魔道具製作者の受難   作:お給料

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第参章 なんか呼ばれたんですけど…

 

 「良い天気だね…」

 

 僕は部屋に差し込む日差しを浴びながら呟いた。

 

 今日は休日として設定しているので、店を開いてないのだ。因みに今は僕一人だけ。カレンは外出、リリ&アルフィアさんはベル君の所らしい。

 

 手持ちの魔道具をフキフキ磨くしかやる事がない。メンテナンスは終わらせたし。

 

 そんな時だった。

 

 「ごめんくださー-い!」

 

 「ん?」

 

 玄関から大きな声が聞こえてきた。声量、声色からして冒険者。ごっついもん。

 

 「今日は店じまいですよ~」

 

 「あ、いや。自分客ではなく、【ロキ・ファミリア】の者なんですが」

 

 「【ロキ・ファミリア】?」

 

 ごつめの男が説明に入る。なんでも、主神のロキが僕を呼んでいるらしいのだ。正直、関わりたくない。

 

 「…お断りすることは?」

 

 僕がそんな事を聞くと、目の前の男性は複雑な表情になる。「お前はろくにおつかいも出来ないのか」と無能扱いされると思い込んでいる顔だ。

 

 「分かりましたよ。準備次第すぐ行きます」

 

 「準備?あ、はい!お待ちしております!」

 

 そう言って出て行った。

 

 準備に疑問を浮かべていたようだが、僕にとっては命が掛かっているとても大切なことなのだ。

 

 【ロキ・ファミリア】は第一級冒険者が沢山いる。それ以下の冒険者も大勢いるが、どの人も滅茶苦茶強い。

 

 ひ弱な僕があそこに行けば、格好の餌だ。

 

 「あ~あ、せっかくの休日が…」

 

 憂鬱な気持ちを抱えながら準備に取り掛かった。

 

~~~~~~~~~~~

 

 「お待ちしておりました!案内します!」

 

 「あ、はい…」

 

 先程の男性の後ろをトコトコ歩いていくと、

 

 「お~い!フェ~~~イ!!」

 

 ロキ様が僕の姿を確認し、ブンブンと手を振って名前を叫ぶ。どうやらお茶をしているらしく、ロキ様の後ろにはレフィーヤさん、正面には金髪の男神とその付き人のエルフが居た。

 

 案内人の男性は「失礼します!」と言って立ち去った。

 

 「お茶会ですか?ご招待ありがとうございます」

 

 絶対違うと思いつつ、和やかなお茶会であることに一縷の希望を抱く。

 

 「せやで~。お茶会をしながら、この前のお祭りについてお喋りしよか」

 

 ここ最近のお祭りと言えば【怪物祭】か。それほど楽しかったのかな?

 

 「ちょっとしたハプニングがありましたが、楽しかったですよね」

 

 「ちょっとした…ねぇ」

 

 あれ?なんか間違えた?二神の反応がおかしいんだけど。

 

 「フェイ。自分はどう思っとるん?」

 

 「え?そりゃあ…」

 

 「「…」」

 

 お祭りではモンスターが脱走する事件が発生したんだよね。でもその犯人を特定したアルフィアさんが殴り込んだ。あの女神様は気に入った人を見つけたら気ままに動くけど、理不尽の塊みたいなアルフィアさんがいれば、

 

 「すぐ解決すると思いますよ?凄い人がいますから」

 

 僕の言葉に目を見開いた。僕は紅茶を一口飲む。熱くて火傷した。

 

 「自分がそう言うなら間違いない、か…」

 

 「ロキ、彼を信じるのかい?未来視じみたことが出来ると噂があるが」

 

 「ディオニュソス。ウチらはそれに助けられとる。現に、五年前のあれを覚えとるか?」

 

 「五年前…。もちろん覚えているとも」

 

 生き残りの闇派閥が二十七階層で罠を張っていたあの事件。【アストレア・ファミリア】を中心に構成された派閥連合がそれに立ち向かった…だっけ?曖昧なんだよなぁ。

 

 「『死者が一人も出なかった奇跡の生還!闇派閥を完全撃破!!』って、オラリオ中に取り上げられてお祭り騒ぎやったわ」

 

 「ああ。犠牲者無しだったのは正直目を疑ったよ。闇派閥だって頭が切れる参謀はいたんだ。無策では無かっただろうに……まさか」

 

 「せや。フェイはそれを見越して魔道具と援軍を派遣したんや」

 

 「なっ…!」

 

 「偶々ですよ、偶々」

 

 盛り上がる二柱に口を挟む。神々はすーぐ悪ノリしちゃうからなぁ。

 

 「謙虚やなぁ、フェイは」

 

 「事実ですから」

 

 「『製作王様』に聞きたい」

 

 「はい?」

 

 「今回の黒幕はギルドか?」

 

 「はぁ?自分、ギルドを疑ってるんか?」

 

 「ああ。モンスターをうんたらかんたら」

 

 「ありえんやろ。第一うんたらかんたら」

 

 「あーはいはい。そうですねー」

 

 僕そっち抜くで話し出す。面倒臭くなったので適当に相槌を打つ。

 

 「で?君はどう思ってる?」

 

 「どうって、黒幕のことですか?」

 

 コクリと頷いた。

 

 「ギルドではないです」

 

 フレイヤ様です。

 

 「嘘ではないか…」

 

 「ほれ見ろ!だから言ったやんか!」

 

 どうやらギルドの疑いが晴れたらしい。僕に感謝してよね!

 

 「最近、二十四階層に異変が起きてるらしい」

 

 「ああ、ギルドが騒がしかったなぁ」

 

 「臭うと思わないかい?」

 

 「まあ、きな臭いと思うけど…ん?」

 

 「あれは伝書鳩か何かかな?」

 

 ロキ様の頭に紙が落ちる。どうやら何かの手紙らしい。

 

 「『依頼を受けたので二十四階層に行ってきます。心配しないでください。アイズ』」

 

 「ブフゥ!?」

 

 ディオニュソス様は口に含んでいた紅茶を噴出した。僕はそんな神様を見て吹き出しそうになった。

 

 二十四階層?そう言えば…

 

 「オッタルさんにお願いした場所だったな」

 

 「「「「はぁ!?」」」」

 

 全員が目を見開いて驚いた。

 




ちょっとした食い違いが発生した。
 フェイはモンスターの脱走だと思ってる。ロキ達は新種の事だと思ってる。
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