魔道具製作者の受難   作:お給料

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※タイトル詐欺です


第弐章 フェイ、死す!

 

 命を狩るための凶刃が迫る。

 

 アイズを庇うために友人の前に出たフェイに流れるのは、明確な死のイメージではなく、今まで自分が体験した数々の記憶。

 

 「フェイ!」

 

 後ろからアイズの声が聞こえる。普段の落ち着いた声ではない。大事にしている物が壊れた時のどこか泣きそうな声。

 

 ごめんアイズ。

 

 僕は心の中で友人に謝罪する。声に出せない。だから心の中での謝罪。

 

 もう死んだ。僕は死んだ。最後に魔道具を作りたかった!いや、かなりの量を作ってるけどさ?作り足りないんだ。今もアイデアがバンバン溢れてきてるんだ。だから記憶記憶ぅ!もう意味無いと思うけど!

 

 「フェイ!」

 

 ちょっと今いい所!後で喋り相手になるからあっちに行ってなさい!

 

 「…フェイ?」

 

 分かってくれたかアイズ。死にゆく僕の願いを聞き取ってくれたのか!流石僕の友人…あれ?斬られてない?

 

 「はっ!?」

 

 目が覚めた。遠くでフィンさんとリヴェリアさんが敵と戦っている。フィンさんの拳が顔面にクリーンヒットしぶっ飛んだ。

 

 あれ?気絶してた?

 

 「フェイ、良かった…」

 

 「え、あ、うん。間に合ったんだねフィンさん達」

 

 僕の腕に抱き着くアイズを撫でてやる。距離がいつもより近い気がするが気にしない。

 

 「フェイ大丈夫!?」

 

 「アイズさん!」

 

 「「アリーゼさん(レフィーヤ)」」

 

 それだけではない。遠くからヒリュテ姉妹も駆けつけて来るのが確認できる。僕達は助かったのだ。

 

 「私の方が分が悪い。アリアもフェイ・ハーグも殺せなかったが、ここは退くとしよう」

 

 「逃がすと思うかい?」

 

 食人花を呼び出し敵が逃げる。どうやら調教師でもあったようだ。

 

 「ちょ、アイズ!?」

 

 何を思ったか、アイズが逃げる敵目掛けて走り出した。風を付加しているから必死である。

 

 何か話しているようだが聞こえなかった。

 

 アリーゼさんに連れて行かれた十八階層での戦いは幕を閉じた。

 

 

 「はぁ~~~~~~~~~」

 

 「どうしたんですか?ため息なんか吐いて」

 

 一日経った今、僕は自分の店である【星の玩具店】にいる。今は客が少ないから暇つぶしを兼ねてカレンとお喋りする。

 

 変化があったと言えば、アイズと僕の命を狙っていると知った【ロキ・ファミリア】と【アストレア・ファミリア】が手を組んだこと。

 

 利害の一致。仲間の命が掛かっているのだ。使える手は何でも使う精神だ。

 

 僕はカレンにぶっちゃける。

 

 「いや…僕は命狙われてるらしいじゃん?おちおち外も出れないと考えるとさ…?」

 

 「お気持ちは察しますけど…貴方英雄ですよね?」

 

 「英雄もビビる時はとことんビビる」

 

 「ビビり過ぎでは?ここにはあの二人が居るんですよ?」

 

 アルフィアさんとザルドさん。あの二人が居る場所は確かに安全だ。しかし、

 

 「常に居るわけじゃないでしょ?アルフィアさんはリリ連れて行っちゃったし、ザルドさんは鍛えるために深層に行っちゃったし」

 

 「で、でも【アストレア・ファミリア】の皆さんが交代で来てくれるんですよ?」

 

 「対峙したあの人はアイズを余裕で倒せる力を持った実力者だよ?僕という足手纏いを抱えて戦えないよ」

 

 「足手纏いって…貴方は『勇者』が来るまで時間稼ぎしていたと聞きましたが」

 

 「これのお陰だよ」

 

 僕はお馴染みの指輪を見せる。戦いが終了した後、健在の指輪を調べてみたら全て効果切れ。あの一撃を喰らっていたら間違いなく死んでいた。

 

 ブルリと震えて冷や汗が頬を伝う。僕があの戦いで導き出した答えは、

 

 「やっぱダンジョンに行くのは間違ってるよ」

 

 「冒険者の人生を否定する言葉ですよ、それ」

 

 そんな話をしていると、

 

 「フェイ様いますよね?」

 

 「あれ?リリじゃん」

 

 「この人が英雄…」

 

 リリが店にやって来た。後ろには白髪赤目で兎を彷彿とさせる冒険者が居た。萎縮した態度に親近感が沸く。そう言えばダンジョンじゃなかったけ?

 

 「ベル様に魔道具を見繕ってくれませんか?」

 

 「ベル様?」

 

 はて?どこかで聞いた名前だな。

 

 「へ、【ヘスティア・ファミリア】所属、ベル・クラネルと言います!あ、貴方の活躍はお義母さんから聞いてます!」

 

 【ヘスティア・ファミリア】とベル・クラネル。そしてお義母さん。ちょっと待て。この子はリリが連れて来た冒険者だ。

 

 「君はアルフィアさんの!」

 

 「はい!お義母さんがいつもお世話になってます!」

 

 この子がアルフィアさんの血縁者か。あの人より礼儀正しい。似てないね(失礼)

 

 「いやいや。いつもこっちがお世話になってますよ。むしろボコボコにされてますよ」

 

 「英雄に何してるの、お義母さん!?」

 

 「まあ、入って入って。君に合った魔道具を渡すから」

 

 「お、お邪魔します!」

 

 僕はベル君を中に招き入れる。店だからお邪魔しますは必要ないよ?

 

 「弟みたいだなぁ…」

 

 「え?」

 

 「何でもないよ」

 

 さっきまで感じていた不安が綺麗さっぱり無くなっていた。

 

~~~~~~~~~~

 

 「ありがとうございました!」

 

 「また来てね。サービスするから」

 

 「はい!」

 

 ベル君は最初から最後まで礼儀正しい。構ってやりたい可愛がりたいという保護欲も沸いてくる。それはカレンも同じのようで表情が優し気になっていた。

 

 今日も仕事を頑張るかとやる気を漲らせると、

 

 「久し振りだなフェイ…なんだその顔は」

 

 「あ、いやいや気にしないでくださいよ。ベル君とは真反対な貴方にガッカリとかしてませんから!」

 

 「ちょ、フェイさん!?」

 

 目の前に居るのは、筋肉で構成されてるんじゃないか?と思わせるほどの巨漢。ザルドさんをライバル視している猪人。加えて女神一筋。

 

 「相談がある」

 

 「え、相談?オッタルさんが?」

 

 実力主義の塊、【フレイヤ・ファミリア】の頂点で団長『猛者』オッタルだ。

 

 脳筋なのに相談があるのか?って思ったら駄目だ(クソ失礼)

 

 奥の部屋で話を聞いてみた。

 

 どうやらランクアップに行き詰ってるようだ。レベルが上がるにつれて器の昇華は困難となる。偉業のハードルが上がるからね。

 

 どうしようと考えた時、思いついたのが僕の慧眼(?)に頼る事。

 

 「お前は仲間だけでなく、傘下の連中の力を見極めて試練を課している」

 

 「誰だよ、そんな噂流した奴…」

 

 「その証拠に、以前ゴライアスが出現するタイミングで救助依頼を出した。それに参加した者がランクアップを果たしている」

 

 「え、そうなの?」

 

 「はい。マルタさんはLv.3に、灯火さんはLv.4に上がってます」

 

 後ろに控えるカレンが耳打ちしてくれた。今考えると本当にヤバかったよなぁ。

 

 「俺を強くしてくれ」

 

 Lv.7が僕に頭を下げる。プライドそっちのけの行為に驚いた。

 

 「頭を上げてくださいよ」

 

 そんなことされたら調子に乗っちゃうよ?丁度いいから、人知れず届いたあの依頼を任せてみるか。

 

 「カレン。依頼が一つ届いていたよね?」

 

 「あ、あれを受けさせるんですか?」

 

 「俺は構わん」

 

 「ほら、本人もそう言ってることだしさ」

 

 「わ、分かりました…」 

 

 カレンは依頼書を取り出してオッタルさんに手渡した。

 

 「これは…」

 

 「中層で起きたモンスターの異常発生の調査依頼。これを任せたい」

 

 無駄に良い顔を作って面倒ごとを押し付けた。

 




自分の設定を忘れてそうで怖い。間違えていたと感じたらコメントしてください。

 
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