魔道具製作者の受難   作:お給料

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第参章 マジで勘弁してよ…

 

 ザルドさんとリーフィアに事の顛末を全て話した。

 

 リーフィアは新種のモンスターに反応を示し、依頼を受けたのは【ヘルメス・ファミリア】と『剣姫』なのだから、自己責任の範疇。だから気にするな。とザルドさんは言った。ランクアップを遂げた『剣姫』ならば死なないだろうと、付け加えた。

 

 オッタルさんの事を教えた時、 

 

 「支度しろ。俺なら遅れてでも成し遂げる」

 

 謎の対抗意識を燃やしたザルドさんが動き出した。ダンジョン帰りだよね?

 

 「ん。フェイも早く」

 

 「僕も行きたいんだけどさ。ほら、足遅いから間に合わなくなるかも…」

 

 「俺が二人を背負ってやる」

 

 「ええ…」

 

 「フェイ」

 

 「うっ」

 

 ジーッと見て来る視線が痛い。知り合ったばかりの昔のアイズが頭によぎる。

 

 「留守番はお任せください」

 

 カレンは僕を追い出す気満々。外堀を埋められて、

 

 「…分かったよ。行くよ」

 

 「…心強い」

 

 「よし。三十分までに準備を済ませておけ」

 

 僕は自室に戻り、前より多くの魔道具を限界まで詰め込んだ。

 

~~~~~~~~~~~~

 

 「やはり、今の私では『猛者』に敵わないか。だが!彼女からの寵愛を受けた私に――」

 

 「御託は良い。この氷像はなんだ?」

 

 その頃、二十四階層ではオッタルが敵の指揮者と戦っていた。

 

 この指揮者の正体は、『白髪鬼』オリヴァス・アクト。かつて闇派閥の幹部としてオラリオに牙を剥いていた彼は、五年前に死亡が確認されていた。

 

 モンスターとの合成で生き返り、怪人として当時よりも更に強靭な身体を得て現れた。

 

 これにはアスフィ達はおろか、オッタルさえも驚いたが、

 

 「貴様らより崇高n」

 

 「質問だけに答えろ」

 

 「ぶべらっ!?」

 

 今やサンドバックに成り下がっている。食人花を呼んだのだが、オッタルの攻撃が規格外すぎて意味が為さなかった。時間稼ぎどころか更に威力が増した。

 

 アスフィはと言うと、食人花と死兵の狂信者を相手に指揮を執りながら戦闘中。ボコボコにされているオリヴァスに少しばかり同情している。

 

 「再生が止まったな。一撃でお前は死ぬ」

 

 「ぐぅ…」

 

 「その前に答えろ。お前が知る全てをな」

 

 敬愛する女神に少しでも危険が晒される。降りかかる火の粉は自身が盾になって振り払うが、敵の情報を今のうちに抜き取っておきたい。

 

 オッタルは大剣を向ける。

 

 「今すぐ起きろぉ!そしてぇ!こいつら全員皆殺しにしろぉ!!」

 

 瀕死のオリヴァスが叫ぶ。オッタルは殺そうとしたが、息の根を止めようと大剣を構えて動きが止まる。何を起こすつもりなのか。考えられるのは一つしかない。

 

 嫌な予感がしたオッタルはその場から飛び去る。次の瞬間、

 

 「アアアアァァー----!!」

 

 氷像が目を覚まし雄叫びを上げる。階層主の咆哮を彷彿とさせる声量に、全員が両手で耳を塞ぐ。

 

 「『猛者』!」

 

 「『万能者』、今すぐ撤退しろ。あれを相手にしながらお前達を守り抜くのは不可能だ」

 

 「!? 分かりました!総員、撤退しますよ!」 

 

 「本気か!?」

 

 「彼が不可能と判断したのです。悔しいですが、足手纏いにしかなりません」

 

 アスフィの言葉を聞いて、納得したように従う団員達。見ただけでも分かる。あれに出来ることは何もない。

 

 「アッハッハッハ!!流石の『猛者』でも、『穢れた精霊』の前では手も足もでまい!」

 

 興奮し高笑いするオリヴァス。

 

 彼の後ろにそびえ立つ、『穢れた精霊』と呼ばれた氷像が蠢き出す。

 

 その時だった。

 

 ドガンッ!!

 

 壁をぶち壊して現れたのは、

 

 「レヴィス!?馬鹿な!『剣姫』の方が上回ったというのか!」

 

 アイズとレヴィス。彼女もまたオリヴァス同様、怪人として生まれている。以前アイズに勝てたのはそんな理由だ。

 

 『穢れた精霊』は口元の口角を上げ、

 

 「アリア!!」

 

 アイズに向かって喋り出す。

 

 当のアイズは、レヴィスから一旦距離を置いて『猛者』が居る所まで離れた。正確には、『穢れた精霊』からである。

 

 「…起動させたのか。まだ未熟なこれを」

 

 「それでも奴らより強い!魔石をくれ!再び私が奴らと――」

 

 「必要ない」

 

 レヴィスはオリヴァスの胸を自身の腕で貫いた。

 

 アイズ達は突然の仲間割れに目を見開いた。何か言っているようだが聞こえない。

 

 「来るぞ」

 

 「“風よ”!」

 

 オッタルは剣を構え、アイズは再び風を纏う。【ヘルメス・ファミリア】は撤退するために風穴を開ける。

 

 「『剣姫』!」

 

 アスフィはアイズに声を掛け、ある物を投げた。

 

 「『製作王様』の指輪です!」

 

 「!」

 

 短い言葉だが、それだけで理解出来た。フェイの指輪の効果は、身を持って知っているから。

 

 「行くよ」

 

 「アリアァ!!一緒ニナリマショウ?」

 

 目の前の怪物に向かって走り出した。

 

~~~~~~~~~~

 

 一歩その頃、十八階層では。

 

 「アアアアァァー----!!」

 

 「「!」」

 

 「今、何か聞こえたよね?」

 

 ザルドさんはピタッと足を止めた。一緒に抱えられているリーフィアは真剣な顔つきになる。

 

 「これは…咆哮か?それに戦闘音も聞こえてくる」

 

 「…やっぱり、精霊で間違いない。早く解放しないと…!」

 

 二人は意味深に呟く。僕も負けじと呟く。

 

 「敵は…強大だ。急がねば」

 

 ごめんなさい、無理でした。

 

 「行くぞ。どんなに強くても、喰らい尽くすまでだ」

 

 「行こう。これ以上苦しませない…!」

 

 「行くよ。友のために」

 

 向いてないわ、こういうの。

 




次回、フェイ参戦!
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