「我が息子よ……」
「う…ん……」
「我が息子よ、起きなさい……」
「うぅ……んん?」
「久しいな…息子よ」
「な……親父様!?」
「どうした、自分の創造主である我の顔を忘れたか?」
「いえ…しかし何故親父様がこの様な人の世に?」
「人の世?否々…我は最期の力を使い、お前の精神の中に現れている」
「私の…精神に?」
「そうだ……」
「最期…最期の力!?ど、どういう事ですか!?」
「……我ももう若くない。そこで我はお前に残っている力を全て授けることにした。自己封印状態にあるお前に力を授け、我にもう力はない…我はじきに消滅するだろう」
「な…そんな……」
「お前は我の自慢の息子だ…全てを見守り、助け、そして愛すのだ……」
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第四話 世代交代
目を覚ました私の目の前にいたのは私の創造主である八百万神、親父様だった。
親父様は私に、ここはお前の精神の中だと言い、そして自分に残ったすべての力を私に授けたと言った…そして、じきに消滅すると。
彼は私を自慢の息子だと言い、そして笑った。
私は…父との最期の誓いを守らなければならない。
私は全てを見守り、助け、愛すことを誓い従うだろう。
『村の守り神様…どうかこの村に雨のお恵みを……』
誰かが呼んでいる…気がします。
はて、私を呼ぶ声は一体……?
そう思考が私の頭を駆け巡り、初めて私は目を開け…てはいませんでした。と、いうか開ける事ができませんでした。
まず私は何故か岩の中にいます…これは多分、以前大地が私を何らかの攻撃から守る為に取り込んでくれたからでしょう。
では…まず出ましょう。
私、雨乞いの為に村の守り神の像に捧げられてしまいました。
つまり人身御供って事ですね。
守り神の像、と言っても一見すれば唯の大きな岩の柱…とてもじゃないけど人には見えないし何か特別な所があるようには見えません。
「村の守り神様…どうかこの村に雨のお恵みを……」
私を捧げてもどうにもならないと思うんですけど…でも選ばれたからにはこうしないと。
少し心が折れそうになった私に、とても不思議な出来事が起きました。
なんと目の前の岩柱にヒビが入り、大きな翼を背中から生やした男の人(?)が出てきたのです。
「呼びましたか?…人の子よ……」
「呼びましたか?…人の子よ……」
久しく見る空や太陽の温もり…ここは……?
そして眼前に立っている若い人の子…彼女が私を呼んだのでしょうか?
「は、はい!」
人の子は何処か不思議な感情を持っている…嬉しい?それとも驚いている?どうだろう。
「人の子よ、何故私を呼んだのでしょう?」
雨の恵み…とか、言っていた様な気もしますけど…どういう事なんでしょうか?
「あの!御存じの通りここは川も湖もなくて…唯一の雨もここ最近降らなくて……」
「成程、それで雨を…と……」
川や湖がないのは以前私が暴れたからでしょう。
事情が事情とは言えど申し訳ない。
「はい、それで私は生贄です…あの、どうぞ……」
早速雨を降らせようと雨雲に助力してもらえないか頼もうとしていたら、人の子が何故か近寄ってきた。
「ちょっと待て人の子よ…生贄?何の事だね?」
「私の命と引き換えに雨を降らせていただけませんか?と、いうことです」
「何を言っている、私はお主の命なぞなくとも雨を降らせてやろうぞ?」
「え?」
不思議そうな顔をするな人の子よ、不思議なのは私の方だ。
それはともかく雨雲が集まってきた…助力してくれるらしい。ありがとう。
「そんな事はいいから早く家にお帰りなさい…じきに土砂降りの雨が降る」
「え?あ…雨?」
……仕方ない…のでしょうか?
人の子の位置を彼女自身の家まで移動させて、雨に濡れないようにしておいた。
さて、私はここ一帯のモノ達に挨拶回りをしなければ……