ちょっと待って。なんで俺、Gガンダム世界にTS転生して、東方師匠と拳交えてるの!?   作:ひいちゃ

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 どうも、こんにちは。ストーカーでございます。

 さてさて、大変なことになってしまいました。
 『アナザー五人衆』と名乗るガンダムたちの襲撃で、ガンダムファイト第13回大会は中断! 世界はたちまち不穏な空気に包まれてしまいました。

 この先、世界はどうなるのでしょうか? もしや、またカオス戦争がはじまってしまうのでしょうか?

 ロンドンにて、ついに『コロニー国家平和会議』が開催されました! しかし、それと同時にアナザー五人衆も総力戦を仕掛けてきたのです!

「偽マスター・アジア! 師匠の名を散々騙ったことの使用料、ここで全額払ってもらいますよ!」

 その攻撃の激しさに、会議は瓦解の危機に瀕しますが……

「お待ちいただきたい! 今外では、ガンダムたちが敵を食い止めるため、奮闘している。彼らは若いながらも、この会議を守り、平和を取り戻すために戦っているのです。しかしあなた方はそれにも関わらず、自分の利権に縛られ、会議を紛糾させているだけ。あまつさえ、敵襲におびえ、逃げようとする始末。それでいいのですか!? あなたたちはガンダムたちに恥ずかしくはないのですか!?」

 ジャンヌたち連合軍の奮闘によってそれは免れ、会議は成功。
 世界はかろうじて、カオス戦争再来の危機から免れたのです。

 ですが、五人衆との戦いはまだ終わりません。

 さて、今回のカードは、ドモン・カッシュのゴッドガンダム対東方不敗マスター・アジアのマスターガンダムの一騎打ち。

 それでは、ガンダムファイト、Ready Go!!



34th Fight『真なる伝承! マスター魂の天驚拳!!』

 俺たち新生デビルガンダム四天王と、ドモンたちシャッフル同盟を乗せたネオ・ロシアの輸送機ゴルビーは、拍子抜けするほどあっさり、ネオ・ホンコンのランタオ島に到着した。

 

 五人衆の襲撃があるかと思ったが、奴らも先の戦いで消耗した戦力を立て直しを図っているのか、襲ってくることはなかったようだ。

 

 そして輸送機を降りた俺たちは、ガンダムに乗ったまま、ランタオ島の火山の頂上を目指した。おそらく師匠は、そこで待っている。

 

 果たして、その通りだった。

 

 頂上に作られた、本来は第13回大会のバトルロイヤル・レースのゴールとなるはずだったリング。

 師匠とシュバルツはそこで、それぞれの機体に乗って待っていた。

 

『……来たか、待っておったぞ』

『師匠! 身体の具合はいいのですか?』

 

 ドモンの問いに、師匠は無論というようにうなずいた。

 

『うむ。万全ではないが、それでも、お主と一戦交えるぐらいなら問題はない。……構えよ、ドモン。戦いを通して託そう。わしの中の、真のキング・オブ・ハートとしての力と、わしの奥義、石破天驚拳を』

『はい!』

『そして、この戦いで聞かせてもらう。お主が至った答えを。その答えが理にかなったものであり、そしてお主がわしに勝った時は……わかっておるな、ジャンヌ』

 

 そう言って、師匠は俺……ジャンヌ・エスプレッソに目を向けた。その目から、師匠の言いたいことを読み取った俺は、それに同意してうなずく。

 

「はい。その時には、ドモンたちの理を受け入れ、人類追放計画を中断させます。そして、デビルガンダムを再び封印しましょう」

『うむ』

『師匠……!』

 

 師匠が再びうなずく。

 俺が人類追放計画を推し進める動機の一つは、師匠とドモンの破滅的、悲劇的な対立をなくすことだ。それは既に叶っている。そのうえで、ドモンたちの理が、俺たちの計画以上に、地球の保全、復活に適したものなら、俺たちの計画に固執する理由は何一つない。

 

『それでは行くぞ、ドモン! 流派・東方不敗はぁ!!』

『王者の風よっ!』

 

 そして、ドモンのゴッドガンダムと、師匠のマスターガンダムが、激しく拳を打ち合わせる。

 

『全新!』

『系列!』

『『天破侠乱!!』』

 

 そして、今一度打ち合わせた拳が、激しい火花を発した!!

 

『『見よ! 東方は赤く燃えているうぅぅぅぅ!!』』

 

 そして再び構えなおす師弟のガンダム。

 

『ガンダムファイトォ!』

『レディーゴオオォォォォ!!』

 

* * * * *

 

 二機のガンダムが激しく拳と蹴りを交差させる。

 師匠とドモンが、突きを、蹴りを放ち、攻撃を防ぎ、かわす。

 

 そして、二人の飛び蹴りが交差した! それだけでリングが崩壊した!

 

『すごい戦いだ……』

 

 そうチコが言う。チボデーがそれにうなずいて口を開く。

 

『あぁ。この戦いのレベルは、もはや俺たちが入れるレベルじゃない……』

『でも、不思議だぜ。二人の拳からは怒りも憎しみも感じないぜ』

 

 サイ・サイシーの言葉に、俺もうなずく。

 

「えぇ、これが本当のガンダムファイトなのかもしれませんね」

 

 戦いはまだ続く。

 

 ドモンの猛攻! ゴッドガンダムが放つすさまじい突きの連打を、師匠のマスターガンダムがさばきつづける。

 そこに蹴り! マスターガンダムは吹き飛ばされたが、蹴りが決まった瞬間、師匠は後ろに飛んで勢いを殺したので、それほどダメージはひどくないようだ。

 

『なんの、まだまだぁ! 十二王方牌大車併!!』

 

 マスターガンダムから、気で作られた十二機のマスターガンダムが放たれ、ゴッドガンダムに同時に飛び蹴りを放った!

 

『ぐわあぁ!!』

 

 そして地面に叩きつけられる。

 

『帰山笑紅塵!! さぁ、立ち上がるがよいドモンよ。お主はまだまだやられる男ではなかろう?』

『はい……!』

『うむ。これぐらいで倒れていては、キング・オブ・ハートの名が泣こうぞ。行くぞ!』

 

 そして師匠のマスターガンダムが、超級覇王電影弾の構えを取った。それに対し、ドモンも同じく超級覇王電影弾の構えをとる。

 二機のガンダムがオーラに包まれた。

 

『行くぞぉ! 超級!』

『覇王!』

『『電影弾ーーーー!!』』

 

 そして二機は同時に、光の竜巻の弾丸となって突撃! ぶつかりあう!!

 その様子を見て、ジョルジュが言う。

 

『聞こえますか?』

 

 アルゴがこたえる。

 

『あぁ』

「互いの想いが響きあい、共鳴しあう拳の響き……」

 

 そして、竜巻が消えて、後には拳をぶつけあう二機のガンダムの姿があった。

 

『むぅ。ドモン、それがお主の答えか』

『はい。過激な方法をとるのではなく、一人ひとりが自分ができる限りのことで、地球を救う行動をとる。確かに一人ひとりのできることは小さいかもしれません。ですが、人々みんなが少しずつでも、それを続ければ、それは大きく、強い力となりえます! そうなれば地球を救うことも可能なはず!!』

 

 そして二機のガンダムが離れ、間合いをとりあった。

 

『よし。お主の答え、確かに受け取った。ではこれが最後の試練じゃ。構えい、ドモン。見事天驚拳で、わしの天驚拳を破ってみせよ!』

 

 そして師匠のマスターガンダムが奥義、石破天驚拳の構えをとった!

 

* * * * *

 

 師匠のマスターガンダムが、天驚拳の構えをとった。その機体が金色のオーラを帯びていく。

 

『構えい、ドモン。お主も、我が流派を学び、大会でわしの天驚拳を見て、自らもこれを放てるようになっているであろう? 見事、天驚拳を放ち、わしの天驚拳に打ち勝ち、勝利と、キング・オブ・ハートの真の力をつかみとるがよい』

『……はい!』

 

 そしてドモンも構える。やはりその機体も、黄金に光輝いていく。

 

『いくぞぉ!』

 

 師匠が吠える。それに対してドモンも応える。

 

『応! 流派!』

『東方不敗がぁ!』

『最終!』

『奥義!』

 

 二人の輝きはどんどん増していき、ついにはランタオ島全体が金色の光に包まれた!

 そして!!

 

『『石破天驚拳ーーーーーー!!』』

 

 叫びと共に、二人の機体から巨大という言葉では生ぬるいビームの塊が放たれた! そして激突!!

 その衝撃で、周辺の大木がなぎ倒され、岩が吹き飛ばされていく!

 

「チボデー!」

 

 チボデーギャルズから避難するように声がかけられるが、チボデーも、そして俺たちもここから逃げ出すつもりはない。

 なぜなら!

 

『俺たちはここを動かねえ!』

 

 アルゴが続ける。

 

『最後まで見届ける!』

 

 俺が言う。

 

『なぜならこれは!』

 

 最後にジョルジュが叫ぶ。

 

『私たち、いえ、地球に関わる者たち全てが見届けるべきものだから!!』

 

 技同士の打ち合いは、やはり、流派の熟達者で、天驚拳についても十分に使いこなせる師匠に対して、今使ったばかりのドモンは分が悪いようだ。少しずつ後ずさっていく。

 そのドモンに、師匠の檄が届く。

 

『どうした、そこまでか? お主の力など、そこまでのものにすぎぬか!? それでもわしの弟子か、キング・オブ・ハートかぁ!!』

 

 師匠が力をこめ、さらに押していく。

 

『足を踏ん張り、腰を入れぬか! そんなことでは、わしを超え、地球を救うことなど、夢のまた夢ぞ! この馬鹿弟子がぁ!!』

 

 ついに、ドモンのゴッドガンダムが膝をついた! 万事休すか!?

 

『何をしておる!? 自ら膝をつくなど、勝負を捨てたもののすることぞぉ!!』

 

 ついに師匠の天驚拳がドモンのゴッドガンダムに……!

 

 しかし。

 

 よく見ると。

 

 天驚拳はドモンを撃破しようとしたのではなかった。原作の時と同じように、ゴッドガンダムを下から持ち上げ、立たせようとしていたのだ。

 本当に師匠馬鹿な人だ……。知らずのうちに、俺の目から一筋、涙が流れた。

 

『さぁ、立て! 立ってみせぇい!!』

『……はい! 師匠の檄、しかと受け取りました! 今こそ全力を振り絞り、師匠を超えてみせます! はああぁぁぁ!!』

 

 そして再び立ち上がったドモンが気合を入れなおし、天驚拳で、師匠のそれを逆に押し返していく。そして。

 

『はあああぁぁぁぁ!!』

『ぬおおおぉぉぉぉ!!』

 

 そして爆発! あたりは爆炎に包まれた!!

 

* * * * *

 

 爆炎がおさまった。その後には、拳を突き出したままのゴッドガンダムとマスターガンダムが構えをとったままでいる。

 

 やがて、マスターガンダムが膝をついた。それと同時に、背中のウィングバインダーが砕け散る。

 

『見事じゃ……今こそ、お前は本物のキング・オブ・ハートぞ……』

 

 そして自らの手をかざす師匠。その手にはキング・オブ・ハートの紋章が光り輝いている。その紋章はさらに強く輝いたかと思うと、静かに消えていった。ドモンに完全に受け継がれたのだろうか。

 

 安堵が辺りを包む。しかし!

 

『ごふっ!!』

 

 師匠が突然、口を押え吐血した!! もしかして、ついに師匠の身体に限界が!?

 

『師匠!』

 

 駆け寄るドモンに、師匠は苦笑しながら返した。その苦笑に無念さをにじませて。

 

『わしもこれで限界か……。もう少し先を……お主が大成する様を、地球がその緑を取り戻す姿を見届けたかったが……それも許されぬか……。無念じゃ……』

『師匠……! どうかしっかりしてください……!』

 

 だが、その二人を引き裂くような声が、戦慄と衝撃とともにとどろいた!

 

『ふん……茶番にしては上出来だったぞ。マスター・アジア、ドモン・カッシュ!』

『弱ったじじいを殺すなど、羽虫を潰すよりも簡単なこと! 今こそ、おいぼれを倒し、わしが真のマスター・アジアとなってくれるわ!』

『みんな切り裂いてやるぜえぇぇぇ!!』

『今度こそ、お前たち全てを蹂躙してくれるうううぅぅぅぅ!!』

『さぁ、いよいよ最後の時ですよ!』

 

 夕日をバックに、アナザー五人衆が現れたのだ!!

 




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* 次回予告 *

皆さん、お待ちかねぇ!
マスター・アジアの病臥したその時を狙い現れた、アナザー五人衆!
さらに強化された五人衆のパワーに、連合軍は大苦戦!

あわや、その毒牙がマスター・アジアにかかろうとしたその時!
ついにシュバルツの正体が明らかとなるのです!!

次回、『ちょっと待って。なんで俺、Gガンダム世界にTS転生して、東方師匠と拳交えてるの!?』

第35話『シュバルツの正体! ついに訪れた再会!!』

にReady Go!!

それではみなさん、また8/15 12:00に、またお会いいたしましょう!

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