「いい加減にしてくれないか……」
「毎回毎回ごめんなさい……」
「少しでも申し訳ないと思うならもう森に入るのはやめてくれ…私はお前だけの為にここ周辺の守護をやってるわけではないのだ」
「そう…よね……」
「本当に助けを必要としている人の子を助けられなくなってしまう……」
「で、でも……」
「それにここ最近物の怪の動きが活発になってきている…何かあってからでは遅すぎる……」
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第二話 抜け道
妙な人の子が現れてから数十年が経過する。
あれから度々人の子は此処に来ようと試みているのか森に入り込み、妖モノ(最近では物の怪へと変異しているが……)に襲われては私に助けられるという事を続けている。
これまでは…そう、特に困ることもなかった。
少し、本当に少しだ。私自身の仕事が増えるだけ…それだけなのだ困らないだろう?
まぁ本音で言ってしまえば彼女は私にお供えモノを持ってくるから…うん、つまりそういうこと。
だがここ最近はそうもいかなくなってきた。
さっきも言った通り妖モノが物の怪に変異した上に凶暴化してきた…有り得ないが万が一というものがある。
もう人の子の侵入を許容することはできなさそうだ。
「いいか、もう此処には絶対に来るな」
人の子の心が弱く脆いのは知っているし、こういうものの言い方は良くないと思う。
だがこう言わないと本当に危ない。
「でも、あなたに伝えないといけないことがあって……」
人の子が喋る最中、風が新たなる侵入者を告げてくる…二人、どうやら彼女を探しに来た様だ。
そして…腹を空かせた物の怪が忍び寄っている。
「人の子、お前のお迎えが来ている、そしてそのお迎えの命が危ない…つまりどういうことかわかるだろ?」
人の子の手を掴み、枝と枝を飛び石の様にして走る。
こういうとき飛べれば良いのだが、生憎まだまだ成長が足りていないのか私は飛べない。
「いた…と、危ない……」
人の子は抵抗しているようだが物の怪の猛攻に圧されつつある。
放っておく訳にはいかないので樹木に頼んで物の怪を木の根で作られた檻で捕まえてもらった。
「大丈夫か人の子…さぁ、探し人はここにいる、早く立ち去れ」
樹木に捕まえてもらった物の怪は滅し、人の子達は有無を言わせずに森から追い出す…最近少し成長してある程度の事ができるようになった。
例えば物の位置を変えたりね……
「もう人の子が森に深くまで入り込めないようにしておこう……」
最初からこうしておけば良かったのかもしれない…入ってきたら助けるなんてことはしないで入れないようにすれば、森から人里に出た妖モノや物の怪を滅するだけでよかったのだ。
「八百万の神も人が悪いなぁ…こんな抜け道知らないわけないのに教えてくれなかったなんてさ」
八百万の神というのは私をこの人の世へと遣いに出させた八百万を纏める神様の事。
私を創ったと思ったらこんなところに遣いに出させて、後は知らん顔。
「何がしたかったんだろうなぁ……」