神喰らう世界をナイフ一本で切り開く   作:石ノ心

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 色々と指摘を頂きました、ありがとうございます^^


 第二話、どうぞ!

 


第二話 訓練開始!

訓練場。適合試験を受けた場所でもあり、これから俺達が訓練をうける場所でもある。壁や床に入った刀傷や銃痕がいかに訓練が厳しいものであるかを物語っているようだ。………床についてる傷の中で一番深い物が、何故か俺が試験を受けた時に振った神機が付けたものである事は密に、密に。大丈夫とは思うが後で金を請求されたらたまらん。

 

この訓練、俺がタツミさん(本名は大森タツミ。ショートブレード使いの防衛班隊長。コウタが目を覚ますのを待ってる間に仲良くなった。友達第二号である)に聞いたところによると、本人の元々の基礎身体能力や適合率なんかで内容が変わるらしい。初日はそれらの測定だそうだ。中学や高校の体育の授業であった体力測定みたいなもんだろうか……規模は大分違うけど。

俺たちがそのまま待機してるとスピーカーから訓練の開始を告げる教官の声が流れてきた。

 

『では今から訓練を開始する。今お前たちは自分の神機を持っているな?実戦では常時その状態でいなければならない。戦闘中は勿論の事、索敵中も同様だ。神機を手放すとき、それは任務帰還後、もしくは死ぬときだと覚えておけ。…今回は、神機を持ったままでこの訓練所を全力で走り回ってもらう。倒れるまで走れ』

 

…倒れるまで、ときたか。タツミさんの言ってた通り徹底的に測定するらしい。この結果次第でこれからの訓練内容が変わっていくって事か。具体的にどう変わる、ってのが一切わからないけど。

 

これからずっと一緒に戦っていく神機(相棒)を見る。刀身はショートブレード《ナイフ》、銃身はスナイパー《ファルコン》、装甲はタワーシールド《耐炎タワー》。制御ユニットは製作中でプロトタイプすら出ていないため無し。強化パーツだってこんな一度も実戦に出たこと無い素人が持ってる代物じゃない。極東支部初めての新型でデータが少ないため、支給されたベーシックパーツを組み合わせてる。つまり今の俺の相棒は完全に初期装備の状態であるわけだ。

 

他にも剣銃盾それぞれに2種類ずつあったわけだが、俺がこれらのパーツを選んだのはとにかく攻撃から逃れるため。小回りの利くショートブレードでなるべく敵の攻撃を回避。スナイパーによる遠距離からの射撃。どうしても避けられない攻撃が来た時のためのタワーシールド。タワーシールドにしたのは耐久力の増加も狙ってる。これが俺の答えだ!何が正しいとか別にないんだけどな。これから別な組み合わせに変わってく可能性だってあるわけだし。

 

ちなみに、コウタの神機は遠距離型神機のアサルト《モウスィブロウ》。元々は雨宮教官の相棒で、新米が持つような普通の神機と違いフルチューニングされた一品。つまり分からないことがあれば全て教官に聞くことができるというメリットを持っている。

今のところ一人しかいない新型の俺とはえらい違いだ、羨ましい。まあ、新型はいくらでもパーツを組み替えられるって言う長点もあるんだけどな。

実際は慣れたパーツを使う人が多くて、組み替える人は少数派って話だが。

 

『それでは、始めろ』

 

思考もそこそこに、合図と共に走り出す。ゴッドイーターになった俺達は人外の力を手に入れたため、全力で駆けても恐ろしく長い距離を走破できるようになった。出せる速度だって尋常じゃあない。オリンピック選手をも軽々超えるレベルだ。

 

そして俺はその身体能力に更に+αが追加されている。昨日のメディカルチェックの後、目が覚めると俺の体はそれまでの状態を笑える位に力が有り余っていた。それこそ、何でもできてしまいそうだと錯覚するほどに。

やはり寝てる間に何かされたに違いないと疑った俺は間違えてはいないと思う。

しかし真っ先に博士に問い詰めた俺に返ってきた答えはまさかの「何もしていない」だった。博士曰く、

 

「君が寝てる間に何故か急激に適合率が上昇してね。これまでにこんな現象は見た事がないんだ。新型特有の現象かもしれないと調べてみたんだけど、本部や他の支部にいる新型ではそんな現象が起きたなんて記録は一切なかった。現状君だけに起きているイレギュラーというわけだ。実に興味深い!!」

 

との事。俺からすれば『イレギュラーなんて御免です普通でいさせてくださいお願いします』て感じなのだが、博士からすれば最近で最も興味の沸いた案件らしい。とりあえず色々と調べてくれているそうだ。何か分かればすぐに知らせてくれると約束してくれた。

 

 

―――訓練…というか走り込みが始まり凡そ2時間。俺は普通の人間だと目視するのも難しいだろう速度を叩き出し、そのスピードを維持したまま訓練場を駆け回った。勿論神機はしっかりと手の中にある。既にこのだだっ広い訓練場の外周を何十周もしたはずなのに、全くと言っていいほど疲れない。正直このまま走っていても倒れることは無い様な気さえする。ちなみにコウタは20分ほど前にバタンとぶっ倒れてからピクリとも動いてない。

教官もそんな俺を見てこれ以上走らせるのは時間の無駄だと感じたらしい。あの常に冷静だと思わせる声に驚きを含ませて訓練の中断を告げた。

 

『一度止まれ、木瀬。殆ど疲れてないようだな?』

 

「え、全く。このままいつ迄も走れそうです」

 

『…そうか。藤木の方は限界の様だな。よし、藤木はあと10分休憩。木瀬はこのまま戦闘訓練に移れ』

 

戦闘訓練…?あれ、これホントにただの測定?もしかしてなんか失敗した…?

 

「了解。ほらコウタ、お前は休憩らしいぞ。向こうに行って休んでろ」

 

 物も言わず床に倒れ伏してたコウタに声をかける。こっちに向いた顔は、生気を失ったゾンビの様。ぶっちゃけキモい。

 

「ああ、そうするよ…なんでユウイチはそんな元気なんだ?」

 

「適合率がやたらと高いらしい。疲れないってのはいいけど寝付きが悪くなりそうだ…て聞いてないし」

 

コウタは既にフラフラと入り口付近まで移動中だった。自分から聞いておいてそれは無いだろうと思うが…限界だったってことか。まあ2時間全力走り込みは割ときついな、普通。

コウタの移動が完了するのと同時に、一体何で出来てるんだとツッコミたくなるメタリックグレーに玉虫色を混ぜた様なカラーのダミーアラガミが出現した。

 

『さて、それでは戦闘訓練を開始する。最初はお前がどれ位動けるかを確認する。敵は一体のみだ。好きなように動け』

 

その声で目の前のダミーが動き出す。オウガテイルを模したそれは動きまでオウガテイルそのもので、多少耐久力が本物と比べ脆いだけ。成程、訓練にはもってこいな相手なわけだ。

 

神機の扱いについては既にマニュアルを確認してある。訓練開始前にも実際に動かしてみた。切り替えの動作やエイムモードへの移行に不安が残るが、それはこれからの課題だろう。とりあえず今回は剣だけで戦ってよう。

スナイパーは相手に気付かれてない時に不意打ちとして使うか、味方が近距離戦闘を行ってる時援護として撃つのが基本的な使い方。今みたいに1対1の状況で使うことは滅多にないだろうからこそ剣一択。

今はとにかくこの訓練を全力を以ってこなす!

 

神機を剣形態にしたまま構え、威嚇するようにこちらを睨むダミーに向け飛び出した。

 

俺の動きは基本知識にあるゲームの動作を基としたもの。経験があるわけでもない俺にとって参考にできる動きがそれしか無かった。勿論慣れてきたら多少のアレンジを加えていく心算ではあるが。

 

正面へと向け飛ばしてきた極太の針をステップで相手の左側へと踏み込むことで躱し、そのまま右から左へ薙ぎ一閃。更に胴を切り裂かれのけ反った顎へ向け、流れるように右へと切り上げる。

 

ダミーの方もやられてばかりはいられないと尾で薙ぎ払いをかけて来るが、遅い。本当に遅く()()()。適合率が高い恩恵か、薙ぎ払いを仕掛けてくるタイミングも予備動作も手に取るように分かる。

 

「だりゃあアァッ!」

 

タイミングを計り、ライジングエッジ―――切り上げと共に高く飛び上がる事で迫りくる尾を回避。自由落下の速度を利用して叩きつけるように唐竹割りへと繋げ、尾を切断。痛みで再びのけ反った頭へ向けてとどめの突き。

 

「そらッ!!」

 

地面をしっかりと踏み込み、上半身をバネの様に使って突き出された剣は、その頭を易々と貫通した。

 

機能を停止したダミーはそのまま床へと崩れ落ちる。そのまま溶けるように消える、なんて演出は無い。ちょっと見てみたかったから残念だ。

 

自分で言うのもアレだが、初めての動きにしては割と良かったんじゃないだろうか。少なくとも自分で思っていたよりは遥かに動けた。思考した動き全てに体が追い付いてきた。自分で自分の体の全てをコントロールできているってのはこういう事を言うんだろうか…新兵の分際で何を、とか言われそうだけどそれ位の万能感がある。

 

ダミーが倒されたのを確認したらしい教官の声が再び流れ出す。

 

『……木瀬。今の動き、誰に教わった?』

 

「我流です」

 

即答。変に迷いを見せて勘ぐられるのは勘弁だ。そしてまさかバカ正直に「ゲームです!」等と答えるわけにもいかない。とは言えこの世界の誰に習ったわけでもない動きをしているのだからあながち嘘ではない、ハズ。

 

『そうか。ハッキリ言わせてもらうが、木瀬。お前の体力や剣形態における動きは既に新人のそれではない。が、それはあくまで訓練の中でのみだという事を忘れるな。実戦では今回とは違い命がかかっている。そのプレッシャーの中で今と同じ様に動けるとは思わない方がいい』

 

ツバキさんも覚えがあるのだろう。経験者としての話はこの世界では命を守るための何よりの糧となる。……でも、最初に撃たれた針とか当たっても死んでた気がするんだが、そこら辺はどうなんだろうか。実はアレ仮想空間とかそういう感じの機械だったり…?気にしたら負けか。

 

『木瀬の課題は銃形態における戦闘、及び他者との連携だ。先に藤木の戦闘訓練を行う。お前は剣形態から銃形態への切り替えの訓練をしておけ。戦場ではその一瞬さえ命取りになる』

 

確かに変形に手間取ってる間に攻撃されるのはマズイな。変形のタイムを縮めるだけなら確かに一人でも訓練できるし、いいかもしれない。

 

「コウタ、もう大丈夫か?さっき死にそうになってたろ?」

 

「うん、大丈夫だよ!いやー、ゴッドイーターてスゲーよな。こんなに早く体力が回復するんだもんな!…まあ、ユウイチはあれだけ動いて全然疲れてないみたいだけど」

 

「ああ、コレは俺自身も驚いた。今までの訓練何回繰り返しても大丈夫な気がするくらい体力が有り余ってるんだ」

 

「うわー、何それ反則だろ。ちょっとでもいいからその体力分けてくれよ。俺なんかもう一回したら死ねる自信あるよ…」

 

 『安心しろ。明日からの訓練は更に過酷になる。この程度の訓練ではびくともしなくなるぞ…分かったらとっとと配置につけ。時間が押している』

 

 「「はい、すみません!!」」

 

うん、訓練中に雑談なんかするんじゃなかったぜ。この人切れさせたら絶対ヤバい。修行内容が間違いなくルナティックに移行する。俺はまだ余裕があるからいいけど、コウタが大変な事になる。それが分かってるからだろう、俺以上に必死に謝ってた。

 

 

 

さて、あれからコウタの戦闘訓練が終わるまで俺はずっと神機の変形を繰り返してるわけだが。

 

――――ガシャコン、ガシャコン、ガシャコン、ガシャコン、ガシャコン

 

飽きた。いやホントにこれは飽きる。確かに変形時間を短くするってのは大事だろう。だけど、一定回数こなしたらこれはもうただの作業でしかない。

タイムだって途中から全然縮まらないし。

これはもう実戦形式で動きながら変形させる訓練した方がよっぽどためになるに違いない。それを決めるのは教官の仕事だが。

 

どうやら漸く向こうも終わったみたいだ。コウタがダミーを倒して興奮してるのが見える。うん、武器持ったのとか初めてだもんな、気持ちは分かる。でも「バガラリみてー!」ってのはどうなのさ。

 

さて、次は連携か。もうちょっと訓練頑張りますかね―――死なないために。

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

新人訓練結果報告書

 

・藤木コウタ  

 

 使用神機:旧型神機(アサルト)

 

現時点での基礎身体能力は平均的。ただし年齢の事もあり、伸びしろは大きいと予測される。木瀬新兵との戦闘連携訓練において、神機連結解放時の戦闘能力上昇幅が大きい事が確認された。新型神機使いとのコンビネーションが期待される。ただし集中力の無さが懸念されており、今後の課題となる。

 

 

 

・木瀬ユウイチ

 

 使用神機:新型神器(ショートブレード/スナイパー)

 

異常な適合率故に、基礎身体能力は過去最高値となっている。こちらも年齢から伸びしろが期待される。戦闘訓練は近接戦闘を主体としており、高い戦闘能力が確認された。遠距離からの狙撃においても高い命中率を記録。藤木新兵との共同戦闘訓練では高い協調性を見せた。総合的に見ると既に新兵のレベルを超えている。戦闘時の神機の変形速度の短縮と接近戦時の銃併用が今後の課題である。

 

 

                             雨宮ツバキ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




第二話読了ありがとうございました^^

話の骨格ができててもそれを肉付けする自分の語彙が足りないせいで中々筆(指?)が進まない…。

とりあえず、主人公最強化計画スタートです。
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