征竜の決闘者、ヲ級を拾う   作:バージ

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この世界のアレキサンドライドラゴンは相当強いです。



皐月が海の冷たさを思い出した日

 

天気の変わりやすい海の上、時に雨に打たれ、時に日差しを浴びながら丸二日間。一人待ち続けた後に現れたのは、深海棲艦だった。重巡3、軽巡2、駆逐5の十隻からなる艦隊。中破してまともに動くこともできないボクの運命は、ここに決した。

少しだけ溢れそうになった悲しみを押し殺して、ボクの最後の戦いが始まる。

ただでは沈まないぞ、その前に、一隻でも多く道連れにしてやるんだ。

狙うのは重巡洋艦、可能な限り接近して魚雷で仕留める。離脱する必要が無いんだから、全速力で駆け抜けるだけでいい。主機の損傷なんて気にしない、かつてボクに乗艦した誰かが、足が折れても戦い続けたように。

 

いくつもの砲弾が飛んでくる。それらはボクの横をかすめ、あるいは近くに落ちて大きな水柱を立てる。深海棲艦の無表情、進行方向に速度、向けられる砲身、飛来する砲弾、それらすべてがよく見える。荒波をさらにひどくする砲撃の中でも、ボクの足は調子が良かった。艦娘に生まれ変わってから、一番かもしれないほどに速く進む。駆逐艦の横を抜け、軽巡洋艦に砲撃を浴びせ、重巡洋艦の前まで来て。

そして、ついに砲撃による直撃を受けた。広がっていた視界が急に狭くなる。

自分の死を実感する中で、装填していた魚雷のすべてを投射。多分、きっと当たっただろう。爆発の音がした。仰向けに倒れて、少しずつゆっくりと体が沈んでいく。

冷たい。できるだけのことはやったけど、どうしてこんなに冷たいのかな。

誰か一人くらい、ボクの最後を見届けてほしいなんて思うのは、贅沢かな?

 

闇の中へと沈んでいく。

死の間際、ボクはそれを感じていた。人生でこれより上はないと思えるほどの恐怖。そして少しの寂しさと嫌悪感。そんな嫌な感覚を。

朦朧とした意識だけが、海上で連続する爆音と、そして海から引き揚げられる感覚を感じていた。

 

 

 

~~~

 

 

 

やっぱり、艦娘いるなー。

 

偵察に送っていたライトニングが、高高度から一方的に艦娘達を発見する。

彼女達の存在を知った俺は、そんなのんびりした感想を抱いていた。

深海棲艦がいるんだから艦娘もいるだろうと思っていたが、見つけるまでにずいぶん時間がかかった。

おそらく俺がいる島が日本本土からはかなり離れている為だろう。それに深海棲艦よりも艦娘は数が少ないと思われる。何せ偵察していると深海棲艦を一日に何度も見つけるのだ、この広い大海原の中なのに。

多分総数としてはものすごい数になるんだと思うが、果たして人類は大丈夫なのだろうか。そう言う意味でも艦娘を見つけられたのは僥倖だった。

艦娘がいるんだから人類も存続しているのだろう、多分。

 

そう思っていると、また別の日に一人の艦娘がピンチに陥っているのを発見した。

状況を確認しているアレキサンドライドラゴンの報告を聞くと、たった一隻の小型艦娘が複数の深海棲艦に特攻かましているという、驚きの状況。

どうしようかと悩む時間も無かったため、とっさに戦いに介入していた。

急降下しながら何十発という虹色の光球を一斉に撃ち込み、周囲の深海棲艦を瞬く間に殲滅。そのまま海鳥の狩りのごとく海中に突っ込み、まさに沈んでいく最中の艦娘を引き揚げる。

まるで強い力で海中へと引っ張られるかのように体が重かったため、やむなくアレキの魔法で艦娘の装備である艦装を引きはがした。

そうしたらめちゃくちゃ重かったのが人間並の重さに変わったので、重いのは全部艦装だった、と思ったのだが違うらしい。アレキが言うには艦装が今そこにある艦娘が人間かそれ以外かを決定づけているのだとか。艦娘って不思議だね。

で、助けてしまったものは仕方が無いので、島まで連れてきてもらって看病している。

 

実際にこの目で見るまで分からなかったが、小さい体に金髪と、ボロボロだが黒いセーラー服などを見て、彼女が皐月だと分かった。

艦娘の生態はよく分からないが、アレキ曰く人間状態らしいし、見たところ大分重篤な状態だ。

浅くない負傷をしているし、少なくともその状態で一度は海に突っ込んでいる。

決闘者ならともかく、普通の人間なら死んでるかもしれない状態だ。

さらにここは人もなければ物資もない無人島だ、看病だってできることは限られてくる。

総じてヤバい状況である。一瞬魔法カード「超再生能力」を使おうかと考えたが、ドラゴン族にしか適用できないようなカードを人に使うリスクが不透明なため考え直す。「治療の神 ディアン・ケト」でもあればそれを使うんだが、手元に単純にライフを回復するようなカードはない。

清冽の水霊使いエリアを召喚して治せるか聞いてみるが、ちょっとした手助け程度にしかならないらしい。ヲ級の時とは事情が異なるらしいのだが、何がどう違うのかはよく分からなかった。

 

とりあえず弱っていても食べられて、栄養価の高い料理でも調達しよう。

小さくなるまで魚を溶かし茹でたスープとかどうだろう。

そうして皐月の無事を祈りつつ、できることを考えるのだった。

 

 





この物語におけるシリアスの役割は、前座もしくはかませ犬です。

あと2~3話で初めてのデュエル回です。
なお、エクストラデッキはエリアのみの模様。

・追記
何故か二重投稿されてる?一応消したけど…よく分かりませんが変だったらすみません。

艦これ・遊戯王についてある程度知っていますか?

  • 艦これの方だけ知ってる
  • 遊戯王の方だけ知ってる
  • 両方知ってるが、征竜のことはよく知らない
  • 両方知っているし、征竜のことも知ってる
  • 実は両方よく知らない
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