ちょっと待って。なんで俺、Gガンダム世界にTS転生して、東方師匠と拳交えてるの!? 作:ひいちゃ
さて、ついにこの時が来てしまいました。私にはもう、お伝えすることは残っておりません。
そう、これが正真正銘、最後のガンダムファイト!
さぁ皆さんご一緒に!!
Ready Go!!
俺……ジャンヌ・エスプレッソの本体……は、分身が砕け散ったあとに残った光の玉……彼女の力や心、記憶の集合体を抱え、胸に押し当てた。
光の玉が俺の中に入り込み、分身の全てが俺の中にしみこんでいくのが感じられる。彼女の心や記憶が、俺のそれと一体化していくのが感じられる。
「これが、『私』が今まで培ってきたもの……」
今や、俺は俺ではなくなっていた。俺は俺であり、『俺』でもある。
「ありがとうございます……そして、これから一緒にがんばりましょうね、私」
俺は、目の前に直立したままのオルタセイバーを見据えて言った。
「行きますよ、オルタセイバー! ……いえ、ガンダムピュセル!」
その言葉に呼応するかのように、オルタセイバーが崩れ始めた。否! 新たな姿に生まれ変わろうとしているのだ! 俺の思念に反応し、アルティメット細胞に変質し、機体を修復、改修しては崩れていく
そして、全てのDG細胞が崩れ落ちた後には、完全な状態のオルタセイバー……いや、かつての俺の乗機、ガンダムピュセルが堂々と直立していた!
そして、俺は絡みついていた触手を引きちぎり、ガンダムピュセルのコクピットに飛び込んでいった。俺が入ると同時にそのハッチが閉まる。
頭上からリングが回転しながら降りてくる。そのリングはそのまま回転しながら、俺の生まれたままの身体にファイティングスーツをまとわせていく。その苦しさがどこか懐かしかった。
そして、俺のささやかな胸も、細身の腕や足も、ファイティングスーツに包まれていく。
それが全部終わったところで、ピュセルのモビルトレースシステムが起動。軽く演武を行う。その動きの通りに相棒が動く。
「よし、いきます!」
そして俺は、ガンダムピュセルとともに、みんなの元に戻った。
* * * * *
「ジャンヌノアネキ!」
「戻ってきたか、本当によかった!」
「えぇ、ご心配をおかけしました。それに、あのような罪を犯しておいて、皆さんの元に戻るのもどうかと思いましたが……」
俺がそう言って頭を下げると、チコもカンちゃんも笑って許してくれた。
「気にするな。お前の分身と別れる時、約束したんだからな。お前を変わらず仲間として受け入れると」
「ソウダ。ソレニ、タトエ本物ダロウガ分身ダロウガ、ジャンヌハジャンヌ」
「二人とも……」
そこに、師匠やドモンからも通信が入る。
「それに、お主がしたことなど、わしがしようとしたことに比べればどうってことはない」
「正直、お前がしたことは看過できるものではないが、お前なりに地球のことを思ってやったことだし、そして自らのことを悔い改めたのなら、俺たちはそれ以上言うべきことはない」
「二人とも……」
さらに、シュバルツ……いや、キョウジも言ってくれた。
「何より、ある漫画家も言っていた。『男の価値はどんな奴だったかで決まるものではない。今どんな奴かで決まるもの』と。過去に過ちを犯したのなら、これからの行動でそれらを払拭すればいいことだ」
「キョウジ……ありがとうございます。私は女なんですけどね」
俺のそばに、シャッフル同盟の四人も駆け付けて、言葉を投げかけてくれる。
「そうそう、これからのお前の頑張り、しっかりと見せてもらうからな!」
「手を抜いたら、承知しないぜ、アネキ!」
「その通りです。共に、全力で戦いましょう!」
「何より手を抜くなど、お前の中のジャンヌも許さないだろう」
その言葉を受け、俺は胸に熱いものを感じながらうなずく。
「はい。行きましょう、みんな!」
そして俺たちは、改めてデビルガンダムに突撃した!
* * * * *
俺を失ったデビルガンダムは、やはりいくらか弱体化したようだ。攻撃の激しさも、今までほど激しくはない。
とはいえ、やはり腐ってもデビルガンダム。弱体化しながらも、その攻撃は緩むところを知らない。
ビームセイバーを振るって、接近してくるガンダムヘッドを両断! 何しろ、生身の身体に戻ってしまったことで、今まで磨いてきた、流派・東方不敗の亜流の技は使えなくなってしまった。今の身体ではその負荷に耐え切れないのだ。元から使える剣術しか使えない。しかし、やるしかない!
また別の方向から飛んできたガンダムヘッドに、ビームセイバーを突き刺す!
「たあぁぁー!!」
そして切り上げて撃破!!
しかし、別の方向から飛んできたガンダムヘッドに体当たりを喰らって吹き飛ばされる!
「くぅっ……!」
吹き飛ばされた俺のガンダムピュセルに、ビームで追撃しようとするガンダムヘッド。そこに!
「させぬ!」
キョウジのガンダムシュピーゲルが駆け付け、そのガンダムヘッドを一刀両断してくれた!
「ありがとうございます、キョウジ!」
「礼には及ばん。では!」
そして、接近してくる二本のガンダムヘッドに飛んでいき、その両方を両断する。
さすがキョウジ。俺も負けてはいられないな。俺もビームセイバーを構えなおし、気合を入れる。
そこに、ゴルビーⅡのナスターシャ女史から通信が入る。
「朗報だ! 各コロニーに伸びていたガンダムヘッドたちが、コロニーの目前で動きを止め、朽ちていった。どうやら、ジャンヌを失って弱体化したことが原因のようだ」
それを聞いて、チボデーが歓声を上げる。
「そいつはハッピーな報せじゃねぇか! よーし、もう一息、頑張ろうぜ!」
「あいよ!」
チボデーの言葉に、サイ・サイシーがうなずき、ガンダムマックスリボルバーと、ガンダムダブルドラゴンが突撃し、暴れまわる。
師匠の無双っぷりは相変わらずだし、ドモンもビームソードでガンダムヘッドを斬りまくる。
ガンダムヘッドの一体の頭上にガンダムボルトクラッシュが着地し、拳を振り上げる。
「喰らえ! ガイアクラッシャー!!」
そして拳を叩きつける! ガンダムヘッドはつながっている触手もろとも砕け散った。
激闘を繰り広げる俺たちだが、それでもデビルガンダムの猛威はとどまるところを知らない。ガンダムヘッドを潰しても潰しても、また新しいガンダムヘッドが現れる。本体を攻撃しても、すぐに自己再生で修復されてしまう。
もう、きりがない。無限に戦い続けるしかないように思われた。
「くそ、これではきりがないぞ! カッシュ博士、何か手はないのか!?」
カラト委員長が焦った様子で、カッシュ博士にそう意見を求める。
「本体を一気に叩くしかないですが……」
「そうですね……。叩いても自己再生されてしまいます。強烈な光のパワーで、デビルガンダムを構成しているDG細胞を、一瞬にしてすべて、アルティメット細胞に昇華させてしまえばいいのですが、そんな手段は……」
俺が言ったその時!
「手段? そんなものあるではないか」
師匠がそう言い放った!
* * * * *
「手段!? 師匠、何か手があるのですか?」
そう聞いてくるドモンに、師匠は不敵に笑みを浮かべて言った。
「キョウジ・カッシュがいっていたではないか。DG細胞は意志の力で、アルティメット細胞に昇華することができると。そしてわしらには、意志の力を敵にぶつける手があるはずだ」
「そうか、拳か!」
チコの答えに、師匠がうなずく。
「そうじゃ。石破天驚拳に意志の力を込めて放つ!」
「ですが、あれだけの巨体をアルティメット細胞に昇華させるには、私たちだけの意思の力では……」
圧倒的に足りない。この場にいる、俺たちやガンダム連合たちを集めても、出現している全てのガンダムヘッドを消滅させられるかどうかってところだ。とても、デビルガンダムを消滅させるなんてことは……。
「心配はいらぬ。ほら、感じぬか?」
「え? あ……」
確かに感じる。あちらこちらのコロニー……いや、地球圏の全てから、光にあふれた意志が集まってくるのが。
これは……。
「地球消滅の危機を目の当たりにし、そしてわしらの戦いを見た者たちが、地球を守りたいという気持ちを抱いてくれておる。この力があれば、あの化け物を光に還元することなどたやすいであろう」
「皆さん……」
人々がその気持ちを持ってくれたことに目頭が熱くなる。俺の進んだ道は結局は誤りだったが、それでもこうして地球を救う一助になってくれたのは、本当によかった。
「おのれええぇぇぇぇぇ!!」
そこに、ウルベの叫び声。デビルガンダムがガンダムヘッドとともに突撃してきた!
「ふん、最後の悪あがきに出たか。皆の者、いくぞ!」
「はい!」
「えぇ!」
師匠の言葉に、ドモンと俺が答える。他のみんなも力強くうなずいた。そして全員で構える。
「わしらのこの手が光輝く!」
師匠の後を、ドモンが続ける。
「未来を拓けと!」
その後に俺が。
「轟き叫ぶっ!!」
さらにデビルガンダムが突っ込んでくるが、動じない。
それどころか、俺や師匠、ドモンたち、いや、この場にいる全てのガンダムたちが金色を超えた金色に光輝いていた。
再び師匠が。
「星!」
シュバルツが。
「破!」
チコとカンちゃん、そしてシャッフル同盟たちが。
「超越!」
そして全員で。
「神驚拳ーーーーーーーー!!」
俺たちから超巨大な光の塊が放たれた!! 俺にはその光の塊の中に、無数のキング・オブ・ハートが見えたような気がした。
それはまさに、星を破り、神を驚かすというその名のごとし。
その光の塊は迫りくるガンダムヘッドを、次々と光に変え、そして、デビルガンダム本体に直撃した!!
その光のパワーの前では、その巨体は意味をなさない。その巨大な体が徐々にアルティメット細胞へと変わって崩れていく。そしてウルベも。
「あぁ、私の身体が……憎しみや恨みが……浄化され、光へと変わっていく……!」
そして憎しみと恨みに生きた男は、デビルガンダムとともに、浄化され、光……アルティメット細胞となって消えていったのだった。
そして、神驚拳の光はそれだけではなく、地球にも……。
「見て、地球が……」
「おぉ……!」
通信機から、チボデーギャルズと、サイ・サイシーのお目付け役二人の、喜びの声が聞こえてくる。
振り注いだ光は、地球を覆っていたDG細胞をアルティメット細胞へと変えていった。変わったアルティメット細胞は大地に、緑を蘇らせて消えていく。
そして、地球を覆っていたDG細胞が消えた後には、今までよりもさらに美しい地球がそこにあった。
地球は救われたのだ。
* * * * *
最後の戦いから四年後。ガンダムファイト14回大会が始まった。
この14回大会では、これまでのガンダムファイトが地球を汚し、傷つけてきたことを反省し、ラグランジュポイントに作られた大会用コロニー『ガンダム・コロシアム』で行われることになった。
良い変化はそれだけではない。
コロニー国家各国が共同して、地球に住む貧しい人たちをも、コロニーに住まわせるように手を尽くして、今や地球には、環境を調査する調査員以外の人類は存在しない。
みんな、あの戦いを通して、地球について考えてくれた成果だ。
「久しぶりじゃな、ジャンヌよ」
「師匠」
そう俺が回想しているところに、師匠……東方不敗・マスターアジア……もとい、東西南北中央不敗・スーパーアジアが俺の隣にやってきた。
彼は俺の身体を見回すと、面白そうに笑みを浮かべて口を開いた。
「ふむ、鍛錬は欠かしてはおらぬようだな。結構なことだ」
「はい。そのおかげもあって、東方不敗亜流の技も、スプラッシュ・ソードぐらいなら問題なく撃てるようになりましたよ」
「そうか、それは楽しみだ」
「師匠も参加されるのですか?」
俺がそう聞くと、師匠は苦笑して首を振った。そして答える。
「いや、わしは東西南北中央不敗・スーパーアジアだからな。そんなわしが大会に出ては、他の者たちのやる気がなえるじゃろう。今回は見届け人よ」
「はは……」
俺も苦笑を浮かべる。全てが終わり、師匠はまた東方不敗・マスターアジアの名を名乗っても問題ないようになった。だがそうなっても、師匠はいまだ、東西南北中央不敗・スーパーアジアの名を名乗り続けている。確かに、彼の強さならそう名乗っても違和感がなさすぎるのだが。
と、そこに、アナウンスが流れた。次の試合が始まるらしい。
リングに現れたのは、カンガルーのようなガンダム。カンちゃんの弟子、ピョンちゃんの駆るジャンピングガンダムMk-Ⅱと、ネーデルガンダムの改良機のような機体。
確か、ルドガーの話では、あのガンダムには彼の弟子が乗っているらしい。彼の技や力を全て受け継いだその弟子は、圧倒的な強さでサバイバルイレブン(これも当然、宇宙で行われていた)を勝ち抜いたんだとか。
この二機のガンダムの対決は、新しい時代を象徴しているかのように見えた。
彼らが対峙している向こうには、青く輝く地球が。まるで、新しい時代をつかみ取った俺たち人類を祝福してくれているかのようだ。
そんな希望にあふれた風景の中、二機のガンダムのファイターたちは、希望にあふれた叫び声を放つ。
「ガンダムファイト!」
「レディーゴオオオォォォォ!!」
~END~
ファンアート、そして感想募集中!
テテテUCを書いてくださる方も募集しています!
さて皆さん、ストーカーでございます。
ここまで、『とうけん』こと『ちょっと待って。なんで俺、Gガンダム世界にTS転生して、東方師匠と拳交えてるの!?』を読んでいただき、まことにありがとうございます。
次の更新は、9/5に『イカダ』こと『好き放題してた市長ですが、気が付いたらイカダで漂流していました』の4話の公開を予定しております。
さらにその1週間後、9/12にはひいちゃオリジナルのガンダムものの短編を公開する予定でございます。
こちらも、どうぞお楽しみしていただけたら幸いでございます。
それではこれまでお読みいただき、ありがとうございました!