ちょっと待って。なんで俺、Gガンダム世界にTS転生して、東方師匠と拳交えてるの!? 作:ひいちゃ
さて……いよいよ、舞台は、原作では大きな転換期となる新宿に移りました。
原作では、ドモンはここで、さる驚くべき人物と再会し、さらに衝撃的な真実を知り、そしてその人物と決別することになりました。
その末にどうなったかは、原作をご覧になられた皆様には、既にご存じのことでしょう。
ですが! この話はそれだけには収まりません。
ここから先の展開は、原作から大きく変わっていくこととなるのです。
「このぐらいのゾンビ兵で私の命を狙うとは……。私の命の見積もりとしては甘すぎるということを見せなければいけませんね」
果たしてジャンヌは、この世界での物語を、どのように変えていくことになるのでしょうか?
今回のカードは、ネオ・フランス代表ジョルジュ・ド・サンドと、ネオ・ロシア代表アルゴ・ガルスキーですが、やはり何か違うようです。
それでは、ガンダムファイト、Ready Go!!
偽物の東方不敗・マスターアジアと再会を果たしたドモンは、彼に案内され、新宿の街を歩いていた。
「師匠、この先に何があるのですか?」
「うむ。わしもデビルガンダムの調査をしていてな」
「なんと!?」
驚くドモンに、偽マスターアジアはうなずくと話を続けた。
「それで、この先の東京タワーに、その手掛かりがあることを突き止めたのだ」
「そうだったのですか、さすがは師匠です!」
「ふふふ、そう褒め殺すではない、こやつめ」
そう仲良さそうに進んでいく二人だが、時折見せる偽マスターアジアのかすかに邪悪な笑みに、やはりドモンは気づくことはなかった。
そしてそんな二人を遠くから見守る影が二つ。
本物の東方不敗・マスターアジアと、TS転生者ガンダムファイター、ジャンヌ・エスプレッソである。
「ドモンめ、偽物とは気づかず、あのように浮かれおって」
「ですが師匠……助けに行かなくてよろしいのですか?」
「かまわぬ。偽物に気づかずやられるようでは、キング・オブ・ハートは務まらぬわ。これも奴には良い試練よ。むろん、いざとなれば出ていくつもりではあるがな」
「厳しいのか弟子馬鹿なのかよくわかりません……」
ジャンヌがそうぼそりとこぼすが、それを聞き逃さなかったマスター・アジアは、その彼女をきっとにらみつけた。
「何か言ったか?」
「い、いえ、なんでも……」
「まぁよい。むろん、すぐに出て行かないのには、別の理由もある。気になることがあるのだ」
「気になること?」
「うむ」
一方、ドモンと偽マスターアジアは、東京タワーの前までやってきていた。
そこで突然、偽マスターアジアの雰囲気が一変した。
表情を引き締め、戦う構えを取る。
「師匠?」
「気をつけろ、ドモン。敵じゃ」
「敵!?」
そして現れたのは……。
「アルゴ・ガルスキー! ジョルジュ・ド・サンド!」
そう、かつてドモンが戦ったガンダムファイター、アルゴとジョルジュの二人だった。
「久しぶりだな、ドモン。だが再会したばかりでなんだが、お前はここに骨をうずめることになる!」
「あなたの首を、あのお方の御前に捧げてあげましょう!」
「な、何を言ってるんだ!?」
「「問答無用!!」」
ドモンの言葉には耳も貸さず、アルゴとジョルジュはドモンに襲い掛かってきた!
アルゴは巨大ながれきを抱え上げ、ドモンに投げつける。それをかわしたドモンだったが、そこにジョルジュが……!
「その美しい瞳、あのお方には、よい供物になりそうです!」
「!!」
ドモンの目めがけて、目つぶしの突きを放ってきた! ドモンは背をそらせて、それをなんとかかわした。
そんなドモンは、困惑から抜け出せずにいた。
「どうしてしまったんだ、ジョルジュ! お前は目つぶしなんて、卑怯な手を使う奴ではなかったはずだ! お前は騎士ではなかったのか!?」
「えぇ、騎士ですよ……。ただし、あのお方のね!」
アルゴとジョルジュの、卑劣かつ激しい攻撃を、なんとかかわしていくドモン。それを、偽マスターアジアはほくそ笑みながら見つめていた。そこであることに気づく。
「む……どうやら、あそこにネズミが入り込んだようだな」
そして彼は人知れず姿を消した。むろん、そのことにドモンに気づくことはなかった。
アルゴとジョルジュの二人との戦いはまだ続く。ジョルジュの斬撃を刀で受け止めるドモン。だが、その後ろからアルゴが羽交い絞めにする!
「アルゴ!」
「ふふふ、さぁ、ジョルジュ! こいつを一刀両断してしまえ!」
「わかりました、さぁ、ドモン。いよいよ最期の時です!」
「やめろ、やめるんだ、二人とも! お前たちはこんな卑劣なことをする奴らではなかったはずだろう!?」
そんなドモンの説得にも、やはり二人は耳を貸さない! ジョルジュは、偽マスターアジアが浮かべていたのと、同じような邪悪な笑みを浮かべて言い放った。
「そんな過去のことは忘れましたよ。さぁ、これでお別れです!」
だがその時!
「Hey! ちょっと待ちな!」
「兄ちゃんたちをやらせはしないよ!」
どこかで聞いたような声があたりに響く!
そして廃墟のビルの屋上に現れたのは四人の人影。そしてそのうち二人は、ドモンも見覚えがある顔だった。
「チボデー・クロケット! サイ・サイシー!!」
* * * * *
一方そのころ、レインは新宿の地下を探索していた。
新宿に
そしてその考えは正しかったようだ。
向こうのほうから、ゾンビ兵が近づいてきた。そのゾンビ兵は、レインを見つけると、戦闘態勢をとって襲い掛かってきた!
しかしレインも、それなりの心得はある。伊達にネオ・ジャパンチームのスタッフはやっていない。
彼女は懐から銃を取り出すと、心を落ち着けながら狙いを定めて……撃つ!
さすがに一発では倒せなかったが、さらに銃を発射! それでゾンビ兵を倒すことができた。そこでレインは一息つく。
「ふぅ……。ここにゾンビ兵がいるってことは、やはり……」
「そう、ここがわしの主、その野望の苗床よ」
「!?」
声がしたほうを、ぎょっとしてレインが見ると、そこから一人の老人が複数のゾンビ兵と共にやってきた。
それは……。
「やはりあなたが黒幕だったのね……? 東方不敗・マスターアジア!」
「くくく、その通りよ。知られたからには、例え女だろうが生かしておくわけにはいかん。我がしもべたちの餌食となるがよいわ」
「……っ」
レインは一歩退き、偽マスターアジアのそばに控えるゾンビ兵が一歩踏み出した。その時。
「はあっ!!」
空中から、覆面姿の男が急襲! レインを襲おうとしていたゾンビ兵を一蹴した!
その男は、しゅたっとレインの前に着地した。
「大丈夫だったかな? お嬢さん」
「あ、あなたは……?」
「今はそんなことを聞いている状況ではなかろう? ここはわしに任せて、早く脱出するがよい」
「は、はい!」
男に促され、レインは今来たほうに駆け出す。男の声、どこかで聞いた覚えがあるがどこだろう? 年を取った声だったが。
一方、レインを逃がしてしまった偽マスターアジアは、憎々し気な視線で、男をにらみつける。
「おのれ、またわしらの邪魔をする気か。東方不敗・マスターアジアァ……!」
「無論よ。ことを成す過程で罪を犯したり、汚名を着るのは覚悟しているが、必要のない汚名や悪名を着るのは遠慮したいのでな」
「くっ……。アナザーゾンビ兵たちよ、このおいぼれを足止めしろ!」
そう言うと、偽マスターアジアは、本物に背を向けて走り出した。その命を受けて、ゾンビ兵たちは一歩踏み出す。
それを見て、本物のマスターアジアは、にやりと不敵な笑みを浮かべた。
「ふん……これだけの数でわしの足止めをしようとは、なめられたものだな」
* * * * *
一方、新宿の地上。ドモンたち、その場にいる者たち全員が向けた視線の先。
そこには、女性と男性、そしてチボデー・クロケット、サイ・サイシーの姿があった。
そして、チボデーがバツが悪そうに、傍らの男性に聞く。
「な、なぁ。どうしてもあのポーズをしなくちゃいけないのか? 俺はものすごく恥ずかしいんだが……」
「何を言う。あれは我らの神聖なる儀式。やらなくてどうする」
「そうだぜチボデーの兄貴。それにオイラ、こういうの好きだけどな」
「そういうことです。いきますよ、クィーン・ザ・スペード、クラブ・オン・エース」
そう言って、女性がビルから飛び降りた。もう一人の男性と、サイ・サイシーも後に続く。
そしてチボデーも。
「あー、もう、わかったよ! こうなりゃヤケだ!」
そして着地する。
最初に着地した女性が名乗りを上げる。構えをとって。
「ブラック・ジョーカー!」
次に男性も着地して、ポーズをとって名乗る。
「ジャック・イン・ダイヤ!」
そしてサイ・サイシーも。
「クラブ・オン・エース!」
最後にチボデー。
「クィーン・ザ・スペード!!」
そして四人一緒にポーズをとる。
「「「「我ら、正しい戦いの守護者、シャッフル同盟!!」」」」
「「「……」」」
その様子を、ドモン、ジョルジュ、アルゴは呆然として見ていた。
その視線を感じたチボデー曰く。
「だ、だから俺はこんな恥ずかしいことしたくなかったんだよぉ……」
そして沈黙。
やがて、ドモンが我に返った。
「あ、あなた方は! 師匠から話は聞いています! シャッフル同盟! そして、チボデー、サイ・サイシー! お前たちがシャッフル同盟になっていたとは!」
「あぁ、久しぶりだな、ジャパニーズ・ボーイ! お前たちと別れてしばらくした後に彼らと会ってな。力と称号を譲り受けたのさ!」
「そういうこと! ここはオイラたちも手を貸すぜ!」
そこで、アルゴとジョルジュも我に返る。
「おのれ、シャッフル同盟の横やりが入るとは!」
「ですが、私たちの邪魔はさせません! ゾンビ兵、現れなさい!」
ジョルジュの号令と同時に、ドモン、チボデー、サイ・サイシー、ブラック・ジョーカー、ジャック・イン・ダイヤの5人を取り巻くようにゾンビ兵が現れた!
「どうやら、あの二人はDG細胞を植え付けられて洗脳されているようです。普通のDG細胞とは違うようですが」
ブラック・ジョーカーの言葉に、得心したようにうなずき、続いて渋い顔をするドモン。
「やはり……しかし、彼らのような格闘家までがDG細胞で洗脳されるとは……」
「それだけDG細胞は危険だということです。ですが、詳しい話はあと。皆さん、彼らとゾンビ兵をお願いします。私とジャック・イン・ダイヤは、彼ら二人を正気に戻す術の準備をします」
「できるのですか!? そういうことが?」
「あぁ、任せてもらおう。お前たちはそれまでの間、持ちこたえてくれ」
「OK!」
「よーし、いくぞー!!」
そして、ドモンとチボデー、サイ・サイシーは、アルゴたちとの戦闘に入った。
ドモンが刀を振るって、数体のゾンビ兵を薙ぎ払う。
チボデーはパンチの連打と銃を駆使して、多数のゾンビ兵たちと渡り合う。
サイ・サイシーも少林寺拳法を駆使して、ゾンビ兵たちを倒していった。
さすがに一流の格闘家であるドモンたち。彼らは数の差をものともせず、アルゴたちやゾンビ兵と互角の戦いを繰り広げていた。
一方のシャッフル同盟の二人は、気を練り、術の準備を整えていく。
「よし、行きますよ、ジャック・イン・ダイヤ!」
「わかった!」
そしてジャンプし、アルゴとジョルジュの二人の頭上に舞い上がる!
「シャッフル同盟!」
「奥義!」
「「シャッフル浄化拳ーーーー!!」」
突き出した二人の手から閃光が放たれ、アルゴたちにあびせられる。それを見てドモンが言う。
「やったか!?」
しかし。
「こんなものでは」
「俺たちはなんともなああああいっっっ!!」
無情にも、その光はアルゴたちに何の影響も与えることはできなかった。反撃にとアルゴは、近くの巨大ながれきを抱え上げると、ブラック・ジョーカーたちに投げつける。
術を放ったばかりでかわす態勢ができていなかった二人はその直撃を受けてしまう。
「ブラック・ジョーカー! ジャック・イン・ダイヤ!」
ドモンが悲鳴をあげる。そこに。
「人の心配をしている場合ではありませんよ、ドモン!」
「くっ!」
ジョルジュが剣の斬撃を放ってきた! ドモンはそれをなんとか刀で受け止める。
「あのお方の生み出した新しいDG細胞の前には、あなた方など敵ではありません。さぁドモン! あなたもあのお方のしもべとなるのです!」
「ぐぐぐ……誰が……!」
そのころ、ブラック・ジョーカーとジャック・イン・ダイヤはなんとか立ち上がっていた。致命傷は避けられたとはいっても、やはりあれだけのがれきの直撃を受けたのだ。ダメージはかなりのものがあったようだ。
「大丈夫か、ブラック・ジョーカー?」
「えぇ。ですが、シャッフル浄化拳を耐えるとは……。新種のDG細胞、恐るべきパワーを秘めているようです……」
「このまま放っておくわけにはいかぬな……」
「はい。となれば残る方法はただ一つ、私たちの命を燃やし尽くし、秘奥義を撃つことのみ」
「うむ、新しい世代を救い、我らの全てを受け継がせることができるのならためらいはない! やろう!」
そして二人ともうなずきあう。そして、自分の気どころか、命を燃やしていく。
そしてそして! 再び二人ともジャンプし、アルゴとジョルジュの頭上に舞い上がる!
「ふん、また来たか!」
「私たちにはそんなものは効かないと、わかったはずです!」
だが、それでも二人は動じない!
「なんの!」
「私たちの力、心、命、全てを燃やし尽くせば!」
「浄化できぬものはなし!」
そして二人の身体がまばゆい光に包まれる! それを見たチボデーが、ゾンビ兵を倒しながら、思わず声をあげる。
「ミス! ミスター! ダメだ―!!」
その制止の声を聴きながらも、二人はさらに構えをとる。
「新しきシャッフルの者たちよ!」
「我らの称号、力、そなたたちに託す!」
「シャッフル同盟、最終!」
「秘奥義!!」
「「シャッフル・フラッシュ!!」」
二人から放たれた光は、先ほどより激しい輝きをもって、二人に降り注いだ! そして今度はさっきまでとは違った。
「ぐ、ぐおぉ……!」
「こ、これは……!」
途端に苦しみだすアルゴとジョルジュ。その身体からDG細胞が消えていく。いやそれだけではない。二人の手の甲には何かのあざ……シャッフルの紋章が刻み付けられていく。
一方のブラック・ジョーカーたちも無事では済まない。その身体はどんどん光に呑まれていく。
「私たちはもはやこれまでのようです……」
「新しいシャッフルの者たちよ。後はそなたたちに託す……。頼んだぞ、戦いの秩序を……」
そして二人の身体は光にかき消されて消え去った。それと同時に、アルゴとジョルジュの二人も倒れこむ。その表情に、邪悪な気配は感じられない。
「ぶ、ブラック・ジョーカー……ジャック・イン・ダイヤ……」
ドモンが呆然としながらつぶやく。
だがそこに! その感傷を打ち砕く声が響いた。
* * * * *
「ドモン、大変よ!」
「レイン!? どうしたんだ!?」
果たして、その声の主はレインだった。彼女は、全力でドモンのそばに駆け寄ると衝撃的な事実を口にした。
「やっぱり、ここの地下にはゾンビ兵の工場があったの!」
「なんだって、やはりか!?」
「えぇ、でもそれだけじゃなかったの! マスターアジアが……!」
「師匠が!? 師匠がどうしたんだ、レイン!?」
その時!
「くくく……あのような馬の骨を救うために命を投げうつとはな。シャッフル同盟、やはり彼らは負け犬よ。あそこを抜けて正解だったわ!」
「!? この声は……師匠!?」
そして現れたのは、二人のゾンビ兵を従えた東方不敗・マスターアジアだった。それは偽物であったが、それにドモンが気づくよしはない。
「師匠、なぜゾンビ兵たちとともに……まさか!?」
「くくく、そのまさかよ。わしはデビルガンダム様の忠実なるしもべ、東方不敗・マスターアジアよ!」
そして彼の背後に、クーロンガンダムが現れる! だがそれは醜く変形をはじめ、原作のマスターガンダムよりさらに醜悪でまがまがしいガンダムへと姿を変えた!
「まさか、師匠がデビルガンダムの手下だったなんて……!」
「ドモンよ、お主と戦うはわしの本意ではない。わしと共にくるのだ。お主の兄、キョウジ・カッシュも一緒にいるぞ」
「師匠がデビルガンダムの……兄貴も一緒……」
ドモンは衝撃のあまり、一時的に自我崩壊状態に陥り、偽マスターアジアの方に歩み寄っていく。
「だめよ、ドモン! マスターアジアのところに行ったら! 正気に戻って!」
「師匠も……兄貴も……」
だが、レインの制止も聞かず、ドモンはさらに偽マスターアジアがいるところへ進んでいく。それを見て、偽マスターアジアがにやりと邪悪な笑みを浮かべる。
だがそこに!
「待てい、ドモン! そのような偽物の甘言に惑わされるでない!!」
「!!」
また新たな声。ドモンとレイン、いや彼らだけでなくチボデーとサイ・サイシーもその声のした方向を向くと、そこには二人の人影が。
そう、それは……。
クーロンガンダムの登頂部に立つ本物の東方不敗・マスターアジアと、ガンダムオルタセイバーの右肩に立つジャンヌの二人の姿だった!!
ファンアート、そして感想、募集中です!
* 次回予告 *
皆さん、お待ちかねぇ!
同行していた東方不敗が偽物とわかり、安堵したドモンですが、それもつかの間! さらなる衝撃の真実が伝えられます。
その真実に動揺するドモンに、本物の東方不敗は、ジャンヌとのファイトを持ち掛けるのです!
果たして彼の真意とはいかに!?
次回、『ちょっと待って。なんで俺、Gガンダム世界にTS転生して、東方師匠と拳交えてるの!?』
第9話『試練の戦い! ドモン対ジャンヌ!!』
にReady Go!!
それでは、5/26 12:00にまたお目にかかりましょう!