ちょっと待って。なんで俺、Gガンダム世界にTS転生して、東方師匠と拳交えてるの!? 作:ひいちゃ
良ければ皆さんに、ガンダムファイトについて説明させていただきましょう。
地球から宇宙に出た人類。彼らが築いたコロニー国家。
その国家間の全面戦争を避けるため、主導権をガンダム同士の格闘大会で決める。
これがガンダムファイトです。
スポーツの皮をかぶった戦争、地球を犠牲にして行われる血を伴わない争い。
人類はなんて戦争システムを作り出したものか。
それが、これまで12回も続いてきました。
ですが今回の13回大会は、これまでとも、そして我々が知る13回大会とも、どうも違うようです。
「仕方ありません。私があなたにできることはこれのみ! 来なさい!!」
果たして彼女、TS転生者のガンダムファイター、ジャンヌ・エスプレッソが、この大会、この世界にどのような波紋をもたらすのか?
今回のカードは、ネオ・トルコ代表セイット・ギュゼルのミナレットガンダム。
それでは、ガンダムファイト! Ready Go!!
俺……ジャンヌ・エスプレッソはトルコ地域のイスタンブールの町にやってきた。
チコの話では、ここイスタンブールに、
トルコでDG細胞絡みとすると……。
そう考えを巡らせながら、イスタンブールの町に入ると……。
そこは戦場だった。
暴れまわっている一機のガンダムに、ネオ・トルコ軍のものらしき戦車が砲撃を加えている。そのガンダムは……。
間違いない、ミナレットガンダムだ。
ミナレットガンダムは、ネオ・トルコのガンダムで、ファイターは、Gガンダムのヒロイン、レインの元恋人セイット・ギュゼル。
彼は以前、デビルガンダムが出現した時にその迎撃に参加し、戦うものの、その戦いでDG細胞に感染してしまう。
DG細胞は高い感染力と、感染した宿主の破壊衝動を極大まで増幅してしまう効果があり、当然セイットもDG細胞により増幅された破壊衝動の赴くままに、こうして暴れまわるようになってしまった、というわけだ。
そう俺が思い出している間にも、ミナレットガンダムは暴れまわっている。戦車を踏みつぶし、その
「来てぇ! ガンダムオルタセイバー!!」
俺のガンダム、ガンダムオルタセイバーを呼び出して乗り込む。
俺のきゃしゃな身体をファイトスーツが包むと同時に、モビルトレースシステムが俺の身体をチェックし、オールグリーンを知らせる。ファイト準備完了だ。
「これは正式なファイトではありませんが、言わせてもらいます! ガンダムファイト・レディーゴオオォォォ!!」
俺はオルタセイバーのビームセイバーを抜くと、バーニアを吹かせて、ミナレットガンダムに突進していった。奴に対して、剣を振り下ろす。こちらに向きなおったミナレットガンダムは、その名前の元である剣、ミナレットでそれを受け止めた。
ミナレットはすごいパワーで俺を押し返し、変幻自在な剣技を繰り出してきた! 読めない軌道の斬撃に苦労するが、なんとかそれを捌いていく。
そうしていくうちに、ミナレットに隙ができた! 俺はそこを突いて一撃を加えようとビームセイバーを振るった!
だがそこで、突然ミナレットガンダムは俺に対してタックルを仕掛けてきた! そのタックルのパワーに、俺のオルタセイバーは吹き飛ばされ、あおむけに倒れこんでしまう。
しまった! こいつはレスリングも得意なんだった! 確か大学ではレスリング部に所属していたと、設定の本で読んだことがある。
そして、ミナレットが逆に俺を攻撃しようとしたところで。
「こおおぉぉぉいっ! ガンダアアァァァムッッ!!」
その場に居合わせたドモンがそう叫び、地面からシャイニングガンダムが現れた! そしてドモンが乗り込み、俺のオルタセイバーをかばうように立ちはだかる。
『今度は俺が相手だ! ガンダムファイト、レデイイィィィゴオオオォォウッッ!!』
そして、ビームソードを抜いて、ミナレットに斬りかかる! シャイニングのビームソードと、ミナレットガンダムのミナレットがぶつかりあい、スパークを放つ。
『ぬああああっ、はああっ!!』
そして、力を振り絞り、ミナレットガンダムの手から剣を弾き飛ばす!
『俺のこの手が光って唸る! お前を倒せと輝き叫ぶ!!』
シャイニングガンダムの各部の装甲が開かれ、バトルモードに変形する。その右手が緑色に発光する。
『必殺! シャイニングッ! フィンガー!!』
出た! ドモンの必殺技、シャイニングフィンガーだ! ドモンの、シャイニングの輝く右手がミナレットの頭部を握りつぶそうと迫る!
だが、ミナレットもただでやられはしない。DG細胞によって生存本能も増幅されているのか、ミナレットはその右腕をもって頭部をかばったのだ。
シャイニングフィンガーが右腕をつかみ、粉砕する! だがそれと同時に、ミナレットガンダムの左腕が伸び、弾き飛ばされたミナレットをつかみ、そのままシャイニングガンダムに斬りかかる!
間一髪、シャイニングはそれを回避した。それと同時に、ミナレットガンダムは地面に潜って消えていったのだった。
* * * * *
一方、レインは、デビルガンダムの調査のために、イスタンブールの町を歩いていた。
だが、肝心のデビルガンダムについての手がかりは一切なし。
「はぁ……。はずれだったのかしら。あのガンダムはデビルガンダムと関係ありそうなのに……」
と、そこでレインの耳に、聞き覚えのある声が届いた。
「う、うぐ……」
「こ、この声は、もしかして……」
そして彼女が、声がする裏道に行くと、そこには……。
「セイット!」
「レイン、レインか……!?」
そこには、レインと同じ大学に通った男友達、いや友達以上恋人未満と言ってもいい仲だったセイット・ギュゼルが座り込んでいた。
「セイット、あなたとこんなところで会うなんて……。それに、どうしてここに……」
「あぁ、俺は……」
とセイットが言おうとしたところで。
「いたぞ、あそこだ!」
「国家反逆罪犯人だ! 逃がすな!」
ネオ・トルコ警察の制服を着た男たちがやってきた! 彼らは二人を見つけると、一斉に銃をかまえた。
「話はあと! 逃げましょう!」
「あ、あぁ……」
そして二人は、銃弾が飛び交う中を逃げ出した。
* * * * *
「ここまで逃げれば、もう大丈夫でしょう……」
「済まない、君まで巻き込んでしまって……」
そう言って詫びるセイットに、レインは首を振った。
だがそこでレインはあることに気が付いた。それは、セイットの首を覆う。
「これは……DG細胞!? セイット、どうしてこれに……?」
「見つかってしまったか……。一年前、デビルガンダムが落下してきたさいに、俺もその迎撃作戦に参加して、その時に……」
「そう……」
「だから、もう離れてくれ……。このままでは、俺はまたDG細胞に呑まれて、化け物になってしまう……」
だが、それでもレインはまた首を振る。
「ううん。あなたは化け物じゃない。どんなことになっても、あなたはあなた、セイットのままよ」
「レイン……強くなったな」
「そうかしら……」
そう言って、互いに微笑む。
「希望をもってセイット。ドモンに連絡して、ネオ・ジャパンに連れて行ってもらえば、きっとよくなるわ」
「ドモンとは、さっきミナレットガンダムと戦っていたガンダムに乗っていた者か?」
「えぇ。私の幼馴染で、パートナーよ」
「パートナー……」
それを聞いたセイットの心の中にどす黒い感情が生まれた。それはDG細胞の力でどんどん強く大きくなり、それにあわせてDG細胞が再び活性化しはじめる!
「……いを……」
「セイット……?」
「俺の愛を、愛ヲオオオオオオオ!!」
「きゃああああああ!!」
* * * * *
「よし、これで大丈夫だろう」
「ありがとうございます……ドモン・カッシュ」
一方、俺はミナレットガンダム戦で受けた傷の手当を、ドモンにしてもらっていた。まさか、原作の主人公直々に怪我の手当をしてもらえるとは、すごく感激だ。
なお、俺がDG細胞クローンであるとばれる心配はない。俺の本体がデビルガンダムを制御している影響で、俺の本体がコアになった後のデビルガンダム由来のDG細胞は、感染力などの特性はそのままではあるものの、見かけは普通の細胞と変わらなくなっている。
なのでちょっと見では、俺がクローンだと見破られることはないのだ。
「礼はいらん。同じ流派東方不敗を学んだ同門のよしみだからな」
「同門って……私は少し師匠から教えてもらってかじっただけですよ」
「謙遜はいらん。あれだけ身に着けていればたいしたものだ。並みのファイターでは、そもそもかじることさえ難しい流派だからな」
「はぁ……」
そんなに人を選ぶ流派だったのか。それはきっと、もし俺がDG細胞クローンでなかったら、本当に少し実践することすら不可能だったかもしれない。この体に感謝だな。
「そういえば、師匠は元気だったか?」
「えぇ、相変わらずでした。厳しいところも、理想に燃えるところも」
その理想と厳しさから、デビルガンダムによる人類排除に走ってしまったんだけどな。
まぁ……俺も似たものどうしか。
「そういえばドモン、レインさんとは一緒じゃないんですか?」
「あぁ、彼女はこの町で、デビルガンダムについての情報を調べているところだ」
「そうですか……ん?」
そこで俺は一つのことを思いついた。
確か、俺の本体がコアになったことでわかったことだが、DG細胞にはある特性がある。それは人の負の感情……怒りや憎しみや嫉妬など……に反応して、それを増幅しつつ、さらにその感情エネルギーを糧として急成長を遂げるというものだ。
なので、宿主が負の感情を抱いてしまうと、感情を増幅→糧として成長→成長した細胞がさらに感情を増幅→それを糧として成長……の無限ループに陥り、強大な怪物となってしまうのだ。もちろん、成長には限界があるから、無限とはいかないが。
もし、セイットがレインと会っていて、さらにドモンのことを知って、嫉妬に取り付かれたりしたら……。
その時だ。
『オレノアイヲキミハアアアアアアァァァァ!!』
* * * * *
現れたのはミナレットガンダムだ。だが、前に戦った時より、さらに大きく、まがまがしくなっている。
約2倍……いや、3倍ぐらい大きくなっているぞ。
……悪い予感が当たってしまったか……。
「どういうことなんだ、あれは!? さっきより大きくなっているぞ!」
「おそらく、ガンダムファイターの負の心を喰らって成長したんでしょう。DG細胞にはそんな特性がある……と、ある研究資料で読んだことがあります」
「なんだって!?」
本当は、俺の本体がデビルガンダムのコアになったからなのだが、それは秘密だ。今はドモンに敵対心を持たれたくない。
だが、そんな俺たちをよそに、ミナレットは前より激しく暴れながら、街を破壊し、こちらに進んでいく。
『アイヲ、アイヲオオオオオオオオ!!』
おそらく、奴のターゲットは俺たち……いや、ドモンだろう。何はともあれ、このままにしていくわけにはいかない!
「行きましょう、ドモン!」
「おう、お前の力、頼りにさせてもらうぞ! あいつを倒し、止める!」
そして。
「来てええぇぇぇ! オルタセイバアアアアアア!!」
「こおおぉぉぉいっっ! ガンダムアアアァァァムッッ!!(パチンッ)」
俺とドモンはそれぞれ、ガンダムオルタセイバーとシャイニングガンダムを呼び出して、巨大ミナレットと対峙した。
先手を取ったのは、巨大ミナレットガンダムだった。奴が振り下ろしたミナレットを、俺たちは左右に飛びずさってかわす。そしてドモンが、着地すると同時に、ビームソードを手に飛び掛かっていった。
「はあっ!!」
一閃! そのビームソードは、巨大ミナレットの胸部装甲を切り裂いた! だが、そこからのぞいたのは……。
「れ、レイン!?」
なんということだ! 巨大ミナレットガンダムの内部には、ドモンのパートナー、レイン・ミカムラが取り込まれていたのだ! おそらく、原作のデビルガンダムのように、生体ユニットとして組み込まれているんだろう。
「どういうことだ、なんでレインがあの中に!?」
「落ち着いてください、ドモンさん!」
「これが落ち着いていられるか! ……うおっ!!」
動揺したドモンのシャイニングガンダムが、巨大ミナレットのタックルを喰らって吹き飛ばされた。奴は、さらにドモンにミナレットの一撃を加えようとするが……。
「させません! スプラッシュ・ソードォォォォ!!」
無数の刺突を放ち、注意をこちらにひきつける。巨大ミナレットの斬撃を、俺はかろうじてかわした。そしてその間に、ドモンは態勢を立て直すことができた。
「済まなかった、ジャンヌ。だが、一体どういうわけなんだ……?」
「おそらく、ミナレットガンダムの生体ユニットとして使われているんでしょう。それで、ファイターの、レインさんへの悪感情をさらなる力にしていると思われます」
「……詳しいな」
ぎくっ!? 怪しまれている!?
「そそそ、そんなことないですよ、読んだ資料から推測しただけですとも」
「そうか、まぁいい。だがどうする? これではレインを人質にされているようなもの……だっ!!」
再び襲う、ミナレットの斬撃! 俺たちはそれをなんとかかわす。
それからも、俺たちは、巨大ミナレットの攻撃を次々かわしていくが、ドモンが言う通り、レインを人質に取られているようなものなので、なかなか反撃に出ることができない。変なところを攻撃して、取り込まれているレインに後遺症が出たら大変だ。
と、そこで、俺の脳裏に、Gガンダムの作中でドモンが聞いていた言葉が思い浮かんだ。
ドモン曰く。
『格闘家の拳は、己の心を語るものだと、俺に教えてくれたのはこの
それを使えば……いちかばちかだな。
「ドモンさん、一つ考えが浮かびました。かなり勇気がいることですが」
「なんだ!? レインを助け、こいつを倒すためだったら、なんでもするぞ!」
再び攻撃が迫りくる! それをかわしながら続ける。
「あなたのレインさんへの気持ちを拳にこめて、奴の胸部装甲に一撃を喰らわせるんです!」
「な、なにぃ!?」
「ある人が言っていました。格闘家の拳は、自分の心を語るものだと。ならば、その気持ちを込めた拳を食らわせれば、装甲を通して中のレインさんにそれを伝えて、正気に戻し、脱出させることができるかもしれません!」
「そ、そんなこと言われても、心の準備がだなぁ!」
「そんなことを言ってる場合ですか! なんでもするって言ったじゃないですか!……きゃっ!!」
俺のオルタセイバーは、巨大ミナレットガンダムの裏拳を喰らって吹き飛ばされた。一方のドモンはまだうじうじしてるし……。
こうなったら、無理やりにでもことを運んでやらせるしかなさそうだ。
俺はなんとか立ち上がると、巨大ミナレットガンダムに突撃していった!
「いいですね! 私が隙を作りますから、あなたの気持ちを込めた一撃を喰らわせてやってください!」
「あー、もう、わかった!」
そして俺は斬撃やスプラッシュソードを放ちながら、巨大ミナレットガンダムの攻撃をかわし、牽制していった。
そうしていくうちに、ついに巨大ミナレットにとって致命的な隙ができた!
「今です!」
「うおおおおお!!」
そして。
「戻ってこいレイン! 俺にはお前が必要なんだっっ!!」
拳がさく裂! どうだ……?
『レイン……レイイイィィィィン!! アイヲ、アイヲオオオオオオ!!』
突然、巨大ミナレットが苦しみだし、胸部がまるで何かを吐き出すかのように蠢きだす。もう一撃だな。ならば!
「一点集中スプラッシュソードオオオォォォォ!!」
無数の刺突を一点集中して胸部装甲に浴びせる。もちろん、中のレインまで串刺しにしないように。
それが最後の一撃になったのか、胸部装甲がはじけ、中からレインが吐き出された! それをなんとか左手で受け止める。
「とどめです、ドモンさん!」
「うおおおぉぉぉぉっ! シャアアアイニングッ! フィンガアアアアア!!」
そして、ドモンのシャイニング・フィンガーがさく裂し、巨大ミナレットの頭部が粉砕された。
* * * * *
「世話になったな、ジャンヌ・エスプレッソ」
「いえ、同門のよしみじゃないですか」
「ふふ、そうだな」
戦いが終わった後、礼を言ってきたドモンに、俺はさっきのお返しみたいな感じで返した。
ちなみに、ミナレットガンダムに乗っていたセイットは、無事救出され、救急車に収容されていった。そのそばには、レインがいたことは言うまでもない。
「レインさん、身体の具合はどうですか?」
「うん、特に問題はないみたい。助けてくれてありがとう」
「いえ、礼を言われるほどのことではありませんよ」
そこでレインは、ドモンのほうを向いた。そして微笑んで。
「あなたも……ありがとう、ドモン。『お前が必要だ』と言われて、とても嬉しかったわ」
「か、勘違いするな。メカニックとして必要だという意味だ」
「もう、ドモンの馬鹿っ!」
その様子を見て、俺は微笑んだ。
もし救出が失敗していたら、こんな夫婦漫才も見ることができなかったかもしれないから。
「でも、本当に仲がいいんですね。うらやましいです」
「ふ、ふん。でも、本当に助かった、ありがとう。俺にできることがあれば、いつでも言ってくれ。なんでもしてやる」
「はい、その時はお願いします」
そして俺は、ドモンたちと別れた。
いつか、彼らとも戦うことになる運命を感じながら……。
ファンアート募集中!
* 次回予告 *
皆さんお待ちかねぇ!
ついに、デビルガンダム四天王の最後の一人になりうる者の発見を知ったジャンヌは、その者がいる、とある孤島へ向かいました。
ですがその者は、とんでもない存在だったのです!
果たしてジャンヌは、彼を四天王に招き入れることができるのでしょうか?
次回、『ちょっと待って。なんで俺、Gガンダム世界にTS転生して、東方師匠と拳交えてるの!?』
第5話『発見、最後の四天王! 孤島を守る人ならざる守護者』
にReady Go!!
次の更新は、5/17 12:00の予定です。こうご期待!