ちょっと待って。なんで俺、Gガンダム世界にTS転生して、東方師匠と拳交えてるの!?   作:ひいちゃ

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 こんにちは、ストーカーです。

 さてさて、いよいよ決勝大会がはじまりました。
 好試合の連続に、会場では熱狂がおさまりません。

 因縁の相手、ミケロ・チャリオットとの対決に挑むジャンヌ!

「一緒に頑張りましょうね、私の身体」

 ですが、突然の身体の不調に苦しめられ、大苦戦!
 それでもなんとか、気合を入れて勝利をつかむことができました。

 さて、今回はどのようなファイトが見られるのでしょうか?

 今回のカードは、ネオ・チャイナ代表サイ・サイシーのドラゴンガンダム対ネオ・デンマーク代表ハンス・ホルガーのマーメイドガンダム。

 それではガンダムファイト、Ready Go!!



20th Fight『恋か勝利か!? 迷いのサイ・サイシー』

 あの不調もどうにか回復し、とりあえずは元の健康体に戻った俺は、リハビリというわけではないが、ウォン一味のたくらみを探る意味もこめて、ネオ・ホンコンの市街地を歩いていた。

 

 ガンダムファイト決勝大会が開かれているとあって、街はどこもにぎわい、活気に満ち溢れている。ネオ・ホンコン自体が輝いているかのようだ。その一方で、ガンダムファイトの弊害や、人類の営みで、他の地域が荒れ果て、傷ついているのだが。

 

 それに、このネオ・ホンコン自体も、やはりガンダムファイトでところどころ荒れ果て、そこに貧しい人々がスラムを作って住んでいる。その貧しさが、傷つき、荒れ果てていく地球を表しているかのようだ。

 しかも、そんな中でも、ウォンは地球圏をわが物にする陰謀を企てている。人類の営みやガンダムファイトによる荒廃もさることながら、奴の陰謀で地球が傷つくことは許してはならない! 俺がそう決意を新たにしていると……。

 

「ん?」

 

 向こうの交差点を、二人の若者が歩いていくのが見えた。あれは……ネオ・チャイナのサイ・サイシーじゃないか? ということはもう一人は、セシルって女の子だろう。これからデートだろうか。

 

 本当に若くてうらやましい。いや、俺も若いんだが、やっぱり中身は男だし、それに俺には、地球を救い、師匠の悲劇を回避するという俺的使命がある。恋はまだまだ後でいい。最悪、恋がないまま人生終わってもかまわない。

 

 さて、そうして暖かく見守っている俺だが、やはり一抹の不安を感じずにはいられなかった。確か原作では、恋か勝負かに迷って……。

 

 見てみると、いっけん楽しそうにしていながらも、やはり時折迷いを感じさせる陰りのある表情を浮かべていた。これはやはり……。

 

 師匠に相談してみるか。

 

* * * * *

 

 そしてある日、サイ・サイシーサイドから俺たちに依頼が来た。「互いの立場抜きで、練習試合を頼みたい」とのことだ。当然、断る理由もないので、引き受けることにした。考えてることもあるし。

 

 ということで、さっそく行ってみることにした。

 

「おー、待ってたぜ、アネキ! ……あれ、マスター・アジアのおっちゃん?」

「うむ。ジャンヌからの頼みでな。今回はわしが、お主の相手をすることになった」

 

 そう、今回、思うところあって、師匠にサイ・サイシーの稽古の相手をお願いしたのだ。それを知って、彼の付き人、恵雲、瑞山は感慨深い様子。

 

「おぉ……」

「武術の極みともいうべき、流派・東方不敗……」

「その創始者である東方不敗・マスターアジアに稽古をつけてもらえるとは……」

「なんたる武道家の誉れ!」

「きっと、サイ・サイシーも、得るものが多いであろう!」

「「ぜひお願いいたす!」」

 

 その二人の言葉に、師匠が大きくうなずく。

 

「よかろう。では、さっそくはじめるとしようか」

 

 そう言うと、師匠はサイ・サイシーに向かい合って構えた。一方のサイ・サイシーも構えをとる。そして。

 

「いくぞぉ!」

「おう!」

 

* * * * *

 

 かくして、師匠とサイ・サイシーの稽古試合が始まった。

 

「せやっ!」

 

 師匠の突きを、ジャンプでかわし、さらにその拳に飛び乗り、それを踏み台にしてさらにジャンプ! そして空中から急襲! 師匠は迎撃しようとするも、次の瞬間にはサイ・サイシーの姿は既に宙から消えていた。そして次の瞬間には。

 

「ここだいっ!」

 

 なんと、師匠の足元に現れていた。そして足払いを放つ! だがさすが師匠。その足払いをかわして蹴りを放つ! と思いきや、すかさず続けて後方に肘打ちを放った!

 

「うわっと!?」

「その程度で、わしを翻弄できると思っておるのか、たわけめ!」

 

 それは見事に、師匠の背後に現れていたサイ・サイシーにヒット! ガードしたものの、サイ・サイシーは大きく吹き飛ばされた。

 

 それからも、師匠とサイ・サイシーのバトルは続いた。正面からながらも激しい攻めを繰り出す師匠に対し、サイ・サイシーは硬軟使い分けるトリッキーな戦いで迎え撃つ。

 だが、観戦して思ったのだが、どうもサイ・サイシーの動きに精彩がないような気がする。彼のトリッキーな動きは見事ながら、どこか雑な感じがしたのだ。表情も、いつもの闊達とした様子は、少し鳴りを潜め、迷いがあるような顔をしている。

 それを師匠も感じたのだろう。彼の蹴りを受け止め、はねのけると、くるりと背を向けた。

 

「お、おっちゃん?」

「ここまでだ。正直、がっかりしたぞ。少林寺がこの程度だとはな」

 

 その言葉に、恵雲と瑞山の二人が立ち上がる。

 

「なんと!?」

「我らの少林寺を『この程度』と言われるか?」

 

 

 場はたちまち、一触即発の雰囲気に包まれた。

 

* * * * *

 

 師匠……東方不敗・マスターアジアに、怒りを隠さずにぶつけてくる、サイ・サイシーの付き人、恵雲と瑞山。だが師匠はそれを受け止めながらも、面白くなさそうに鼻を鳴らして口を開いた。

 

「その通りよ。はっきり言ってやろうか? こんな腑抜けたガキを、再興のための跡継ぎに頂くとは、かの少林寺も落ちたものよ」

「なんと!?」

「その発言、許さぬ!」

 

 二人が戦いの構えをとる。おいおい、まさか師匠とやりあう気か?

 だが、師匠はそれでも動じることはなかった。その瞳に宿るのは、憂いと怒り。もしかして師匠は……?

 

「ならばどうする気だ?」

「無論!」

「我らが力をもってして、その発言を改めさせてもらいまする!」

「ふん、うぬらとやっても面白くはないが……まぁよい。降りかかってきた火の粉は払うのみ。かかってくるがよいわ」

「「いざ!」」

 

 かくして、師匠と恵雲、瑞山との一対二のバトルがはじまった。だが、その力の差は歴然。二人の攻撃を軽くいなし、それに倍する反撃を返す。まさに大人と子供だ。

 

 恵雲の突きを軽く左手で受け止め、動きがとまったところで鋭い突きを飛ばして吹き飛ばす。その背後から瑞山が飛び蹴りで襲い掛かるが、師匠は持っていた布を飛ばして、彼の脚にからめとって態勢を崩し、さらに引き寄せて、カウンターでパンチを放って吹き飛ばす。

 

 もうやりたい放題の師匠だが、良く見ると、確かに吹き飛び方はすごいが、師匠はあえて、相手を傷つけない打ち方をしていた。あの打ち方であれば、多少怪我こそすれど、命に関わるようなことはないだろう。

 

* * * * *

 

 そして戦うこと数時間。地面には師匠に完膚なきまでに叩きのめされた恵雲と瑞山の二人が倒れ伏していた。

 彼らを見下ろしながら、師匠はいかにも悪役というような悪い笑顔で言い放った。

 

「所詮、この程度か。少林寺など、我が流派の足元にも及ばぬわ」

「ぐぬぬ……その言葉、取り消されよ……」

「取り消すも何も、これが真実よ。女と再興の二つで迷う小童を再興の旗頭に戴いてる時点で、少林寺は終わっておるのだ」

 

 そして、邪悪な目つきでサイ・サイシーをにらみつける。それにしてもこの師匠、ノリノリである。

 

「再興のために進むもよし、再興を捨てて女に走ることも、武道家としては許せぬが、選んだ選択ならばそれもよし。だが、どちらも選ぶことができず、迷える小童など、ただの坊主も同然。こんなガキを好きになるなど、どんな女かは知らぬが、よほど愚かな女であろうな」

「……! 今の言葉……取り消しやがれええぇぇぇ!!」

 

 師匠の言葉に激昂したサイ・サイシーが師匠に飛び掛かり、飛び蹴りを放った! 師匠はそれを軽く腕で防御するが、かすかにその顔がゆがむ。

 

「むぅ、少しは魂が入ったか。お主に気合を入れさせるとは、その娘、ただのアバズレではないようだな。だが、道に迷っている限り、結局は同じこと。つかみとれることは何一つない」

「うるせぇ! 俺は欲張りなんでな! 少林寺の再興もセシルとの恋も、どちらもつかんでみせる!!」

「なに? ふふふ……はっはっはっ!!」

 

 そのサイ・サイシーの答えを聞いた師匠は戦う構えを解き、大声をあげて愉快そうに笑った。その様子からは、先ほどまでの邪悪さは感じられない。いつも通りの師匠だ。

 

「選ぶことなく、両方ともつかみ取るとな。痛快な道を選んだものよ。だがその顔つき、それなら問題はなかろう。お主のその挑戦がどのような結果になるか、高みの見物とさせてもらうぞ」

「へっ、言いやがれ。今度戦う時には、恵雲と瑞山をいたぶってくれた借り、一杯返させてもらうからな!」

「ふふ、楽しみに待っていよう」

 

 そう言って、師匠は俺と合流し、去っていった。

 

* * * * *

 

 そして、サイ・サイシーの緒戦がやってきた。相手は原作通りのネオ・デンマークのマーメイドガンダム。

 

 決勝用の新型、ガンダム・ダブルドラゴンを駆るサイ・サイシーの動きは、稽古試合までにあった迷いは感じられず、どんな刃物よりも鋭利な鋭さと激しさが感じられた。やはり、師匠との戦いで答えを導いたのが大きいのだろう。

 

 だが、それでもやはりマーメイドガンダムは強敵。そのサイ・サイシーの実力をもってしても、苦戦は免れ得なかった。

 

『ちっ、なかなかやるじゃねぇか……。このままじゃやばいな……。なら、一か八か、勝負といくか!』

 

 そう叫ぶと、ガンダム・ダブルドラゴンは高く飛び上がった! 全身が、蝶の形を形作る。もしや……?

 

 それを見て、恵雲と瑞山の二人が立ち上がる。血相を変えて。

 

「その技は……!」

「いかん!」

「その技は、少林寺の秘伝、真・流星胡蝶剣!」

「我が少林寺に伝わる奥義にして、使った者の命を奪うという非情なる技!」

「「いかんぞ、サイ・サイシー! その技だけは!!」」

 

 やはりか……。だが、サイ・サイシーは、勝気に答える。

 

『心配すんな! 俺は欲張りな男だからな! 優勝して再興をつかみ取り、セシルとの恋もつかむまで、死んだりしやしねぇよ!』

「「サイ・サイシー!!」」

『まぁ、黙ってみてな。いくぜ!!』

 

 そしてダブルドラゴンは、炎を超え、光の蝶へと変化した!

 

『喰らえ! 極・流星胡蝶剣ーーーーーーーーー!!』

 

 ガンダム・ダブルドラゴンが変化した閃光の蝶は周辺に展開した炎の蝶たちとともに、怒涛の勢いでマーメイドガンダムに向かって突進していく!

 そして激突!! リングは爆炎に包まれた!!

 

* * * * *

 

 あの戦いの後。俺と師匠はネオ・ホンコンの街角を歩いている最中、サイ・サイシーとセシルの二人が談笑しているところを目撃した。

 あ、サイ・サイシーが調子のいいことを言ってるところに、恵雲と瑞山の二人がやってきて、彼の頭をこづいた。

 

 その様子を見て、師匠が微笑む。

 

「まさか、本当に両方ともつかみ取るとはの。大した男よ」

「そうですね。でもそれも、師匠のおかげだと思います。本当にありがとうございました。そして、憎まれ役を任せてしまってすみません」

「謝る必要はない。道に迷う武道家を導くのも、我ら流派・東方不敗の者の役目。それに、悪役を演じるのも面白かったしな」

 

 ん? ということはもしかして、原作の新宿編からギアナ編で師匠が小物の悪役をやってたのも、もしかしてノリノリ……?

 俺の脳裏にそんな疑問が浮かんだところで、師匠はキッと鋭く俺をにらみつけてきた。どうやら見抜かれたらしい。

 

「ジャンヌ、お主、失礼なことを考えておらぬか?」

「い、いえいえ、そんなことはありません」

「ふん、まぁよい」

 

 そんな言葉を交わしながら、俺はネオ・チャイナの三人とセシルの様子を暖かく見守っていた―――。

 




ファンアート募集中! それと、テテテUCを書いてくださる方も募集しています!

* 次回予告 *

皆さんお待ちかねぇ!!

ネオ・アメリカ、チボデー・クロケットの戦いが近づいてきました!
ですが、彼に逆恨みしたネオ・チャイナ高官が、あのモッチー・オオガネと手を組み、彼に陰謀を仕掛けてきたではありませんか!
果たしてチボデーは彼らの陰謀を打ち砕き、勝利をつかむことができるのでしょうか!?

次回、『ちょっと待って。なんで俺、Gガンダム世界にTS転生して、東方師匠と拳交えてるの!?』

第21話『社長の大逆襲! 危うしガンダム・マックスリボルバー!!』

にReady Go!!

それではみなさん。7/4 12:00にまたお会いいたしましょう!
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