ちょっと待って。なんで俺、Gガンダム世界にTS転生して、東方師匠と拳交えてるの!? 作:ひいちゃ
さてさて、大変なことになってしまいました。
『アナザー五人衆』と名乗るガンダムたちの襲撃で、ガンダムファイト第13回大会は中断! 世界はたちまち不穏な空気に包まれてしまいました。
この先、世界はどうなるのでしょうか? もしや、またカオス戦争がはじまってしまうのでしょうか?
ロンドンにて、ついに『コロニー国家平和会議』が開催されました! しかし、それと同時にアナザー五人衆も総力戦を仕掛けてきたのです!
「偽マスター・アジア! 師匠の名を散々騙ったことの使用料、ここで全額払ってもらいますよ!」
その攻撃の激しさに、会議は瓦解の危機に瀕しますが……
「お待ちいただきたい! 今外では、ガンダムたちが敵を食い止めるため、奮闘している。彼らは若いながらも、この会議を守り、平和を取り戻すために戦っているのです。しかしあなた方はそれにも関わらず、自分の利権に縛られ、会議を紛糾させているだけ。あまつさえ、敵襲におびえ、逃げようとする始末。それでいいのですか!? あなたたちはガンダムたちに恥ずかしくはないのですか!?」
ジャンヌたち連合軍の奮闘によってそれは免れ、会議は成功。
世界はかろうじて、カオス戦争再来の危機から免れたのです。
ですが、五人衆との戦いはまだ終わりません。
さて、今回のカードは、ドモン・カッシュのゴッドガンダム対東方不敗マスター・アジアのマスターガンダムの一騎打ち。
それでは、ガンダムファイト、Ready Go!!
俺たち新生デビルガンダム四天王と、ドモンたちシャッフル同盟を乗せたネオ・ロシアの輸送機ゴルビーは、拍子抜けするほどあっさり、ネオ・ホンコンのランタオ島に到着した。
五人衆の襲撃があるかと思ったが、奴らも先の戦いで消耗した戦力を立て直しを図っているのか、襲ってくることはなかったようだ。
そして輸送機を降りた俺たちは、ガンダムに乗ったまま、ランタオ島の火山の頂上を目指した。おそらく師匠は、そこで待っている。
果たして、その通りだった。
頂上に作られた、本来は第13回大会のバトルロイヤル・レースのゴールとなるはずだったリング。
師匠とシュバルツはそこで、それぞれの機体に乗って待っていた。
『……来たか、待っておったぞ』
『師匠! 身体の具合はいいのですか?』
ドモンの問いに、師匠は無論というようにうなずいた。
『うむ。万全ではないが、それでも、お主と一戦交えるぐらいなら問題はない。……構えよ、ドモン。戦いを通して託そう。わしの中の、真のキング・オブ・ハートとしての力と、わしの奥義、石破天驚拳を』
『はい!』
『そして、この戦いで聞かせてもらう。お主が至った答えを。その答えが理にかなったものであり、そしてお主がわしに勝った時は……わかっておるな、ジャンヌ』
そう言って、師匠は俺……ジャンヌ・エスプレッソに目を向けた。その目から、師匠の言いたいことを読み取った俺は、それに同意してうなずく。
「はい。その時には、ドモンたちの理を受け入れ、人類追放計画を中断させます。そして、デビルガンダムを再び封印しましょう」
『うむ』
『師匠……!』
師匠が再びうなずく。
俺が人類追放計画を推し進める動機の一つは、師匠とドモンの破滅的、悲劇的な対立をなくすことだ。それは既に叶っている。そのうえで、ドモンたちの理が、俺たちの計画以上に、地球の保全、復活に適したものなら、俺たちの計画に固執する理由は何一つない。
『それでは行くぞ、ドモン! 流派・東方不敗はぁ!!』
『王者の風よっ!』
そして、ドモンのゴッドガンダムと、師匠のマスターガンダムが、激しく拳を打ち合わせる。
『全新!』
『系列!』
『『天破侠乱!!』』
そして、今一度打ち合わせた拳が、激しい火花を発した!!
『『見よ! 東方は赤く燃えているうぅぅぅぅ!!』』
そして再び構えなおす師弟のガンダム。
『ガンダムファイトォ!』
『レディーゴオオォォォォ!!』
* * * * *
二機のガンダムが激しく拳と蹴りを交差させる。
師匠とドモンが、突きを、蹴りを放ち、攻撃を防ぎ、かわす。
そして、二人の飛び蹴りが交差した! それだけでリングが崩壊した!
『すごい戦いだ……』
そうチコが言う。チボデーがそれにうなずいて口を開く。
『あぁ。この戦いのレベルは、もはや俺たちが入れるレベルじゃない……』
『でも、不思議だぜ。二人の拳からは怒りも憎しみも感じないぜ』
サイ・サイシーの言葉に、俺もうなずく。
「えぇ、これが本当のガンダムファイトなのかもしれませんね」
戦いはまだ続く。
ドモンの猛攻! ゴッドガンダムが放つすさまじい突きの連打を、師匠のマスターガンダムがさばきつづける。
そこに蹴り! マスターガンダムは吹き飛ばされたが、蹴りが決まった瞬間、師匠は後ろに飛んで勢いを殺したので、それほどダメージはひどくないようだ。
『なんの、まだまだぁ! 十二王方牌大車併!!』
マスターガンダムから、気で作られた十二機のマスターガンダムが放たれ、ゴッドガンダムに同時に飛び蹴りを放った!
『ぐわあぁ!!』
そして地面に叩きつけられる。
『帰山笑紅塵!! さぁ、立ち上がるがよいドモンよ。お主はまだまだやられる男ではなかろう?』
『はい……!』
『うむ。これぐらいで倒れていては、キング・オブ・ハートの名が泣こうぞ。行くぞ!』
そして師匠のマスターガンダムが、超級覇王電影弾の構えを取った。それに対し、ドモンも同じく超級覇王電影弾の構えをとる。
二機のガンダムがオーラに包まれた。
『行くぞぉ! 超級!』
『覇王!』
『『電影弾ーーーー!!』』
そして二機は同時に、光の竜巻の弾丸となって突撃! ぶつかりあう!!
その様子を見て、ジョルジュが言う。
『聞こえますか?』
アルゴがこたえる。
『あぁ』
「互いの想いが響きあい、共鳴しあう拳の響き……」
そして、竜巻が消えて、後には拳をぶつけあう二機のガンダムの姿があった。
『むぅ。ドモン、それがお主の答えか』
『はい。過激な方法をとるのではなく、一人ひとりが自分ができる限りのことで、地球を救う行動をとる。確かに一人ひとりのできることは小さいかもしれません。ですが、人々みんなが少しずつでも、それを続ければ、それは大きく、強い力となりえます! そうなれば地球を救うことも可能なはず!!』
そして二機のガンダムが離れ、間合いをとりあった。
『よし。お主の答え、確かに受け取った。ではこれが最後の試練じゃ。構えい、ドモン。見事天驚拳で、わしの天驚拳を破ってみせよ!』
そして師匠のマスターガンダムが奥義、石破天驚拳の構えをとった!
* * * * *
師匠のマスターガンダムが、天驚拳の構えをとった。その機体が金色のオーラを帯びていく。
『構えい、ドモン。お主も、我が流派を学び、大会でわしの天驚拳を見て、自らもこれを放てるようになっているであろう? 見事、天驚拳を放ち、わしの天驚拳に打ち勝ち、勝利と、キング・オブ・ハートの真の力をつかみとるがよい』
『……はい!』
そしてドモンも構える。やはりその機体も、黄金に光輝いていく。
『いくぞぉ!』
師匠が吠える。それに対してドモンも応える。
『応! 流派!』
『東方不敗がぁ!』
『最終!』
『奥義!』
二人の輝きはどんどん増していき、ついにはランタオ島全体が金色の光に包まれた!
そして!!
『『石破天驚拳ーーーーーー!!』』
叫びと共に、二人の機体から巨大という言葉では生ぬるいビームの塊が放たれた! そして激突!!
その衝撃で、周辺の大木がなぎ倒され、岩が吹き飛ばされていく!
「チボデー!」
チボデーギャルズから避難するように声がかけられるが、チボデーも、そして俺たちもここから逃げ出すつもりはない。
なぜなら!
『俺たちはここを動かねえ!』
アルゴが続ける。
『最後まで見届ける!』
俺が言う。
『なぜならこれは!』
最後にジョルジュが叫ぶ。
『私たち、いえ、地球に関わる者たち全てが見届けるべきものだから!!』
技同士の打ち合いは、やはり、流派の熟達者で、天驚拳についても十分に使いこなせる師匠に対して、今使ったばかりのドモンは分が悪いようだ。少しずつ後ずさっていく。
そのドモンに、師匠の檄が届く。
『どうした、そこまでか? お主の力など、そこまでのものにすぎぬか!? それでもわしの弟子か、キング・オブ・ハートかぁ!!』
師匠が力をこめ、さらに押していく。
『足を踏ん張り、腰を入れぬか! そんなことでは、わしを超え、地球を救うことなど、夢のまた夢ぞ! この馬鹿弟子がぁ!!』
ついに、ドモンのゴッドガンダムが膝をついた! 万事休すか!?
『何をしておる!? 自ら膝をつくなど、勝負を捨てたもののすることぞぉ!!』
ついに師匠の天驚拳がドモンのゴッドガンダムに……!
しかし。
よく見ると。
天驚拳はドモンを撃破しようとしたのではなかった。原作の時と同じように、ゴッドガンダムを下から持ち上げ、立たせようとしていたのだ。
本当に師匠馬鹿な人だ……。知らずのうちに、俺の目から一筋、涙が流れた。
『さぁ、立て! 立ってみせぇい!!』
『……はい! 師匠の檄、しかと受け取りました! 今こそ全力を振り絞り、師匠を超えてみせます! はああぁぁぁ!!』
そして再び立ち上がったドモンが気合を入れなおし、天驚拳で、師匠のそれを逆に押し返していく。そして。
『はあああぁぁぁぁ!!』
『ぬおおおぉぉぉぉ!!』
そして爆発! あたりは爆炎に包まれた!!
* * * * *
爆炎がおさまった。その後には、拳を突き出したままのゴッドガンダムとマスターガンダムが構えをとったままでいる。
やがて、マスターガンダムが膝をついた。それと同時に、背中のウィングバインダーが砕け散る。
『見事じゃ……今こそ、お前は本物のキング・オブ・ハートぞ……』
そして自らの手をかざす師匠。その手にはキング・オブ・ハートの紋章が光り輝いている。その紋章はさらに強く輝いたかと思うと、静かに消えていった。ドモンに完全に受け継がれたのだろうか。
安堵が辺りを包む。しかし!
『ごふっ!!』
師匠が突然、口を押え吐血した!! もしかして、ついに師匠の身体に限界が!?
『師匠!』
駆け寄るドモンに、師匠は苦笑しながら返した。その苦笑に無念さをにじませて。
『わしもこれで限界か……。もう少し先を……お主が大成する様を、地球がその緑を取り戻す姿を見届けたかったが……それも許されぬか……。無念じゃ……』
『師匠……! どうかしっかりしてください……!』
だが、その二人を引き裂くような声が、戦慄と衝撃とともにとどろいた!
『ふん……茶番にしては上出来だったぞ。マスター・アジア、ドモン・カッシュ!』
『弱ったじじいを殺すなど、羽虫を潰すよりも簡単なこと! 今こそ、おいぼれを倒し、わしが真のマスター・アジアとなってくれるわ!』
『みんな切り裂いてやるぜえぇぇぇ!!』
『今度こそ、お前たち全てを蹂躙してくれるうううぅぅぅぅ!!』
『さぁ、いよいよ最後の時ですよ!』
夕日をバックに、アナザー五人衆が現れたのだ!!
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* 次回予告 *
皆さん、お待ちかねぇ!
マスター・アジアの病臥したその時を狙い現れた、アナザー五人衆!
さらに強化された五人衆のパワーに、連合軍は大苦戦!
あわや、その毒牙がマスター・アジアにかかろうとしたその時!
ついにシュバルツの正体が明らかとなるのです!!
次回、『ちょっと待って。なんで俺、Gガンダム世界にTS転生して、東方師匠と拳交えてるの!?』
第35話『シュバルツの正体! ついに訪れた再会!!』
にReady Go!!
それではみなさん、また8/15 12:00に、またお会いいたしましょう!