魔道具製作者の受難   作:お給料

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 主人公、知能下がった?性格悪くなっちゃた?

 傘下のファミリアと喋る場合、年上だろうが基本タメ口である。


第壱章 アストレア様は相変わらず…

 

 ここは【星の玩具店】の客室。今日の目的は、『冒険者依頼』の押し付け…依頼だ。

 

 「フェイさん、メンバーが集まりました」

 

 「ありがとうカレン。休んでいいよ」

 

 「失礼します」

 

 そう言ってカレンは部屋の外に出る。

 

 ここにいるのは僕の推薦一人とカレンが選んだ一人。【アストレア・ファミリア】で留守番していた先輩が一人である。

 

 「お久しぶりですフェイ様!貴方様の依頼なら完璧にこなしてみます!」

 

 「うん。期待してるよマルタ」

 

 マルタ・バートリー。僕の熱烈なファンで【イシス・ファミリア】所属の索敵と奇襲が得意な犬人族の女の子。十四歳とまだまだ若いが、Lv.2後半の将来有望株である。彼女との出会いは特殊である。

 

 「他ならぬカレン殿の願い。拙者が手柄を立てましょうぞ!」

 

 「相変わらずだね灯火は」

 

 タチバナ・灯火。【カーマ・ファミリア】所属の遊撃を担当する極東人とエルフの血を引くハーフエルフ。二十五歳のLv.3。見ての通りカレンにゾッコンである。

 

 「どうしよフェイ君。留守にしちゃったことを怒られる…」

 

 「大丈夫ですよセシルさん。皆にはちゃんと伝えますし、アストレア様はこちらに泊まって貰いますから」

 

 セシルさんは【アストレア・ファミリア】が昔、都市外で活動中に出会った仲間だ。僕の方が先に入団したのだが、彼女の方が年上だから先輩として敬っているのだ。前月にLv.4になった。

 

 「恐らく貴族の次男坊は十八階層にいる可能性が高い。まずはボールスさんの所に行ってくれ。居なかった場合は」

 

 「私の出番ですね?」

 

 「マルタが探している時は」

 

 「護衛ですね?」

 

 「お安い御用だよ」

 

 灯火とマルタが同意する。即席にしては案外良いパーティかもしれない。

 

 「リーダーはセシルさんに任せようかな」

 

 「私?」

 

 「はい。一番適正ありそうだし。皆はどうかな?」

 

 「フェイ様の決定は絶対ですから!」

 

 「カレン殿が一番信頼するフェイ殿の采配なら問題ありますまい」

 

 よし、決定!あとは頑張ってね!

 

 「自信ないんだけど…」

 

 「何もないと思うけど一応渡しておきますよ」

 

 「これは…ブレスレット?」

 

 「効果は前方に結界が出ます。合計三枚なので使いどころに気を付けて」

 

 「ありがとフェイ君。お守りにするよ」

 

 使って?

 

 「準備を済ませて出発してくれ」

 

 「「「了解!」」」

 

 それぞれが客室から出て行った。一段落したので、カレンが用意した紅茶を飲む。

 

 「仕事終わりの一杯は美味しいな…」

 

 ※特に仕事していない。

 

 紅茶が甘くて飲みやすいのはカレンが僕のだけ砂糖を入れてくれたのだろう。優秀な従業員を雇って良かった。

 

 「アストレア様を迎えに行くか」

 

 紅茶を飲み終えたので本来の拠点に向かう。カレンにはもちろん事情を説明して外出した。

 

~~~~~~~~~~

 

 「久し振りねフェイ」

 

 「お久し振りですアストレア様」

 

 目の前にいるのは、僕の主神のアストレア様。眷属は皆用事で不在である。

 

 相変わらずお綺麗だ。オラリオ中の幼い子供の初恋泥棒ではなかろうか。

 

 「お迎えに来ました」

 

 「まあ…!」

 

 アストレア様は両手を頬にあてる。

 

 「貴方一柱だけにさせるのは色々と不味いですから。僕の店に行きましょう」

 

 「そうだと思ったわ。行きましょうか貴方のお店に」

 

 「はい」

 

 「私に見られて困る物はちゃんと隠した?」

 

 「な、無いですよ!そんな物!」

 

 クスクスとからかうアストレア様は、昔と変わらない。そんなアストレア様も最高だ!

 

 手を繋いで街を歩く。

 

 親が子と歩くときは手を繋ぐもの、アストレア様の弁である。

 

 「…平和になったわね」

 

 「そうですね。僕が来たときより活気が溢れてます」

 

 本当にそう思う。あの通りなんて、ほとんど建物が倒壊してた。

 

 「認めてないかもしれないけど、間違いなく貴方は英雄よ」

 

 「よしてくださいよ。僕は味方も敵も関係なく引っ掻き回しただけですもん」

 

 「そうだとしても、助けられた命はたしかにあるわ」

 

 「偶然ですよ」

 

 「それだけは本当に頑固になるわね。貴方は」

 

 これだけは認めたくないのだ。大したことはしていないのだから。

 

 僕が主人公の英雄譚(九割美化)が出版されていたと知った時、布団の中でよく悶えていたものだ。あ、今でもだったわ。

 

 「しょうがない子ね」

 

 「あはは…」

 

 そんな話をしながらお喋りをしていると、

 

 「あれは貴方の魔道具?」

 

 「あれ?ああ、『泡玉ホイホイ』か」

 

 『泡玉ホイホイ』とは、シャボン玉を作るお香型の魔道具のことだ。作り出すシャボン玉は一秒で五個。子供向けに売り出した記憶がある。

 

 そんな魔道具の周りをキャキャとはしゃぐ子どもがいる。

 

 「あの子達、とっても良い笑顔ね」

 

 「作った甲斐がありますよ」

 

 「私は貴方が誇らしい。だから胸を張りなさい。英雄でなくとも、貴方はずっと立派なんだから」

 

 「…うっす」

 

 変な返事をしてしまった。手汗大丈夫かな?

 

 「大丈夫よ」

 

 「…心を読める力があるんですか?」 

 

 「どうでしょうね?」

 

 調子が狂うな、ホント。

 

 「あ、そうそう。アリーゼが貴方を気に掛けていたわ」

 

 「アリーゼさんが?」

 

 「ええ。フェイは元気だろうか?とか、寂しくて泣いてないか?とか、一人で夜中にトイレに行けているか?とかね」

 

 「僕は子どもか!」

 

 「あの子達にとってはそうなんでしょう。入団した時は九歳のやんちゃな男の子だもん」

 

 否定できない!

 

 「偶には顔を見せてあげて。喜ぶわ。特にアリーゼが」

 

 「分かりました。あの人たちが帰ったらカレン連れて行きますよ」

 

 「約束よ?」

 

 「はい」

 

 そうこうしている内に、【星の玩具店】

 

 「お帰りなさいませフェイさん。それといらっしゃいませアストレア様」

 

 「こんにちわカレン。今日からお世話になるわ」

 

 「部屋を用意してあるのでそちらをお使いください」

 

 「必要ないわ」

 

 「え?」

 

 僕の腕に抱き着いた。あ…柔らかくていい匂い。

 

 「フェイと一緒に寝るから」

 

 「「はあ!?」」

 

 「昔一緒に寝たじゃない。それとも嫌かしら?」

 

 「ぜひご一緒させてください」

 

 「大ありです!怒られますよアルフィアさんに!」

 

 「…それなら仕方ないわね」

 

 「…そうですね」

 

 「どれだけ怖がってるんですか…」

 

 アルフィアさんというカードは両者ともに有効だ。

 

 仕方なく一人で寝ることにした。

 




嘘みたいだろ?これでもフェイは十六歳なんだぜ?
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