未だ初心者なので、何かおかしな点があった場合どんどんご指摘ください!
さて、GE主人公と言えば思い浮かぶものは何だろう。
極東初の新型神機使い。エリックが上田になる瞬間を目の前で見た人。第一部隊隊長。無口すぎて影薄いせいで主人公取られかけてる。単独で接触禁忌種討伐するチート。アラガミ化した人間を元に戻した唯一の人物。キェェェェェェアァァァァァァシャァベッタァァァァァァァ!!!
まあ人によってそれぞれだろうけど碌なモンが無い事は分かる。
認めたくも信じたくもないが、俺はそんな原作ゲーム主人公のポジションに居座ってしまったらしい。
西暦2071年。アラガミにゴッドイーター、人類敗北の歴史の数々。かけられた言葉、無駄に聞き覚えのある声。与えられた極東支部初の新型ゴッドイーターという肩書。そして今俺の隣に座っている明るい彩色の服装をした少年。
何から何まで記憶にある画面越しの風景と一致しちまってんだよ畜生。神様か悪魔か運命か、はたまた俺の予想もつかない第三者かは知らないが、オレをこんな状況に陥れやがった奴は一発ばかり殴ってやらないと気が済まない。今の化物みたいな力なら勢い余って殺してしまうかもしれないけどどうでもいい。
「ねえ、ガム食べる?」
「いや、いい。今はあまり口にものを入れたくないんだ」
隣の少年が聞いてくるが断る。
まるで訳が分からない状況で、漠然とした形を持たない不安で頭がパンクしそうだ。
この何気ないやり取りさえ記憶を、知識を刺激してきて頭が痛い。この後の
纏まらない隊員、フラグクラッシャー、上田、隊長の死、新隊長、上乳!横乳!下乳!、アラガミ少女、ロリコン中二病の死神(笑)はツンデレ、アーク計画、終末捕食、アラガミ化。
もう十何年も前の知識だってのにパッと思い出すだけでこんなにある。忘れてる細部だって多いだろうが、大筋は押さえてる…と思う。
……明らかにいらない知識が混じってるのは青春真っ盛りだったからか、うん。仕方ないね。
この後何が起こるかだって今のやり取りで思い出した。確かガムはもう切れていて…
「そう?結構イケるんだけどなー、コレ。ほら、最後の一つだけどいいの?」
切れていて……切れ…、切れてない?残ってる!?何でだ!?
「あ、ああ。気持ちだけ貰っとくさ。ありがとう」
予想外の事で返す声が思わず震えた。
ふーん、と鼻を鳴らしながら最後のガムを少年が口の中に放り込むのをぼんやりと見やる。
思い出す。そして恥じる。
――――ああ、そうか。やっぱりゲームじゃあないんだ。
分かってた事じゃないか、ここは現実だ。今度はまた何を勘違いしてたんだろう。これじゃあ前と全く変わってない。この世界は確かに知識にあったものとそっくりだ。世界も時代も場所も化け物も人でさえも。
だけどそれでも、自分の未来に正確に起こる事なんて何一つ分かりはしない。
それらしい立場になったから、『この世界はゲームだ』なんて昔に捨てたバカな考えがまた首をもたげてきた。なんて上から目線だったのか。コレは自分を育ててくれた両親やこの世界を生きる人々への侮辱以外の何物でもない。
「……ありがとう」
「へ?いや、いいっていいって!結局俺が食べちゃったし」
思い出させてくれてありがとう、と言う意味で感謝したつもりだったがガムの礼だと彼は考えたらしい。まあ確かに今の流れだとそうなるなと思って苦笑する。俺だって逆の立場ならそう考えるに違いない。
「そういえばさ、ここにいるってことはアンタも適合者なの?俺と同じか少し年上に見えるけど」
「ああ。俺の名前は木瀬ユウイチ。歳は16だ。ユウイチでいいぞ」
「やっぱ年上かー。俺は藤木コウタ!俺もコウタでいいよ。歳は15だけど、一瞬とはいえ俺の方が先輩ってことで、ヨロシク!」
「先輩後輩っていうより同期だと思うんだけどな。まあいいか、よろしく」
何気に俺この世界で友達って初めてかもしれないなー、なんてアホな事考えつつ差し出された手を握る。
…ふと、こちらへ歩いてくる女性が一人視界に入った。かなり際どい服装が目を引くけど、なんかプレッシャーが半端ない。
「立て」
「はい」
自己紹介もなく、そして前ぶれもなくただ一言だけ命令が下される。それだけでこの人には逆らえばヤバいと理解する。いや、何がヤバいのか自分でもよく分からないけども体が勝手に反応した。生存本能的な…?これが噂の上乳か、などと戦慄する暇すらない。目の前にいるのはアラガミに勝る絶対的強者…!
「…え?」
コウタは反応できなかったようだ。おいこっち見んな。ちゃんと命令聞いとけ!
「私は立て、と言った筈だが?」
恐ろしい程の無表情。眼は、なんて言えばいいのか…獲物を見つけた蛇?獅子?
ってか良く考えればこれただ命令を確認してるだけで威圧してるわけじゃないよな…。殺気とかそういう類の物が一般人の俺に分からないんだけども、多分これただの怒気だ。俺たち怖すぎて死にそうだけどこれ殺気じゃないです。死にそうだけど。
「は、は、はいぃ!!」
その威圧感を直に向けられたコウタは、青ざめながら立ち上がる。あまりの恐怖で顔を直視できないのか、やや上に顔を向けてるのはご愛嬌。
「…よろしい。これから予定が詰まってるので簡潔に済ますぞ?私の名前は雨宮ツバキ、お前たちの教練担当者だ」
コウタの顔が青通り越して白くなってきた。漂白されたみたいに驚きの白さだ。ツバキさん、お願いだから睨むの止めてあげて!!などと思念を送ってみる。
でも声には出さない。俺も睨まれたくないし命は惜しい…すまんコウタ、俺は無力だ。
「この後の予定はメディカルチェックを済ませたのち、基礎体力の強化、基本戦術の習得、各種兵装の扱いなどのカリキュラムをこなしてもらう」
コウタがとうとう目を回し始めてる。聞いてるかコレ?まあ一応後で教えといてやろう。
突然だが、俺がツバキさんが話した予定の中で最も気にしているのは兵装の扱いだ。体力はいるだろうし、戦術だって覚えておかないといけないだろうことはよく分かる。でも、神機が使えないことにはアラガミ一体倒せない。
俺の神機は新型。剣も銃も使え、遊撃にはもってこいのタイプ。だが極東支部には俺一人しか新型はいないため、剣と銃の使い方はそれぞれの専門に聞くことができても、それを切り替えるタイミングや立ち回り方を教わる事はできない。ゆえに、自己練を積んでいかなければならない。
ここはボタンを押せば勝手に狙って斬れる、撃てる、守れるの世界じゃない。敵を狙うために実際に目で見て体の向きを変え、斬るためには腕を振るい、撃つためには引き金を引き、一瞬の判断で盾を広げなければ終わる正真正銘の戦場だ。ここで神機の扱いを誤る事はそのまま死に直結する。
戦術も体力も大事だけど、武器すら使えなければ戦場に出ても死ぬだけだ……なんて、まあ戦いド素人な俺の考えだけどな。
「今までは守られる側だったかもしれんが、これからは守る側だ。つまらないことで死にたくなければ、私の命令には全てYESで答えろ、いいな?」
喰われたくないと戦う覚悟を決めた。生きるためにここに来た。ならば返事は、
「はい!!」
YES以外にありえない。
「は、はい!」
コウタも遅れてるとはいえ返事を返せる程度にはマシになってきてるらしい。
コウタだってつまらない事(睨み殺される等)で死にたくないだろう。
「では、早速だがメディカルチェックを始めるぞ。まずは木瀬、お前からだ。ペイラー・サカキ博士の部屋に一五○○までに集まる様に。それまで、この施設を見回っておけ。今日からお前らが世話になるフェンリル極東支部、通称アナグラだ。メンバーに挨拶の一つもしておくように」
「「はい」」
話はそれで終わりだったらしい。教官はそのままエレベーターに乗って去って行った。
途端に周りの空気が軽くなり、コウタも俺も後ろに倒れる様に座り込む。とっくにゴッドイーター引退してるのにあれだけの威圧感だせるとか…。あれが百戦錬磨の風格か。上乳とか気にしてられなかったよ…。
「ヤバい、あの人マジでヤバいよ…!怖すぎるッ!!」
「まあうん。ってかあれはお前が上官命令聞いてないのが悪いだろ」
「いや、普通最初に「立て」とか言わなくね?あの人、俺達の教官…なんだよな?」
俺は軍って聞くとそんなイメージがあったからな。上官命令だー、とか急に言われる感じの。我ながらこれは漫画やらアニメやらの影響を受けた完全な偏見だと思うけど、実際どうなんだろうな。流石にどっかの少佐みたく『諸君 私は戦争が好きだ』とか言い始めるのはいないと思いたい。
「らしいな。さっき本人が言ってたろ?」
「…だよなー。ヤベ、どうしよう」
今ので目をつけられたと思うと怖いわな。俺でも多分そうなる。ってか最初から新兵ビビらせてどうすんだ…ってああ、もしかして教官は嘗められてはいけないとかそういうのか?
そういえばあの人、現役時代はどっかの作戦で核の爆発巻き込まれても生きてたんだっけ。どんなバケモンだ、実はゴッドイーターになる前から人外でしたとか言わないよな…?
ヤバいよ、あの威圧感なくてもそのおかしな経歴だけで一般人な俺達は震え上がるわ。
一応そんな噂がある、みたいなことをコウタに教えてやった。
「オレ、帰れたら妹にバガラリーお宝フィギュアを譲ってやるんだ…」
何か恐怖が一蹴して菩薩みたいに穏やかな顔になった。フラグクラッシャーの呼び名で名高いコウタならきっとこの死亡フラグもポッキリ折ってくれるといいなーとか思います。いやマジで。俺巻き込まないでね?
「っと、俺はそろそろ挨拶回り行くわ。メディカルチェックに遅れたらそれこそ何されるか分からないしな」
支部長や博士はある程度遅れても大丈夫とか言いそうだが、あの教官にバレたら間違いなく俺の人生の何かが終わる。そんな確信がある。
「そっか。だったらオレは色々内部を探険してくるよ。じゃ、また後で!」
言うが早いかコウタはサッとエレベーターに乗って上階に登って行った。上の階から虱潰しに探索するみたいだ。さて、俺はどこから周っていこうかね。
結局、知り合いのよろず屋から行くことにした。部屋の片隅で風呂敷と大量の商品を広げてる。
「よう、おっちゃん!まだぼったくり商売してんのか?」
うん、色々売ってもらったけど結構値が張るの多かったんだよなー。いつでも何でも何個でもそろえられる分、全体的に高かった。具体的には3割から4割位。資料は割と安くしてもらえたけど。何でも欲しがるやつがいねー、とかで。倍率高かったんだけどな…高い資料揃えるなら飯を少しでも多く買うって事か?未だに価値観の相違があるみたいで頭が痛い。
「誰がぼったくり商だ!俺があれだけの品集めるのにどんだけ苦労してると思ってる?人件費だよ、人件費。それよかユウイチ、お前ゴッドイーターになったんだって?それも新型の」
あれ、もう知ってんのか。適合したのはついさっきだってのに。さすがよろず屋、情報も早い。
「今、ここじゃ大分噂になってるぜ?この支部初の新型が配備されるってな。お前の事だろ?」
訂正。噂になってんのかよ…誰だ情報漏らしたやつ。まだ部隊の人に紹介もされてないんだけど。訓練すら始まってないんだけど。
「まあね。俺が新型だってのは合ってるよ。今は雨宮教官に言われた通り挨拶回りしてるんだ」
心の中じゃツバキさんって呼んでるけど、流石に口には出せない。一応上官なわけで、そういうの気にしない人だっているのかもしれないけど許可なしには無理でしょう。殺されたくねーし。
「雨宮教官ていうと、あのおっかねー姉ちゃんの事か。お前も大変だな。…そうだな、挨拶回りか。ならついでに
「オイ」
皆使ってるから大丈夫だとは思うけど不安になるだろうが!そういう命を左右するアイテムの詳細くらい知ってから商売しろよ!!
「仕方ないだろ?俺はコレを売ってるだけであって開発したわけじゃないんだから。まあ、中身聞いても俺にはさっぱり理解できないだろうがな。実際に因子云々の説明を受けたが全く分からん。どうしても知りたきゃ技術者連中に聞いてくれ」
技術者に聞いても俺も分からないかもしれない。取り敢えず効果だけ保障されてればいいし、誰か先輩のゴッドイーターにでも聞こう。
「次行くぞ?こいつはOアンプル。遠距離型神機使いがよく使ってるやつでな、携帯用のオラクル細胞だ。弾切れした時に飲むらしい。新型は銃の形態もあるんだろ?これまた詳しい事は分からねえから実際に使ってみてくれ。後は解毒系とドーピング系、それと神機のパーツやバレットなんかを取り扱ってるな」
「おい、そんな物売ってて大丈夫なのか?神機のパーツなんて危険にもほどがあるだろうに」
「安心しな、ちゃんと許可は取ってある。パーツやバレットは俺の方に金を支払えば技術者連中が渡してくれる手筈になってるんだ。ちなみにこれは適性価格で販売してるから安心しろ」
なるほど、そういう事か。確かにそうでもしなけりゃあんな武器を売れるはずがないもんな。オラクル細胞に素手で触ればパックリやられちまうだろうし。
回復錠みたいなアイテムは多分独自のルートから仕入れてるから値段も高いんだろうが、技術者を通して販売してる物なら金も必要以上に取れないんだろう。今の俺からすれば元々高いけど。
「っと、お得意さんが減るのは俺も勘弁して欲しいからな。こいつはサービスだ、取っとけ」
渡されたのは結構重い麻袋。中身を見てみると…
「え、こんな貰っていいのか?」
中身は大量の回復錠とOアンプル。あといくらかの強化系アイテム。罠まで入っていた。
「おー、お前が活躍して俺の商品を買ってくれんならそれ位すぐ元は取れるだろうしな。ただし、そいつを受け取ったからには簡単に死ぬんじゃあねえぞ?新入りが死ぬなんてよくある事だが、それでこっちの儲けがなくなるのも癪な話だからよ」
この人なりの気遣いだろう。本当にありがたい。
「…はっ、分かったぜおっちゃん。目玉飛び出る位活躍して、何倍にもして返してやるよ!」
感動した俺は挨拶回りという目的を忘れて、おっちゃんとの雑談を楽しんだ。
「うおおお、間に合えええええ!!」
さて、唐突だが今俺は大ピンチに陥っている。おっちゃんと喋りすぎて時間を忘れてた。挨拶回りなんてできてねーよ!なんとメディカルチェックまで残り時間たったの1分。博士の部屋がラボラトリ区画にあるのは分かってる。ただ、全ての区画が予想以上にデカかった。そりゃ1フロアに3部屋とか普通ありえないわな!
博士の研究室はつきあたりにあるが、そこまでの距離がやたらと遠い。
ゴッドイーターになり強化された脚力で必死で走ってそれでもギリギリだ。
「木瀬ユウイチ、メディカルチェックに来ましたッ!」
俺は研究室に飛び込んだ。時計を見るとあと10秒。ノックできればよかったのだが、そんな心の余裕は俺にはなかった。部屋を見渡すとどこか呆れた様な顔をしている支部長と、楽しそうな顔をしてる糸目の博士がいた。どうでもいいけど、ホントに糸目だった。ついでに言えば支部長は殴りたくなるイケメンだった。
「……ふむ、予想より427秒も遅い。まあ遅刻はしてないし、実を言えば準備も間に合ってないからそんなに慌てなくても大丈夫だよ。よく来たね、“新型”のユウイチ君。私はペイラー・サカキ。アラガミ技術開発の統括責任者だ。以後、君とはよく顔を合わせることになると思うけど、よろしく頼むよ」
「はい、よろしくお願いします!」
「うん、元気なのは良い事だ。…さっきも言ったけど、まだ準備ができてなくてね。ヨハン、先に君の用事を済ませたらどうだい?」
「サカキ博士、そろそろ公私のけじめを覚えて頂きたい」
確かに。気にしてなかったけど、この人どんな時でもどんな場所でも結構フレンドリーだよな。支部長はもう慣れてる様で、俺の前だから一応注意しておいたって感じか。
「適合テストではご苦労だった。私はヨハネス・フォン・シックザール。
この地域のフェンリル支部を統括している。改めて、適合おめでとう。木瀬ユウイチ君。君には期待しているよ」
「ありがとうございます」
偉い人に期待とか言われるとなんか萎縮するのは一般ピーポーの性か…。ていうかこの人の言う期待ってのは、計画のために強いアラガミ倒してレア物持ってこいやって事だろうか。嫌な期待があったもんだ。新型ってだけでここまで目をつけられるもんなのか。
「彼も元技術屋なんだよ。ヨハンも“新型”のメディカルチェックに興味津々なんだよね?」
いきなり博士が話を振ってきた。話してないで早く準備完了して下さい。そしてやはり出てくる新型。最新の呪いか何かだろ、なんで俺にこんな約回しやがったんだホントに。
「貴方がいるから、技術屋を廃業することにしたんだ……自覚したまえ」
「ホントに廃業しちゃったのかい?」
「ふっ」
うん、思わせぶりな会話新兵になって緊張しまくりな俺の前でしないで欲しい。ぶっちゃけどっちも敵に見えるんだけど。てか二人とも俺がいるってこと忘れてません?…今俺の顔を鏡で見たなら、何とも言えない顔をしているに違いない。
「さて、ここからが本題だ。我々フェンリルの目標を、改めて説明しよう」
そして何事もなかったかのように話を進める支部長。なんだこれ。敢えてさっきの会話を見せたとか有りそうで怖い。深読みし過ぎかもしれないけど、もう何かに巻き込まれる…あるいは既に巻き込まれてるのは間違いなさそうだ。
「君の直接の任務は、ここ極東地域一帯のアラガミの撃退と素材の回収だが……それらは全てここ、前線基地の維持と、来るべき“エイジス計画”を成就するための資源となる」
「この数値は!?」
博士、支部長話してるよ。しかも結構重要な俺たちの命に関わってる事を。そんなんだから公私のけじめ覚えろとか言われるんだよ。
「エイジス計画とは、簡単に言うとこの極東支部沖合、旧日本海溝付近に、アラガミの脅威から完全に守られた“楽園”を作るという計画なのだが「ほほぉ~!」……この計画が完遂されれば、少なくとも人類は当面の間絶滅の危機を遠ざけることができるはず「すごい!これが新型か!」…ペイラー、説明の邪魔だ」
支部長の鍛えられたスルースキルでも大声で遮られるのは無視できなかったらしく、ちょっと青筋が見えてる。
「ああ、ゴメンゴメン。ちょっと予想以上の数値で舞い上がっちゃったんだ」
「…ともあれ、人類の未来のためだ。尽力してくれ」
俺支部長の事もっと冷静沈着な人だと思ってたんだけどな…。口元滅茶苦茶引き攣ってるぞ、気持ちは分かるけど。というか、今俺に何の機器も接続されてないのに博士は一体何の数値を計ってるんだろう。
「はい」
「じゃあ私は失礼するよ。……ペイラー、終わったらデータを送っておいてくれ」
支部長が博士の名を呼んだ時、俺は支部長の後ろに般若が見えた。それに反して支部長の顔は能面。なにこれ怖い。しかし、博士はそれに全く臆することなく手を振って部屋を出ていく支部長を送り出した。
…もしかして、これがこの人達の普通なのか?理解できない。
「よし、準備は完了だ。そこのベッドに横になって」
会話をしながらも手はしっかりと動かしていた博士。さっきまでは気が付かなかったけど、確かにドアの右隣にベッドがあった。機材がゴチャゴチャしてて、いかにも寝心地悪そうなベッドが怪しい薬品の色に染まり、毒々しい雰囲気を醸し出してる。よく見たら紫色の煙が噴き出してる。
ああ、何かこういう展開知ってるなーと前世の記憶を辿るけど何も出てこなかった。
「ここに、寝るんですか…?」
「少しの間眠くなると思うけどね。安心していいよ、人体に害はないから」
今までいろんなゴッドイーター達で証明済みだよ、と続く言葉に思わず目頭を押さえる。最初の実験台にされた奴はどれだけの恐怖だっただろう。見た目だけだと少し眠くなるどころか永眠できそうなベッドだし。一応大丈夫だと言う博士の言葉を信用してベッドに寝転がる。
「戦士の束の間の休息というやつだね。予定では10800秒だ、ゆっくりおやすみ」
少し息を吸い、同時に紫の煙を吸いこんでしまった瞬間、体が痺れて意識が遠のいていく…。
―――――これ、やっぱり何かの劇薬じゃね……?
意識が完全に途切れる前に見えたのは、博士の顔に浮かんでいた怪しげな笑みだった。
ども。第一話読了、ありがとうございました。
この主人公、最強にするつもりなんですが中々戦闘シーンまで行きませんね。
チュートリアルミッションまで行けば大分かけると思うんですが。
セリフがどうしてもゲームと被るのはご容赦を。後々徐々に変わるよう努力しますので。