ちょっと待って。なんで俺、Gガンダム世界にTS転生して、東方師匠と拳交えてるの!? 作:ひいちゃ
さて……いよいよ、舞台は、原作では大きな転換期となる新宿に移りました。
原作では、ドモンはここで、さる驚くべき人物と再会し、さらに衝撃的な真実を知り、そしてその人物と決別することになりました。
その末にどうなったかは、原作をご覧になられた皆様には、既にご存じのことでしょう。
ですが! この話はそれだけには収まりません。
ここから先の展開は、原作から大きく変わっていくこととなるのです。
「厳しいのか弟子馬鹿なのかよくわかりません……」
果たしてジャンヌは、この世界での物語を、どのように変えていくことになるのでしょうか?
今回のカードは、なんとなんと! Gガンダムの主人公、ネオ・ジャパン代表、ドモン・カッシュのシャイニング・ガンダム。
これは目が離せません!
それでは、ガンダムファイト、Ready Go!!
それぞれの機体の上に立つ、本物のマスターアジアとジャンヌ・エスプレッソ。
マスター・アジアは、アルゴ・ガルスキーとジョルジュ・ド・サンドの倒れ伏している姿を見つめてふとつぶやいた。
「次代を担う若き者たちを救い、あとを託すためとはいえ、命を投げ捨て、わしより先に逝くとは……。この馬鹿者たちめ……」
そうつぶやく彼の目に、ふと涙がにじむ。それは、マスター・アジアなりの、散っていった同胞たちへの手向けであった。
それを悟ったジャンヌがそっと声をかける。
「師匠……」
「いや、なんでもない。それより今は……」
声をかけられたマスター・アジアは涙を振り払うと、愛弟子と、その弟子をたぶらかそうとした偽物に鋭い視線を送る。
一方、師匠の姿を見上げるドモンの表情には、やはり戸惑いが浮かんでいた。
「し、師匠!? 師匠が二人、一体これは……?」
「ドモンよ、そやつは偽物。悪者が自分の傀儡とするべく、新種の
偽物と指摘された、偽マスター・アジアも、負けじと言い返した。
「こ、こやつの言うことにだまされるなドモン! わしこそ本物。傀儡はそやつのほうじゃ!!」
二人のマスター・アジアから「自分こそが本物」と主張され、ドモンはどちらが本物がわからず混乱していた。そこに、本物のマスター・アジアの声が飛ぶ!
「ドモンよ、いまだ本物と偽物の区別すらつかんか。修行が足りぬわ。はあっ!」
そう叫ぶとマスター・アジアはクーロンガンダムから飛び降り、ドモンに向かって舞い降りていく。
「ならばこれならどうじゃ! 答えよドモン! 流派・東方不敗はっ!」
その声を受けて、ドモンも我に返ってかまえる。
「王者の風よ!」
そして拳をすさまじい速度で交わしあう。
「全新!」
「系裂!」
「「天破侠乱!!」」
そして最後に、拳を激しくぶつけ合わせる。
「「見よ! 東方は紅く燃えている!!」」
先ほどの偽物との演武とは違い、今の演武は見事に、何から何まで全てかみ合っていた。
そして拳から伝わってくるものを感じ、ドモンは確信した。今、目の前に立ち、自分と拳をぶつけ合った師匠こそが本物だと。
「師匠! 師匠こそ、本物だと確信いたしましたあぁ……!」
「わかってくれたか。それでよいのだ」
その二人の様子を見た偽マスターアジアは、憎々し気な視線を彼らに向けた。
「おのれ、もう少しでドモン・カッシュを始末できたものを……!」
その視線を、本物のマスター・アジアは正面から受け止め、さらに不敵な笑みで応じる。視線には明らかな敵意をこめて。
「ふん、貴様のような偽物に好きにはさせぬわ。待っておれドモン。今、この偽物を葬ってくれよう」
そしてマスター・アジアは、クーロンガンダムに乗り込むと、偽物に向けて飛び掛かっていった。一方の偽マスター・アジアも、自分の偽マスターガンダムに乗り込んだ。
* * * * *
はい。ここまでの展開に置いて行かれた、ジャンヌ・エスプレッソですこんにちは。
師匠こと東方不敗・マスターアジアが、ドモンに飛び掛かって演武をはじめたと思ったら、クーロンガンダムに乗り込み、偽師匠の乗ったマスターガンダムの偽物に飛び掛かっていった、という構図になっています。
師匠の放つ突きや蹴りを、偽物はさばきながらも、自分からも攻撃を加えていく。
先ほど師匠が倒した偽物のデータをフィードバックしたのか、偽物の動きは、前よりさらに鋭さを増していた。本物の師匠と互角のようにさえ見える。
それを師匠も悟っているのか、面白そうな声色で問う。
「ほほう、前に戦った時よりも強さが増しておる。前回とは違うようだな」
「わしは、前の個体から貴様についてのデータを受け継いでおる。前のようにはいかぬわ!」
そう言って、偽物はほくそ笑みながらさらに攻撃を続ける。しかし。
「だが、それだけでこのわしを超えられると思っているのか、たわけが!」
次の瞬間、師匠のさらに鋭い突きが、偽物を捉えた! 偽物が衝撃と苦しさをミックスした苦悶の表情を浮かべている。
「ぐ、が……こ、これは……?」
「愚か者め! わしをデータなどというもので図ろうとすること自体が誤りよ!」
今までのは、師匠にとってはセカンドギアに過ぎなかったらしい。さらに鋭さと速さを増した攻撃が、偽物を打ちのめしていく。最初はなんとかさばいていた偽物も、ついには防ぎきれなくなって、ほとんどの攻撃をその身に受けることになっていた。
そしてついに、敗色を悟った偽物が機体から飛び降りた直後、師匠のクーロンガンダムの拳が、偽マスターガンダムを貫いた!
その様子を見て、ドモンも安堵と感動の表情を浮かべていた。
「さすが師匠です! 見たか偽物! 師匠がデビルガンダムの手先になどなるはずがない!」
「……」
それを聞いた師匠から返ってきたのは、重い沈黙。俺にはその理由がよくわかった。
師匠も、俺も、地球再生のためとはいえ、デビルガンダムを利用するという、ドモンとは相いれない立場にいる。そしてそれは同時に、ドモンの師匠への信頼を裏切ることでもあるのだ。そのことに、師匠は心の痛みを感じているのだろう。
一方の偽物は、遠くのビルの屋上まで駆け上ると、号令をかけた!
「おのれ、かくなる上は……現れよ、オルタ・デスアーミー!!」
* * * * *
「おのれ、かくなる上は……現れよ、オルタ・デスアーミー!!」
その偽物の言葉と同時に、地面から多数の、俺たちの支配下にいる奴らとは、違う形状のデスアーミーの大群が現れた!
その数は、先ほど、新宿の地下で師匠が超級覇王電影弾で薙ぎ払ったゾンビ兵の数より、さらに多い。
俺はあわてて、師匠のもとに合流した。
「師匠、いかがなさいます? 超級覇王電影弾を使っても薙ぎ払える数ではないと思いますが……」
すると通信スクリーンに映った師匠は、苦渋に満ちた表情を浮かべた。彼がこんな表情を浮かべるのも珍しい。
それが、彼がこれからしようとしていることについて、どれだけ痛恨事かということを物語っていた。
「仕方あるまい。わしらもアレを出して迎え撃つとしよう。どうせ、いずれは馬鹿弟子にも知られることになるのだ」
「師匠……」
そして師匠は、ドモンへとすまなさそうに声をかけた。
「すまぬ、ドモン……」
「師匠……?」
そして。
「いでよ、デスアーミー、いやデスセラフ軍団!」
師匠のその号令とともに、天空からデスアーミー改めデスセラフの軍団が舞い降りてきた。
みな、デスアーミーを基に、俺の本体が手を加えたものだ。ゾンビ兵を必要とせず、俺か俺の本体、あるいは師匠の命令のみに従って動く。自ら人に害をなすことはないが、俺たちが指示すれば、躊躇なく人に害をなす存在。
「こ、これはデスアーミー……! まさか……!」
「デスセラフたちよ、あの偽物のデスアーミーをせん滅するのだ!」
師匠の号令一下、デスセラフたちは、目の前のオルタ・デスアーミーに向けて攻撃を開始した。各所で激しい戦闘が繰り広げられる。
それを見つめながら、師匠は横眼で生弟子を見た。
「信頼を裏切ってすまぬ、ドモン。これが全てよ」
「師匠……そんな……」
衝撃を受けるドモンの視線を受け止めながら、師匠は話を続ける。
「だが一つだけ言っておきたい。わしもジャンヌも、デビルガンダムを利用しようとしていることは確かだが、そこには邪心も私利私欲もない。わしらが成し遂げねばならぬこと、わしらの志のためじゃ。今のお主には信じられぬことかもしれぬがな」
「……」
「じゃが、あの偽物の背後にいるものは違う。きゃつめは、どこかから入手したDG細胞を使い、それを改変したものを使って、その力で世界を支配しようとしている。あの偽物はその手先よ」
「師匠……教えてください、師匠たちがデビルガンダムを利用してまで成し遂げなければならないこととは……その志とはなんなのです!?」
そのドモンの問いには、俺が答えることにした。
「それは教えることはできません……」
「ジャンヌ・エスプレッソ……なぜだ!?」
「今のあなたには教えても、理解することができないでしょう。今のあなたには、それだけの心も力も、まだ身についていないのです。その状態で教えても、その後には悲劇が待つだけ……。それを許すわけにはいかないのです」
「……だが、それでも……!」
と、そこで師匠が一歩踏み出して、再び口を開いた。
「どうしても知りたいか? ならば……ジャンヌと戦ってみせよ」
「「!?」」
* * * * *
突然、師匠が指示した、俺とドモンとの決闘。それには思わず、俺も驚きを禁じ得なかった。
「今一度言う。ドモン、ジャンヌと戦ってみせい。それでわしがお主に明かしても大丈夫と思えば、すべてを教えてやろう」
「し、師匠?」
そう聞き返す俺に、師匠はにやりと会心の笑みを浮かべた。
「お主にも、成し遂げたい願いがあるのであろう? ならばドモンと戦ってみせよ。そうすればその願いへの道が見えてくるであろう」
「師匠……」
俺はそう茫然と師匠を見つめていた。だが、師匠の言葉からは嘘偽りは感じられなかった。師匠には、俺では見えていなかったものが見えているかもしれない。俺が求める未来に続く道が。
ならば、それを断る理由はない。
「……わかりました!」
力強く答え、戦闘態勢をとる。そして、一方のドモンも。
「こおおおぉぉぉいっ! ガンダアアアァァァァムッッ!」
指を鳴らし、シャイニング・ガンダムを呼び出す。
そして二人とも構えを取る。
「行くぞ、ジャンヌ・エスプレッソ! 師匠の真意を知るために、お前を倒す!!」
「受けて立ちます、ドモン・カッシュ! 私の望む未来のために!!」
そして互いに一歩を力強く踏み出す。
「ガンダムファイトッ!」
「レディィィィゴオォォォォ!!」
そして、俺とドモンとのガンダムファイトが始まった。俺のオルタセイバーの突きを、ドモンのシャイニング・ガンダムがかわして、蹴りを放つ。俺はその蹴りをバク転して回避。横一文字に斬撃を放った。
それをかわしたドモンは、両手にビームソードを持ち、斬りかかってきた! 俺はそれを、同じく二刀流に構えたビームセイバーでさばいていく。
「なかなかやりますね……。さすがはキング・オブ・ハート」
「お前もな」
「では、次はこちらから行きます! スプラッシュ・ソード!!」
俺はスプラッシュ・ソードの無数の突きを放った。それに対してドモンは……。
「どれが本物の剣かわからん。ならば、全てさばききるのみ! 必殺、シャイニング・シャドー!!」
なんと何体ものシャイニングに分身し、無数の突きを全て、その分身でさばいていった!
そうして激闘を繰り広げる俺とドモンを、師匠はただ静かに見つめているのみ。
そして。
「今度はこちらの番だ! 必殺! シャイニング・フィンガアアアァァ!!」
「必殺! 絶対勝利・エクスカリバーン!!」
そして、ドモンのシャイニング・フィンガ―と、俺のエクスカリバーンが激しくぶつかりあった!
数瞬かもしれない、だが一時間か、もしかしたら一日かもしれない。そんな短くも長い時間。
それだけの間、二人の技がぶつかり合い、火花を散らしていく。
だが、それは突然、終わりを迎えた。
ドモンが突然、技を解き、拳を降ろしたのだ。
「ドモン、なぜ拳をひいたのですか?」
「わからん……だが見えたんだ。死にゆく師匠を、俺が抱きかかえ、看取る姿を。そして感じた。今、お前たちと戦うべきではない、と」
あぁ……どうやら、俺の剣から、悲劇の可能性を感じ取ったらしい。もしかしたら師匠が俺たちにファイトを命じたのは、このためだったのかもしれない。その証拠に、師匠は腕を組んだまま、満足そうな笑みを浮かべている。
そして師匠が口を開いた。
「うむ。見事……とはいえんが、一応及第点はあげられるであろう。それでも、お主に全てを明かすことはできんがな」
「師匠……」
だがその時!
突然、地面が揺れて割れ、奥底から何かが現れた!!
ファンアート、そして感想、募集中です!
* 次回予告 *
皆さん、お待ちかねぇ!
ジャンヌとドモンのファイトの決着が着いたのもつかの間、偽物のマスター・アジアの手により、あの悪魔が現れます!
それを迎え撃つ、東方不敗マスター・アジアの一党と、ドモンたち新生シャッフル同盟の連合軍!
しかし、ドモンの迷いと、悪魔の恐るべきパワーに、彼はピンチに陥ります。
そこに、謎の覆面の男が現れ、ドモンに助太刀するのです!
次回、『ちょっと待って。なんで俺、Gガンダム世界にTS転生して、東方師匠と拳交えてるの!?』
第9話『出現! アナザーデビルガンダム』
にReady Go!!
それではみなさん、5/29 12:00にまたお会いいたしましょう!