ある日の朝……ゆいに呼ばれて家を訪れると……
「見て見て、なゆくん」
「どうしたんだよ?制服なんて着て」
「今日から始業式なんだ~」
そう言えばそんな時期だっけ。まぁ僕には関係ないことだけど……
「あれ?どうしたの?」
「いや、僕の場合は学校に通えないからな~って思ってな」
「あ、そっか…」
別世界の人間がこっちの学校に通うのは普通に無理だしな。そんな都合のいい方法なんてあるわけ……
「あら、貴方の転入届けなら出しておいたわよ」
すると起きてきたマリさんがそんなことを言い出した。いや、いつの間に!?
「私が保護者として、学校に行けるようにしておいたわ」
「マリさん……」
「まぁシンに頼まれたからね。なるべく平穏な日常を味わえるようにしてほしいってね」
『えっへん!』
シンも満足げにしてる。まぁ感謝しないとな……
「それじゃ一緒に通えるね」
「そうだな」
学校か…………記憶がないけど、勉強とかついていけるか不安だな
ゆいside
なゆくんとは職員室で別れ、教室に入り、自分の机に鞄を置くと
「ゆい、おはよう」
「おはよう~同じクラスだね」
友達といつも通り挨拶をしていると、クラスが静まり返った。どうしたのだろうかと思い、見てみるとそこにはこの間の子がいた。
「あの人、芙羽さまだよね?」
「芙羽さまと同じクラスじゃん!」
「芙羽さまも同じクラスだったんだ」
「芙羽さま?」
「芙羽ここねさん。頭脳明晰の超美人! おまけにスタイルも抜群で、なんと、お父さんは、高級レストラン『デュ・ラク』のオーナーま、私達とは住む世界の違うお嬢様だよ」
「へー」
芙羽さんは鞄を置くと教室から出ていくのであった。
なゆside
「結城なゆです。よろしくお願いします」
教室に入り、自己紹介をすると、ゆいがこっちに向かって手を振っているのに気がついた。ゆいと同じクラスか……偶然なのか?
それから普通に授業を受けつつ、休み時間には質問攻めにあったりもしたが、それなり過ごせそうだな……
「結城なゆさん、ちょっといい?」
放課後になり、帰ろうとすると女子生徒にに呼び止められ、黒く長い髪に何処かで会ったことがあるような……ないような?
「生徒会長の菓彩あまねだ」
「生徒会長が何の用ですか?」
「来たばかりだから、学校の案内をするように先生に頼まれてな」
転入生の案内を生徒会長がしてくれるって、ある意味珍しいような…………
「用事があるなら今日はやめとくが」
「いや、お願いするよ」
特に断る理由もないしな。
それから生徒会長が学校の案内をしてくれたけど……うーん、何処かで会ったことのあるような……
「どうかしたのか?」
「いや、生徒会長は僕と会ったことないか?」
「……いや、初対面のはずだが?」
「そうだよな……」
僕の勘違いなのかな?
「そう言えば結城はどこから来たんだ?」
「えっと……」
四国……頭の中に浮かんだ。僕は四国に暮らしていたのか?だけど……
「つぅ!?」
急に頭に痛みが走り、膝をついてしまった。
「大丈夫か!?」
「悪い………ちょっと頭痛がしただけだ………悪いけど、今日はもう帰るよ………ありがとう。生徒会長」
「あ、あぁ……」
ゲストハウスに帰り、そのままベッドに倒れ込む僕…………
「大丈夫、なゆ?」
「マリさん……ごめん……ちょっと頭が……」
「薬でも貰ってくる?」
「いや、少し眠れば……治るはずだから……」
「わかったわ。後でゆいにお粥でも作って貰ってくるわね」
マリさんは気を遣って部屋から出ていった。僕は仰向けになり……シンを呼び出した
「シン……僕は四国にいたのか?」
『住んでいた場所は思い出したんですね』
「それだけなら……まだしも……僕の記憶の中では……四国以外は滅びている……どう言うことだ?」
『…………今教えても、貴方は信じることは出来ません……だから……』
確かに信じられないよな……四国は謎の壁に覆われているなんて……そんな光景が頭に浮かび……それが現実だって言うことも…………
「…………寝よ……」
それから少し眠り、起きた頃には痛みは消えていた。
次の日
ゆいはと言うと芙羽って子に話しかけようとしていたが、タイミングが合わずにいた。と言うかあの子って…………この間の子だよな?
「芙羽さん! 一緒にご飯食べよ……あれ?」
「あの子なら、もう行っちゃったよ?」
「うう……」
「ねえ、もしかして、食堂にいるんじゃない?」
「そっか! ありがとう! 行ってみる!なゆくん!行こう」
僕も行くことになってるのかよ……まぁいいか。僕も改めてお礼を言いたいしな
「らんらんも行こー!」
食堂に行くが、芙羽って子は見当たらなかった。
「はらペコった~でも、芙羽さん探さなきゃ!」
「外にいるのかもな」
そう言えばさっきの女の子は……どこに行ったんだ?まぁいいか
外に行き、ゆいと探していると芙羽を見つけたけど、マットを動かそうとしてるけど……何かあったのか?
するとゆいは直ぐ様駆け寄り、マットを動かすのを手伝おうとした
「あなた……」
「これ、動かしたいんだよね?」
「別に……1人でやるから……」
「お祖母ちゃん言ってた。人の力もダシも、合わせるのがミソって。一緒にやれば、きっとできるって事!」
ゆいらしいな……仕方ない。僕も手伝うか
「せーので引っ張ろう」
「うん」
三人で力を合わせて、マットを動かすことに成功すると、芙羽は動かしたマットの隙間を覗きこんだ。そこにはウサギがいた。もしかして……ウサギを助けようとしたのか?
ウサギを飼育小屋に戻す僕ら、ゆいはと言うと
「芙羽さん、優しいね!」
「え?」
「この間も、コメコメの事で助けてくれて、本当にありがとう!」
「あれは偶然会っただけで……」
「偶然会っただけで、僕にも道を教えてくれたしな」
「あれは……困っていたから……」
「ねえ! 今日の放課後、家に遊びに来ない?」
「え……」
「じゃあじゃあ、芙羽さんの好きな場所はどう? またみんなと会ってほしくて!」
不意に芙羽の目線が下がった。どうしたのかと思ったら……いや、いつの間にいたんだ?
「こんな風にキュルキュルした目で会いたそうにしてて……え? えー!? なんで学校に!?あー、来ちゃったのか・・・。ね、こんな感じなの! でも、学校じゃなんだし、放課後どう?」
こうして一緒に遊びに行くことになったけど……これ、僕も行くことになってるのか?