魔道具製作者の受難   作:お給料

4 / 25
第零章 ご紹介!

 

 とある一室。

 オラリオの冒険者を指揮する全権を委ねられた勇者と、その仲間達がそこにいた。

 

 「件の少年は、あの『静寂』のアルフィアを従業員としてご所望か」

 

 「驚きなのは、神アストレアがそれに賛同している点だな」

 

 面会の真の目的は敵の情報を抜き出すことだが、あまり期待していなかった。結論としては、

 

 『フェイ・ハーグは、私という絶望を何も聞かされてない状況で乗り越えたぞ?ならば、お前達に出来ない道理はないだろう』

 

 一種の挑発を伝言として残しただけであった。フェイは「?」を頭に浮かべて、アストレアは正面から受け止めた。

 

 この面会は、アルフィアを勧誘(結果は保留)し、アストレアという後ろ盾を得たフェイの一人勝ちだろう。

 

 机の上に置かれている指輪を、ガレスとリヴェリアは眺める。

 

 「あの坊主は初対面の儂等を上手に使いおった。中々のキレ者じゃ」

 

 「そうだな。相手の力量を見極めたうえでの行動だった。撤退しなかったのは、三人で勝てると踏んだからだろう」

 

 副団長二人から高評価を貰うフェイ。

 

 「彼の奇行ともとれる行動には、何か理由があってのことなのかな?」

 

 「かもしれないな。我々が思いつかないような発想をするあの子のことだ。何もおかしくはない」

 

 「お?リヴェリアお母さんは親バカでもあったんか?」

 

 「誰がお母さんだ!まあ、アイズよりは聞き分けよさそうだが…」

 

 「アイズと同年代のこの少年なら、良き友になるんじゃないか?」

 

 「他のことに興味を示してくれるのなら大歓迎だが…」

 

 「なら会わせてみようか。【アストレア・ファミリア】に聞いてみるよ」

 

 こうして会議は終了した。

 

 フェイとアイズがどんな化学反応を示すかは、誰にも予想出来ない。

 

~~~~~~~~~

 

 場面は変わる。

 

 「紹介するわ。今日からここで住むことになった…」

 

 「ふぇ、フェイ・ハーグです!魔道具を作って店を出すことを目標としてます、よ、よろしくお願いします!」

 

 アストレアに連れて行かれた場所は、彼女の眷属と生活する拠点。

 

 恩恵を授かったことで、【ガネーシャ・ファミリア】の保護下から離れて、【アストレア・ファミリア】の所属になったのだ。

 

 「よろしくね、フェイ!何かあったらこの、完璧美少女のアリーゼお姉ちゃんに任せなさい!」

 

 「あ、はい」

 

 「まさかの塩対応!?」

 

 「この馬鹿は置いておいて。フェイ、と言ったな?」

 

 「そうですが…」

 

 「あたしはライラだ。戦闘用の魔道具もあるんだよな?」

 

 「そうですね。ダンジョンのモンスターにどこまで通用するか分からないですけど、攻撃もあれば牽制の魔道具もあります。基本、使用者の魔力量で威力が変わって来るのでランクアップ?を経験した冒険者なら十全に扱えると思います。それから―」

 

 「なるほどな。なら、小細工を得意とする私にあった魔道具を見繕ってくれないか?個人的には、こんな魔道具があれば嬉しんだが―」

 

 「もちろんありますよ!なんなら、ライラさん用に調整してお渡ししますよ。どこかで試し撃ちが出来たらいんですがね」

 

 「ならダンジョンだな。あそこならいくらでも試せるぜ!」

 

 一瞬で意気投合するフェイとライラ。この二人の相性は抜群だった。

 

 「その前に、フェイ」

 

 「何ですか?」

 

 「今、魔道具を作れるかしら?私達に見せてくれない?」

 

 「もちろんいいですよ。庭を使っても?」

 

 「いいわよ」

 

 許可を貰って庭に出る。

 

 「アリーゼ、何か理由があるんですか?」

 

 提案したアリーゼの意図が分からないリューは怪訝に思う。

 

 「個人的に興味があるからよ!」

 

 聞いた私が馬鹿だった。自分の顔は、きっとそんな表情をしている。

 

 「始めるみたいだぞ」

 

 作業するためにエプロンと手袋、帽子を着用するフェイを見る。ボケッとした顔から一転、真剣な顔つきになる。

 

 そのギャップにドキッとしてしまう女性陣。

 

 ポーチから取り出したシートの上に、材料を並べていく。それだけで何を作るのか誰も予想が出来なかった。

 

 「おいおい、あのポーチにいったいどれだけ入ってるんだよ」

 

 「あれもまた、魔道具なんだろうな」

 

 「『万能者』を越えてるわね」

 

 材料を持ったフェイの手が光る。すると、

 

 「変形していく…?」

 

 どんどん形を変えていく。他のも同様に。

 

 「…出来た」

 

 一本の指輪が、彼の手に収まっていた。

 

 「…それは何かしら?」

 

 「名前は『反射指輪』。あらゆる攻撃を一度だけ相手に返せます」

 

 それを聞いて、口を開いたまま誰も声を出せなくなる。アストレアは頭を抑えている。

 

 「…店に出す時は私達に相談しろ。敵の手に渡ったと思うだけでゾッとする」

 

 輝夜の言葉で、全員、冷や汗が出る。

 

 「わ、分かりました!」

 

 「あの『静寂』を勧誘するだけあるわね…」

 

 「それ、本当なんですか!?」

 

 「…言ってなかったかしら?」

 

 「初めて聞きました!」

 

 歩く非常識のフェイを、出来るだけ監視しておこう、という方針が固まった。

 




 次は、決戦前&最終決戦をします!
 その次から、第一章を始めようと思います!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。