神喰らう世界をナイフ一本で切り開く   作:石ノ心

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 第五話です!

 今回は登場後およそ25秒という短さでマミったあの人が!

 あれがホントのハイスピードハンティングやでェ…


第五話 進化の兆し

 俺の神機に関する衝撃的事実が発覚した翌日。正式に第一部隊に配属された俺は、まずは経験を積んだ方がいいと言うリンドウさんの言葉で、早速任務へ出撃することになった。

 

 場所は『嘆きの平原』。謎の巨大竜巻が常に発生している不思議なところだ。不気味とも言う。

 

 メンバーは俺、サクヤさん、ソーマ、エリックの四人編成である。次受ける任務が『破戒の繭』かどうかすら分からなくなっちまったぜ!サクヤさんだけなら『破戒の繭』、ソーマとエリックなら『鉄の雨』なんて考えてたからさ…。相変わらず役に立たない知識しかないな、オイ。

 

 まあ、普通に考えてみれば分かることだ。全員揃っていて厄介な任務だってないなら、顔合わせを先に済ませてしまおうっていうリンドウさんの考えだろう。確かにその方が後々楽ではあるし、四人での戦闘を経験することもできる。わざわざ分けて任務へ出撃させるのがメンドくさかったなんて理由は無いと思いたい。―――さて、今回の任務はこれだ。

 

 任務名『ワールウィンド』 討伐対象:コンゴウ一体

 

 リンドウさん曰く難易度2の任務だそうだ。ちなみにこの難易度、確認された場所やアラガミの数によって上下する。アラガミの個体の強さというのも含まれることには含まれるらしいが、結構曖昧なんだと。

 

 アラガミはその捕喰したものの特性を学習し急激に進化する性質から、捕喰した物の質が高いほど、そしてその量が多いほど強くなるとされている。が、強いにせよ弱いにせよ外見は全く同じ。戦ってみて初めて分かるため、難易度6に設定しなければならないヴァジュラが難易度3の討伐任務で出されていることもあるって話だ。じゃあ全て難易度6で出せばいいんじゃないかと聞けば、それをすれば俺の様な新人達の成長を妨げることになるから難しいと返された。大変なんだな…。

 

 もちろん新人の俺が高難度任務などに行けるはずはない。本来なら実地演習を終えたばかりの俺はこの難易度2の任務にすら行けなかったはずなんだ。ただ、その実地演習で相手をした敵がヴァジュラ……新米ゴッドイーターの登竜門とされる存在だった。リンドウさんが一緒だったとは言えそんな相手と戦って善戦した(色々リンドウさんが話に脚色を加えている)ため、少しとは言え実力が認められ難易度1をスキップしたわけだ。勿論、今回はベテランが3人ついてるってのもあるけどな。

 

 

まあこの話はここまででいいだろう。とりあえず俺はこのメンバーの新入りなわけで。自己紹介から入らなければならない。

 

「本日より第一部隊に配属される事になった、木瀬ユウイチです。よろしくお願いします!」

 

自分で驚くほど滅茶苦茶ありきたり。俺の頭じゃくだらないジョークの一つも思い浮かばなかったんだ…。

 

 だが大丈夫。あの華麗なるヤツがいる。

 

「やあ、君が今噂になってる新人クンだね!僕はエリック。エリック・デア=フォーゲルヴァイデ。リンドウさんの助けもあったとはいえ、初戦であのヴァジュラを華麗に倒したそうじゃないか。素晴らしい!君を華麗なる僕のライバルの一人として認めよう!!」

 

「は、はあ。どうも…」

 

「敬語なんて必要ないさ。何故なら君は、この華麗な僕のライバルなのだから!」

 

 ……うん、色々騒いでくれるとは思ってたけどなんだこの展開。予測出来ない…。頑張ってくれ的な激励されるかと思ってたのに、いきなりライバル認定されるとは。

 

「おっとこれは失礼。自己紹介の途中だったね。…そうだ。そこのフードを被った彼は自己紹介しそうにないから僕が代わりに紹介しよう。彼の名はソーマ。この極東支部で最も強いとされるゴッドイーターであり、君と同じくこの華麗な僕のライバル!無愛想ではあるが中々いいやつだ。仲良くしてやってくれたまえ。あと、彼にも敬語はいらないよ。二人とも華麗な僕のライバルである時点で、君たちもまたライバル同士なのだから!!」

 

 テンション高すぎるし華麗とかライバルとか言いすぎだ。しかも結構暴論がはいってる。でも、こいつそれとなく新人の俺やコミュ症のソーマに気を配れてるし、結構いいヤツだったのか。

 

 

「………フン」

 

 諦めてるのか満更でもないのか分からないが、鼻をならすだけのソーマ。エリックってナルシストのイメージしか無かったんだが、それだけじゃないみたいだな。やっぱり実際に見てみないと分からないもんだ。

 

「そしてそちらにいる女性が…」

 

「橘サクヤよ。昨日の事はリンドウに色々と聞いてるわ。よろしくね」

 

 リンドウさんが話した…?あの大げさなストーリーか。ヤバイ。早いとこ成長してヴァジュラ倒せるようにならないと周りに変な期待させてしまう。俺、こんな装備しか使えないのに…。神機がなるべくはやく実戦で使える様な進化を遂げてくれることを祈る。

 

 

――――さて、自己紹介は終わりだ。気を引き締めろ。前回みたいな大型がまた乱入してくるかもしれない。極東(ここ)は激戦地区、十分にあり得る話だ。そうでなくても討伐対象が中型のコンゴウ。オウガテイルほど簡単に倒せるとは思えない。油断は死と直結する。

 

 

 

「エリック!上だ!」

 

「うわぁぁぁぁー!!」

 

 こんな風に。

 

 

 

 襲ってきたのはザイゴート。エリックが何故か自分の武勇伝を話し始めて油断した瞬間を狙ってきた。これがオウガテイルだったならエリックは押さえつけられ、頭を喰い千切られて終わるゲームと同じ運命を辿っていたのかもしれない。

 

 不幸中の幸いか、ザイゴートは頭を喰い千切るための口を持っていても押さえつけるための腕や足が無かった。結果、咄嗟に横へ飛ぶことで回避に成功した。尤も、腰を抜かしていたけど。

 

 空振りしたザイゴードは俺とソーマで滅多斬り。10秒もかからずに地へと堕ちた。

 

 「や、やあソーマ。ありがとう、助かったよ」

 

 「…油断するな」

 

 相変わらず無愛想だがご尤もだ。お調子者のエリックも今回ばかりは流石に懲りたのか、いつになく真剣な表情で索敵をしている。主に上の方に意識が向いていたのは仕方ない。ただ、今回の標的のコンゴウは、空飛ばないと思うんだ…。

 

 

 「…!いたわよ」

 

 サクヤさんが目標を捕捉。確かに結構遠くではあるが、コンゴウの姿を確認できた。それにしてもゴッドイーターになれば視力もよくなるのか?自分はどっかの狩猟民族かと思うくらい遠くが見える。夜目が利くようになってもいるし。……今はどうでもいいか。

 

 「まず私とユウイチで狙撃。できるだけダメージを与えてこちらにおびき寄せてからソーマが斬り込む。その後私とエリックが援護するから、ユウイチは遊撃に回ってちょうだい。いい?」

 

 「了解!」

 

 「じゃあ、始めるわよ」

 

 神機を銃形態へ変形し、エイムモードへ。中央の円にコンゴウが重なり…

 

 「ファイア!」

 

 俺とサクヤさんのそれぞれの神機から放たれた二本のレーザーが直撃し、戦闘の幕を上げた。

 

 

 

 

 

 

 ―――遅い。かつて訓練でダミーアラガミと対峙した時と同じ感想を抱く。確かにオウガテイルよりは速い。腕を振る速度はオウガテイルの尾の速度より明らかに速く、そして重量がある。転がりながらの突進はかつて喩えた様にさながら暴走トラックのよう。時折飛ばしてくる真空波は非常に見え辛い。

 

厄介な敵ではあるんだろう。ただ、昨日襲ってきたヴァジュラが強すぎた。昔外部居住区で襲撃された時、あれだけ巨大に見えていたコンゴウがとても小さく見える。攻撃だってそうだ。装甲を使えば後ろに後ずさる事はあっても吹っ飛ばされるわけじゃない。真空波だって見えにくいだけで、雷球に比べたら避け易い。突進は直線的で、追尾してくるなんてことはない。

 

 弱くは無いけど、そこまで強くもない。実際にコンゴウと戦って俺はこう評価した。四人いるからって理由もあるだろうが、これなら一人でも倒せるはず。

 

 今回の戦闘で意外だったのがエリックとソーマの連携の凄まじさ。阿吽の呼吸ってやつだ。互いの位置取りから完璧に攻撃のタイミングを計っている。何度も同じ任務へ出撃していた成果だろうな。サクヤさんはそんな二人の連携を妨げないように立ち回っている。素人の俺の目から見れば完璧に見えた。

 

 …これが、ベテランのゴッドイーターの連携…!

 

 感心してばかりではいられない。ここは俺に戦闘経験を積ませるためにリンドウさんが用意してくれた場だ。俺が動かなければ意味が無い!

 

 俺はこの強制初期装備縛りによって戦い方を考えざるを得なくなった。今回の様に四人で戦闘するならまだどう戦っても構わない。だが一人でならどうだろう。こっちは紙装甲で一撃くらえばシッショーしかねない中で、ナイフでちまちま倒さなければならない。任務に制限時間は無いし、俺のスタミナが異常な程上がってるから不可能ではないとはいえ、精神的に厳しすぎる。故に俺の選択は限られていた。

 

「ホールドトラップかかりました!」

 

――――――一つの任務でアイテム全放出である。懐が寒いのなんのって。今回は全部出すつもりはないからマシだけど。

 

 根本的な解決になってない?それは仕方ない。強化パーツがあればマシだったのかもしれないけど、あれもアラガミ素材加工して作ってんだから間違いなく神機が喰っちまう。俺の望みはRank1制御ユニットしかない。それすら喰われたらもう駄目だ。おしまいだ。

 

 まあ色々と言ったけど、結論。罠使ってバーストモード入って斬る。…ホントなんで俺って第一部隊に配属されたんだろう。こんな欠陥抱えてるんだから大型と先陣切って戦うような場所入れるなよ。新型のデータどれだけ欲しいんだよ!一回マジで頼んでみようか。…却下されるの目に見えてるから止めとこう。

 

 「リンクバースト、行きます!」

 

 最近俺の存在価値、これだけの気がしてならないんだ……。取り敢えず三人全員に一発ずつ譲渡。

 

 「……フン」

 

 「これは凄いわね…」

 

 「あぁ、この僕が更に華麗になっていく!!」

 

 最後の一人だけ渡してちょっと後悔した。ソーマに二発撃っとくべきだったかもしれない……いや、いいか。二人の連携の速度が上がってる。どっちか片方に集中させていたらあれが崩れていた可能性が高いな。

 

 ここでコンゴウが俺の方に向かってきた。色々と他三人のサポートをしていて邪魔だと思ったのか、単純に俺が弱そうに見えたのか。または、何も考えていないのか。まあアラガミの思考なんてどうでもいい。殺るか、殺られるか。さっきまでサポートしかできなかった分、一暴れするとしようか!!

 

「ハッ……セイッ!」

 

 俺に向かって垂直に振り下ろされた拳を、ナイフの側面を滑らせるようにして回避。そのままステップによる踏み込みとともに袈裟懸けに斬る。更にステップを繰り返しコンゴウの背後へと抜けて尻尾を叩き斬る!尻尾の先が両断されて宙を舞い、やがて地に落ちた。

 

 

―――――オオオオォォォ!!

 

 もちろんコンゴウは自分の尻尾を斬られて活性化状態に。腕をがむしゃらに振り回しているが、腕の軌道が大体見えるためステップで全て回避。ステップによる踏み込み斬を繰り返す。

 

 

 

 さて、お分かり頂けただろうか。普通、いかにゴッドイーターと言えども成し得ないこの荒業を。

 

 俺は移動、攻撃ともにステップしか使ってない。攻撃直後のステップは『アドバンスドステップ』と呼ばれ、攻撃後の隙を無くしてくれる優れもの。ただしコレ、使うと凄く疲れるっていうのがショートブレード使い達の常識で、普通はそう何度もポンポンと使えるものじゃない。疲れて動けないところを襲われるってのは最悪だから。

 

 そう、()()ならな。残念ながら普通じゃないのが俺だ。どれだけこのステップを繰り返しても全然疲れない程スタミナがある俺だからこそ可能なチキン戦法、「いのちだいじに」。銃は使わずナイフでちまちま倒す…さっき言った精神的に厳しい戦法。一対一ならともかく敵が複数ならヤバい。またいろいろ考えなければ……。

 

 

 ゴッドイーターとして長い間活動してきた三人もこの常識はずれの戦い方に一瞬固まっていたが、流石ベテラン。すぐに持ち直し援護してくれた。

 

 

 ―――数分後、ソーマのバスターブレードによる『チャージクラッシュ』がコンゴウの体の中央を唐竹割りにし、戦闘が終了した。

 

 「お疲れ様。どうだった?集団での狩りは」

 

 「仲間がいると頼もしいですよ、ホント」

 

 サクヤさんにそう返す。仲間っていてくれるだけで支えになるから本当にありがたいな。精神的にも。やはりソロ狩りなんかするべきじゃないと思う。…いつかはさせられるんだろうけども。

 

 「そうだろう。特に僕のような華麗な存在はいるだけで仲間たちを元気づけることができるのさ!それで、どうだい?僕の華麗な戦いは」

 

 「ああ、正直驚いた。ソーマと凄い連携だったな」

 

 言ってしまったと直感した。いや、本心だから悪い事じゃないんだけど、コイツを相手にこんな言葉を言ってしまえば…!

 

 「やはりそう思うかい!?いや、君はホントに見る目があるようだね!流石は僕のライバルだ!!ハハハハハ!!」

 

 結構いいヤツなのにこうなるとただのうざいヤツにしか見えなくなってくる。サクヤさんやソーマも同感の様だ。サクヤさんは苦笑いしてるし、ソーマは「余計な事しやがって早く止めろ」みたいな目で睨んでくる。正直すんませんでした。

 

 「そう言う君も噂違わぬ獅子奮迅っぷりだったじゃないか!特にあの蝶のように舞い蜂のように刺す最後の華麗な動き。新人というのがウソのようだ。驚いたよ」

 

 「そうね、罠を仕掛ける位置もタイミングも結構正確だったし…。これは期待できそうね」

 

 「……調子に乗るなよ。早死にしたくなければな」

 

 うん、皆の期待がとても重い。嬉しいけど素直に喜べないって辛い。そして忠告してくれるソーマはやっぱり優しいと思う。安心してもらいたい。こんな装備じゃ調子に乗る事なんてとてもできないから。

 

 「じゃ、早速捕喰するとしますか」

 

 神機を突き出して捕喰させる。光らないところを見るとレアものではなかったらしい。…光ればレアものって定義もどうなんだとは思うけどな。

 

 そのまま俺は、頼れる先輩方(一人は終始無言)に色々とアドバイスをもらいながらアナグラへと帰投した。

 

 

 

 

――――――――光りこそしなかったが、脈動していた神機に全く気付かずに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 第五話読了、ありがとうございます^^
 
 エリックはドラマCD聞いたりGE2のソーマやエリナのキャラエピソードしてるとイメージがガラッと変わりますよね。ネタだけに収まってはいけなかった人なのかもしれない…。

 あれ、よく考えたらこれエリナがゴッドイーターになる理由が消えてる?…GE2どうしよう。

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