ちょっと待って。なんで俺、Gガンダム世界にTS転生して、東方師匠と拳交えてるの!? 作:ひいちゃ
さてさて、いよいよ決勝大会がはじまりました。
好試合の連続に、会場では熱狂がおさまりません。
自分に恨みを持つネオ・チャイナの元高官、リ・エイケツの罠にはまったチボデー・クロケットでしたが、チボデーギャルズとジャンヌ・エスプレッソの活躍でなんとかこれを切り抜け、対決したモッチー・オーガネの社長ガンダム
「地獄の悪魔に頼むんだなああぁぁぁ!!」
さて。今回のカードはなんと、新生デビルガンダム四天王同士の対決! 共に個人資格で参加のチコ・ロドリゲス対カンちゃん。
それでは、ガンダムファイト! Ready Go!!
「ガトリング・デススピアアアアァァァァ!!」
チコ・ロドリゲスのガンダム・ヘルトライデントが繰り出す必殺技、ガトリング・デススピアーを受けて、対戦相手のガンダムは一瞬にして、ただのスクラップと化してしまった。
「試合終了! 勝者は個人資格での出場ホアキン・ムニスのガンダム・ヘルトライデント!!」
わああああああああ!!
会場を熱狂の声が包み込む。偽名を使い、個人資格で出場していたチコ・ロドリゲスは、その実力で、順調に勝ち星を挙げていた。
そしてもう一匹も……。
「ピョーンッ!!」
「ぐはあぁっ!!」
カンちゃんのダークホッパーガンダムの蹴りが炸裂!! 相手は遠く吹き飛ばされ、地面に叩きつけられた。
「ノックアウト! ノックアウトです! ガルーちゃんのダークホッパーガンダムの勝利です!」
わあああああ!!
ガルーちゃんという偽名を名乗っているカンちゃんも、チコに負けず勝ち星を重ねていく。
なお一人と一匹とも、
どちらも、純粋な実力で勝利を重ねてきたのだ。
* * * * *
勝ち星に順調に重ねていくホアキン(チコ)とガルーちゃん(カンちゃん)を、快くない目で見ている者がいた。
ネオ・ホンコン首相、ウォン・ユンファである。
情報部からの知らせで、二人は、ジャンヌとマスター・アジアの仲間だということを突き留めている。そんな彼らが快勝を重ねていることは、この男には不快極まりなかったのである。
「これはよくありませんねぇ……。いっそ、彼らがデビルガンダムの手先であることをばらしてしまいましょうか? いえ、それは面白くありませんね。それなら……」
* * * * *
そして、一週間後に控えた次のファイトのカードが発表された。それを見て、俺は目を剥いて驚愕してしまう。
なぜなら、カードが発表される立体映像掲示板にはこう書かれていたからだ。
『ホアキン・ムニス(個人資格・ガンダム・ヘルトライデント)vsガルーちゃん(個人資格・ダークホッパーガンダム)』
なんと、我が新生デビルガンダム四天王の二人が対決することになってしまったのだ! いつかはあるかと思っていたのに、こんなに早く。
これは十中八九、ウォンの仕業だろう。カードを決める権限を持つのは彼しかいないからな。
野望の邪魔をしてきた俺たちへの当てつけか。それとも、俺たち四天王の仲を引き裂こうという意図か、あるいは……そのファイトの中で、四天王のうち一人でもいなくなればいいという腹積もりか。
俺がそんなことを考えている横で、チコもカンちゃんも、不敵な笑みを浮かべている。
「カンちゃんとファイトか。彼とは戦ってみたいと思っていたんだ……面白い」
「アァ。カンチャンモオ前と戦ウノ、楽シミ」
「二人とも、仲間と戦うのに抵抗は感じないんですか? 相手を倒す……最悪の場合死なせることになるかもしれないのに」
俺がそう戸惑いながら聞くと、二人(一人と一匹)とも、愚問とでも言いたげにうなずいた。
「あぁ。そのことにためらいを感じないといえばウソになるが、これまで共に戦ってきた相手と拳を交えるのが楽しみでないと言っても嘘になる。なぜなら俺たちは……」
「ガンダムファイターダカラナ!」
そして二人とも、俺に向けて拳を突き出してきた。本当に二人とも馬鹿……格闘馬鹿だ。その馬鹿さがまばゆくて、涙がにじんでくる。なぜなら俺も、その馬鹿の一人だから。
だから俺には二人のファイトを止めることはできない。俺にできることは、二人が無駄に命を失うことがないよう、できることをするだけ。そして、二人が悔いのないファイトができることを祈ることだけだ。
* * * * *
そしてファイトの日がやってきた!
リングには、既にホアキン・ムニスことチコのガンダム・ヘルトライデントと、ガルーちゃんことカンちゃんのダークホッパーガンダムがスタンバイして向かいあっている。二機とも、気合に満ち満ちていて、いつでもはじめられる、という感じだ。
その様子を、俺は不安を胸に秘めながら見守っていた。このまま、何も起こらずファイトが終わればいいのだが……。
そして、試合が始まる。
『よし、行くぞ! ガンダムファイトッ!』
『レデイィィィィゴオオオォォォォ!!』
先手を取ったのはチコだ。突進し、鋭いトライデントの一撃をカンちゃんに放つ! カンちゃんのダークホッパーはそれをかわすとチコのヘルトライデントに強烈なカウンターパンチを放った!
しかし、チコも伊達で四天王を名乗ってはいない。かろうじてそのパンチをかわし、ダークホッパーと激突! その機体を蹴るようにして、後方へ飛びずさった。
わあああああああ!!
その一瞬の攻防に、観客席の観客たちが沸く。
『楽シイナ、チコ!』
『あぁ。まさか俺たちがこんな観客を沸かせるファイトをさせてもらえるとは思っていなかった。これもジャンヌのおかげだな!』
『オレモ、じゃんぬニハ大感謝。サァ、続キイクゾ!』
『おう!』
カンちゃんのパンチと蹴りのラッシュが、チコのヘルトライデントを襲う! チコはそれをトライデントで巧みに受けとめ、さばいていった。そして隙をつき、ダークホッパーに突進! カンちゃんはそれを紙一重でかわし、二機は再び密着に近い間合いまで近づいた。そこで!
『!!』
何かに気づいたチコのヘルトライデントがとっさに後方にとびずさった。よく見ると、そのV字アンテナの端が折れている。何があったんだ?
よく見ると、ダークホッパーガンダムの腹の部分からちょこんと、小さなカンガルー型の
『ヤルナ、チコ。カンチャンノ奥ノ手ヲカワストハ!』
『正直、驚いたし、少し危なかったけどな。だがこんなに早く終わったら、お前に申し訳ないだろう?』
『ダナ!』
* * * * *
それからも二人のファイトは続いた。
チコのガンダム・ヘルトライデントが放つ突きを、カンちゃんのダークホッパーが軽やかなステップでかわしながら反撃を放ち、カンちゃんのダークホッパーガンダムのラッシュを、チコが槍を自在を動きながらさばき、防いでいき、ラッシュがとまったところで反撃を返す。
そのたびに観客から歓声が上がる。
そして。
『イクゾ、チコ! カンチャンのトッテオキ!』
『おう! 俺も奥の手を出してやろう!』
構えを取り、にらみ合う二機。そして、カンちゃんが先に動いた。
『ダークホッパー・ヘルクラッシャー!!』
炎をまとったダークホッパーガンダムが、炎の矢となって、ヘルトライデントに突撃する!
『ヘル・バニシング・トルネード!!』
チコのヘルトライデントが槍を一閃! 巨大な竜巻が生まれ、それはダークホッパーに突撃する!
そして炎の矢と竜巻が激突!! だが、ダークホッパーガンダムはあえて技を解除、そのまま竜巻に呑まれた!
しかしカンちゃんは試合を捨てたわけではなかった! その渦の回転を利用して、天高く飛び上がったのだ!!
『ウオオオオォォォォ!!』
『ハアアアアァァァ!!』
上空からヘルトライデントに襲い掛かるダークホッパーと、そのダークホッパーを迎撃しようとするヘルトライデント。
二機の攻撃が交差した!
一瞬の沈黙。膝をついたのは、ダークホッパーガンダムだった。見ると、その頭部がヘルトライデントの三又槍の一撃で大きくえぐられている。
『見事ダ、チコ。カンチャンノマケ』
『……』
そして湧き上がる拍手、レフェリーが上がり、勝ち名乗りをしようとしたところで……。
爆発が起こり、ダークホッパーが吹き飛ばされた!
* * * * *
ファイトが終わったところで、カンちゃんのダークホッパーガンダムが爆発に巻き込まれて吹き飛ばされた。
よく見ると、スタジアムの上空にガンダムらしき機体が!
「あ、あれはいったい……?」
それはGガンダムファンの俺でさえ知らないガンダムだった。師匠のマスターガンダムのように、黒いマントのような装甲をまとっているが、その形状はマスターガンダムより鋭利で、まるで、ガンダムWに出てきたデスサイズヘル(EW版)のアクティブクロークのような感じ。
そして。俺でさえ知らないといったが、一つだけ見覚えがあった。それは奴の頭部。それは、ドモンのゴッドガンダムに酷似していたのだ。ただし、そのカラーは白系ではなく漆黒であったが。
突然の乱入者に、観客たちは息をのみ、沈黙したまま見守っている。その中、謎のガンダムは装甲を開き、いかにも漆黒の翼をもった漆黒のゴッドガンダムのような姿をもって、ダークホッパーに襲い掛かった!
『滅べ……。必滅、カオシック・フィンガー……!!』
謎のガンダムは、闇よりもさらに深き黒く輝く掌による一撃でもって、倒れ伏したままのダークホッパーにとどめを刺そうとした!
ガシッ!!
だが、それはなされなかった。ダークホッパーガンダムの前に、チコのガンダム・ヘルトライデントが割って入り、黒ゴッドガンダムの必滅カオシック・フィンガーを槍で受け止めたからだ。
『誰の差し金かは知らんが、同胞を倒させはしない!』
『……どうしようがかまわん。ここでお前たち二人を滅ぼすことができれば手間が省けるというもの』
『なんだと!? ……なっ!?』
チコの驚いたような声。なんと、カオシック・フィンガーを受け止めていた槍の柄が、そのエネルギーの前に溶けて行ったのだ。
槍が折れると同時に、カオシック・フィンガーの光は消えた。だがそこで黒ゴッドはすかさず蹴りを放ち、ヘルトライデントを吹き飛ばした!
『うぐっ!!』
『さぁ……滅べ……!』
奴の手が再び黒き光を放ちだした! 今度こそとどめを刺す気だ! あのカオシック・フィンガーで。
俺はいてもたまらず、ネオ・ノルウェーのハンガーに走り出そうとした。その時!
『待てっ!』
『栄光ある戦いの場に、しかも戦いを終えた奴らを始末しようと乱入してくるなんて、味な真似をしてくれるじゃないか!』
『そのような卑劣な真似、許すわけにはいきません! どうしてもというなら、正しき戦いの守護者、シャッフル同盟の一員である私たちがお相手いたしましょう』
ドモンのゴッドガンダムとチボデーのガンダム・マックスリボルバー、そしてジョルジュの乗る新型・ガンダムヴェルサイユがリングの外に立っていた。
三機と、黒ゴッドがにらみあい続ける。
そして。
『シャッフル同盟が三機……これはこちらが不利か……。命拾いしたな』
黒ゴッドのファイターはそう言うと、そのマント状の装甲を閉じ、漆黒の光の矢となって飛び去っていったのだった。
しかし、奴は一体何者なんだ……? 声はボイスチェンジャーで変えられていたが、どことなくドモンに似ていた感じがするが……。
* * * * *
「カンちゃん、具合のほうはどうですか?」
「カンチャンノ体ハ、チコトノ戦イノだめーじ以外、ナントモナイ。デモ、だーくほっぱーノホウハ、アノがんだむノ攻撃デカナリノだめーじ受ケタ。シバラクハ戦エナイ」
「そうか……。でも、お前の体にもしものことがなくてよかった」
「本当ですね、ありがとうございます。ドモン、チボデー、ジョルジュ」
戦いの後の、個人参加枠用のハンガー。そこで、俺、チコ、カンちゃんの三人は、ドモン、チボデー、ジョルジュの三人と言葉をかわしていた。
俺に頭を下げられたチボデーが明るく笑って返した。
「いいってことよ。お嬢ちゃんには、ギャルズを助けてもらった借りがあるしな!」
「えぇ。それに、卑劣なことをする輩を放っておくわけにはいきませんから」
「その通りだ。そのような奴らを成敗し、戦いの秩序を守るのが俺たちシャッフル同盟の務め。礼には及ばん」
と、そこに師匠こと、東方不敗・マスターアジアがハンガーに入ってきた。
「あ、師匠。どうでしたか?」
「探ってみたが、手がかりは見つからずしまいであったわ。謎の黒きガンダム……厄介な難敵が現れたものよ」
「そうですか……」
「じゃが一つだけ言えることがある。あやつは、明らかに、我ら新生デビルガンダム四天王の抹殺を狙っておった。つまりは……」
「ウォンの仕業、ということですね」
俺の答えに、師匠は真剣な顔でうなずいた。
「その通りだ。奴の差し金という確証はないがな」
「ウォンも、俺たちの排除に本気になってきたってことか……」
「これからの戦いは厳しいものになるかもしれませんね。でも、私たちはやるべきことをやるだけです」
俺がそう言ったところで、チボデーがにっと笑って返した。
「その意気だ! お前たちにあっけなくやられてもらったら困るぜ。お前たちを倒すのは、俺たちシャッフル同盟なんだからな!」
「えぇ。正当なる戦いをもって、私たちの理想が、あなたたちの理想より上ということを思い知らせてあげましょう!」
「ふふ、私たちも負けませんよ」
そう笑顔で言葉を交わしながら、俺はこれから訪れるであろう、さらなる激しい戦いの予感が全身を駆け巡るのを感じていた。
感想、ファンアート募集中! それと、『テテテUC』を書いてくださる方も募集しています!
* 次回予告 *
皆さんお待ちかねぇ!
ドモンに新たなるライバル出現!その名はアレンビー・ビアズリー!
無敵の戦士として育てられた彼女は、ネオ・スウェーデンの悪しき企みにより、命を削って戦うバーサーカーとなり、ドモンに襲い掛かります!
果たしてドモンの運命は!? そしてジャンヌは、彼女を救うことができるのでしょうか!?
次回、『ちょっと待って。なんで俺、Gガンダム世界にTS転生して、東方師匠と拳交えてるの!?』
第22話『暗い謀略! 危険なアレンビー!』
にReady Go!!
それではみなさん。7/10 12:00に、またお会いいたしましょう!