ちょっと待って。なんで俺、Gガンダム世界にTS転生して、東方師匠と拳交えてるの!? 作:ひいちゃ
さて、アナザーデビルガンダムを倒すことに成功したドモン・カッシュたちシャッフル同盟は、ここ、かつてドモンがその師、東方不敗・マスターアジアのもとで修業に励んだ地、ギアナ高地に再び降り立ちます。
師匠とジャンヌの真意を知るため。そして、デビルガンダムを止めるため、さらなる力を得るために。
果たしてうまくいくのでしょうか? そして、ドモンたちを追って、このギアナ高地に降り立ったジャンヌたち、新生デビルガンダム四天王の暗躍の結果は?
『あなたは所詮、ここまでが限界の人でしたか。残念です』
今回のカードは、ついにです。再びのカード、ドモン・カッシュのシャイニング・ガンダム対ジャンヌ・エスプレッソのガンダム・オルタセイバー。
皆さん、果たしてどのようなファイトが繰り広げられるか、どのような結末を迎えるか、刮目して見るとしましょう。
『あなたは所詮、ここまでが限界の人でしたか。残念です』
ジャンヌがそう言うと、彼女が乗るガンダム・オルタセイバーはビームセイバーを振り上げた。
そして、感情を押し殺した、冷たい声で言い放つ。
『ですが、悔やむことはありません。あなたの散華も、私たちの理想、計画の糧となるのですから』
その声、その口調にドモンは悟る。彼女は自分を見限り、抹殺するつもりだ、と。
そして自分のシャイニング・ガンダムは、ここまでの無理が祟り、機能不全を起こし、一歩も動けない状態。彼女の刃をかわすか防ぐ術はない。
目の前に待ち受ける死を受け入れるしか、彼の選択はなかったかに思われた。
『……散りなさい』
彼女の剣が振り下ろされる。
目の前に迫る死。その死の前に、ドモンの心は今までになく透き通り、無となっていく。何も聞こえず、全てが止まって見える。
シャイニングの機能が、彼の変化に反応して再起動する音が鳴っていたが、それすらもドモンの耳に届くことはなかった。
そして。
振り下ろされたジャンヌの剣。それはシャイニング・ガンダムを切り裂くことはなかった。ドモンが流れるような動きで、それを回避したからである。
「この動きは……」
ジャンヌがそうつぶやく。
さらにシャイニングは流れる動きで、ガンダム・オルタセイバーに迫り、次の瞬間には、オルタセイバーの手からビームセイバーが落ちていた。ドモンの一撃が、ジャンヌが攻撃されたと認識する間もなく、彼女の手からビームセイバーを弾き飛ばしていたのだ。
そして、シャイニングは彼女の背後で止まった。ジャンヌもそちらに向きなおる。
* * * * *
シャイニングのコクピットで、ドモンは自らの変化に驚いていた。
荒々しいファイトしかできない自分。そんな自分がこんな戦いができるとは。
だが、この動き、この境地。それが何か、今の自分にはわかる。これこそ、自分が身に着けるべきだったもの――。
「これが……明鏡止水……」
そうつぶやくドモンに、ジャンヌからの通信が届く。
『まさか、あそこで明鏡止水に覚醒するとは……私はあなたを見くびっていたようですね』
「ジャンヌ……」
そこでジャンヌは表情を引き締めた。その顔から熱き闘志が感じられる。
『では改めてファイトをはじめましょう。手加減はしません』
「……おう!」
そして二機とも動き出す。初手は、ジャンヌが得意とする技……。
『スプラッシュソード!!』
無数の突きがシャイニング・ガンダムを襲う! だが、明鏡止水に目覚めたドモンには、その剣を見切るなど造作もない。流れるような動きで、その突きをことごとくかわしていく。
『!!』
ジャンヌが気が付いた時には、目の前にシャイニングの拳が迫っていた! 彼のパンチが放たれたことにさえ、気が付いていなかったのだ。
慌ててそれをなんとかかわす。だが交わしきることはできず、頭部のアンテナの先が折られてしまった。
『それなら、これはどうです!?』
その状態からビームセイバーの横凪ぎを放つ! シャイニングはそれも流れるようにかわすが、その瞬間、ジャンヌは剣を持ち替え、横凪ぎから突きへと派生させた!
「!!」
さすがにこれにはドモンもとっさに反応できず、なんとか明鏡止水の動きで回避するが、胸部装甲に一筋の傷ができてしまった。
* * * * *
その後も、バトルは続いた。
俺……ジャンヌが鮮やかな剣さばきで攻めるも、ドモンがそれを流れるようにかわす。
ドモンの烈火のように激しい攻めを、俺が剣を自由自在に操って防ぐ。
俺の突きを紙一重でかわし、ドモンがその懐に飛び込んで背負い投げを決める。倒れた俺に追撃しようと、上空から襲い掛かったドモンを、俺は上空へのスプラッシュ・ソードで迎撃。
そして激突!
ドモンが着地した時。
「……っ」
俺の左肩に激痛が走る。オルタセイバーの左肩が今の攻撃で破損した。一方のドモンも……。
『ぐぅっ……』
同じく膝をつく。シャイニングの右肩の肩当てにはひびが入っていた。
だが、戦いはまだ終わらない。
シャイニングは、立ち上がると、こちらに向けて突進してきた!
『必殺! シャイニング・フィンガアアァァァァ!!』
「スプラッシュソードオオォォォォ!!」
お互いの必殺技がぶつかり合った! そして閃光が走る。
* * * * *
次に気が付いた時、俺とドモンは一糸まとわぬまま、白い空間にいた。今の技のぶつかり合いで、交感が発生したのか。
その白い空間の中で、俺たちは原作での出来事を垣間見る。
「デビルガンダムを地球にやさしいガンダムに作り替える」と戯言を言うウォンを、師匠が一喝する。
『笑わせるな! 優しいという言葉を勘違いしているのではないか、この政治屋め! よいか、わしの目的はな。この地球人類の抹殺なのだぞっ!!』
その師匠の真意に、原作のドモンも、そしてこちら側のドモンも絶句している。
そして、原作ドモンの怒りに、師匠はさらに言葉を返す。
『わからぬか? 地球を汚す人類そのものがいなければ、自然は自ずから蘇る! そして最強の力を持ったデビルガンダムがいれば、もう誰も地球に降りられなくなる。それがいい、それが一番だ! そのためならば、人類など滅びてしまえ!!』
「師匠がこんなことを……!」
震える声でそうつぶやくこちら側のドモンに、俺は諭すように返す。
「いいえ。師匠がこんな狂人じみた考えを持たなければならないほど、ガンダムファイトと人類の営みによる自然の破壊は進んでいた、ということです。この結論に至ったことに一番絶望していたのは、誰よりも彼だったでしょう……」
「……」
そして次に浮かんだのは、二人の最後のぶつかり合いのシーン。
『東方不敗! あんたは間違っている!』
『なにぃ!?』
『なぜならあんたが抹殺しようとしている人類もまた自然の中から生まれたもの。いわば自然の一部!』
『……っ』
『それを抹殺して、何が地球の、自然の再生だ! そう、共に生きる人類を抹殺しての理想郷など、愚の骨頂!』
そして、師匠とドモン、二人の石破天驚拳がぶつかりあった。そしてシーンは、最後の別れのシーンに変わる。
『なぁ、ドモン……お前には教えられたよ……。人類もまた自然の一部、それを抹殺するも、地球を破壊するも同じ。わしはまた、同じ過ちを繰り返すところであった……』
『師匠……!』
俺とこちら側のドモンも、その光景を静かに見守っている。
『なぁ、ドモンよ……。お前と新宿で出会わなければ、お前がガンダムファイターになどならなければ、こんなことにはならなんだのに……!』
そして再び、視界が白く染め上げられる。
* * * * *
気が付くと、俺たちはお互いの機体のコクピットにいた。
『ジャンヌ、それならお前たちも、あの時間軸の師匠と同じように……!?』
「いいえ。私たちはそれとは少し違う道を歩んでいます。師匠、そして私も人類の抹殺までは考えていません。人類を生かしたまま宇宙に追いやり、デビルガンダムの力で地球を閉ざし、自然の再生を促す。それが私たちの目的」
『なんと!?』
会話を交わしながらも、俺たちの力、ぶつかり合いは緩むことはない。
「あなたも見たはずです。ガンダムファイトと人類の環境破壊により各地が荒れ果てていくのを。人類が地球にいては、やがて地球は、自然は、人類に食い荒らされていくのは必定。人類は地球を出て、地球自らの手に地球を返すべきなのです。私たちはそれを強制的に行っているだけ」
『ジャンヌ……』
「ドモン、あなたはそれでも私たちに敵対するのですか? いまだに人類の地球破壊を見逃すのですか? はあっ!!」
そして、お互いのぶつかりあったパワーがはじけ、俺たちは互いに大きく飛びのいた。
そこから少しの沈黙。そして。
『ああ! 俺はそれでもあんたたちを認めることはできん!』
「!?」
直立したまま、ドモンは続ける。
『あんたの言うこともわかる。確かに人類はこれまでずっと地球を傷つけてきた。あんたや師匠がそれを憂う気持ちもわかる。だが! 人類を抹殺することと、人類を無理やり追い出すことの、どこが違うんだ!』
「……」
『向こう側の俺は言っていた。『人類を抹殺しての理想郷など愚の骨頂』と。ならば、人類を追い出しても同じこと! 人類を排除しての理想郷作りなど愚の骨頂以外の何物でもない!』
「……」
『どうすればいいかはまだわからない。だが、少なくともあんたたちのやろうとしていることは短絡的で誤った道であることは確かだ! 他にも、地球を救う道はあるはず!』
「……ふふ」
思わず笑みが漏れ出てしまう。ドモンがこの時点でここまで成長するとは。しかも、こちら側のドモンは、向こう側とは違い、これまでのこと、そして俺たちの憂いも理解したうえで、それでも違うと断じてきたのだ。彼は、俺が思っていたよりも大きく成長していた。
「見事です。よくぞそこまで答えを導き出しました。ですが、こちらにも譲れないものがあります。これ以上は議論しても詮無いことでしょう」
『最後はこの拳で、ということか……いいだろう』
そしてお互いに再び構える。
* * * * *
崖の上、そこで俺のガンダム・オルタセイバーと、ドモンのシャイニング・ガンダムは向かい合い、気を高めあっていた。
この戦いは、ただのぶつかり合いではない。互いの想いを、考えを、意思をぶつけ合う戦いだ。手抜きは許されない。
俺の身体が熱い気で満たされてゆく。それは向こうも同じようだ。シャイニングからも激しくも静かな気を感じる。
そして。
「必殺! 絶対勝利・エクスカリバーンッ!!」
『必殺! シャイニングフィンガーソード・夢幻剣っっ!!』
そしてお互いの剣技がぶつかりあう。すれ違う二機。
そして二機とも同時に膝をついた。
「相打ちだと言いたいところですが……私の負けですね」
『ジャンヌ……』
そう、俺のガンダム・オルタセイバーは首を斬り落とされていた。ガンダムファイトのルールに従っても、それ抜きでも、俺の負けなのは一目瞭然だろう。
だが、デビルガンダム細胞で強化された俺のガンダムは、それぐらいの損傷でも問題ない。すぐに細胞の再生が始まり、新たな頭部が形成される。
「約束です。デスセラフたちを撤退させましょう」
そして俺は、音無き指笛を吹いた。
* * * * *
自分たちが戦っていたデスセラフたちが撤退していく。その様を、恵雲、瑞山の二人は互いに背中を向けあいながら見ていた。
「おぉ……」
「デスセラフたちが撤退していく……」
それは、シャッフル同盟の四人も。
「奴らが撤退していく……」
「ということは、アニキが勝ったんだな! やったなアニキ!」
「やれやれ、なんとか助かりましたね」
「うむ……」
デスセラフ軍団が引き上げた後の空は、美しい青に彩られていた。
* * * * *
「あなたたちの勝ちです。さぁ、行きなさい、決勝の会場へ」
『あぁ』
「ですが、勘違いしないように。あなたたちの理の一部を認めただけです。全てを認めたわけではありません。私たちはこれからも活動を続けます」
『ジャンヌ……』
「地球が人類の営みとファイトで破壊されるか、それとも私たちによって閉ざされるか、別の道が開けるか、それはこれからのあなたたち次第です。せいぜい励むことですね」
『……』
「さぁ、行ってください。決勝で会いましょう」
『……あぁ!』
そしてシャイニングは、仲間たちの元へ飛び立っていった。それを俺は、静かな目で見守り続けていた。
感想、そしてファンアート、絶賛募集中です!
それと、テテテの続編『テテテ
* 次回予告 *
皆さんお待ちかねぇ!
ついに始まるガンダムファイト決勝大会!
意気揚々と緒戦に挑むドモンですが、そこで彼は思いもよらぬ危機に見舞われるのです!
その一方、大会にはあの男も姿を現したではありませんか!
次回、『ちょっと待って。なんで俺、Gガンダム世界にTS転生して、東方師匠と拳交えてるの!?』
第17話『決勝開幕! 緊急事態ゴッドフィンガー発動せず!?』
にReady Go!!
それではみなさん。6/22 12:00にまたお会いいたしましょう!