神喰らう世界をナイフ一本で切り開く   作:石ノ心

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 大学がテスト期間突入。休みなんて無かったんや…。

 いきなり愚痴から入ってすみません。更新ペースが徐々に落ちてますが、この小説ももう一つの方も完結までもって行くつもりでいますので、お付き合いください。

 それでは第六話、どうぞ!


第六話 変わらない相棒

 顔合わせ兼俺の集団狩り初経験から1週間と数日。毎日経験を積むため任務に出撃してるから、何もなかったかと聞かれれば否と答えるが今の所は無事だ。

 

 まあ俺の現状報告なんてどうでもいいな。実は今さっき、また俺の神機に問題が発生したらしい。博士から急遽来るようにと連絡がきた。もし仮にこれで全パーツ喰って、捕喰形態だけでしか戦えない神機になってたりしたら俺は泣いてもいいと思う。

 

 

 「すみませーん!俺の神機に何かあったって聞いて来たんですけどー!!」

 

 俺の神機は加工されたアラガミ素材―――戦うための武器や装甲を喰ってしまう偏食を持つとされている。もし他の神機のパーツまで喰ってしまったら目も当てられない。そのため普段は普通の整備室ではなく、もともとは珍しいアラガミの素材や核を研究するためにあったというペイラー榊博士ご用達、特別研究室とやらの中に置かれてる。

 

 大声出しても返事は無く、代わりに扉の向こう側からやたら大きな機械の駆動音が聞こえてくる。この分だと多分聞こえてないな。仕方なく申し訳程度のノックをして部屋の中に入った。

 

 「やあユウイチ君。私の特別研究室へようこそ。散らかっていて済まないが、そこの椅子に掛けていてくれ。君の神機の事でちょっと取り込んでいてね、今リッカ君に細部を整備して貰ってるところなんだ」

 

 入ってきた俺の存在に気付いた博士が声をかけてくる。が、俺が聞きたいのはそんな事じゃない。

 

 「俺の神機がどうなったか知りたいんですが」

 

 これだけだ。今神機に何かが起こるとすれば、博士が前に言っていた()()である可能性が高い。もしかしたら待ち望んでいた戦力アップになるかもしれないんだ。早く知りたいと思うのは当然の事だろう。

 

 「ああ、そうだろうね。……まずは謝っておこう。実は今さっきまで起きてた現象については何も分かってはいないんだ。すまないね」

 

 「え?いや、呼び出しかける位だから何か分かったんじゃないんですか?」

 

 まさかの肩透かしか…じゃあ一体何だ、何が起きていた?

 

 「…まず話を聞いてくれ。これはリッカ君に聞いた話なんだが、最近任務から帰還してきた時いつも君の神機は何かに反応するように小さく脈動していたそうだ。初めの内はそれもすぐに収まっていて、何の問題もなかったらしいけどね。だが今日の任務帰還後からその脈動は大きなものとなり、ついさっきまで続いていた。この脈動は私も確認したよ。神機があんな風に脈動するのは今の所使い手であるゴッドイーターに適合した時か、捕喰形態に変形した時だけしか確認されていない…。この場合、やはり考えられるとしたら…」

 

 「進化、ですか」

 

 「恐らくね。それで一度君の神機を調べさせてもらったんだ。が、見たところ前と変わったところは無かった。だからさっき言った通り正直何も分からなくてね…。一応普段通りに使えるとは思うけど、念を入れてリッカ君に確認して貰ってるんだ。……ところで、これから予定空いてるかい?」

 

 は?予定?何かさせる心算か?

 

 「そうですね、もう今日の任務は一応終わってますし。続けて任務に出るにしても神機が整備中ですから」

 

 「いや、神機の整備が終わってからだよ。一度訓練場で神機の調子を確かめて欲しくてね。もしかしたら、何か変わってるかもしれないだろう?」

 

 ああ、成程。神機が本当に進化したとすればその可能性もある。実戦でコイツを使ってる俺が前との差異に気が付くかもしれないってことか。それなら乗るしかないな!

 

 「分かりました。是非やらせてもらいます」

 

 「お願いするよ、僕も技術屋として非常に興味があるからね。さて、整備が終わるまでお茶でm「整備終わったよー」…予想より978秒も早かったね」

 

 「頑張ったからね。今は全く脈動なんかしてないし、整備もいつも通りうまくいったんだけど…それでも何か変わった気がするんだよ、あの神機」

 

 「神機が、変わった?」

 

 どういう事だろう。博士は全く変わってなかったと言っていたハズ。少なくても外見が変化しているワケじゃないのは俺が見てもわかるし…。

 

 「うまく言葉に表せないんだけどね。私はここで長いこと整備士をやってるから…カンって言うのかな?神機を見ればなんとなくだけど調子が分かるんだよ」

 

 「フム、つまりリッカ君のそのカンが、ユウイチ君の神機がこれまでとどこか違っていると言っているんだね?実に興味深い。…ユウイチ君、悪いけどさっそく試してもらってもいいかな」

 

 「了解です。俺も自分の相棒がいつまでもわけが分からない状態なのは嫌なんで」

 

 博士の言葉に即答する。リッカさんのカンが正しいかどうかは分からない。ただ、何かが変わったという可能性があるならば少しでもかけてみたい。何せこのままではいつか絶対に死んでしまう。『約束された死の短剣(ナイフ)』(主に死ぬのは俺)で戦わなければならないのは既に確定事項。もうこれは仕方ないと割り切った。それでも生き残れるなら何だってやってやるさ!

 

 

 

 

 ――――――結果:何も分かりませんでした。畜生ッ!!

 

 「目に見えて分かる進化ではないという事かな?それとも未だ進化の前段階にすぎないのか…なんにせよ手詰まりだね」

 

 「うーん、やっぱり何か雰囲気が違うと思うんだけどなー」

 

 「ダミー叩き斬った感じだといつもと何も変わらないんだけど…」

 

 体感では変化は分からず、見た感じも変わっていない。変わっているのはリッカさんの言う雰囲気のみ。少なくとも俺の期待していた戦力増強はできなかった。結構期待していただけに、この結果にはかなりがっかりさせられた。

 

 「ハア……」

 

 「また次があるよ。大丈夫、大丈夫!」

 

 「そうだね。今の所手がかりはあの神機の脈動しかないけど、それが任務終了時から起こっていることは明らかなんだ。アラガミを捕食する事が関係している可能性は極めて高い。何度も任務へ出ていれば、その内思わぬ進化をすることだってあるかもしれない。それに、君は新人なんだ。今は神機の事より、君自身が経験を積んでいく方が得策じゃないかな」

 

……確かにそうだ。言われて初めて気づいたが、俺はどれだけ身体能力が高くても所詮はただの新人。俺が神機を強化しようとしてるのは、初戦であんな化け物(ヴァジュラ)と戦い、その強さを目の当たりにしてしまったからだろう。いつかあんな化け物と一騎打ちしなければならないと、なまじ要らない知識が在るだけにかなり先の事を考えていた。

 

 もう一度よく考えてみれば、今はただ経験を積んでおけば何とかなる時期なんだ。いつか再び向き合わなければならない問題には違いないが、今考える事じゃなかったんだな。少し焦りすぎていたみたいだ。…そう考えたら、ふと嫌な予感がした。なんだ?

 

 「確かにそうですね…。分かりました」

 

 「うん、こちらでもなるべく早く君の神機の事が分かるよう全力は尽くすよ。幸い、研究費はいくらでも貰えることになってるからね。新型の研究のためなら、ヨハンも許可を出してくれるだろう。君も頑張ってくれ。あ、あと戦闘中に違和感があれば申し出てくれるとありがたい」

 

 とりあえず変な予感は置いといて肯定しておいた。それにしてもこの人は何fc研究につぎ込む気なんだろう。まあ、結構な金額がないと生体兵器の研究なんてできないか…。これからアイテム大量消費で常に寂しいことになるであろう自分の財布を思うと、その研究費の1割でもいいから欲しいもんだ。

 

 ふと思ったんだけど、俺もう既によろず屋のおっちゃんに最初もらったアイテムの5倍くらいの金渡してるんじゃね?…まあいいか、約束だったし。

 

 「じゃあ、俺はこれで。明日の任務に備えてきます」

 

 「私も他の神器の整備をしなくちゃいけないから。お疲れ様!」

 

 「ああ、お疲れ。私はもう少しここで色々調べさせてもらうよ」

 

明日からまた忙しくなりそうだ。…そういえば、アイテムまた買いに行かなきゃな。

 

 

 

 現在地、ロビー。一度よろず屋に寄って部屋に戻ったのはいいものの、暇になった。ターミナルでずっと動画を見てるのも疲れるんだ。コウタにバガラリーを薦められて見始めたはいいけど、話数がとんでもない事になっていて、とてもじゃないが追いつきそうにない。軽く1000話超えるアニメってなんだよ?何年単位で放送してたんだ、アレ。国民的アニメでもあるまいに…。

 

 何かする事があるわけでもなく、ここに来る途中で買ったジュースを飲みながら備え付けられているスクリーンをボーっと眺めていたが、これじゃ部屋にいたのと一緒だ。もう部屋に帰って寝てしまおうと思い立ち上がった時、丁度コウタが訓練場から出てくるのが見えた。

 

 「よ、コウタ」

 

 「おお、ユウイチか!オッス!」

 

 訓練上がりなのによくこんな元気が出るな。体力ついたのか?俺と一緒に訓練してた時は訓練後はすぐに爆睡してたのに…体力ってこんな短期間でそこまで増えるものだったっけ。いや、俺が言うのもあれだけどさ。

 

 「そうだ、聞いてくれよ。俺明日実地演習なんだ!」

 

 「おお、お前もとうとう戦場に出てくるのか。そういえば確かにそろそろ2週間経つな」

 

 新人が実地演習に出るまで、平均2週間。情報は正しかったようだ。

 

 「それでさ、なんかアドバイスとかない?もう何回も実戦経験したんだろ?」

 

 「まだまだだけどな。訓練でOK貰ってるなら命令守っとけば最初は大丈夫だ。俺の時もオウガテイルは結構あっさり片付いた。でも、ホラ。俺の時は予想外の事があったからな…。」

 

 「ああ、あれ(ヴァジュラ)か…。よく生きてたよな、ユウイチ」

 

 「全くだ。リンドウさんがいなけりゃ死んでたよ。知ってるか、大型アラガミって想像以上にデカいんだぜ?」

 

 身長40m、体重3万5千tとか言われても驚かない。ヴァジュラは高さは4m位だったけど体長はざっと10mはあったんだ。ウロヴォロス系統ならマジでそれくらいでもおかしくないんじゃなかろうか。そうなるとそれを一人で倒せるリンドウさんって一体…。

 

 「まあ、大型なんて言うぐらいなんだからそりゃデカいだろうなー。いつかそんな奴らとも戦わないといけないんだよな俺達。あ、ユウイチはもう戦ってるけどさ」

 

 「戦ったとは言えないな。援護に回るので精一杯だったよ。リンドウさんが大げさに話してるけど、実際ほとんど戦ってるのあの人だけだったしな。リンクバーストぐらいしか役に立ててないんだ」

 

 「ああ、それってあれだろ?力が体の底から溢れてきて、バーンッてなってドーンッてなるやつだろ?スゲーよなあれ!でも俺の神機は銃だからあれユウイチにバレット貰わないとなれないんだよなー」

 

 最近そんな擬音聞かねーよ。バーンとかドーンてなんだよ、小学生かお前。力が溢れるってのは何度も経験したからよく分かるけどな。

 

 「まあ、お互い無事ならその内任務も一緒になるだろ。多分明日のお前の同行者もリンドウさんなんだろ?俺が第一部隊に配属された理由が、リンドウさんと一緒に任務受けたやつの生存率が一番高いって事らしいからな」

 

 支部長に所属部隊変えてもらうよう直談判しに行ったわけじゃないぞ?防衛班の人たち―――タツミさんを筆頭として先生や誤射姫、平原さん(言ったら殺される)や残念コンビと食事を摂った時に教えてもらったんだ。

 

 「へえ、じゃあ俺が配属されるのも第一部隊になんのかな?」

 

 「さあな、そこまでは分からないけど、多分そうじゃないか?」

 

 実際ここまで知識が使えないと全く分からない。まあコイツならどこに入ってもうまくやっていけるだろうけど、俺としては第一部隊に来てほしい。なんせここまで楽に話せるのいないからな。カリスマ持ち上官一人、年上お姉さん一人、コミュ症一人にナルシが一人。皆優しいんだけど、やっぱりどこかで遠慮する。あれ、そういえばエリックって第一部隊で合ってるのか?全く違和感無かったけど…。

 

 「そっか。まあ同じ部隊になったらよろしくって事で!俺明日早いからもう寝るよ。アドバイスありがとな!」

 

 「どういたしまして。俺も寝るために部屋に帰るところだったんだ。お疲れさん」

 

 「おう!」

 

 コウタと別れて自分の部屋へ向かう。一緒に任務へ行くのが楽しみだ。

 

 

 ベッドに寝転がりながら考える。経験を積むのはいい。間合いの取り方や攻撃のタイミングは先輩ゴッドイーターの動きを見ていれば身につくし、何度も任務へ出れば自分なりの動きだって出来るようになってくるだろう。さっきも博士にそう諭されて納得はした。確かに自分は新人で焦っていただけなのだと。ただ、同時に感じた嫌な予感。あれは何だったんだろう?気のせいならいいんだが、何か大変な事が起こるような気がしてならない。――――そう、まるで実地演習の時のように。

 

 眠くなってきて、思考が鈍ってきた。この事については今はまだ分からない。俺の神機の進化のように、まだその時じゃないのかもしれない。ならばとりあえず今は経験を積んでいけばいいだろうと結論を出す。

 

 明日の任務の予定は何だったか…確か、第二部隊と一緒に防壁の辺りの見回りだったな。

 

 

 

 そこまで考えて、俺の意識は夢の中へと沈んだ。




 第六話読了、ありがとうございました!

 エリックって第何部隊所属って設定でしたっけ…?ソーマと一緒に何度も任務に出撃してたらしいから、第一部隊って事でいいんだろうか。

 まあ最悪違う部隊だったとしても、この小説では第一部隊として扱っていくつもりなんでよろしくお願いします。
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