FF14と原神って親和性高そうだよね   作:PNPcon

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タイトル通り、IF閑話

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軽微な表現変更


Ver1.0α; もしもヒカセンが①

 ●もしもヒカセンが【風魔龍トワリン討伐戦】

 

 

風龍廃墟(Stormterror's Lair)

 

 かつては街があった、という痕跡を残すものの、今に残るは瓦礫の山。

 その中央には、天に(そび)え立つ塔。

 その塔の頂上では巨大な龍、トワリンが舞う。その背には紫色の棘、500年前の古傷が光る。

 トワリンはその巨体に見合う咆哮を響かせながら飛ぶ。

 何かを恐れるように、その暴風をもって周りのものを拒絶する。

 

 塔の頂上で対するは、4人組のパーティ。モンドの民を守る為、友を救う為、空の暴君に対峙する。

 

 

 ──────

 

 ──

 

 モンドの「四風守護」の一柱、東風の龍トワリン。

 長い年月と無限の暗闇の中、かつて澄んでいた宝石も埃で暗くなり、誇り高き龍も侵食され、憎しみに満ちた。

 もはや彼の知るモンドは何処にも無い。

 アビスの手を取るのは、きっと必然だったのだろう。

 

風魔龍(Stormterror)トワリン("Dvalin")討伐戦

 

 ──

 

 ──────

 

 

「トワリンが……苦しんでる」

 

 ウェンティは消えるような声で言った。

 紫の棘は、より一層トワリンを暴走させる。トワリンは叫ぶ。暴風はさらに強くなる。

 

「旅人! 頑張れよっあわわわわわわわっ!!」

 

 ついに耐えられなくなったパイモンが空に飛ばされる。いくら空を飛べるパイモンでも、この暴風には耐えられなかった。あのままでは、バランスを取り直す前に、地面へ叩きつけられてしまうかもしれない。

 

「【救出】paimon」

「わわわわっ!? あ……あれ? ここは……」

 

 しかし、飛ばされるのも一瞬のことだった。先程まで宙を舞っていたパイモンは、瞬く間にパーティの元に戻っていた。

 

 あなたが助けたのだ。

 救出──周りの仲間を自分の近くまで呼び寄せるアクション。次の救出まで長いインターバルが必要だが、危険な仲間を助けられる、非常に有用な技の1つだ。

 さて、パイモンが無事なことを確認したあなたは、またパイモンが飛ばされないよう、その胴体を左腕で脇挟む。パイモンは、細くともそのしっかりとした腕に、ガッチリとホールドされる。

 数秒経ち、自分が安全な場所にあることに気づきたパイモンは、あなたに言った。

 

「た、助かった……お前が助けてくれなかったら危なかったぜ」

 

 大きく頷くあなた。しかしパイモンの表情はどんどん不満げなものに変わっていく。

 

「それはそうと、オイラが文句を言える立場じゃないことは分かってる……。でもこんなのってないだろ!」

 

 まるで小さな樽でも抱えているかのように、脇に抱えられたパイモンは、側から見れば相当に間抜けな格好だった。

 

「パイモン、危ないから逃げてて」

 

 風魔龍の暴挙を止める、その強い意思を宿した異邦人の戦士、旅人。

 油断無き目でトワリンを観察し、剣を逆手に構える。

 いくら間抜けな格好のパイモンが居たとしても、ここは戦場。一切の気を抜かない戦士の鏡である。

 

「分かったぞ! 3人ともっ気をつけろよ!」

 

 脇に抱え込まれたまま、叫ぶパイモン。強く頷く旅人とあなた。

 パイモンはあなたの腕からするりと抜けて、空中で一回転。姿を消す。

 これで、ここには旅人とウェンティ、そしてあなたの3人だけになった。

 

 一方空をのたうち回るように飛ぶトワリン。今となっては、彼にウェンティの姿など見えていない。

 

 ここでウェンティは問う。いつもの軽口は控えめに、それでも詩人らしい言い回しで、旅人に問う。

 

「さて、僕とトワリンの問題に、異邦人たる君を巻き込んでしまって申し訳ないんだけど、協力してもらって、いいかな?」

「そのためにここにきた」

 

 旅人はウェンティを見るまでもなく答える。その手はモンドいちの鍛冶屋の自信作、笛の剣を握りしめている。

 

「それじゃあヒカセン。君もいいかな?」

 

 あなたは杖を構えて地面に叩きつける。タンク無しチャレンジはヒーラーの腕の見せ所だ。やる気十分のあなただった。

 言葉が無くとも、戦意を十分に感じたウェンティは、弓を構える。

 

「さぁ! いくよ!」

 

 空を飛ぶ相手には、旅人は手も足も出ない。自然とファーストアタックは、ウェンティの矢、それとあなたの魔法になる。

 

 暴風の中を突き抜けるウェンティの弓矢。矢に風の力を乗せているのか、その矢は真っ直ぐと、逸れることなくトワリンへと飛ぶ。

 まずはトワリンを地上に落とす。そして紫の棘を叩くこと。これが今回の目標だ。

 当初、トワリン自身に攻撃することは躊躇ったウェンティだが、ここまで来てしまえば背に腹は変えられなかった。

 

「トワリン……ごめんね」

 

 一方あなたは、まずディアを放った。射程距離限界だ。詠唱が必要なグレアはなかなか打てない。

 

 2人の攻撃を受けたトワリン。直後、のたうち回るような飛び方をやめ、あなたたちの方を向く。あなたたちを敵として認識したのだ。

 すぐに急旋回をして空高くへ飛んでいくトワリン。厚い雲で姿が見えなくなる。

 

 ひと時の静寂。だがすぐに、風の声を聞くウェンティが異常を察知する。

 トワリンが、来る。

 

「ここから走って!」

 

 あなたたちの正面、雲の奥からトワリンが飛び出してくる。

 とんでもない速度で、その巨体をもってあなたたちを轢くつもりだ。

 

 旅人とあなたは同じ方向へ走る。ウェンティは逆サイドへ走る。

 足が速い旅人に置いていかれそうになるあなた。すぐにスプリントを使用して全力で走る。

 一直線にあなたたちに向かって飛翔するトワリン。ぐんぐんと速度を上げて、その鋭い爪を地面に擦りつけながら突撃してくる。ガリガリと地面の石が弾き飛ばされ、地面には深い溝が残された。もしあれに轢かれれば、挽肉になることは間違いない。

 全速力で走ったあなたと旅人は、無事に攻撃範囲から脱することができた。振り返ってみれば、ウェンティも無事に躱すことが出来たようだ。

 

 あなたは思う。もはやここまで大きければ質量兵器、トワリンの攻撃全てが極大の範囲攻撃だと。

 トワリンが誰を狙っているかなど関係ない。まずは地上に引きずり落とすことからだ。

 

 塔をぐるりと旋回してあなたたちを再度視認したトワリン。そのまま塔中央の崩壊した部分に陣取る。

 

 動きが少なくなったトワリン目掛けて、あなたとウェンティは攻撃を行う。一方で遠距離攻撃の手段を持たない旅人は、トワリンの様子を伺い攻撃のチャンスを見計らう。

 

 滞空するトワリン。ここで羽の動きが変わる。巨体を少し持ち上げ、その顎を開く。噛みついてくる気だ。

 あなたとウェンティは、先の突進と同じくそれぞれ両サイドに走る。

 しかし旅人、トワリンに向かって一直線に走り始めた。

 

 あぶない! 異変を察知したあなたは驚いて声を出す。真っ先に救出が頭をよぎるが、パイモンに使ったばかりだ。まだ使えない。

 

 仕方なしに、あなたは旅人へディヴァインベニゾン*1をかけながら走る。もし旅人が当たっても、塔から落ちなければいくらでも復帰させてやる! そう強く思って、後追いの回復を意識する。

 だがあなたの意に反して、旅人は横へ大きくステップ、華麗にトワリンの大顎を躱した。そして走るスピードを緩めることなく、逆手に持った片手剣をトワリンの側面に突き立て、その巨体スレスレを走り抜けた。

 誰にも当たらない攻撃を犯したトワリンはスキを晒す。トワリンの前足付近で止まった旅人は、そのまま何度も追撃を加えていく。

 

 あなたは安堵のため息を漏らす。旅人はヒーラーの肝を冷やすのが上手い。

 安全圏まで大きく逃げたあなただったが、もちろんこのチャンスを逃しはしない。ウェンティは背の棘を、あなたはトワリンへ攻撃を加えていく。

 

 あなたたちが乗る台に、その前足が引っかかるような体勢となったトワリン。あなたたちの猛攻に晒されながらも、なかなか空へ飛び立てない。不安定な足場で、その巨大な身体を持ち上げるだけの揚力を得るのには、時間がかかるようだ。

 数秒の時間をかけて、身体の半分を台の上に持ち上げるトワリン。その大きな羽を限界まで広げた。飛び立つ気だ。

 

「風よ」

「逃げようなんて思わないでよね」

 

 ここで旅人、ウェンティの二人は、意図せずして同時に風の元素を打ち込む。

 これにはトワリンも耐えられない。必死に落ちまいと前足を台に引っ掛けるものの、翼の力は抜け、その頭を地面に叩きつけた。

 

 チャンスだ。

 

 トワリンの棘を壊すため、トワリンの頭へ近づくあなた。しかしここであなたは、トワリンの背の棘から違和感を感じる。

 何の違和感だ。あなたは悩みながらもさらに距離を詰め、気づいた。

 あれはただの棘ではない。毒だ。呪いのように強烈な怨念が籠もった劇毒が、棘のように結晶化し、トワリンの身体を蝕んでいるのだ。

 

 であればあなたのやることは1つ。あなたは白魔道士。白魔道士が最も得意とするもの、それは癒しだ。

 あなたは誰よりも先にトワリンの背へ飛び乗り、背の毒棘(どくきょく)に手を当てて浄化を始める。

 

 ウェンティは弓の射線上に飛び出してきたあなたを撃ち抜かないよう、弓を下げる。最初は一体何を始めるのかと懐疑心を持ったが、すぐに驚愕の表情に変わり納得した。目に見えて毒が浄化されていく。

 

「まさか旅人の他に、あの毒を浄化できる人物が居たなんて……」

 

 みるみるうちに毒棘は小さくなる。紫色の粒子が空へと飛び上がり、その分だけ棘は小さくなっていく。

 トワリンは動かない。その身体を横にしてしまえば、ちっぽけなあなたは、すぐにこの塔から放り出されるのに。

 

 もうこの時点でトワリンは気づいていた。自分の身体から、毒が抜けていっていることを。自分を拒絶するためではなく、この苦しみから解き放つために、この3人は挑んできたことを。

 

 トワリンが暴走した理由、それは恐れ──人々から、モンドの民から、自分のことが忘れられることだった。

 500年前、神に命じられたトワリンは、身を挺してまでモンドを救ったのにも関わらず、今では災いを呼ぶ風魔龍と呼ばれ疎まれた。

 その満たされない心の奥底に手を伸ばしてきたのは、アビス教団。トワリンの心のスキマを埋めるように入り込み、堕落させた。

 しかしその恐れも、アビスの計略も、いま潰えた。

 

 暴風が止まる。

 

 トワリンの毒はまだ消え去っていない。しかしもう彼の憎しみは消え去った。ならばその嵐は消えるが道理。

 

 穏やかな風が吹く。

 

 空にはライアーの音色が響き渡り、吟遊詩人は詠う。

 

 詩は、風に乗って運ばれ、空に消えていった。

 

 

 

 

 

 

「こうして、モンドの四風守護の一柱、東風の龍は、正気を取り戻して空を飛んだとさ。めでたしめでたし!」

「ほぉ……。今回は、変わった詩だな」

「えへへ、たまにはこういうのもいいでしょ?」

 

 ここは酒場の野外席。酒場には場を盛り上げる詩人がつきもの。

 

「そうだな、たまには、こういう冒険談も悪くない」

「おっ、分かってくれるかい?」

 

 ウィンクを飛ばす吟遊詩人。隻眼の男は、それを受け止めること無く、後ろを振り返って言う。

 

「まあもし、それを為したのがアイツだって言われたら、酒の肴程度にはなるなだろうな」

「ふふっ。人は案外、見かけによらないものだよ?」

 

 2人の目線の先には、机に角を突き刺して、よだれを垂らしながら伏す人物。その周りにはワインの空ビンが並ぶ。

 

「それで」

「ん?」

 

 隻眼の男は、空を見上げ、天に指差す。

 

「続きがあるんだろう」

 

 その言葉を聞いて、同じく空を見上げる詩人。

 しばらくして、僕の独り言だけどね、と前置きを入れてから話し始める。

 

「彼は、自由になったんだ。今はそれが分からずとも探しているんだ。この風が届くところで、きっと」

 

 隻眼の男は頬を緩ませ、目を細める。

 男は先程の詩人と同じく、俺の独り言だが、と前置きして続ける。

 

「少なくとも、自由の行き先がアレではないことを、祈るだけだ」

「……ヒック」

 

 2人は笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 四風守護の一柱、東風の龍トワリン。今となっては、彼にその肩書は要らない。

 いつか"自由"の、本当の意味を見つけられるまで。

 

 だがそれも、すぐに見つかるだろう。

 

 ()の神は、自由の神なのだから。

 

 

 

 

 

 

 

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