ちょっと待って。なんで俺、Gガンダム世界にTS転生して、東方師匠と拳交えてるの!? 作:ひいちゃ
さてさて、いよいよ決勝大会がはじまりました。
好試合の連続に、会場では熱狂がおさまりません。
ですがその裏で、自然の破壊が進んでいるのが、なんともまぁ……。
『俺は、勝ち続け、仲間たちを釈放してもらわなければならん。ここで負けるつもりはない。だが、そのためにも、俺なりのケジメとして、彼の怒りと憎しみを全て受け止めなければならんのだ。そうしなければ、俺は前に進み、勝ち続けることはできん。俺はそんな不器用な男なのだ』
さて、いよいよ我らがジャンヌの初陣です。果たしてどのようなファイトを見せるのか?
彼女の緒戦の相手はなんと、あのミケロ・チャリオット! そのガンダムは……まだ内緒。彼女のファイトに期待しましょう。
それでは、ガンダムファイト! Ready Go!!
俺……ジャンヌ・エスプレッソは、青コーナーのバンカーにて、ガンダム・オルタセイバーに乗り込み、試合の準備をしていた。
その足元では、ネオ・ノルウェーのスタッフが、出撃のための準備をしてくれている。もっとも、俺のオルタセイバーは
なお、スタッフには、損傷したガンダム・ピュセルを現地改修したと話してある。さすがに、DG細胞によって強化されたとは言えないからな。
「……っ」
準備をしている最中、軽いめまいが俺を襲った。幸いにも、試合に影響を与えるようなひどいものではなかったが。
だけど……。
「少しずつ限界が近づいているのかもしれませんね……」
DG細胞によって作られたこの体に刻まれた、これまでの戦いでの小さな傷。それに身体が悲鳴をあげているのかもしれない。
せめて、ことを成すまでもってほしいのだが……。
俺はそっと、自分の胸を撫でた。
「一緒に頑張りましょうね、私の身体」
そこで、レフェリーによるコールが為された。俺は、スタッフが周囲から退避したのを見届けると、オルタセイバーを起動させ、リングへ一歩を踏み出した。
* * * * *
リングに出た俺は驚いた。俺の対戦相手は……ところどころ違うが、ミケロ・チャリオットのネロス・ガンダムじゃないか! というか彼は、ウォンの手下になって、とうにヘブンズソードに乗ってると思っていたのだが。
「ミケロ、あなたも決勝大会に出ていたのですね」
「あぁ。幸いにも、ネオ・メキシコの市民権を取れたんでな。チコ・ロドリゲスの代わりにネオ・メキシコのファイターになったのさ! 今度こそお前をぶち倒してみせるぜ。このガンダム・ルチャリブレでな!」
「それは楽しみです。でも、私もただでは負けませんよ」
二人同時に笑みを浮かべる。
そして、レフェリーの試合開始のコール。
「「ガンダムファイト・レディーゴオオオォォォォ!!」」
* * * * *
そして試合が始まった!
先手は俺がとらせてもらう! 俺のガンダム・オルタセイバーがビームセイバーを横凪ぎにふるった! だが、ミケロのルチャリブレはそれを軽やかなステップでかわした。そして反撃でキックを返してきた。迅い!?
かわせないと思った俺は、ビームセイバーでその蹴りを受け止めた! かなりの衝撃が伝わり、思わず吹き飛ばされそうになる。足回りだけでなく、そのパワーも強化されているようだ。
「くっ……!」
俺は後方に飛んで、その衝撃を逃がすようにした。そして態勢を立て直す。しかし、ルチャリブレは逃さず、俺に突進してきた! 俺は立ち上がると、ビームセイバーの斬撃を、カウンターでルチャリブレの顔面目掛けてはなった!
それをよけようと、ミケロが態勢を崩したところで。
「お返しです、スプラッシュソード!」
スプラッシュソードで追撃! だがなんと、ルチャリブレは、あの銀幻の脚でそれを迎撃した!
俺のビームセイバーと、ミケロの蹴りが激しく何度もぶつかり合う!
そして、二機が交差! 二機同時に膝をつく。
でも、まだまだ終わらない! 俺は縦横無尽にビームセイバーを振るい、ミケロのルチャリブレを攻撃する! しかし、ミケロも負けてはいない。ルチャリブレの拳や蹴りで、それをさばいていく。
それからも続く激しいバトル。俺のビームセイバーと、ミケロの蹴りと拳が激しくぶつかりあう。
そのファイトに、周囲からは歓声が聞こえてくる。
そして。俺のビームセイバーの突きが、ルチャリブレの頭部をかすめ、ミケロの蹴りがオルタセイバーの左肩をかすめた! そして、またも同時に飛びのく。
わあああああああ!!
周囲から湧き上がる、熱狂に満ちた歓声を聞き、俺は思わず笑みを浮かべる。それはミケロも同じだろう。
その彼から通信が入る。
『楽しいなぁ……。メキシコでお前とやりあった時を思い出すぜ』
「奇遇ですね、私もです」
『さぁ、ここからは本気でいくぜ!』
「のぞむところです!」
そして、ミケロのルチャリブレは勢いよく突進してくる! 俺も、闘争本能の赴くままに、突進する。しかし!
「……!?」
突然、激しいめまいが俺を襲った!
* * * * *
「……!?」
突如、激しいめまいが俺を襲った! そして態勢を崩したところに、ミケロの蹴りがさく裂! 俺は吹き飛ばされてしまった。
「くっ……」
ふらふらしつつもなんとか態勢を立て直すが、めまいは続いたまま。ミケロは一瞬、戸惑った動きを見せたが、すぐに立ち上がった俺に襲い掛かった!
そして激しい蹴りを浴びせてくる!
「……っ」
「オラオラ、どうしたどうしたぁ!!」
そう言いながら襲い来るミケロの蹴り。まさに銀幻の脚というにふさわしい無数の蹴りが俺を襲う。俺はそれをガードして防ぐのが精いっぱいだ。その激しさに、ついに俺のガードが弾かれてしまう!
「オラァ!!」
そこに強烈な一撃を喰らい、またも吹き飛ばされる。だが、その時。
「……!」
俺の心に響いてくるものがあった。それは……蹴りに秘められた彼の、俺への失望、そして檄……?
また立ち上がった俺に、またもミケロは俺に猛攻を仕掛けてきた! その一発一発は重く、激しく、そして熱い。
『どうしたどうした!? まさか、これで終わりなんてことはないよなぁ!?』
「……っ」
『俺はあんたを超えようと思って、ここまで頑張って、力と技を磨き上げてきたんだ。そんな俺の歩みを、想いを、こんな下らない試合で終わらせてくれるわけはないよなぁ!?』
「ミケロ……」
彼が、俺を目標して、ここまで力と技を高め続けてきたとは……。これは確かに、こんな無様な姿を見せるわけにはいかないな!
俺はガードしながら大きく深呼吸をして、気合を入れなおす。気をみなぎらせると、それに全身のDG細胞が反応し、先ほどまでの不調はどんどん和らいでいく。これで、また寿命がいくらか縮んでしまったかしれないが、そうなったとしても悔いはない。
「心配をおかけしましたね、ミケロ。もう大丈夫です」
『心配なんかしちゃいねぇよ。万全なお前をぶちのめさなきゃ、俺の気がすまねぇってだけだ」
そして拳を交えあいながら、互いに微笑む。そして両者とも大きくバックステップして距離をとった。
* * * * *
互いに対峙したまま、構えを取り、気を高めあう俺とミケロ。
俺のために、ファイターとして自分を高め続けてきたミケロのためというわけではないが、ここで手を抜くことはできない!
一分とも一時間とも、一日とも感じられる時間が過ぎて、そして!
『行くぜえええぇぇぇ!!』
オーラをまとったミケロのルチャリブレが突っ込んできた! それに対して俺は……。
「行きます!! はあああぁぁぁぁ!!」
全身に稲妻の竜巻をまとい、同じく突撃した! 以前、ネオ・オランダのネーデル・ガンダムとの対決で使ったぷち超級覇王電影弾だ。いや、これはもうそんな名前ではない。
互いに回避もせず、相手に向かってぶつかっていく。そして。
『喰らええええぇぇぇ! 必殺、黄金の脚アルティモオオォォォ!!』
オーラに身を包んだルチャリブレの金色を越えた金色の蹴りと。
「流派・東方不敗亜流、リントーネード・ブラストオオォォォォ!!」
ぷち超級覇王電影弾改め、リントーネード・ブラストがぶつかりあう!! その激しい衝撃に、全身が悲鳴をあげ、思わず膝が折れそうになるが、気合を入れて耐え続ける。
そして激しいぶつかり合いの末、ついに俺のリントーネード・ブラストが打ち勝ち、ルチャリブレが大きくのけぞった! これを逃す俺ではない!
「必殺、絶対勝利、エクスカリバーンっっ!!」
エクスカリバーンの一撃で、ルチャリブレの頭部を切断し、俺はなんとか勝利を得たのだった。
* * * * *
戦いを終えたミケロは会場を立ち去った。会場では、勝者であるジャンヌのファイトを褒めたたえる声がとどろいている。そんな場に水を差す彼ではなかった。そもそも、裏社会に生き、傭兵まで堕ちた自分が、あのような輝かしい場にいられ、あんな素晴らしいファイトができただけでも奇跡なのだ。
そう、今の彼は、そんな奇跡を得られることができた充実感と幸福感でいっぱいだった。裏社会から足を洗って、格闘技の世界に生きるのも悪くないと思えていた。
だが。
そんな彼だからなのか。背後から迫る、彼を狙う気配に気づくことはなかった……。
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* 次回予告 *
皆さん、お待ちかねぇ!
マーメイドガンダムとの対決を前に、ある時は浮かれ、またある時は沈む、不安定なサイ・サイシー。
なぜなら彼は、セシルという少女と恋に落ち、その恋と少林寺再興との間で揺れていたのです。
果たしてこの苦悩の末、彼はどのような結論を出すのでしょうか!?
次回、『ちょっと待って。なんで俺、Gガンダム世界にTS転生して、東方師匠と拳交えてるの!?』
第20話『勝利か恋か! 迷いのサイ・サイシー!!』
にReady Go!!
それではみなさん。7/1 12:00にまたお会いいたしましょう!