ちょっと待って。なんで俺、Gガンダム世界にTS転生して、東方師匠と拳交えてるの!?   作:ひいちゃ

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 こんにちは、ストーカーです。

 さてさて、いよいよ決勝大会がはじまりました。
 好試合の連続に、会場では熱狂がおさまりません。

 さて、ジョルジュ・ド・サンドとのファイトのために、彼をつけ狙う漢がありました。彼の名は、ネオ・イングランド代表、ジェントル・チャップマン。彼はフェイクDG(デビルガンダム)細胞に侵されてまでして、彼とのファイトを叶えました。
 戦いはジョルジュの勝利に終わったのですが、そこにあの黒いガンダムが襲来! 彼の手により、哀れチャップマンは彼らのしもべ、獅王争覇・グランドガンダムになってしまったのです。

「ぐおおおお! 頼む、ジョルジュ、早く介錯を……! 私は醜い異形の姿になってまで生きたくはない……!」

 さて。今回のカードは、ドモンのゴッド・ガンダム対、ネオ・ネパール代表キラル・メキレルのマンダラガンダム。

 それでは! ガンダムファイト、Ready Go!!



25th Fight『ついに見出した光明! 発動ゴッドフィンガー!!』

「くそっ、こんな闇夜の中では……!」

 

 ネオ・ホンコンの貧民街。周囲を暗闇が包むその場所で、ドモンは窮地に立たされていた。

 ウォンの陰謀の調査のためにここを訪れた彼は、突然謎の暗殺者の襲撃を受けたのだ。

 

 さすがのドモンでも、暗闇の中では満足に戦うことはできない。いくらキング・オブ・ハート、流派・東方不敗の使い手といえど、闇夜に紛れての暗殺者相手では、かわすのが精いっぱいであった。

 

「どこだ! 出てこい。姿を現せ!」

「ふふふ……。私は暗殺者。それはできぬ。ドモン・カッシュ、貴殿が首、ここでもらい受ける」

 

 その声とともに、再び斬撃が放たれる! それをまた間一髪でかわし、放たれた方向に、反撃の斬撃を放つ。しかし、そこに手ごたえは全くなかった。

 

 そしてドモンの背後に暗殺者の気配が! 彼はそれに気が付いていない! そこに。

 

「はぁっ!」

「うおっ!」

 

何者かが、暗殺者を撃退したようだ。

 

「その声は……シュバルツ!」

「うむ。今のお前では、彼には勝てない。ここは逃げろ! そして、心眼を会得するのだ!」

「しかし、敵に後ろを見せるなど……!」

 

 ためらいを見せるドモンを、シュバルツが一喝する。

 

「馬鹿者! 勝てぬ相手に無理に挑むのを、勇気とはいわん! 勝つ術を得るために、一時的に負けを受け入れることこそ、真実の勇気! 武闘家……いや男なら身に着けねばならないものだ! それをわからぬとは、兄として情けないぞ! ……はっ」

「え、兄……?」

「な、なんでもない! とにかく、ドモン、ここは私に任せて退くのだ! 心眼を会得すれば負けることはない!」

「わ、わかった! 恩に着るぞ!」

 

 そしてドモンは、剣戟の音を背後に聞きながら、その場を走り去ったのであった。

 

* * * * *

 

 暗殺者からの襲撃からなんとか逃れたドモンは、背後を振り返った。剣戟の音は、もう聞こえない。

 

「シュバルツ、大丈夫だろうか……? 彼の助力を無駄にしないためにも、なんとか心眼を会得しなくては……」

 

 先ほどシュバルツがこぼした「兄」という言葉は、既にドモンの頭からは抜け落ちていた。だが彼をボケと馬鹿にすることはできまい。忘れるくらいに必死に逃れてきたのだ。

 

 そこに、声をかける者があった。

 

「おや、こんなところでどうなさった?」

 

 背後からかけられた声に驚くドモン。彼は思わず刀を抜き、背後の人影に突き付けた。

 

「気づかれずに俺の背後に現れるとは! お前が俺を狙っていた暗殺者か!?」

「ひゃあ! な、なにをなさる!? わしはただの老人じゃぞい!」

 

 見ると、そこにはみずぼらしい姿の老人が。その姿は、とても暗殺者に過ぎない。それを確認したドモンは、刀を納めると頭を下げた。

 

「そ、そうか。すまない。命を狙われていたので、誤解してしまった……」

「い、いや、いいんじゃよ。そういう事情があるなら仕方ない。ところでお前さん、こんなところまで来てしまったが、大丈夫かのう?」

「こんなところ?」

 

 と、そこで周囲を見ると、そこは迷宮のように入り組んだ貧民街の奥。どこに行けば帰れるか、どころか、自分はどこから来たかもわからない。

 

 とたんに、ドモンの顔が曇る。

 

「こ、これは……。俺は今、どこにいるんだ……? 帰るには……」

「やっぱり迷子になってしまったようじゃのう。どうじゃ? 帰り道がわかるか迎えが来るまで、わしの家に泊まっては?」

「いいのか?」

「はい。たいしたおもてなしはできませんが」

 

 老人がそう言ったところで、ドモンは頭を下げた。

 

「ありがとう。それではありがたくお世話にならせてもらう」

 

* * * * *

 

 そしてドモンは、老人……ハンの家で夜を過ごした。

 翌日、ドモンは目を閉じ、座禅を組んで過ごした。言うまでもなく、暗殺者対策となる心眼の修行のためである。

 だが、かすかな物音を聞くことができるほどまでにはなったものの、なかなかそれ以上には進まなかった。早く会得しなければならないという焦りと、やはり『答え』が見いだせないことへの焦りのせいである。

 

 おまけに、迎えもなかなか来ないうえに、周囲を探索しても、戻る道が全然わからない。自分は方向音痴ではないはずなのだが……。

 

 そして数日が経ち、次の自分の試合まであと二日、という時。

 探索から帰ってきたドモンは、ハンが鉢に植えられた弱々しい草花の世話をしているところを目撃した。

 

「ハン、どうして草花の世話なんかを? 汚れ、傷ついた今の地球の環境ではすぐに……」

 

 枯れてしまうのでは……と言おうとしたドモンの言葉がわかっていたかのように、ハンは諭すように口を開いた。

 

「そうかもしれん。だが、やらなければ可能性は0じゃよ。それに、やっていることは無駄ではない。どんな小さな、無駄と思えることでも続ければ、必ずそれは花を咲かせることになる。何粒も落ちた雨粒が、やがては岩を砕くようにな」

 

 その言葉は、ドモンに感銘を与えた。そして『答え』を見出すきっかけをも。

 

(……そうか!)

 

 『答え』を見出したドモンの修行は。それまでの遅滞が嘘のように進み、翌日にはついにドモンは。

 

「はぁっ……! できた……!」

 

 ついに、心眼に開眼したのであった。

 

「ほほう、見事なものじゃ」

「ハンのおかげです。ありがとうございます」

 

 そう言って頭を下げるドモン。そこにシュバルツが迎えに来てくれた。

 

* * * * *

 

 そしてついに、ドモンのファイトの日がやってきた!

 

 今回のファイトは特別ルール、防弾・防ビームガラスケース内で行われるガラスケース・デスマッチである。

 

 対峙するドモンのゴッド・ガンダムと、対戦相手である、ネオ・ネパール代表、キラル・メキレルのマンダラ・ガンダム。

 そして、レフェリーが試合開始のコールを叫ぶ!

 

「ガンダムファイト・レディーゴー!!」

 

 とたんにリングの周囲は暗闇に包まれた。リングの各所から流れ出した黒煙がケース内を満たしたのだ。

 

「ぬぅ……これは!? ウォンめ、どうしても俺を負けさせるつもりか!」

「ふふふ……これはありがたいことだ……」

 

 暗闇の中、周囲を見回すゴッド・ガンダムの後ろから、マンダラ・ガンダムが迫る!

 そして斬撃! ゴッド・ガンダムはなんとかそれをビーム・ソードで受け止める。

 

「この剣さばき……もしやお前が!」

「いかにも。あの時仕留め損ねたが、今度こそ貴殿の首、このキラルがもらい受ける!」

 

 あの時、ドモンを襲ったのは、この対戦相手、キラルだったのだ! そのキラルのマンダラ・ガンダムはドモンの斬撃をかわすと、再び暗闇の中に溶け込み、姿と気配を消した。

 

「あの時と同じように仕留めに来る気か……。だが、あの時と同じだと思うなよ!」

 

 そう言うと、ドモンは目を閉じて、動きを止めた。明鏡止水の境地に至り、彼の心眼が研ぎ澄まされる。

 そして!

 

「そこだ!」

「!?」

 

 ドモンの斬撃が、暗闇の中迫っていたマンダラ・ガンダムを捉えた! キラルはなんとかそれを持っていた仕込みビームサーベルで受け止める。

 

「なかなかやるな。だが、そんなにわか仕込みの心眼で、私をいつまでもとらえ続けられると思わぬことだ」

「お前こそ、あの時と同じ手が、俺に何度も通じると思うな!」

「ほざけ!」

 

 そして再び、マンダラ・ガンダムが闇に溶け込み、姿を消した。そして闇の中を変幻自在に動き回る。だが、心眼を得た今のドモンには、その動きはお見通しだった。

 

「同じ手が通じると思うなと言ったはずだ!」

「ぬぅ!」

 

 再び、ドモンの斬撃が正確にマンダラ・ガンダムを捉えた。なんとかかわすが、マンダラ・ガンダムの腹部に一筋の傷が刻まれた。

 

 それからも暗闇でのファイトは続いた。暗闇の中ながら、ドモンはまるで暗闇などないかのように、キラルと互角の戦いを繰り広げる。そして、そのファイトはキラルの心境にも変化をもたらしていた。彼はその胸の中に熱いものがたぎるのを感じていたのだ。

 

「ふふふ……はーはっはっはっ!」

「?」

 

 暗闇の中、キラルは愉快そうな笑いをあげ、マンダラ・ガンダムの腕から光弾を放ち、ガラスケースの一部を砕き割った。そこから黒煙が流れ出し、暗闇はたちまち晴れる。

 

「なぜ?」

「ドモン・カッシュ、貴殿の戦いは見事であった。貴殿の戦いはこの暗殺者の心を熱くしてしまった! ファイトがこんなに楽しいものだとはな!」

 

 そしてキラルのマンダラ・ガンダムは仕込みビームサーベルを構えた。そこから感じられるのは、殺気ではなく闘気。

 

「ここからは正々堂々の戦い! いざ、勝負!」

 

 そのキラルの気概を感じたドモンも返す。

 

「おう!」

 

* * * * *

 

 暗闇が晴れたリングで、激しいバトルを繰り広げるドモンとキラル。ドモンの拳をキラルが仕込みビームサーベルで受け止め、キラルの反撃を、ドモンが明鏡止水の動きでかわす。

 

「はあっ!」

「ぬおおぉぉぉっ!」

 

 二人の技が炸裂し、その衝突のエネルギーでゴッド・ガンダムとマンダラ・ガンダムが弾き飛ばされる。なんとか着地し、再び激突。

 

「こいつ……強い!」

 

 キラルの攻撃を受け止めたドモンが唸る。彼の言う通り、キラルは強かった。その強さは、先ほどまでの暗殺に徹していた時とは段違いである。元から強かったのか、ドモンのファイトに触発された結果なのかはわからない。だがそれは、今は大した問題ではないだろう。

 

 マンダラ・ガンダムが無数の仕込みビーム・サーベルの突きを放つ! それをなんとかかわすドモンだが、ゴッド・ガンダムの側頭部に一筋の傷が刻まれた。

 

「この強さ……今まで俺が戦ったファイターたち以上かもしれん……!」

「その言葉、そのまま貴殿に返すぞ、ドモン・カッシュ。私の攻撃をここまでかわしたのは貴殿がはじめてだ。だが、これで終わりにさせてもらう!」

 

 一度離れたマンダラ・ガンダムが構える。その背後からオーラが立ち上り、マンダラを形成する。必殺技で決める気なのだろう。それを感じ取ったドモンもまたこたえる。

 

「奥義で決着をつける気か。ならば俺も、奥義で応えさせてもらおう! ぬあああ……!」

 

 唸り声とともに、ドモンも心を静かに、そして鋭くさせる。彼の心は深く沈み、明鏡止水へと近づいていく。そして。

 

『HyperMode is Booted』

 

 電子音声とともに、その機体が金色に輝く。胸のカバーが開き、背中の羽が展開する。

 『答え』のきっかけを得たドモンは、ついに真の明鏡止水に到達し、ゴッドガンダムのハイパーモードを起動させることに成功したのだ!

 

 気迫をみなぎらせて対峙する二人。そして。

 

「いくぞぉ! キラル殺法・地獄曼陀羅!!」

 

 マンダラ・ガンダムの背後の炎の曼陀羅から無数の炎弾が放たれる!

 そしてドモンも、必殺の技を放つ!

 

「俺のこの手が真っ赤に燃える! 勝利をつかめと、轟き叫ぶ!」

 

 ドモンのボイスコマンドに反応して、ゴッド・ガンダムの精神エネルギー変換ジェネレーターがフル稼働し、ドモンの無尽蔵に湧き出る闘志をエネルギーに変換していく。そのエネルギーは右拳に注がれ、拳が真っ赤に染まった。

 

「うおおおお! 爆熱!」

 

 そしてゴッド・ガンダムが突進! マンダラ・ガンダムの地獄曼陀羅の炎弾をはじきながら、キラルに迫る! そして!

 

「ゴオオオッド! フィンガアアアアア!!」

 

 ゴッド・ガンダムの赤熱する貫き手がマンダラ・ガンダムの腹部に突き刺さる! ドモンはそのままマンダラ・ガンダムを貫いた腕を抱え上げ、そして叫ぶ。

 

「ヒイイイット・エンドッ!!」

 

 その叫びと同時、拳にチャージされたエネルギーが炸裂し、大爆発! マンダラ・ガンダムをその爆炎に包み込んだっ!! その爆炎で、リングを覆っていたガラスケースが砕け散った! 防弾、防ビーム処理が施されたガラスケースを、である。

 

 その後に残ったのは、雄々しく直立するゴッド・ガンダムと大破したマンダラ・ガンダムのみであった。

 

「ぐふ……見事であった、ドモン・カッシュ……」

 

 そう褒めたたえ、キラルは意識を失った。それを見届けたドモンに、レフェリーが彼の勝利をコールする。

 

* * * * *

 

 勝利をおさめ、ゴッド・ガンダムから降りたドモンを、彼の師匠である東方不敗・マスターアジアが出迎えた。

 

「見事であったぞドモン。お主、答えを見いだせたようだな」

 

 そのマスターアジアに、ドモンは苦笑して首を振った。

 

「いいえ。答えまではまだ……。ですが、そのきっかけはつかめたような気がします」

「そうか。だが、その顔。それには一切の迷いがないように見受けられる。見事じゃ。お主が答えを見つけ、我が前に立ちはだかる時が楽しみよ」

「ありがとうございます。その時のために、精進を続けます」

 

 そう言葉を交わす師弟を、雄々しく立つゴッド・ガンダムが見下ろしていた―――。

 

* * * * *

 

 一方そのころ。ネオ・ジャパンコロニー。

 

 仮面をつけた軍人……ウルベ・イシカワ大尉が、ミカムラ博士からの報告を受けていた。

 

「ドモン・カッシュは、ついに明鏡止水に開眼し、三戦目に勝ち抜いたか。順調なようだな」

「えぇ。この分でいけば、我がネオ・ジャパンに覇権がもたらされるのも夢ではないでしょう」

「そうなれば、シュウジ・クロス以来の快挙だな。かの人は今はどこにいるのか定かではないが……」

 

 そこに、ネオ・ジャパンの軍人が入ってきた。

 

「大尉、秘密調査員からの報告が入りました。こちらです」

「うむ」

 

 軍人から手渡されたレポートに目を通すウルベ。その口元がかすかに歪む。

 

「よし。ではさっそくそちらに向かおう。シャトルの準備をしてくれ」

「はっ」

「本当に行かれるのですか?」

 

 ウルベにそう声をかけるミカムラ博士。ウルベは博士に顔を向けてこたえた。

 

「あぁ。この目で確かめておきたいのだよ。それに、報告が正しければ、仕上げをしてしまいたい」

「仕上げ?」

 

 博士はそう聞き返すが、ウルベはそれ以上話すことはないとばかりに、正面へと顔を向けた。

 その胸はかすかにふくらんでいた。

 




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* 次回予告 *

皆さんお待ちかねぇ!

いよいよ師匠こと、東方不敗・マスターアジアの緒戦がはじまりました!

相手はネオ・ポルトガル代表のロマニオ・モニーニ。ピエロの衣装をまとい、マスター・アジアの流派・東方不敗の技を完全に模倣する彼は、マスター・アジアの心まで読む力を見せつけます。

この難敵に対し、マスター・アジアはついに! ドモンにもまだ伝えていなかった、流派・東方不敗の究極奥義を見せるのです!

次回、『ちょっと待って。なんで俺、Gガンダム世界にTS転生して、東方師匠と拳交えてるの!?』

第26話『奥義炸裂! 石破り天驚す拳!!』

にReady Go!!

それではみなさん! 7/19 12:00にまたお会いいたしましょう!
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