【ウマ娘×夜桜さんちの大作戦】
これは「サクラバクシンオーの目って夜桜の開花に似てるよなぁ〜」と思った作者がノリと勢いで書いた作品です。
※注意※
・1話完結
・サクラバクシンオーは夜桜家四女
皆さんこんにちは!私の名前は夜桜
夜桜家という大きな家に生を受け、兄弟は私を含めて八名いる大家族です!
私は1番上のお兄ちゃんから「八支の素直で真っ直ぐな性格は皆んなを引っ張れる学級委員長が向いているよ」と言われたのをきっかけに学級委員長となりました。今は家を離れてトレセン学園という場所で同年代の人と切磋琢磨しております!
何故トレセン学園か?それは私が兄妹の中で唯一“ウマ娘”なのです!そう!私は“ウマ娘”なのです!!
〜〜〜
「兄弟の皆さん!おはようございます!夜桜八支、ただいま帰りました!」
今週は祝日が2日連続であり、週末が4連休になっている。
学校も休みになるという事をトレーナーさんと話しあって
トレセン学園から電車に揺られて数時間。最寄駅から走って数時間にある大きな屋敷に着きます。
「夜桜八支、ただ今帰りました!」
「おかえり。長旅で疲れただろう、ゆっくりするといい」
「はい!まずは荷物を部屋に運びます!」
「ははは。聞いてないな」
出迎えてくれたのは
「おかえり。荷物は私が持って行こう。疲れただろう、今日はゆっくり休むといい」
「心配ご無用!きっちり運んでみせま(ヒュン)」
「全く意地っ張りだねぇ。既に私が投げておいたよ」
次に荷物を持ってくれたくれたのは
「あ、おかえり。連休は家にいるんだろう?はい。トレーニングメニュー作っておいたよ」
「ありがとうございます!早速行いますね!」
「今日のメニューは“休み”だよ」
次に話かけてくれたのは
「お、帰ってくるのは今日か。どうだ?久々にゲームするか?」
「いえ結構です!私はこれからトレーニングがあるので!」
「はぁ〜。これだから体育会系は…」
部屋に向かう階段で話しかけてくれたのは
「トレーニングも良いけど肌のケアを怠るなよ〜。四怨みたいになるぞ〜」
「あぁん?」
「ご心配なく!ちゃんとお風呂に入りますので!」
「そうじゃなくてフェイスパックって意味なんだけど…聞いてないねこりゃ」
部屋に入り、私服からトレーニング用のジャージに着替えていると壊れた扉から覗いて来たのは
「それじゃあお風呂沸かしておくね。トレーニングは何をするの?」
「ありがとうございます!まずは走り込み…屋敷に3周くらいから始めましょう!一緒に走りませんか!」
「遠慮しとこうかな。トレーニング頑張ってね」
階段を降りて玄関へ向かう私にタオルとスポーツドリンクを渡してくれたのは
「それでは今日も頑張りましょう。バクシーン!!」
「待って八支…もう出ちゃったか。せっかく八支専用のドリンク作ったよのに…」
鉄の扉からビーカーに入った紫のドロドロ炭酸を持って出て来たのは
でもごめんね七悪お兄ちゃん。今は私はトレーニング中なのだ。
「バクシン!バクシィィーーン!」
一心不乱に屋敷の外周を回るのであった。
〜〜〜〜〜
「…速さは…うん。弾丸を余裕で超えてるね」
八支が家を出たのを確認すると四怨はタブレットの画面を部屋のプロジェクターに映す。映像には速度は当然として、走っている八支のフォーム、筋肉の動き、地面を踏む強さなど細かな情報が記されている。
「これが
「いやぁ、兄ながら八支の成長は驚かされる」
四怨が映したのは先月に八支のトレーナー 梅野 灰音が四怨へ送った八支のデータ。それを今取っているデータと重ねて見ると全てにおいて上回っている。
その数値を見て凶一朗は好みの紅茶を飲みながらケタケタ笑う。
「四怨、七悪。引き続き八支のデータを取るんだ。八支はこの世に2人といない“夜桜の血”と“ウマ娘の体格”を合わせ持つ者だ。これが悪い方向へ出ないように制御しなければな」
八支達夜桜家のは特殊な家系である。江戸時代の忍を起源とするスパイ一家で夜桜家の血を引く者は“開花”という特殊な能力を持っている。
“開花”とは夜桜の血に含まれる『ソメイニン』というタンパクによって極限まで身体が強化されると発現する能力。この段階に至ると、両目に桜模様が浮かび、本人の元々持つ能力、そして人物像を反映した能力を発現する。六美を除く兄妹全員が能力に目覚めており、それは八支も例外ではない。
ウマ娘とは異世界の競走馬の“名前と魂”とを受け継いで生まれてくる、女性しか存在しない生物。腰付近から馬のような尻尾が生え、馬のような耳が頭頂部付近にある。耳と尻尾以外は一般的な人間の女性と同様の見た目を有する。全力疾走するウマ娘の走行速度はおよそ時速50〜70キロメートルにも達する。
八支は生まれながらにウマ娘であったため、1番下の兄妹で四女であるにも関わらず成長は比較的早い。夜桜の開花も長男長女の次に発現し、その力は当主権限で屋敷を完全封鎖する“冬ごもり”を発動してもなお止まることはなかった。
そこで夜桜はある決断をした。八支を家業のスパイから切り離し、ウマ娘として成長させることになったのだ。幸いにも八支の開花能力は「ウマ娘だから」の一言で騙せたのだ。八支がバカだからそれで納得してしまったというのもある。
それからスパイのつてを辿って、事情を知っている梅野灰音という男にウマ娘としての育成と開花の制御を任せている。ちなみに、学園長はこの事を知っている。
「あ、これは灰音から『開花能力はON OFFではなく、常時使用して強弱の調整に向けてる』だってよ。まぁ八支の能力だとそっちの方が良いかもな」
「でも僕は心配だよ。八支のことだから一つの事に夢中になると強弱とか関係ないような…」
灰音からデータと一緒に送られたメッセージを読み上げる四怨。それを聞いて七悪は少し不安そうな声を上げる。
「八支は大丈夫だろウマ娘だし。夜桜の血を抜きに考えても元々のスペックが人と違うんだから」
そう。常時開花なんてやればいくら夜桜といえどただでは済まされない。
ただ八支は違う。ウマ娘なのだ。体は普通の人と比べ物にならないくらい頑丈になっている。それに能力もシンプルなため、他の兄妹のようにON OFFではなく使いたい時に強く、そうでない時は弱くの調節の方が向いていた。
「今私の話を誰かしましたか?」
八支を除く兄妹で相談していると急に窓から走り込み中の八支が顔を覗かせる。
それを見るにプロジェクターや手入れ中の武器、スパイ関連の全てを隠し、お茶をしている風に装った。
「いやなに、最近レースの成績がいいようじゃないか」
「はい!トレーナーのご指導のおかげです!」
「そのまま精進しな」
「はい!私はこの世に更なるバクシンを広めるために一層精進します!バクシン!バクシン!!」
二刃は咄嗟の嘘で八支を誤魔化す。四怨は馬鹿正直な八支への笑いを堪え、嫌五は腹を抱えて笑ったところ、二刃に口を塞がれる。
八支が去ったのを確認すれば、再び戻す。
「あっぶね」
「スパイの事を話してもいいんじゃない?」
「ダメだ。八支にどんな影響が出るか分からん」
八支は兄妹の中で唯一スパイ家業の事を知らない。それは彼女の性格上嘘をつけないのでどこでどんな情報が漏れるか分からないというのと、ウマ娘生命を守るためでもある。が、このままというわけにもいかない。
今月に入って8回。これは八支が暗殺者に命を狙われた回数だ。いずれも灰音が未然に防ぐか、八支が無自覚に防ぐかしているがこのままでは他のウマ娘にも影響が出てしまうやもしれない。
「ただいま戻りました!」
またサッと荷物を仕舞う。幼い頃から続けてきたため、手つきは慣れたものだ。
「おかえり。シャワー浴びな」
「はい!そうします!」
八支は汗をタオルで拭いてシャワールームへ向かった。
帰ってきたため、この話は途中で終わってしまう。スパイ家業の事を話すかどうかは、またの機会となった。
「…それじゃあ私は仕事へ行こう」
「あ、俺も」
凶一郎と辛三は仕事と言って任務へ向かった。
「じゃあ私はゲームするわ〜」
「僕は研究してるね」
四怨と七悪は自室に入り、各々任務をこなす。
「夕飯の準備をしてるね」
六美はエプロンを着てキッチンに立つ。
「八支、これを着てみな」
シャワーから上がった八支を二刃が止める。
二刃の手にはビニールに入った桜色の衣装 勝負服だった。
姉に言われたとおりに新たな勝負服を着る。
「おぉ!新しくして下さったのですか二刃お姉ちゃん!」
「まぁそんなところだよ。次からこれで走るといい」
「ハイ!」
八支は元気よく返事をして満足気に部屋へ入っていた。
その姿を見て二刃は肩の力を抜いて椅子に座る。
「全く、よくもまぁあんなものを着て走れるよ。私には到底無理だね」
八支ことサクラバクシンオーの勝負服は夜桜家の特別性である。
勝負服の繊維には凶一朗が愛用している鋼蜘蛛という夜桜家伝統の糸状の武器をふんだんに使っており、めっちゃ重たい。これは服だけではなく、手袋やカチューシャ、リボンに至るまで全てに編み込まれている。また、八支の蹄鉄も同じく辛三お手製の“超重たい蹄鉄“を使っている。
普段ならまだしも、トレーニングした八支はハンデを背負っている。もしもこのハンデが無ければウマ娘の限界なんて余裕で超えて走れるだろう。そんなことはあってはならない。
普段は学校の制服で大丈夫だが、ことレースになると全力を出したがる八支は無意識に開花して身体強化を全て走りに回してしまう。
“ウマ娘”の体に“夜桜”の血、この二つの組み合わせによってもたらされる可能性は無限大だ。錘によるハンデでようやく他のウマ娘と競争できるのだ。
「あれを見ると太陽の50kg制服が可愛く見えるよ。全部で何tだい?」
「ごめん姉ちゃん。重量に意識して測るのをやめたんだ」
夜桜六美の夫 朝野太陽はスパイの訓練の一環として50kgの制服を普段から着用しているが、八支に比べると可愛いものだ。
〜〜〜
こうして夜桜八支は夜桜家にて4連休のトレーニングに入った。
基礎的な走り込みは当然として、七悪特製錘によるフィジカルトレーニング、夜桜家番犬 ゴリアテとの並走、凶一郎による八支でも分かる授業、嫌五によるトレーニング後のケア……
時間はあっという間に過ぎ、連休の最終日になった。
「それでは行って参ります!」
「行ってらっしゃい。レースは家族みんなで見るよ」
4日目の朝、家族からお土産の品をもらい、玄関から家を出る八支。それを兄弟たちが手を振って見送る。
いつもいる兄妹とは違い、八支と同じ時間を過ごせるのは学校がない期間だけだった。それが耐えきれないのか八支が見えなくなると凶一郎はハンカチを咥えて泣き出した。
いつもながら、見苦しいと見捨てる兄妹たちだった。
ppppp
「俺だ。どうした…なんだと?!」
玄関に1人残された凶一郎へ一本の電話が入る。それに対応すると顔色を変え、涙を拭き、黙ってトレセン学園へ向かった。
〜〜〜
トレセン学園に着いた八支は寮へ入る。
学園内の寮は2つあり、八支は美浦寮に入っている。
「皆さん面白いお土産ばかりですね」
荷物を片付け、兄弟から貰ったをじっくり見回す。そして丁寧に棚へ並べる。
pppp♪
「おや誰でしょう。…トレーナーさん?はい!サクラバクシンオーです!」
『おかえり。早速で悪いがそっちに変な人はいないか?』
「変な人…」
八支は部屋を見渡す。
相部屋の相手は席を外して部屋にいない。変な荷物は何個かあるが人ではない。相方のベッドの下に白衣を着たブロンズ髪の人が入っている。それ以外はいつもの部屋だ。
「…いませんね!」
『そうか。今校内に不審者が入ったとヒナ、警備員から連絡があったんだ。もしも見つけても近づくなよ!』
「はい!分かりました!」ピ!
電話を切り、携帯をしまったバクシンオー。今日も今日とて良い学級院長になる為のトレーニングメニューを考えだした時、
「あらぁ〜?もしかして…私を庇ってくれたのぉ〜?」
「やや?!何者ですか!」
「まずこれはほんの挨拶よぉ〜!ブスッと一本!!」
机と睨めっこしている八支へ白衣を着たブロンド髪の女性はベッドの下から身を出して話しかけてきた。
思いもしない状況に驚きを隠せない八支。そして不意をつくように手に持った針を気絶する秘孔へ投げたのだった。
〜〜〜
「っ!凶一郎!」
「挨拶はいい。それよりも今の状況を話せ」
八支がトレセン学園に着いて2時間後、夜桜凶一郎が到着した。
別れた時にかかった電話の主は夜桜八支/サクラバクシンオーのトレーナーを務めている梅野灰音だった。
「不覚だった。まさかよりによって“アイツ”が脱走するなんて」
梅野灰音は夜桜とは違う政府直属の諜報機関である公務員スパイの集団『ヒナギク』の一員だった。
灰音の持っているタブレットには危険を告げる黄色い「warning」の文字が浮かんでいた。
今回、刑務所から脱走したのは「安心沢刺々美」というヤベー奴だ。安心沢は自称「あんし〜ん笹針師のウマ娘ファン」を名乗ってウマ娘に笹を刺しているが、その実態は悪の組織 タンポポのメンバーであり、善人を装ってウマ娘に対してパワーアップの処置を施し、最後は複製夜桜の血 “葉桜”を差し込んで無理矢理適合させる危険な人物なのである。当然適合したケースは1つたりとも無い。
数年前に夜桜八支をエサに誘き寄せ、凶一郎が確保したのだ。
それが今日になって脱走していると知らせが入った。また、トレセン学園の警備員が笹針で気絶していた事から彼女が学園に入っている可能性が高いとされている。
学園長に相談したところ、「警察で学園を包囲して逃げ道を完全に封じて攻めるべき」という提案に対して「却下!ウマ娘のストレスが溜まると同時にトレーナーや企業との信頼関係が崩れる!」と追い返されてしまった。
悩んだ末に単騎でこの世で誰よりも信頼できる腕前を持つ夜桜凶一郎を頼る事にしたのだ。
「俺は自由に回るぞ」
「あぁ。くれぐれも他のウマ娘に不安を与えるなよ。俺は俺で探すか!」
ああ言ったが凶一郎という男は根っからの長男で何よりも真っ先に八支の元へ向かっただろう。
考えるのはやめよう。俺は他のウマ娘の安全を確かめに行こう。まずは…最近レースの成績が悪いウマ娘からだ。
〜〜〜
「何故だ…何故当たらない…クッ!!」
カキンッ!!
安心沢の放つ鋭利な笹針は的確に秘孔へめがけて綺麗な軌道を描くが、体へ刺さる寸前に掴まれる。
一本だけだと効かないと判断し、左右で4本づつ手に取り同時に投げる。左右計8本が描く軌道はまるで翼のようだったが、サクラバクシンオーに難なく全て掴まれる。
「このような小細工、委員長には通じませんッ!」
サクラバクシンオーの目は桜色に輝く。本人は無自覚だろうが、開花状態だ。
ソメイニンが活性化し、全身の身体能力が上昇している。常人には不可能な針を掴むなんて、造作もないのだ。
「そうか…お前があの夜桜のウマ娘か…ならこの反応速度にも納得できるわ…。これは研究のしがいがあるわね!」
安心沢は針を投げるではなく、手に持って迫ってくる。
ある程度近づくと手品にように出した両手8本の針を一斉にサクラバクシンオーへ投げる。今回は前回と違い、それぞれがバラバラな軌道を描いている。
安心院のイメージだと投げた針に対処すれば私が。私を対処すれば投げた針にやられるそう考えただろう。実際、このやり方は正解である。この作戦は完璧だった。ただ、相手がサクラバクシンオーでなければ。
「バクッ、シィィーーンッ!!」ドォーン!!
大きく足を上げ、思いっきり踏み込まれた右足は床を壊しながら沈み、周囲のフローリングは崩れる。
足場が変化したことにより安心院は体制を崩し、宙を舞う針は瓦礫や木片が当たって弾かれ、バクシンオーへ刺さる事はなかった。
「こ、これが夜桜とウマ娘の力…」
これはただの踏み込みではない。普通のウマ娘では床を抜くことはできても、ここまではできないだろう。
何故サクラバクシンオーにはそれができたのか。それがサクラバクシンオー/夜桜八支の開花「
この能力は至ってシンプル。五感と脚力を中心とした身体能力の強化だ。
ダンッ!!「さぁ、まだやりますか?」
床に伏せた安心院の手に持った針を踏み砕く。顔の真前で踏み潰されていやでも感じる力の差。自分が何をしても勝つことができないと知らされると起き上がる気力すら出てこない。
「…か…完敗よ…大人しく帰るわ」
「そうですか!では二度とこのようなマネはしてはいけませんよ!出会い頭に
「…そっちなのね」
安心沢は呆れた。コイツ、状況が分かってないのか…と。それと同時にバクシンオーにとって私の笹針だろうと道端の小石だろうと“物”程度の認識なんだろう。今まで消しゴムでも投げられていると思っていたのか?
「さぁ、他のウマ娘が怪我する前に警備員さんの所へ行きましょう!」
突っ伏した安心沢の腕を掴もうとするバクシンオー。
(ここだ!)
バクシンオーが触れる寸前に仰向けになり、体の急所を突いた。
「ッ、バクシィーン!!」
針が体に刺さり、激しい痛みが傷から全身に走る。それでも痛みに耐えたバクシンオーは右の拳を叩き込む。しかし、急所を突かれたダメージは大きいようで微妙にカスってしまった。
その隙をつきバクシンオーから距離をとる安心沢。自分ではバクシンオーに勝てないと判断すると窓から飛び降りて逃げてしまう。
「…追いかけっこですか。私を鬼にするとは、いいでしょう。受けてたちます!バクシン、バクシン!!バクシィィィンンーーー!!!!」
バクシンオーは窓がある壁へめがけて走り出し、壁を壊して外へ出た。そして目の前にある木、柱、壁…サクラバクシンオーの前に現れる物を全て真正面から走り抜ける。
これこそ夜桜八支の開花「
瞬く間に安心沢の前へ先回りした。
「もう逃しませんよ!」
「えぇぇぇぇ?!か、壁…が…え?」
今まで背後を気にしていた安心沢は、突如目の前に現れたバクシンオーに驚きを隠せなかった。
「さぁ!お縄につきましょう!」
「くっ、こうなったら…!」
追い詰められた安心沢は最終手段に出た。タンポポが開発した夜桜の血の複製品「葉桜」それを首筋に打ち込む。
身体中の血管が浮かび上がり、目が光り、体は肥大化して服が内側から破れる。
「これは…!」
「これが…これが葉桜…これが夜桜!!内側からエネルギーが漲る!!!」
今や人とは言い難い体となった安心沢が、スピードのままに踏み込みバクシンオーを殴る。バクシンオーは後方へ下がって躱すが拳は地面を砕いた。
その巨体にしては早い動きでバクシンを追い詰める。バクシンオーは命中はしないにしても攻め手にかけていた。
「サクラバクシンオー!夜桜八支!!これで終わりだァァーーッ!」
壁まで追い詰められたバクシンオー。道は無いがその巨体を避けることはできそうになかった。
安心沢は両手を組んでハンマーのように構える。そして振り下ろ、、、、、
「っ?!」
何処からか現れた糸が身体中に巻き付いて腕が振り下ろされることはなかった。
「目の前にただただ大きな肉壁があるぞ八支。こういう時はどうするか…教えただろ?」
「はい!目の前の壁は、全て
〈我流・驀進タックル〉
動き回れば厄介な巨体も動きが止まってしまえばただの肉壁。夜桜八支の
〜〜〜
「お疲れ様だな」
安心沢の一件が終わり、いつも通りのトレーニングをした八支へ凶一郎が差し入れを渡す。
「はい!お相手は大丈夫でしたか?」
「あぁ。問題ない。安心沢さんから挨拶だ」
「改めてこんにちは。挨拶できなくてすみませんでしたサクラバクシンオーさん」
凶一郎の影から白衣に身を包んだブロンド髪の女性 安心沢刺々美が挨拶をする。葉桜により浮かび上がった血管はなくなり、肥大化した筋肉は普通のサイズに戻っていた。
「それにしてももう少し早く言ってほしい物です。
サクラバクシンオー/夜桜八支はスパイ家業の夜桜家においておそらく唯一スパイの事を知らない。
「脱獄犯のタンポポ構成員がトレセン学園に現れてウマ娘へ手を出した。そこへたまたま居合わせたサクラバクシンオーが撃退した」ということが今回の一件なのだが、夜桜八支には「最強の学級委員長アクション映画の撮影をするのだが、事前に話すのを忘れていた」と説明している。学園側には夜桜の活動を知っている者も多いため、事情を話して八支が壊した物は夜桜が全て弁償した。
バクシンオーが撃退した安心沢は夜桜が回収し、葉桜の解析に生かすようにしている。今八支の目の前にいるのは葉桜を使用した本物ではなく、嫌五が変装した姿だ。
「いい撮影ができた。これで八支の素晴らしい学級委員長っぷりに磨きがかかり、バクシンが更に世に広まるだろう」
カメラを手に持ってアピールする。当然撮影なんてされていない。
「はい!完成したら見せてくださいね!」
「あぁ。期待しておいてくれ。それじゃ…しばらくここに「凶一郎さん、次の打ち合わせがありますので行きますよ。バクシンオーさん、お疲れまさでした。トレーニング頑張ってくださいね」おい、引っ張るな。次八支に会えるのはいつか分からないだぞ。おい、引っ張るな…」
学校に残ろうとする凶一郎を安心沢さんが引っ張ってどこかへいった。
それを見届けると自分のトレーニングに戻るのだった。
〜〜〜〜〜
「くそぉぉぉぉ!」
「四怨、解鍵頼むよ。私は
「は〜い」
夜桜の食事には毒耐性として少量の毒が含まれている。慣れれば問題ないが、慣れない者だとお腹を壊してしまう。
今日は凶一郎の嫌がらせにより、朝野太陽の食事に普段の倍以上の毒が含まれていた。死にはしないもののお腹を壊しトイレへ走っていた。凶一郎の嫌がらせは毒に収まらず、トイレのロックが普段よりも難易度が上がっていた。
太陽は普段の難易度なら難なく開けれるが難易度が上がったロックは難しかったようだ。ロックは四怨に任せて二刃はケタケタ笑っている長男をボコりに向かった。
八支が寮に帰ってから凶一郎の太陽への嫌がらせが日に日に増している。流石に見苦しいと感じた二刃であった。
「そういえば、八支が家にいる間トラップ解除したっけ?」
ふと思い出したように六美が声を上げる。それを聞いて太陽以外の兄妹は手を止めて思い返す。
帰ると知らせが入り、タンポポへの調査を中断して、屋敷内からスパイの痕を消すために床に転がっている弾丸を片付けるなどをして徹底掃除に追われ、八支が帰ってくるギリギリに完了した。
夜桜家の家族は持っている指輪がトラップのプログラムに影響し、発動しないようになっている。が、八支は夜桜の指輪を持っていない。
「・・・。」
全員が気がついた。
「ハハハ。アイツも夜桜だな〜」
兄弟たちの顔が青ざめる中、長男だけがケタケタ笑っていたのであった。
凶一郎はその2秒後に肉団子となった。
〜クロスオーバー〜
ウマ娘プリティダービー 時系列とかは特に無し。
夜桜さんちの大作戦 時系列はvsタンポポ前(10巻くらい)まで。
〜キャラクター設定〜
・夜桜八支/サクラバクシンオー
本作の主人公。夜桜家唯一のウマ娘。銀級スパイ。
目がサクラの形なのは夜桜の血が関わっている。開花は「
他の兄弟と違い、開花のコントロールに難がある。そこで開花能力をON OFFではなく常時ONで普段は微かに、レースでは強くする強弱のトレーニングをしている。
・夜桜凶一朗
夜桜家長男。自他共に認める重度のシスコン。
鋼鉄の糸「鋼蜘蛛」を武器に持い、実力・知力共に最高峰のスパイである一方で異常なシスコン具合で周囲から軽蔑されている。
八支への面会は兄弟や学園側から止められており、帰省以外で会う事はほぼ無い。この不満は全て太陽へ向けられる。
この事を八支は知らない。
・夜桜二刃
夜桜家長女。暴走する長男を丸める(物理)事ができる人。歳と見た目の割に中身がおばあちゃん。
夜桜式柔術「しだれ組手」の使い手で、格闘戦を得意とする。
八支は武器を扱えないので武術を教え込もうとするが、“これ投げるより走った方が強くね?”と思い武術教育を諦めた。
八支が帰省した時にだすお茶は合気を込めたお茶(シルバー級試験のやつ)なのだが、吹き荒れる突風の中で普通に飲んでいる姿に毎回驚かされる。
この事を八支は知らない
・夜桜辛三
夜桜家二男。ビビりでいつもゴミ箱型戦車にいつも入っている。武器の扱いに関してはエキスパート。
辛三製形状不定合金
八支のカンストした明るさと前向き加減にはビビることもあるけど、二男として八支を支えたいとも思っている。昔八支にお気に入りの武器を貸したところ、秒で壊されてへこんでいた。
日に日に八支への蹄鉄の重量が増していき、とにかく重量を増しているので今が何kgか知らない。測りたくない。
この事を八支は知らない。
・夜桜四怨
夜桜家次女。武器を扱わずにハッキングを得意とする。また、多数のドローンを使役する。
八支が帰省した時や日々のトレーニングデータを元に、夜桜の血とウマ娘の肉体がどの程度身体能力に影響してくるのかデータをとっている。
八支へは昔、無理やり外へ引っ張り出されてガチギレしたこと申し訳なく思っている。一緒にゲームをしたいが、八支はゲームが全くと言っていいほど雑魚なので八支でも遊べるゲームの開発中。八支でも分かる授業の教材作成を手掛けた。
八支へのお土産として置き物を渡しているのだが、それら全てに小型カメラが内蔵されている。健康状態は当然としてソメイニンが暴走してないかなどのチェックをしている。仕事に疲れた時は八支を見て元気をもらっていたりする。
この事を八支は知らない。
・夜桜嫌五
夜桜家三男。極めてマイペースで掴み所のない性格。武器で戦うというよりか変装を得意としており、敵の撹乱やデータを盗む、敵組織の壊滅までやる。
八支にはマイペースに接するも決して自分のペースに乗らないため、苦手に思っている。でも底抜けのバカは見てて面白いので気に入っている。
たま〜に変装して学園に潜入し、八支の様子を見に行っている。
この事を八支は知っている。
・夜桜六美
夜桜家三女。原作ヒロイン。夜桜家唯一能力を持っていない。
スパイ活動はできない代わりに、夜桜家の書類関連や料理など色々な事をして兄妹たちを支えている。仕事で疲れたりすると姉属性が発動し、八支を無性に甘やかす。
八支が出走するレースは大画面テレビでメイドやペットと一緒に観ている。
この事を八支は知らない。
・夜桜七悪
夜桜家四男。兄弟で一番の巨体(3m)で、常に顔が書かれた水色のバケツで素顔を隠しているのが特徴。
非常に力持ちでありながら医術や薬学のスペシャリスト。
八支の唾液や髪の毛などを採取して八支の体を内側から管理している。末男で甘やかされて育ったため、八支が帰ってくるとすごく甘やかす。
夜桜家で落とした八支の髪の毛や爪などを採取してウマ娘の体を研究している。
この事を八支は知らない。
・夜桜万
普段は刑務所に常駐している夜桜家の祖父。
デビュー戦から、八支がレースで出走する度に刑務所を脱走して大騒動を起こしている。所持金を全額娘の馬券に費やしてボロ儲けしている。増えた分のお金は様々なルートを通り八支に使われている。
この事を八支は知らない。
・梅野灰音/トレーナー
夜桜家からサクラバクシンオーの育成を任されたヒナギク兼警察官。
昔、両親が事故で死亡し、身寄り無しと大怪我で入院したところを葉桜の実験に利用されて、廃棄される所をヒナギクの不動りんに助けられる。現在は八支のトレーナーを務めつつ、トレセン学園とヒナギク、警察の橋渡しになっている。凶一朗の同期。
トレセン学園に紛れ込んだヤベー奴を自分で捕まえたり、事によっては八支に“トレーニング”などと適当な理由をつけて退治させている。これで銀級スパイ試験も受けさせている。
この事を八支は知らない。
・朝野太陽
『夜桜さんちの大作戦』の主人公。
八支は名前を知っており、時折テレビなどで見るが実際に会って話した事がない。八支が帰省する時は“偶然”海外での任務が必ず入っている。八支は太陽のことを名前しか知らない。
〜最後に〜
隠しても仕方ないのでぶっちゃけます。作者はウマ娘プリティーダービーをやってません。
リリース当日にインストールしたけど、何度やっても何度やっても何度やっても攻略wikiをガン見しながらやっても目標クリア出来んのだ。めっちゃストレス溜まるんでアンインストールしました。
だから細かいことは気にするな。大目に見てくれ。一応1期、OVA、2期のアニメは見たんだ。シングレだって読んだ。
バランスとしてはウマ娘よりも夜桜さんちの大作戦の要素が強かったのはそのせいだろう。
この作品で『夜桜さんちのの大作戦』に興味を持った方へ。ぜひ読んでくれ。めっちゃ面白いから。マジで。超オススメ。
個人的には単行本12巻に描かれたシルバー級試験の最終試験で凶一郎と太陽がぶつかるシーンがオススメだ。六美を守りたい太陽と“兄妹全員を”守ってきた凶一郎の互いに譲れない意地と意地のぶつかり合い。最高よ。マジで。