、場合によっては即座放棄でしょうが。

そして明日は作者がずっと待っていた三国志8リメイク発売!! とりあえず初回プレイは劉虞様に仕えて劉虞様を皇帝に押し上げてきます
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