魔道具製作者の受難   作:お給料

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予想以上に評価が高い…!


第零章 面会・黒ドレスさん!

 

 黒ドレスさんとの激闘のあと、シャクティさんと呼ばれていた人にお説教された。この人だけは怒らせたら不味い。子供ながらに理解することが出来た。

 

 現在は空き部屋で待機。年端も行かない子どもを牢屋に入れるのは、鬼畜の所業である。一度目は保護という名目で入れられたが。まあ、脱獄したのだが。

 

 あの見張りの人にも怒られたが、牢屋の中で自分の未熟さを気付かされたようだ。怒ると同時に、感謝しているように見えた。

 

 「暇だ…」

 

 ぐっすり眠ることは出来た。朝にはここの主神ガネーシャ様と、青髪の冒険者でシャクティさんの妹であるアーディさんが暇つぶし相手になってくれたので、退屈では無かった。

 

 魔道具の作成方法を二人に伝えたら、何故か頬を引き攣らせていた。「お、お前はガネーシャだ!」とか訳の分からないことを言っていた。神って個性的だね。

 

 昼食を済ませて、数時間経った。あの二人はシャクティさんに引っ張られて連れて行かれた。

 

 こういう時は魔道具を作成するのだが、下着に至るまで全部持ってかれた。さらに、勝手な行動をするなと釘を刺されている。あの人の恐さを身を持って知ったので、そんなことが出来ずにいる。

 

 しばらくすると扉が開いた。

 

 「フェイ君、ちょっと来てくれる?」

 

 「?」

 

 「手伝って欲しんだ。その前に、はいこれ」

 

 「これ僕の持ち物?いいの?」

 

 「うん。着替えたら教えてね。部屋の外にいるから」

 

 怪訝になりながらも着替えが終わり、アーディさんに手を引っ張られて廊下を歩く。どことなく見覚えがある。

 

 「この先に牢屋があるよね?あっ!まさか」

 

 「違う違う!牢屋に入れるとかじゃないから!」

 

 「良かったぁ」

 

 一先ずホッとする。すると、

 

 「来たか。フェイ・ハーグ」

 

 「ひぃ!?しゃ、シャクティさん!?」

 

 恐怖の権化・シャクティさんが現れた!アーディさんの陰に隠れる。

 

 「お姉ちゃん…」

 

 「この少年の自業自得だ」

 

 「ほ、本日は何用でご、ございましょうか…?」

 

 「お姉ちゃん…」

 

 「流石にやり過ぎたか…」

 

 自身の額を抑える。

 

 本当に自業自得であるのだが、トラウマに限りなく近い何かを刻み込まれたこの少年は不憫でならない。

 

 「昨晩、お前が捕縛した女を覚えているか?」

 

 「黒ドレスさんですね」

 

 「黒ドレスさん…?まあいいか。あれは闇派閥の今後の作戦を知っている。知っているのだが、中々口を割らなくてな。ようやく喋ったと思ったら」

 

 『フェイ・ハーグと話をさせろ。もしかしたら、口を滑らせるかもしれないぞ?』

 

 「僕に?」

 

 「ああ。私は気が進まないが、これはチャンスだとフィンは言っている。だから、賭けることにしたんだ」

 

 フィンって誰?

 

 「自信ないっす…」

 

 「あまり気負う必要は無い。会話するだけでいいんだ」

 

 「同行者もちゃんといるからリラックスリラックス!」

 

 「同行者?」

 

 ある部屋の前に立つ女神様に目が行く。

 

 「私が同行者よ。アストレアって言えば分かるかしら?」

 

 「アストレア?ああ、ガネーシャ・ファミリアと同じ治安を守るっていう」

 

 「ええ。あの日、魔石工場で子供達を守ってくれてありがとう。アリーゼ達も感謝していたわ」

 

 そう言って頭を下げる。魔石工場?アリーゼ達?

 

 首を傾けていると、アーディさんが小声で教えてくれる。

 

 「魔石工場は君が突っ込んで来た施設、アリーゼ達はその時いた女の人達だよ」

 

 「ああ!頭を上げてください女神様!偶然!本当に偶然なので!」

 

 「それでも礼を言うわ。あなたは結果的に救ったのだから」

 

 「うぐぅ…」

 

 本当に偶然なんだ。その後だって、火炎石を収集するのに夢中だったし。一つ残らず没収されたけど。

 

 「よろしいですか?」

 

 気まずい空気を破ってくれたのはシャクティさん。助かる。

 

 「それじゃあ行きましょうか、フェイ君」

 

 「あ、はい」

 

 部屋の扉を開いた先にいたのは、

 

 「遅かったな。人を待たせるなと教わらなk」

 

 「間違えました」

 

 バタンッ

 

 反射的に扉を閉じた僕は悪くない。

 

~~~~~~~

 

 「あ、やっべ」

 

 僕の行動に二人と人柱は、何とも言えない表情になる。

 

 「だ、だってなんか、ねぇ…?」

 

 「き、気持ちは分かるけどさ」

 

 「まあ、呼び出しといて偉そうにされたら、な…」

 

 「取り敢えず中に入りましょうか…」

 

 もう一度中に入ると、

 

 「気は済んだか…?」

 

 怒ってる!この人怒ってる!

 

 「ごめんなさい。悪気があった訳じゃないの」

 

 「ご、ごめんなさい!」

 

 「まあいい。早く座れ」

 

 「は、はい」

 

 「失礼するわね」

 

 用意された椅子に座る。黒ドレスさんと向き合うと、あることに気付いた。

 

 「あの黒ドレスさん、ちょっといい、ですか?」

 

 「アルフィアだ。敬語でなくてもいい。なんだ」

 

 「もしかして元気ない?」

 

 「どういうこと?」

 

 「気のせいかもしれないけど、昨晩より顔色が悪い気がするんです」

 

 「ごめんなさい。よく分からないわ」

 

 じっくり見ても分からない。神の眼でも気付かないぐらい、分かりにくいことにこの少年は気付いた。

 

 「良い目をしてるんだな」

 

 「魔道具は発見の連続だからかも」

 

 「お前の言う通りだ。私は生まれ付きの病気に罹っていてな」

 

 スキルになっているせいで治療不可能らしいのだ。

 

 「魔道具を試してもいい?」

 

 敵を回復しない。分別は付いてるのだが、この人に生きて欲しい。僕は心の中でそう考えてるんだと思う。

 

 隣に座るアストレア様をチラッと見ると、小さく頷いた。

 

 「構わん。好きにしろ」

 

 「分かった」

 

 取り出したのは昨日の『癒光の十字架』。どこまで効果があるのか分からない。回復系で一番の魔道具はこれなのだ。

 

 僕はすぐさま使用した。この魔道具に貯めてある魔力を全部使いきる。

 

 「どう…?」

 

 「治ってない」

 

 「そっか…」

 

 やはり無理だった。

 

 「だが」

 

 「?」

 

 「症状は軽くなった気がする」

 

 「嘘では無いわね…」

 

 それを聞いて嬉しくなるが、恩恵という神の力に対抗出来なかったという現実に落胆する…ん?神の力?

 

 「アストレア様お願いがあります!」

 

 「?何かしら」

 

 「僕に恩恵を授けてくれませんか?」

 

 突然の提案にアストレア様が目を見開く。アルフィアさんは相変わらず目を閉じてるが、驚いてるように見える。

 

 神の力に対抗するには、同じ神の力で相殺できるかもしれない。

 

 「分かったわ」

 

 「待て」

 

 アルフィアさんから待ったの声が掛かる。

 

 「「?」」

 

 「何故助けようとする?私は、この迷宮都市を滅ぼそうとしていたんだぞ」

 

 「僕はこの街に来たばっかりで、実は闇派閥とか知らないし、何が起きてるのか、全く分からない」

 

 飛んだ先がここだった。噂程度に知っていたダンジョンがある迷宮都市オラリオ。ただそれだけだ。

 

 「…」

 

 「だからこそ、自分の目で見たものを信じようと思ってるんだ」

 

 「…私を信じると言うのか?」

 

 「うん」

 

 「そうか。もう好きにしろ」

 

 「了解」

 

 アストレア様に背中を見せる。背中に刻み込むらしい。

 

 「出来たわ。悪いのだけど、口頭で説明するわ」

 

 魔法一つ、スキル二つ。初めてにしては多いらしい。

 

 まずは魔法についてだ。

 

 『術式付与(ギブ・フォーム)

 

 ・魔法を術式にして刻み込める。

 

 ・魔法に制限なし

 

 詠唱は必要ないらしい。魔法に関してもなんら制約が存在しない。

 

 アストレア様もアルフィアさんも、こんな魔法に心当たりないらしい。

 

 次はスキルだ。

 

 『秘密の工房(シークレット・スタジオ)

 

 ・頭の中で作業できる。

 

 ・現実に顕現することは不可能。

 

 ・発展アビリティ『神秘』『鍛冶』の追加

 

 『記憶図書館(メモリー・ライブラリー)

 

 ・記憶力の強化

 

 ・取捨選択を可能

 

 ・捨てたものを思い出すのは不可能。

 

 これまたレアスキル。驚きのあまりアルフィアさんの口が開いていた。アストレア様に至っては、遠い目をしてる。

 

 「…生産職よりだな」

 

 「そうね。それも喜びそうなものね」

 

 世の中の生産職が狂喜乱舞する魔法とスキルだ。

 

 「これならいけるかも…!」

 

 「?」

 

 「『秘密の工房(シークレット・スタジオ)』で魔道具を作るか、もしくは『術式付与(ギブ・フォーム)』で直接アルフィアさんに刻み込む。最後に至っては人体に影響がでないとも限らないから慎重に行くしかないけど」

 

 「そ、そうね。頑張って、ね」

 

 「しっかりするんだ、神アストレア」

 

 一縷の希望が見えた。この少年なら本当に治せるかもしれない。

 

 「あ、そうだ」

 

 「どうかした?」

 

 「アルフィアさん、一緒にお店を出さない?」

 

 「…は?」

 

 突拍子もない発言をしたフェイだった。

 




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