ここからどんどん原作からかけ離れた要素が登場していきます
それでも良い方のみどうぞ!
ドガァン!
「何だよ……これ……!反動がえげつねぇ……!?」
「あいつは、こんなのを……片手で撃ってたのかよ!?」
ドラキュラとの激闘から暫くの月日が流れたある日、ハジメはドラキュラからの餞別として渡された白と黒の二丁拳銃になれるためにひたすら撃ちまくっていた。
最初の頃は
「……だが、だいぶ慣れてきた……とはいえまだ全然だが……クソッ……!何とかしてこいつを物にしなくては……!」
元よりこの二丁の拳銃……対
詰まる所……ドラキュラの握力と魔力に耐えられるように強固にした結果、文字通りドラキュラにしか使いこなせない代物に仕上がっていたのだった。
さらに言えば、この銃にはとある欠点も残されていたのだった。
カシュ カシュ
「……もう弾切れか!」
――この銃の元である『HELLSING』ではいずれの銃も『100万発入りのコスモガン』とされている通り、リロードをすることなくほぼ無限に打ち続けていたのだった。
しかしこの世界のドラキュラがこの銃を制作するに当たってこの仕様を再現するために施した改造とは
「リロードするたびに……俺の魔力を吸いやがって……!」
そう、弾丸を魔力で補うことにしたのだった
仕掛けはこうだ
リロードをする時に銃の持ち手の部分から所有者の魔力を吸い取り、それに応じた量の弾丸を生成する。これがドラキュラが施した改造の正体だった。
しかし、1発1発がほぼ即死級の弾丸であるため当然弾1発にかかる魔力も膨大なものになる。そうなれば魔力が少ない者が弾を込めようとしても精々1発か2発が限界なのだ。
ハジメの場合は、多くて30、少なくても25が限界であった。
それに対してドラキュラの一度の装弾数は……凡そ10万発であった
この事実を知ったハジメは自分たちが対峙した際のドラキュラが一回もリロードを挟まずに何百発の弾丸を撃ってきたということの意味を思い知ることになった
「だが……こいつらは、俺が作ったドンナーたちと見劣りするどころか凌駕している部分もある……!」
そう、ハジメのドンナーは確かに一発の破壊力は凄まじいものだ。ましてやそれを連発できるのならなおさらだ
しかしこの二丁拳銃は、それらの兵器を上回る利便性があった
ドンナーのように大柄なものでは無いため、即座に対応がしやすくかつ、連発可能で破壊力十分ときたもんだ。そしてなにより……
「……無駄にかっけぇんだよな……」
いくら奈落に落ちて変貌したハジメであろうと元がオタクであるため、この白と黒の二丁拳銃に施された装飾と何より『二丁拳銃』というのがハジメの厨二心をくすぐったのだ
「絶対使いこなしてやる……!」
――悪魔城にて
「グゥッ……」
「ふむ……もう足掻くのを辞めたのかね?愚かな魔族であるお前であっても、抵抗することは出来るだろうに」
「ほざけ……!幾ら足掻いたところで……あたしが勝てる道理はないだろうに……!」
ドラキュラの玉座の間に放り投げられた魔族……カトレアは苦悶の表情を浮かべながらドラキュラを睨んでいた
「そこが貴様らが愚かな理由なのだ」
「……は?」
「なぜ諦める?なぜ立ち向かおうとしない?……なぜ疑わない?」
「な、なにを言っているんだ……?」
するとドラキュラはどこか悲壮な表情をしながらカトレアに告げる
「お前たちはいつもそうだ。人間を見下している癖にそのくせ自分たちよりも強大な存在に対してただひれ伏し、腹を見せるばかりの癖に」
「いざ形成が逆転したら、なんだそのザマは。貴様らは人間よりも優れているという自負があると思っているようだが……」
「私からすれば……貴様らが人間に勝っていると思っているのはただの傲慢に過ぎないことだと思うのだがね?」
「貴様ぁああああああ!!!!」
カトレアはこれまでない程に怒り狂っていた。自分だけ罵倒されるならまだしも、一族を、魔族全体をここまでコケにされたのは初めてだった。
怒り狂ったカトレアは自身の衝動の赴くままに拘束を引きちぎり、ドラキュラに襲い掛からんとした。
「
「ガハッ!?」
ドラキュラの喉元まで迫ったカトレアだったが、ドラキュラの右手が彼女の首を掴み、血を吸い始めた。カトレアの顔から生気が失われていった。
「……それと一つ付け加えるとしよう。私もその
「ち……く……しょう……」
やがて全ての血を吸い尽くしたドラキュラは、カトレアの死体を自らの体の一部を赤黒く醜い獣に変化させた後、その死体が床に着く前に残らず喰らった
「……私のように、他者に依存した弱い存在の癖に、強大な力を持った歪な存在はな……
ドラキュラの嘆きにも聞こえる呟きが玉座の間にぽつりと響いた
「……父上」
――アンカジ公国にて
ハジメたちは【グリューエン火山】に行くための支度を整えていた。
そしてとある事情で魔力を大幅に消費したユエがハジメの血を吸っていた時、それは訪れた
「……同胞の気配がすると思えば……君たちか」
「……ッ!!その声は……アルカード!?」
「!?」「お主が……!?」「あなたが……?!」
前に見た時と変わらぬ姿をしたアルカードがハジメたちの後方から歩いてきた。ユエはアルカードに警戒しながらも血を吸っていた。
周囲にいたシアやティオ、そして香織はハジメからアルカードについて教えられていたため、警戒心を露にした。
「……!何しに来やがった!!」
「言っただろう。同胞の気配がしたと」
「ユエの気配を感知したのか……!」
すると、ティオが普段ハジメたちにも見せないような憤怒に染まった表情でアルカードに問い詰めた
「貴様がアルカード……!ドラキュラの息子……!!」
「……匂いからして竜人族か……して、何用だ?」
「忘れてはおらぬぞ……!貴様の父が儂の同族を、殺したことを……!!」
「「「「!!」」」
ティオの口からもたらされたのは、ドラキュラが過去の戦争にて竜人族を相手取り……数多くの命を喰らったことだった。
しかし、アルカードは眉1つ動かすことなく
「それを私に言われても困る」
「……確かにそうじゃが!!」
アルカードは無慈悲に告げる
「私に告げた所でどうなる?失われた命は戻らない、過ぎ去った時間は二度と戻ってこない」
「貴様!!!!」
「やめろ!ティオ!!落ち着け!!」
魔力を漲らせ、アルカードを殺そうとしたティオだったがハジメたちの声を聞いて落ち着きを取り戻した
「……すまぬご主人様……」
「こちらも済まなかった。流石にあの言葉は失礼過ぎたな……申し訳ないことをした」
「お前……!」
アルカードは己の失言を詫び、漸く周囲から緊張がほどけた。
そしてハジメはアルカードになぜこの国に来たのだと質問した。
「私は【グリューエン火山】を攻略しに来た」
「「「!!」」」
「お前も……神代魔法の習得に……?」
「そうだ。訳あって神代魔法を習得しに来たのだ」
「……その訳ってのを教えてもらおうか……?」
「ハジメくん!?」「ハジメ!?」
普段の彼ならそこまで踏み込むことは無かったであろうが、今回は状況が特殊すぎた。なにせあの『ドラキュラ』の息子のアルカードが自分たちと同じ神代魔法を習得しようと【グリューエン火山】に行くと言ったのだ。
そんな彼の理由を知りたくてハジメは一歩踏み込んだ。すると……
「……いいだろう。教えるとしよう」
「……マジかよ」
「父上が認めた人間……いずれ話すときが来るとは思ってたがな」
「それは……一体……?」
ユエが若干震えながらアルカードの話の続きを促した
「私の目的は……わが父、ドラキュラを殺しきれる人間を探すことだ」
「「「「え、えええええええええええええ!?」」」」
アルカードからもたらされたあまりにも予想外な内容に一行はただただ驚かされるばかりであった。
「な、な、なぜ……あなたが自分の父であるドラキュラを殺すことになったの?!」
ユエが震えながらアルカードに聞いた。それに対し、アルカードは目を閉じてゆっくりと告げた
「……わが父は、嘗て言った。自分を殺しうる存在を求めると」
「それに対して私は、なぜ自らを殺しうる凶刃を探し求めるのかと」
「……わが父は、おっしゃった」
『私のように、他者に依存した弱い存在の癖に、強大な力を持った歪な存在はな……
ハジメたちは開いた口がふさがらない思いだった。伝承にも残されていたドラキュラの真実に唖然としていたのだった。
更にとアルカードは続けた
「わが父が神代魔法を習得したのは……自らを殺しうる存在であった嘗ての『解放者』たちのあり様を直接見に行くことであるにすぎない」
「えっと……それって、あなたのお父さんのドラキュラは……自分を殺せる存在を確かめる
「そうだ」
「……なんだよ、それ……」
アルカードからもたらされた衝撃の真実にハジメはガクッと崩れ落ちた。自分たちがあれだけ苦労した神代魔法の習得があくまで『解放者』たちの様子見のついでであった事実にため息をつきそうになった
(……まぁ、確かに、『生成魔法』を習得できる筈の【オルクス大迷宮】で、結局習得せずに帰って行ってたな……そういや……)
ハジメは最初にドラキュラを会敵したあの場面を思い出していた。確かにドラキュラの実力なら【オルクス大迷宮】を踏破することは容易だろう。だが、肝心の『生成魔法』を習得せずに帰還したことが神代魔法に対する執着の無さを表していたのだった。
「……はぁ、でだ話をまとめると……アルカードは、父を殺したい、殺せるものに協力したいと……」
「そうだ」
「……成程……ねぇ……」
ハジメは考えていた
(正直……アルカードは今の俺よりも数倍は強い……協力してくれるとなると、その恩恵は尋常ではない)
(ましてや……あのドラキュラ討伐に協力をしたいと……最終的には俺もドラキュラと衝突することになる……)
(……アルカードの存在は大きい)
「……アルカード」
「なんだ」
「仮に……お前と協力関係を結ぶとしよう」
「ハジメ……?」
ユエが心配そうにハジメに声を掛ける
「お前は……俺たちに何をもたらしてくれるんだ?」
「そうだな……端的に言えば『力』だ」
「『力』ねえ……」
「具体的に言うとしよう……私は父上の
「「「「!!」」」」
これは正にドラキュラの息子であるアルカードしか知り得ない情報であった。アルカードがもたらすのは情報というアドバンテージだった。ドラキュラについての知識が殆ど記されておらず、あったとしてもその真偽が疑わしい物であった。だが、ここにドラキュラの全てを間近で見ていた生き証人がいるのだ。
これにはハジメの心が揺らいだ
「……成程」
「は、ハジメくん?」「パパ……?」「ハジメ……?」「ご主人様?」「ハジメさん……?」
ハジメは悩みに悩んだ末、決意した。
「皆、聞いてくれ。アルカードを……俺たちに同行させる」
「「「「!!」」」」
「反対意見はある。だけど、それ以上に俺たちはいずれドラキュラと戦うことになる……」
「だからこそ、ここでアルカードという存在を仲間に引き入れることが出来るのは大きい……」
「皆……頼む」
ハジメが珍しく頭を下げる。それに対して他のメンバーは
「頭を上げて、ハジメ」
「私達は皆、ハジメに従ってついて来た。その中で私達はハジメから返しきれない程の恩を貰った」
「ユエ……」
「……それに、あのドラキュラを倒せるのなら……私は良いと思う」
「私も……そうですね……」「妾も賛成じゃ!あの吸血鬼に報いることが出来るなら良いぞ!」
「私も……良いよ?ハジメくん」「ミュウもパパが良いならいいよ~!」
「皆、ありがとう……」
「では、これから宜しく頼む」
こうしてハジメのパーティーに異例の存在が加わったのだった。
(わが父よ……どうかお許しを……)
その手には懐中時計が握られていた
――悪魔城にて
ドラキュラの手にもアルカードと同じような懐中時計が握られていた。ただ一つ、壊れているという点を除いては……
「待っているぞ……我が息子よ……」
「お前が私を解放しようとしていたことは知っていた……全く、親孝行な子じゃないか?『死神』よ」
「はっ……坊ちゃまは、まこと立派にご成長為された……!」
「では……待つとしよう……彼らが私に届くその時まで……」
ドラキュラは、己の内に蠢く無数の殺意と憎悪、悪意の衝動を抑えながら今宵も血を啜った
(やはり……『ドラキュラ』は『人間』に倒されるのが常のようだな……)
……悪魔城を照らす月は、相も変わらず深紅に染まっていたが、その月には雲がかかっていた
≪裏話≫
現在のドラキュラは、嘗て自分を襲った吸血鬼たちの呪いによって『戦うこと、奪うこと、血を啜ること』を半ば強制的にさせられている状態です。
いうなれば、アーカードと違って内に秘められた怨嗟によって思考や行動が変化させられており、本人的にもだいぶ精神的に参っている状態なのです
そこで自分を倒せる存在が来てくれることを願っていました。だからこそアルカードは、そんな父の願いを叶えるべく、自らの鍛錬に励み、そして父が気に入った人間である『南雲 ハジメ』に接触したのです。
だけどアルカードは幾ら父の願いとはいえ、父を裏切ることに途轍もない罪悪感を得てしまいました。
しかしそんなアルカードの事を思い、自分との契約を解除し、一人の『アルカード』として送り出しのも、ドラキュラ本人でした。