ちょっと待って。なんで俺、Gガンダム世界にTS転生して、東方師匠と拳交えてるの!? 作:ひいちゃ
さて、アナザーデビルガンダムを倒すことに成功したドモン・カッシュたちシャッフル同盟は、ここ、かつてドモンがその師、東方不敗・マスターアジアのもとで修業に励んだ地、ギアナ高地に再び降り立ちます。
師匠とジャンヌの真意を知るため。そして、デビルガンダムを止めるため、さらなる力を得るために。
果たしてうまくいくのでしょうか? そして、ドモンたちを追って、このギアナ高地に降り立ったジャンヌたち、新生デビルガンダム四天王の暗躍の結果は?
「我が執事をあそこまでもてなしてくれた礼、私の新技で返させてもらいましょう」
今回のカードは、なんと! ネオ・チャイナ代表サイ・サイシーのドラゴンガンダム対、ネオ・ロシア代表アルゴ・ガルスキーのボルトガンダムという夢のカードです!
それでは、ガンダムファイト、Ready Go!!
夜の闇の中、最低限の警備を残し、ひっそりと眠りについているネオ・ロシアのキャンプ。
崖の上から俺……TS転生者ガンダムファイター、ネオ・ノルウェー代表、そして新生デビルガンダム四天王ナンバー2こと、ジャンヌ・エスプレッソは見下ろしていた。
「さて……それではそろそろ行きましょうか」
俺はそうつぶやくと、愛機であるガンダム・オルタセイバーに乗り込んだ。それと同時に機体が変形をはじめる。
後頭部の一部が細長く伸び、弁髪のようになる。両手が変形し、竜のアギトに似た形になる。
カラーリングも、緑を基調としたものに変化していく。
「……よし」
俺のオルタセイバーは、DG細胞による擬態効果により、ネオ・チャイナのドラゴンガンダムに酷似した姿に変化した。よく見ると違うところは多いが、夜襲をしかけるのだから、これぐらいで十分だろう。
「それではいきますか」
* * * * *
その夜、ネオ・ロシアのキャンプは、混乱と喧騒に包まれた。
崖の上から、モビルファイターらしき機体が飛び降りてきたのだ! 無人のトレーラーを踏みつぶしたそれを見た、ネオ・ロシアスタッフは驚愕する。それは……。
「ね、ネオ・チャイナのドラゴンガンダム!?」
「ど、どうしてここに!?」
そう戸惑いの声をあげるスタッフの声をよそに、ドラゴンガンダムらしき機体は、その左腕を仮設の倉庫へと向ける。中にいるスタッフたちが全員出ていくのを確認すると、その左腕の竜のアギトから火炎を発射! 倉庫を焼き尽くす。
「これ以上好きにはさせん、ネオ・チャイナめ!」
その声とともに、別の倉庫から、ネオ・ロシアの
だが、三機が戦闘態勢をとる前に、侵入者はフェイロンフラッグらしき武器を構え、突進していく。そして、その先に発振したビームサーベルで、ネオ・ロシア機の一機を一刀両断! パイロットが脱出した直後、機体は爆散した。
横に回った一機が銃を撃とうとするも、ドラゴンもどきは右腕を伸ばし、竜のアギトでその機体の頭部をわしづかみにした。そしてその機体を振り回すと、もう一機に投げつけた。
そして、武器をかまえて一歩踏み出す。慌てて、パイロットが脱出したところで、その二機を一刀両断!
爆散したのを見届けると、ドラゴンガンダムらしき機体は、天高く跳躍して飛びさっていったのだった。
* * * * *
その数時間後、ネオ・チャイナのキャンプでも、同じような事件があった。ボルトガンダムに酷似した機体が、キャンプを襲撃したのだ。
だが、それらの事件には不可解なところがあった。いずれも事件でも、死傷者は一人も出ていないのだ。
襲撃者は、コクピットを外して攻撃したり、スタッフが脱出したのを見届けてから、施設を攻撃するなど、極力死傷者が出ないように動いていたのだ。
とはいえ、施設自体が受けた被害は甚大であり、それはネオ・ロシアとネオ・チャイナの両者に疑心暗鬼を植え付けるに十分であった。
* * * * *
その翌日。ネオ・チャイナのキャンプは喧噪に包まれていた。
ネオ・ロシアチームを仕切る女傑、ナスターシャ・ザビコフが、ネオ・チャイナチームの恵雲に問い詰める。
「あの姿はどう見てもドラゴン・ガンダムだった! 言い逃れはできんぞ! 私たちのキャンプを襲撃したのは、ネオ・チャイナだろう!」
一方の恵雲、瑞山も負けてはいない。逆に反論し、問い返す。
「知らんものは知らん! サイ・サイシーのアリバイは完璧だ! こちらこそ、キャンプをボルト・ガンダムらしい機体に襲われたのだ! 襲撃してきたのはそなたたちであろう! 被害者は我らのほうだ!」
「なんだと!?」
口論を続ける両チームのスタッフ。口論は徐々に冷静さを失い、ヒートアップしていった。このままでは、西暦時代から続いていたネオ・ロシアとネオ・チャイナの蜜月も終わりを迎えてしまうかもしれない。それほどに口論の場は、怒りの炎に包まれていた。
一方、その口論をつまらなさそうにながめるサイ・サイシーと、目を閉じたままその傍らに座り込むアルゴ・ガルスキー。ファイターである彼らには、国家間の色々は関係ないし、興味もない。何より、お互いは、相手がそんなことをする人物ではないとわかっているのだ。
やがて、サイ・サイシーが口を開いた。
「つまんないことしてんなよ。白黒つけたいんなら、俺たちファイターには、ぴったりの方法があるだろ?」
その言葉に、ナスターシャと恵雲、瑞山が、そろって言葉の主のほうを向いた。
* * * * *
「それじゃいくぜ。アルゴの兄貴、準備はいいかい?」
「おう。言うまでもない」
ネオ・チャイナキャンプの付近、そこでサイ・サイシーのドラゴン・ガンダムと、アルゴのボルト・ガンダムが対峙していた。全ては、このガンダムファイトで白黒決着をつけよう、という話になったのだ。
互いに身構える二機。そして。
「よーし、それじゃあ! ガンダムファイトっ!」
「レディーゴーー!!」
互いの掛け声が戦いの合図! かくしてファイトははじまった!
先手をとったボルト・ガンダムがタックルを仕掛けてきた! それに対し、サイ・サイシーは前方に構えたビーム・フラッグを地面に突き立て……。
「そーれっ!」
棒高跳びの要領で高く跳躍!
フラッグをかまえ、空中からボルトに襲い掛かる!
「甘いぞ!!」
それに対して、アルゴはパンチで迎撃! 重量級のパンチを放つ! それに対し、サイ・サイシーはフラッグを前方に構え、旗で自らをかばうようにした!
「それで俺のパンチを防げると……なに!?」
パンチがフラッグを突き破った! ……しかし、その向こうにドラゴン・ガンダムの姿はない! そこにあったのは、落ちていくフラッグの柄だけであった。
そして背後から――!
「もらったぜ兄貴! ……ってうわっ!?」
ボルトの背後からドラゴンクローを伸ばして放ったドラゴンガンダムだが、そのクローをアルゴにつかまれてしまう。
「この俺を甘くみるな!!」
そして、そのクローをつかんだまま、ドラゴンを一本背負いし、地面にたたきつける!
「ぐぅっ……!」
衝撃に顔を歪ませるサイ・サイシー。しかしすぐに立ち上がり、飛びのいて距離を取る。
* * * * *
そのボルト・ガンダムとドラゴン・ガンダムの戦いを、俺……ジャンヌ・エスプレッソは崖の上から眺めていた。
二機ともどんどん動きが鋭く、力強くなってくる。そればかりではない。二機から感じるオーラも、パワーを増している気がする。
この調子なら、あともう一押しで、新たな力を覚醒させてくれるだろう。
俺は音なき指笛を吹いた。
* * * * *
激しいファイトを繰り広げる、アルゴとサイ・サイシー。
そこで彼らは何かに気づいたようだ。
「な、なんだ!?」
「あ、あれは!?」
それは、天空から舞い降りてくる、ドラゴン・ガンダムや、ボルト・ガンダムを模した、デスセラフの群れだった。
「なるほどな……。襲撃事件の裏にはジャンヌがいたってことか」
「オイラたちはあの姉ちゃんに一杯食わされたってことだね」
そう会話を交わしている間にも、デスセラフたちは舞い降り、ドラゴンとボルトを取り囲む。
だがそれでは、二人の不敵さは変わらなかった。
「それじゃ、アネキにそのお返しをしなくちゃな! こいつらを全滅させることでさ!」
「あぁ。これだけの数で、俺たちを倒せると見くびってるのを後悔させてやらないとな!」
そして二機は、デスセラフたちとの攻撃に突入した!
* * * * *
「うぉりゃあ!!」
アルゴが、組んだ両手をデスセラフに叩きつけて、叩き潰す。だが、その背後から別のデスセラフ(ドラゴン)が襲い掛かり、ドラゴンクロウから炎を放つ。
「うおお! なめるなああぁぁぁ!!」
だが、アルゴはそれにたじろぐことなく、その機体を焼かれながら突っ込み、その拳をデスセラフに叩きつける!
「ちっ、まだまだぁ!」
ボルトを模したデスセラフのタックルで吹き飛ばされたドラゴンが、負けじと立ち上がり、そのデスセラフの頭部をドラゴンクロウを伸ばしてわしづかみにし、そのまま振り回して放り投げる。
やはり二機の強さでも、数の暴力の前には分が悪いようだ。それでも、彼らの闘志は衰えることを知らない。いや、そればかりか、どんどん技の威力も、動きの鋭さも上がっていく。
そして……!
「うおおぉぉぉぉ!!」
ボルトガンダムが金色に輝くと、その拳を一機のデスセラフに叩きつけた! その衝撃で、数機のデスセラフが一気に吹き飛ばされる。
その様子を見て、ナスターシャは唸った。
「おぉ、これは……! 今までアルゴのパワーが足りなくて発動できなかった、ボルト・ガンダムの『パイレーツモード』!! この大量のデスセラフとの戦い、その窮地が彼に、このモードを発動させる力を開眼させたのか! よくやったぞ、アルゴ!!」
その様子を見て、サイ・サイシーもにやりと笑った。機体には大小さまざまな損傷が刻み付けられていたが、負けるとは想像できないような威風堂々としたたたずまいで。
「へへ、やるじぇねぇか、兄貴! オイラもそれにつられて……」
ドラゴンガンダムもまた、金色に輝いていた。
「なっちまったぜ!!」
ドラゴンガンダムが回転しながら両腕のドラゴンクローから炎を発射する。その炎は周囲のデスセラフたちをことごとく、焼き払っていった。
そして、焼き尽くされたデスセラフたちが倒れる中、かっこよくポーズをとる金色のドラゴン・ガンダムを見て、恵雲と瑞山の二人も、感激したように声をあげた。
「おぉ……!」
「あれは!」
「ドラゴン・ガンダムに内蔵された秘密のモード、フェニックスモード!」
「この激しい戦いが、彼にフェニックスモードを発動させる力を目覚めさせたのか!!」
「「見事じゃ、サイ・サイシー!!」」
そして新たなる力を得た二機は、そのパワーで次々と周囲のデスセラフたちを蹴散らしていく。
長きにわたる決着の末、キャンプを襲撃したデスセラフたちは一機残らず破壊されたのだった。
その戦いを見届けたナスターシャ、恵雲、瑞山の三人はそれぞれ似たようなことを口に出していた。
「今のアルゴになら使いこなせることができるかもしれんな。ガンダム・ボルトクラッシュを」
「力に目覚めたサイ・サイシーになら任せることができよう」
「我らが決勝のために用意した、ガンダム・ダブルドラゴンを」
* * * * *
そして戦いの後、お互いへの疑いは解け、話し合いも無事にまとまった。
もっとも、今回の襲撃自体、第三勢力であるジャンヌの仕業だったので、話し合いも何もないのだが。
そして、ファイターの二人、サイ・サイシーとアルゴも、拳をぶつけあって、お互いの健闘を称えあっていた。
「見事な戦いだったぜ、アルゴの兄貴!」
「お前もな、サイ・サイシー。ネオ・チャイナの代表にふさわしいファイトだった」
そして二人同時ににやりと笑う。
「今度、ジャンヌの姉貴に会ったら、お礼しとかないとな!」
「あぁ。俺たちが新たに得たこのパワーでな!!」
そう笑いあう二人の背後に立つ、二機のガンダムを、夕日が優しく照らし出していた。
* * * * *
そんな様子を、俺……ジャンヌはずっと眺めていた。彼らも新しい力に目覚めてくれたみたいだ。後はドモンか……。
ドモンは、いまだ明鏡止水には目覚めていないが、どうなることやら……。
と、向こうから何かが飛んできた。よく見ると、それは小鳥……いや、小鳥を模した、DG細胞で作られた通信用ドローンだ。師匠……東方不敗・マスターアジアと俺との連絡用に作り出したものである。
そのドローンは、俺の腕に止まると、師匠の声で話し始めた。
「ジャンヌよ、馬鹿弟子たちの修行のほうはどうじゃ? もう一週間ほどで決勝大会がはじまる。早く計略を終わらせ、戻ってくるがよい。待っているぞ」
そう言い終えると、ドローンは炎に包まれ、燃え尽きた。
あと一週間か……。これは、のんびりと覚醒を待っていても、いや、普通に策を施しても、間に合わないかもしれない。多少、手荒な手段をとるしかないか……。
俺はそれまで緩んでいた表情を厳しく引き締めた。
感想、そしてファンアート、絶賛募集中です!
それと、テテテの続編『テテテ
* 次回予告 *
みなさんお待ちかねぇ!
ガンダムファイトの決勝大会が目前に迫りました!
しかし、未だ修行を完了できないドモン!
そのドモン、そして他の四人の元に、デスセラフの軍団が襲い掛かります!
そしてジャンヌは、この包囲網を突破し、自分の元に駆け付けるようにと迫るのです!
果たして、ドモンたちはこの包囲網を突破することができるのでしょうか!?
次回、『ちょっと待って。なんで俺、Gガンダム世界にTS転生して、東方師匠と拳交えてるの!?』
第14話『決勝目前! 迫るジャンヌ包囲陣!!』
にReady Go!!
それではみなさん。6/13 12:00に、またお会いいたしましょう!