魔道具製作者の受難   作:お給料

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開き直って展開を寄せるのも有りだな、と考える今日この頃の作者。


第壱章 理不尽だと思うんだ…

 

 「“福音(ゴスペル)”」

 

 迫りくるゴライアスは、その短い一言から放たれた鐘の音で弾けた。

 

 「瀕死とはいえ、あのゴライアスを一撃で…?」

 

 「これが『静寂』…!」

 

 「L()v().()()…!」

 

 この人は器を昇華させている。それだけではなく、あの『暴食』のザルドも同様にだ。

 

 おっかない人達が、ますますおっかなくなったとさ。

 

 「おい」

 

 「あ、ありがとうございます!アルフィアさん!」

 

 「礼はいい。それよりこれをやる」

 

 「え?あ、こ、これは回復薬ですか?」

 

 「ああ。お前の主神に頼まれた」

 

 「アストレア様が?わざわざありがとうございます!」

 

 なるほど?この人がここにいるのは、オラリオに帰省→アストレア様におつかいを頼まれる→ゴライアスを倒す→合流(今ココ!)

 

 「フェ、フェイ殿?」

 

 「シー…」

 

 僕はコソコソと灯火の後ろに隠れる。見つかったら不味い。本当に不味い。

 

 「お前が居てこの体たらくか?馬鹿弟子」

 

 「!?」

 

 やはり駄目か!この人から隠れることが出来なかったか!

 

 「僕が来たのはつい先程でして、それでも瀕死に追い込んだんですよ?異常種のゴライアス相手によくやったと褒めても…」

 

 「ふんっ!」

 

 「ぐふっ!?」

 

 「馬鹿め。この程度の相手に魔道具を使うな」

 

 アルフィアさんの拳が僕の鳩尾に突き刺さる。魔道具?全部使いきったよ…。

 

 「そこのエルフ」

 

 「せ、拙者はハーフエルフ…」

 

 「知らん。そこに転がってる馬鹿弟子を運んでおけ」

 

 「了解しました!」

 

 「喧しい」

 

 「ごめんなさい…」

 

 「そこに転がってる男が救助対象か?」

 

 「は、はい。戦闘の邪魔だったので気絶させました…」

 

 「それでいい。このまま運べ」

 

 「はい」

 

 十八階層の入口の瓦礫が撤去された。フェイは保険としてさり気なく魔道具を動かしていたのだ。

 

 そこには騒ぎを聞きつけた、リヴィラを仕切るボールス達が目の前に立っていた。

 

 「丁度いい。この男の仲間はいるか?」

 

 そこからはアルフィアの独壇場。いつもの恐怖支配で次々と指示を出す。男の仲間を気絶させたフェイから奪った魔道具を使用して回復させた後、地上を目指した。

 

 ちなみにゴライアスの魔石はボールス達に上げたらしい。

 

 無事依頼は達成したことを、次の日の朝に聞きました。

 

~~~~~~~~~~~~

 

 あの冒険者依頼から数日が経過した。雲一つない青空に暖かい太陽、そして…

 

 「遅い」

 

 「ごふっ!?」

 

 「甘い」

 

 「ふぎゃ!?」

 

 「拙い」

 

 「べぶらっ!?」

 

 僕は今、アルフィアさんに裏庭でボコボコにされている。本人は修行だ、と無表情から分かりにくいが、何故か妙に張り切っていたのが気になった。

 

  当たり前だが魔道具は一切禁止。普通の剣を渡されただけだった。

 

 相手は天下のLv.8。貧弱の僕の攻撃に傷は入らないので、思いっ切り斬り掛かってる。日頃の恨みを晴らすとか考えてないよ?本当だよ?

 

 まあ、全然当たらないんだけど(笑)

 

 「やはりお前は冒険者に向いていないな」

 

 「自分でもそう思います」

 

 アルフィアさんから現実を突きつけられる。昔から周りの人から言われてきた言葉だ。僕自身も自覚があるから傷付かない。

 

 「だが」

 

 「?」

 

 「実戦では私が負ける」

 

 実感が籠った言葉を呟く。

 

 「アルフィアさんはLv.8ですよ?僕は第一級冒険者ですけど、魔力特化ですから貴方に届きませんよ」

 

 「恩恵無しで私に勝ったお前が何を言う?」

 

 「初見ですから。魔道具を知られている今じゃ、相手になりませんよ」

 

 あの時は、アルフィアさんは魔道具を知らなかったし、リヴェリアさんとガレスさんが味方としていた。あの二人がいなかったら僕が負けていた。

 

 アルフィアさんはしばらく考えた後に、

 

 「弱いのに強い。それがお前だということを忘れるな」

 

 店の中に入っていた。僕も行こうとしたのだが、全身が痛い。思った以上にボコボコにされたらしい。

 

 入れ替わるようにカレンがこっちに来る。

 

 「大丈夫ですか?これどうぞ」

 

 「ありがとう。助かるよ」

 

 渡されたのは白いタオルと、暗黒期で活躍した劣化版『癒光の十字架』。効果はショボいが、傷を全て癒すのに充分だった。

 

 「僕って冒険者かな?」

 

 「はあ?」

 

 自分でも変な質問をしていると思う。カレンは怪訝そうに…いや、何言ってんだこいつ。という反応をしている。  

 

 「僕は魔道具が作れるから評価されるんだよ。ただの冒険者だったらこんなに慕われてないんだ」

 

 「違いますよ」

 

 「え?」

 

 カレンは間髪入れずに答える。

 

 「私達は魔道具を作れる貴方ではなくて、貴方自身を慕っているんです」

 

 「…そうなの?」

 

 「弱くていいので、そのままでいてください」

 

 「分かったよ。弱くてだらしなくても、もう少し頑張ってみるよ」

 

 「だらしないのは直してください」

 

 「あ、はい…」

 

 「もうお昼なので昼食にしましょう」

 

 「そだね」

 

 休憩を終えて店に戻る。少しだけだが、自信が身に着いた気がする。

 

~~~~~~~~

 

 おまけ

 

 アルフィアにしごかれる数日後の出来事。

 

 「僕の眷属にならないかい!」

 

 「え?」

 

 竈の女神と白兎が邂逅した。

 





 アルフィアとザルドはLv.8にランクアップ。アストレア・ファミリアの面々もランクアップさせています。フェイパワー。

 ベルの主神は原作通りだが、実力は違う。
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