早く夏休みならないかなー…。
取り敢えず、第七話です!
『対アラガミ装甲』。人類をアラガミの襲撃から守るためフェンリルがアラガミ素材を使い創り出した巨大な防壁で、外部居住区やエイジス島の周りに配置されている。…とは言え、あれだけ強力で圧倒的な数を誇るアラガミの襲撃を全て防ぐ事は不可能。そのため防衛班が度々壁の周囲にいるアラガミを討伐する事で未然に防ごうとするわけだ。
今俺は研修って名目でそれに参加させてもらっている。第一部隊の俺が第二部隊の任務に出られてるのは、単純にゴッドイーターの数が少ないから。緊急の任務や指名された任務なんかが無い時は基本どこの部隊の任務を受けてもいい事になってるんだ。
ちなみに、今回のメンバーは俺、タツミさん、ブレンダンさん、カノンさんの四人だ。
「よーし、全員揃ったな。今回はオウガテイルやらザイゴートやらが大量にいるらしい。そいつらを片っ端からぶっ倒すのが任務だ。…ユウイチ、俺達は第一部隊とは違って『倒す』事ではなく『負けない』事を重視してるんだ。俺達と同じ任務を受けたからには粘ってもらうぜ?」
「了解。大丈夫ですよ、体力だけは誰にも負ける気しませんから!」
割とガチで。むしろ勝てるやついたら紹介して下さい。あ、でもヴァジュラはもう勘弁な。
「ハハ、そうこなくちゃな!ブレ公はいつも通り俺と合わせろ。ユウイチは新型だから遊撃が得意なんだっけか。まあ、自分でいけると思ったら攻撃してくれ。カノンは………まあ、うん」
「せめて何か言って下さい!?」
カノンさん涙目である。カワイイ…じゃなくて!やっぱりそんなに誤射が酷いんだろうか。
「ああ、ユウイチはゴッドイーターになったばかりだから知らないのも無理はない。カノンは誤射率が全世界の神器使いの中でダントツに高いんだ。タツミや俺はアラガミに接近しないと攻撃できないから被害にあうことが多くてな……。お前も近接戦闘の時は気をつけろ。思わぬ所から攻撃がよく飛んでくる」
味方にもこの言われようである。いや、確かにブラストだから味方も巻き込んでしまうような爆発が起きることはあるだろうけど、そこまでか?同じブラスト使いのエリックは誤射なんてしてなかったし実感がない。
「ま、各自頑張れってことで!行くとしますか!!」
「「「応(はい)!!」」」
取り敢えず背後には気を付ける様にしよう。
さて、戦場に出て気付いたことがある。タツミさんたちの装備の事だ。タツミさんのショートは『発熱ナイフ』で、ブレンダンさんのバスターは『神斬りクレイモア』。カノンさんのブラストは『79式キャノン』と全て強化後の状態である。…まあこれも不思議じゃないな。俺の神器がおかしいだけであって、そりゃ強くできるんだったら強化するのは当然か。
…俺が先輩になった時、初期装備で必死に戦ってる俺って後輩の目にどう映るんだろうか。もしかしなくても凄く無様?コイツ俺達よりずっと早くゴッドイーターやってんのにまだそんな装備使ってるのかよ的な…。想像するの止めとこう、任務中に鬱になりそうだ。
「おーおー、襲撃でもかけて来るつもりだったのか?ホントに結構いやがるな」
「そうだな。だがここで止めるしかないだろう?幸いなことに小型だけしかいないらしい。カノン、できるだけアラガミが集まっているところを狙ってくれ」
「はい!頑張ります!!」
目の前に広がる光景は白い絨毯。―――オウガテイルの群れである。なんだよ、あの数。50…60…?数えるのも面倒だ。
「結構シャレにならない位いますけど、これが普通なんですか?」
「いや、極稀だな。俺もただの見回り任務でここまでの数のアラガミとはあまり遭遇したことがない」
困った時のブレンダン先生!どうやら俺は実地演習の時と言い今回と言い、相当運が無いらしい。これからの任務が結構不安になってきた。
あれ程の数のオウガテイルと戦うのは正直面倒だ。衝突する前にある程度レーザーで数を減らす。相手がかたまっていてくれたおかげで、一発のレーザーで結構な敵を貫けた。大体2割は減らせたな。タツミさんとブレンダンさんと一緒に突撃し、とにかく神機を振り回す。こんだけ数がいるんだ。滅茶苦茶に斬っても斬れる。囲まれない様に位置取りを変える必要はあるけどな。
体感で3分程たっただろうか。オウガテイルの数は最初の3割程に減っていた。さて、この3分間でブレンダンさんが4回、タツミさんが7回程空中で錐揉み回転したんだ。ショートブレードでジャンプからの回転突きをしたわけじゃなく、これら全てが誤射の結果であるのは言うまでもないと思う。因みに、俺はまだ被弾してない。直感がよく働いて、うまくオウガテイルを盾にしながら進んでたからだ。
予想以上だ。どうやったら3分の間で11回も誤射できるのさ!?いくらブラストだからって偶然なんてレベルじゃない。もう狙ってるとしか思えないぞ!…取り敢えず、今まで通りオウガテイルを盾にして、このまま殲m…上から殺気!?
咄嗟に横に頭からダイビングして緊急回避。上田にはなりたくないでござる!瞬間、さっきまで俺が立っていた場所が爆発した。
任務開始時の情報から今度はザイゴートが襲ってきたのかと考えたが、違う。ザイゴートは爆発系の攻撃はしてこないはず。そして、周囲にオウガテイル以外のアラガミがいるわけではない。………と、なると。残る可能性は一つだけなわけで。
恐る恐る後ろを振り返り、カノンさんを確認する。上方に向けた銃口から「今弾を撃ちました」と言わんばかりに煙を上げ、とてもイイ笑顔をしていらっしゃります。怖ッ!?
「アハハハハハハ!喰らえっ!!ぶっ飛べっ!!!」
ああ、裏カノン様ですかそうですか。誤射のインパクトが強すぎてすっかり忘れてた…。
俺の位置などは全く気にせず発射された数発の弾が上空へ。全ての弾が煙を引いて撃ち上げられるその様はまるで花火のようだ。…ただし、その花火は空で花を咲かせることはなく、そのまま落下して炸裂。地面で紅い爆炎の花を咲かせた。
……『モルター弾』か!重力の影響を強く受ける弾。通りで上から降ってくるわけだ。
感心してる場合ではない。全てのモルター弾はまるで流星群の様に…それもまるで狙ったかのように俺に向かって降ってくる。誤射姫が撃った弾は、決して外れない(悪い意味で)。
「うおおおおあああああ!?」
走る。ただひたすら前を向いて走って逃げる。ステップで左右へのジグザグ移動を交えながら逃げる。バースト状態になって脚力強化まで使って逃げる。
今もなお追加されていくその弾は、カノンさんのオラクルが切れるまで途切れることは無く、まるでホーミング性能を持っているかのように爆発を伴って俺を追いかけてくる。エディットもまともにしてないただの弾と侮るなかれ。一発喰らえば宙をとび、二発目から弾が途切れるまで永遠に爆発によるエリアルコンボを決められることになると心得よ。少しでも後ろを向いてみろ、速度が落ちてボロ雑巾になる運命しかないぞ!
「Help me!!」
「うわ、バカ!こっちに来るな!!」
「喋ってる暇があるなら逃げろ!あの爆発に巻き込まれたらアウトだぞ!」
なんか二人を巻き込んだら心なしか襲ってくる弾が減った気がする。これなら逃げ切れるぞ!視界の端で再び二人が吹っ飛ばされるのを確認しながら、風の様に
この逃走劇はオウガテイルや追加で現れたザイゴートが爆発に巻き込まれ全滅するまで続いた。誤射だけど、誤射じゃなかった!ってやつだ。いやゴメンやっぱ誤射だわ。どこをどう見ても紛うことなき誤射だったわアレ。…なんにせよアラガミ討伐数、カノンさんまさかのトップである。
帰投後、カノンさんにインタビューしてみました。
「私、今日誤射が少なかった気がします!」
「「「ダウト!!」」」
3分間11発の記録を打ち立てて、その後も色々とヤバかったんだけど!?どういうことなの…。普段どんだけ誤射してるんだ?
防衛班の皆様、第一部隊より楽とか思っててすみませんでした!ある意味こっちの方がよっぽど大変でした!ホントにお疲れ様です!!
「あー、毎度のことながら大変な目にあったぜ…。ブレ公、ユウイチ。お前ら今回は何回飛ばされた?ちなみに俺は19回」
「俺は全部で13回だ。今までの経験から計算してあの立ち位置で誤射される確率は10%も無かったはずなんだが…」
「セーフですね。何とか逃げ切りました」
任務で一番苦労したのが敵のアラガミを倒すことじゃなくて味方の誤射を避けることってのはどうなんだろう。
「お前、カノンが撃った弾を見もせずに全弾回避とかどんなカンしてるんだよ?」
「……!言われてみれば……どうなってるんだ?ちょっと分かりません。偶然じゃないですかね」
「まあそうだよな。流石に偶然だよな」
当然の疑問だ。タツミさんに言われるまで正直気にもしてなかった。いや、誤射への恐怖により考える暇もなかった、というべきか。
神機から放たれるバレットはアラガミに避けられない様にするため、当然弾速が相当速くなっている。ある程度の誤差はあったとしてもほとんどの弾は、例え人外の身体能力を誇るゴッドイーターの目でしても、既に回避行動にでも入っていない限りは見てから避けられるような代物じゃない。そのため遠距離型の神器使いは訓練で真っ先に誤射せず相手をいかに正確に撃ち貫けるかを訓練するらしい(コウタ談)。標的のダミーとの距離を離したり、角度を変えたり、障害物を自分と標的の間に挟んでみたりと色々したそうだ。
―――まあ、今訓練の話は関係ないな。問題は速度のある弾丸を目視もせず、連携も無しに直感や偶然だけで躱せるものなのか、だ。
一発や二発ならまだしも、全ての弾となると普通に考えて不可能だ。俺だってそう答えるし、他の誰に聞いてもそうだろう。だが、気付かなかったとはいえ俺は無意識下でそれを普通にやってのけていた。
いくら体力が有り余っていると言っても隙を見せたりすれば殺される可能性もあるのに、戦場の中を撤退もせず意味なく走り回るなんてこと普通ならしない。俺が走り回ったのはその場に少しでも立ち止まっていればヤバイ事が
今まで訓練の時はコウタの撃った弾の軌道をカンで読むなんて無理だったし、実戦でも同様だ。サクヤさんやエリックが俺の動きに合わせて撃ってくれていたが、銃口の向きでも見ない限りは不可能だった。
今回の任務で間違いなく何かが変わった。そして、俺はその何かについて思い当たる物が一つだけある。――――神機の進化。神機そのものでなく何故俺に作用してるかは謎だが、まず間違いないだろう。というか、それが誤射によって発覚するとか…。なんにせよ、これは感謝だな。
「カノンさん、ありがとうございました!御陰で道が見えてきました!!」
「え!?えっと…どういたしまして…?」
カノンさんが戸惑ってるけど気にしない。生きる希望が見えてきたんだ、早速博士に報告して色々と詳しく調べてもらわないと……!!
タツミさんに少し急用ができたから席を外すと伝え、博士がいるであろう研究室へ向けて走った。
・・・・・・・・・・・・・・・・
これは、ユウイチが走り去った後の三人の会話である。
「何かあったのか?ユウイチのヤツ。今さっき帰ってきたばっかだってのに」
「そういえば、さっき何かカノンと話してたな。何か言っていなかったか?」
「お礼を言われました!」
「「お礼?」」
カノンがさっきの任務でお礼を言われるようなことをしただろうか?思い出してみるが、いつもの如くとてもイイ笑顔でアラガミを味方ごと爆砕していた事しか思い出せない。確かに今回はカノンが最も多くのアラガミを倒しはしたが、それを差し引いてもユウイチには迷惑しかかけてないような気がする。
「でも私、ユウイチさんに何もしてないと思うんですけど…」
二人のその疑問を裏付ける言葉。感謝されてる本人ですら何があったのか分かっていないらしい。ホントに何を感謝したんだろうかと全員で頭を捻る。
「あ、そう言えば。「御陰で道が見えた」って言ってましたよ?」
「「!?」」
この時、二人とも同じことを考えた。それは色々とマズいと。二人の頭の中で組み立てられたのはこうだ。
誤射→被弾→道が見える→
……彼らはユウイチの神機に欠陥があった事を知らされていないし、更にそれが現在進化中だなんて分かるはずもない。こんな思考も仕方ないと言えば仕方ない。
「ちょっと待て、ヤバくないかそれ!?」
「ああ、非常にヤバい。早々に止めなければ大変な事態になる可能性があるな。いや、あるいは既に手遅れか…」
「え、ええ?どういうことですか?」
よく思い出せばユウイチが一発も被弾してない事に気付いたかもしれないが、もう遅い。勘違いだという可能性も考えず、その日第二部隊は『木瀬ユウイチ矯正計画』について話し合う事となった。
純真かつ天然なカノンが全く話を理解できてなかったのはご愛嬌である。
第七話読了ありがとうございます!
主人公強化が始まりました。とは言ってもタグの通り徐々に強くなる感じなんで、いきなり大型相手に無双開始とはなりませんが。最強になるのがいつになる事やら…。