FE蒼炎の軌跡 最強クリミア軍育成録   作:天星

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第十一章 流れる血の色は

 ついに蒼炎の軌跡における最高クラスの名所が見れるプレイ動画は~じま~るよ~

 

 ではいつものように物語の流れの解説から。

 前回は寄り道しましたが、エリンシア姫の目的地はベグニオン帝国です。

 船で向かう為にクリミアの港町までやってきました。

 ここの連中、敗戦国だというのに随分と呑気そうです。大丈夫なんですかね。

 

 ライに船の手配を任せて他の皆はのんびりと休憩中です。

 しかし、何かデイン軍の連中がやってきて町を封鎖するとか言い出しました。まったく何様のつもりでしょうね。

 彼らによれば、何か最近近くの捕虜収容所が襲撃されたらしいです。で、逃げた連中がこの辺にいるんじゃないかとか何とか。

 日本社会に例えるなら刑務所がぶっ壊れて脱走者が続出したとかそんな感じでしょうか。まったく、とんでもない事をする奴が居たものですね。

 

 ちなみに、前の章でアイク君が捕虜も敵も全スルーしてクリアしても会話の内容は変わりません。どっかのサギ野郎ことセフェランが自力で脱獄するせいで騒ぎになるんでしょうね。

 本章では敵将とアイク君が戦闘する時には『収容所を襲撃したのは貴様か?』と問われます。それに対して我らがアイク君は『だったら?』というようにどっちとも取れる返しをします。任天堂は全スルー突破攻略を見抜いていた……?

 

 ……はい、ストーリーの解説に戻ります。

 町が封鎖されそうだけど船の手配がギリギリ間に合います。

 早速船に向かおうとしますが、一般市民の悪質なタックルによりライの正体がバレてしまいます。

 え? 正体とは何かって? そりゃ勿論、彼がホモだという事……ではなく、彼がラグズだという事です。

 前にも話したけどベオクの国であるクリミアは反ラグズ感情がかなり強いですからね。そんな場所で正体がバレてしまい、ライは袋叩きに遭ってしまいます。

 彼が本気を出せば一瞬で血の海にできるのでしょうけど……一応クリミアはガリアの同盟国ですからね。相手が愛国心の欠片もないような一般市民であっても反撃したりはしないようです。

 

 そんな状況を見て思わず飛び出すのが我らがアイク君です。人を率いる立場としては失格でしょうけど、人間的には好感が持てますね。

 助け出されたライは割と平気そうです。まぁ、一般市民の武器無しの攻撃なんてうちのミストちゃんすらノーダメージで弾けますし。元々ダメージなんて無かったんでしょうね。

 

 そんなこんなで騒ぎになってしまい、デイン軍を突破しながら船を目指す事になります。

 

 

 ではシステム的な解説を。

 本マップの勝利条件は『到達』です。誰でもできる制圧だと思えば大丈夫でしょう。勿論アイク君でもできます。

 

 本マップでは宝箱はありませんが民家が点在しています。そしてそれを狙う盗賊たちも。

 特に、3つある民家のうち真ん中の民家はかなり余裕が無いのでマーシャさんに守ってもらいましょう。民家に訪問せずに入口に陣取っていれば盗賊たちは他の民家に向かう事も無く待機し続けます。

 あと、本章の民家はかなり特別な仕様が存在しています。具体的にはラグズユニットによる訪問は門前払いされます。

 シナリオに則した対応ですね。こんな手の込んだ事をしている章は他にはありません。

 

 他に気を付けるべき要素は……まだまだありますが、順番に整理しておきましょう。

 まず、仲間になるにも関わらず殺る気満々で襲ってくる某剣士です。

 キルソードを持ったロン毛の剣士、いわゆる『ナバール枠』のユニットであるツイハークです。

 この剣士、ちょっと鍛え過ぎたミストちゃんが普通に返り討ちにできる程度の実力なのでうっかり殺してしまわないように注意しましょう。

 まぁ、本プレイではミストちゃんはまだ下級職なので返り討ちにはできませんけどね。あくまでも『鍛え過ぎた』場合です。

 仲間になる条件も若干特殊であり、『どうせ主人公で声かければ良いんだろ?』とか思ってたらうっかり殺してしまいます。

 今回必要なのはアイク君ではなくレテさんかモウディさん。要するにラグズユニットです。

 彼女らで話しかける、あるいは話しかけられる事で仲間になってくれます。

 出撃選択の画面で『会話の有無の一覧』の存在に気付いていれば一瞬で分かる条件ですが、知らないと意外と苦労するかもしれません。

 

 ツイハークさんを仲間にする際にも注意が必要な要素があるのですが……次の注意要素に関わってくるのでそっちを先に説明します。

 次の要素、それはこの町の自警団の存在です。

 ストーリー解説でライが黙って袋叩きにされていたように、クリミア国民を傷付ける行為は避けたい行為です。自警団には手出しするなと戦闘開始前にライからも言われます。

 なお、アイク君は一旦肯定したものの、相手から殴りかかってきた場合には容赦なく反撃するとか何とか。

 システム的な解説に戻すと、彼らを生かしてクリアするとボーナス経験値が貰えます。そんなもの正直不要ですが、一応気を付けてあげましょう。

 なお、自警団の戦闘力はゴミです。レベル1の素人集団なので囲まれても痛くも痒くもありません。適当な囮を用意してやれば手間さえかければ全員生存させる事は余裕です。

 なお、本プレイでは3名ほど抹殺しました。邪魔だったので。

 

 ツイハークさんを仲間にする上で、この自警団の存在が少々面倒です。

 ツイハークさんの攻撃範囲にラグズを待機させると向こうから話しかけてきて仲間になってくれますが、移動前のツイハークさんの1マス隣に移動力が全く同じ自警団メンバーが居ます。よって、仲間になった直後のツイハークさんが自警団の攻撃範囲に入ってしまいます。そして反撃で殺してしまいます。

 別に自警団の命などどうでもいいのですが、キルソードという貴重品の耐久力が削られるのはいただけません。ラグズ以外のユニットでツイハークさんをつり出し、自分のターンで自分から話しかけるというムーブが最適解でしょう。

 つり出し役のユニットはなるべく回避率が高いユニットを選びましょう。キルソードが勿体ないので。

 

 あともう1つ、非常に重要な気を付けるべき要素があるのですが……その解説はその時にします。

 

 

 では、メンバーを選定していきましょう。

 前章ではフォルカ殿を含めて4名もの新人が加入しました。

 

 最強の村娘ことネフェニー姉貴。

 漆黒の農夫ことチャップさん。

 クリミア王国王宮騎士5番小隊隊長ケビンさん。

 

 当然ながらうちの傭兵団の平均レベルと比べてクソ弱いので本章で鍛えます。

 なお、フォルカ殿もそこそこ重要な役割があるので入れます。

 他の人員としては……そうですね、民家を守るためのマーシャさん。

 とある超重要な役割を果たすワユさん。

 杖使いであるミストちゃん、キルロイさんを両方とも。

 上手く行けば杖使いになれるセネリオくんとイレースさんも入れておきましょうか。

 それ以外は適当に弱そうな方から……ああ、ツイハークさんの説得役のラグズも必要ですね。片方で十分です。

 あと……杖は大量に用意しておきましょう。ライブの杖で十分ですが、本テストプレイの時は数量計算をミスって普通に足りなくなりました。最低でも1ダース、余裕が有り余っていれば2ダースほど買っておきましょう。今使わなくてもどうせ後で使うし。

 

 

 では攻略開始です。

 まずは近場の敵を葬って安全確保しましょう。余裕があれば新人に止めを刺させるように。

 新人にはどんどん経験値を稼がせてあげたいですが、あんまり稼がせすぎると乱数調整が間に合わなくなるので上手い事調整しましょう。

 あと、突っ込み過ぎると普通に死にます。最低限の安全確保ができたら壁役のユニットを出してじわじわと進んでいくのが良いでしょう。

 壁役は……まぁ、死ななければ誰でもいいですが、アイク君とミストちゃんのペアなんかオススメです。

 アイク君はレベルカンストしてて経験値入らないですし、ミストちゃんも仕事が殆ど無いです。よって2人とも自由に動かせます。

 うちのミストちゃん、どういう訳か鎧でガチガチに身を固めているチャップさんより明らかに硬いですからね……見た目はただの村娘だというのに。神騎将ガヴェインの血は侮れませんね。

 幼女の影に隠れながら弱った敵を掃除していく新人の姿を想像するとシュールです。

 

 道中でできれば気を付けたいのは敵の僧侶の存在です。

 どういう訳か俺のリブローを持っているのでフォルカ殿の力で盗……返してもらいましょう。

 え? それはデイン軍の持ち物じゃないかって? ハハハ、ナンノコトカナー

 本作、蒼炎の軌跡では敵が装備している物は盗めませんが、杖は装備品扱いではないので他の条件さえ満たしていれば普通に盗めます。ジャンジャン盗む……じゃなかった。俺のリブローを取り返しましょう。

 ただ、リブロー収集は本プレイの絶対目標ではないのでできればで大丈夫です。コレクター魂を満たしたい方は注意ですね。

 

 

 ほいっと、大体一掃しました。残るは到達地点付近の敵と東の方の自警団、そして途中で湧いて出てきた竜騎士だけです。

 3体ほど湧いて出てくる竜騎士のうち、固有名が付いている1名は殺してしまうとマズいですがそれ以外はつり出して仕留めてしまって問題ありません。

 自由に動いて襲ってくるわけでもないので殺害回避は特別気を付けなくても達成できるでしょう。

 

 

 さて、敵将に挑みに行く前の準備を始めましょう。

 今回の敵将は敵軍が防衛をしているマップにしては珍しく動き回るタイプの敵将です。なお、到達地点はモブの重歩兵が守っています。

 この敵将の所持品はラグズ特攻を持つラグズソード、サブウェポンの鉄の弓、そしてドロップ品のマスタープルフです。

 ラグズソードは性能はゴミですが十分レアアイテムなので盗んでしまいましょう。弓攻撃しか届かない位置で待っていれば勝手に弓に持ち替えてくれるので盗むのは簡単です。

 盗んだ後に包囲して一切動けなくする準備も進めておきましょう。

 

 それと並行してマップ中央右寄りの意味深な民家付近への布陣も完成させておきます。

 実はこの民家、前回話した『とんでもなく強い敵』が何の前触れもなく現れる場所です。

 でもまぁ塞いでしまえば関係ありません。所定の位置に布陣して……オッケーです。

 ちなみに、例の敵の出現条件は敵将と交戦した後、敵ターンが始まった時だそうです。正確には微妙に異なるかもしれませんが大体そんな感じです。

 準備が終わるまで待っててくれるなんて優しいですね。

 

 

 ではいざ吶喊! 敵将の弓攻撃はミストちゃんシールドで受ける! フハハハハ、効かぬわ!

 こちらのターン! フォルカ殿で敵の剣を盗む! そして適当に包囲! これでターン終了!!

 

 

 

 

 

 …………さて、聡明なる視聴者の方で、なおかつ一定以上の知識がある方はこう思っていたでしょう。

 例の強い敵が出てくる場所……通称、『しっこくハウス』の入口を塞いでも意味等無い、と。

 

 『塞ぐなんてそんな小細工通用する訳がねーだろwww』

 『その戦法で何人のケビンさんとツイハークが死んだと思ってんだwww』

 『身の程を(ry』

 

 そう、例の強い敵……もうボカしてもしょうがないので正確に言うと、漆黒の騎士は民家入り口の障害物などお構いなしに現れます。

 流石に今いるユニットを弾き飛ばすような事はありませんが、すぐ隣にのしのしと歩いてきます。

 どうやら出現座標から直線距離で最も近い場所に歩いて出てくるようにプログラミングされてるっぽいですね。

 彼の出現をどうしても止めたければ……現れる前にクリアするくらいですかね。頑張ればできそうな気はしますが本プレイでは論外です。

 

 ではどうすれば良いか、簡単です。

 最初から言っているように、道を塞げば良いだけです!

 え? 何の解決にもなっていない? いやいや、ヤツが現れた後に通るであろう『道』を塞ぐんです。

 漆黒の騎士は非常に強いですが所詮はデータに記述された強さでしかありません。こちらが十分強ければ攻撃を受けても生き残る事は可能です。

 1発受けて耐えられるのであれば、毎ターン後ろからライブをかけ続ければライブがある限りは塞ぎ続ける事が可能というわけです。

 その為に鍛えたのがワユさん(速さ24)です! 漆黒の騎士の速さは27なのでここまで鍛えれば追撃は受けません。彼女であれば耐えられます!

 そして極めて都合がいい事に、民家付近の道は1マス分の幅しか無いので1人だけ強い人が居れば塞げます。やはり任天堂はこのプレイを想定して……

 

 

 

 では、進めていきましょう。残りのザコを掃除して、敵将を到達地点まで運んで、ボスチク開始です!

 騎士様の方も毎ターン確認してライブをかけ忘れないように注意しましょう。油断すると死にます。

 ワユさんが毎ターン半殺しにされては急回復するというループに追いやられてますが……まぁ、彼女ならきっと強く生きてくれるでしょう。

 しっこくハウスへ通じる道は鮮血で塗りつぶされているでしょうけど……この世界はファンタジーですからね! 死ななきゃ安いです!

 あ、そうそう。攻撃を受け続けるだけのワユさんも毎回1経験値が入ります。99まで溜まったら乱数調整した上でこちらから殴りかかっていきましょう。これも手順を間違えると死ぬので回復役や救出役の配置を上手く練りましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 はい、また400ターン近く経過しました。

 総合被ダメージのコンテストをやったら本プレイのワユさんは2位か3位になるでしょうね。

 合算したら多分300回くらい死んでる量のダメージを受けていると思います。

 回復役のミストちゃんも無事にクラスチェンジ、キルロイさんも上級職のレベル10まで上がりました。

 本プレイではちょっとしたネタプレイに走りたいのでミストちゃんはレベル1で止めておきます。詳しくは7章くらい後に。

 キルロイさんはカンストまで持っていきたかったのですが……先述したようにライブの杖の本数をちょっと間違えてしまったので無理でした。杖が無いとワユさんが死んでしまうのでここで切り上げ。

 常に死の危険があるのでぶっちゃけボスチクとしての効率はあんまり良くなかった気がします。回復役の集中強化にはかなり役立ちましたけどね。

 

 さて最後に……アイク君で騎士様に挑みましょうかね。

 本章では2人の戦闘による特殊会話があります。生で見るのは初めてなので試してみましょう。

 騎士様の攻撃力は48、それに加えて約30%の確率でこちらの守備を半減させてくる『月光』を使用してきます。

 ここまでフル成長させてきたアイク君の能力値はHP38、守備20です。月光1発で丁度昇天するので気を付けましょう。

 ここで失敗すると数百ターンのボスチクが無に帰します。本当に気を付けましょう。

 1回以上攻撃を回避してなおかつ月光が出ない乱数を探して……いけ!

 

 はい、無事に生還しました。それではクリアしましょう。

 なお、戦闘会話を見ておくとアイク君がミストちゃんに『無謀な事をしないでよ!』って感じで怒られます。

 ミストちゃんも挑んでいたとしても怒られます。理不尽だ。

 

 では、また次回!

 

 

 

 

 

 

 

  ……敵将・マッコヤー視点……

 

 我々の任務はクリミア王国の支配を強める事だ。尤も、王都メリオルはとっくに陥落しているので本当にただの残党狩りだ。

 この国は国土の西に行くにつれて、我がデイン王国との国境から遠ざかるに連れて住民の抵抗はどんどん減っていく。非常に退屈な任務となった。

 

 そんな折、近くの捕虜収容所が襲撃を受けたとの報が入った。

 その手際、収容所の全ての兵を虐殺し、捕虜を全て脱出させた様は明らかに統制の取れた集団による動きだった。

 ただ、武器はあまり良い物を使っていないようだった。獄長のダノミルの遺体には有り得ないくらいに無数の傷があった。これは鉄製の安価な武器で何度も傷を付けたせいだろう。高価な武器であれば傷は少ないはずだ。

 なかなかやるようではあったが安価な武器しか用意できないようであれば所詮は三流、我が部隊の敵ではないだろう。

 

 近隣の住民を締め上げて吐かせた目撃情報を頼りにこの町、港町トハまで我々はやってきた。

 私の予想は見事に的中し、怪しげな集団を包囲する事に成功した。

 

 ……ここまでは良かった。私の指揮になんら落ち度は無かったはずだ。

 

 背後関係を探りたいのはやまやまだが、それで無理に生け捕りを目指して我らの部隊の人員が手傷を負うのは避けたい。

 だから、『ひとまず全員殺せ。可能なら最後の2~3人を生け捕りにしろ』と命じた。

 にも関わらず、我が部隊は蹴散らされ、ついに私の視界にまで敵軍が姿を表した。

 

 仕方あるまい。私自ら手を下すとしよう。

 慎重に、反撃を受けないように弓で射掛ける。しかしアッサリと躱されてしまった。

 私はすかさず第二射を構えた。しかし、私を取り囲むかのように敵軍がなだれ込んできた。

 弓相手に接近戦を挑む。なるほど、敵将は弓の弱点をよく理解しているようだ。

 しかし私には剣もある。接近戦を挑まれた時にはこれで反撃を……あれ? 無い!!

 

「よくやったフォルカ。その剣は倉庫にしまっといて」

「承知した」

 

 なにやら怪しげな男が私の愛剣を手にしている! 幾多の半獣の血を吸ってきた我が家の家宝が!!

 盗まれたのか!? いつの間に!?

 

「よしモウディやれ!」

「わかッタ!」

「き、貴様ら何を、ぐおっ!」

 

 落ち着く暇もなく半獣が襲い掛かって……体当たりしてきた。ダメージはほぼ無い。

 何が起きてるか把握する前にあれよあれよと停泊中の船の前まで押し出された。

 ここなら一息吐けそうだが……一体何が目的なのだ?

 

 

 

 

 あれからいくばくかの時間が経過した。

 敵兵どもは槍やナイフで小突いたりしてくるばかりで私を殺そうという気概が感じられない。

 応戦したいが弓しか無いので反撃できない。

 何か……何かできる事は無いのか!?

 

 ふと遠くを見ると黄色い服を来た村娘がトコトコ歩いてきた。

 巻き込まれた一般市民かと思ったが良く見るとライブの杖を持って敵兵を治療しているようだ。

 あのような幼子まで戦場に出すとは……敵の指揮官は悪逆非道な外道に違いあるまい。

 見逃してやりたい所だが、これでも私は数多のデイン兵の命を預かる将軍だ。敵性行為を取る者に容赦をしてはならない。

 あの距離であれば弓の有効射程だ。恨むのであれば貴様の指揮官を恨んでくれ。

 

 私は手慣れた動作で弓をつがえる。そして放とうとしたその瞬間……

 

ゾクッ

 

「っっ!?!?」

 

 強烈な寒気がして手がブレた。放たれた矢は杖使いの少女の頬を掠めただけに終わった。

 何が起こったのか、すぐに分かった。矢を放つその瞬間、その少女は確かにこちらに視線を向けたのだ。

 まるで歴戦の戦士が殺気を感じ取ったかのように。

 

「ま、まだ。もう1度……」

 

 少女の鋭い眼光と正面から向き合い、矢を放つ。

 すると少女は軽く首を傾げるだけで私の矢を避けてみせた。

 どうやら私はあの少女の事を侮っていたようだ。彼女は無力な村人などではない。戦場を駆けるに値する実力者だ。

 

 ならば……これならどうだ!

 私は同じように弓を放つ。そして同じように躱される。

 しかし私はその動きすらも読んで第二射を放った。

 この軌道であれば間違いなく当たる!

 

キィィン

 

「なっ!?」

 

 私が目撃したのは、俄かには信じがたい光景だった。

 彼女は手にしたその杖を振り抜き、そして矢を撃ち落としたのだ。

 

 ああ……私はまだ侮っていたのだ。

 かの少女は我々などとは別格の……そう、それこそ……

 そうやって思考を巡らせている私の前に、彼女はツカツカと歩み寄って来てこう告げた。

 

「貴公如きに(わたくし)の相手が務まると思いましたか? 身の程を弁えなさい」

 

 私は、確信した。

 彼女はかの漆黒の御仁に引けを取らぬ存在だったのだのだと。

 

 

 

 

 

「ムゥ、ボーレ、少しイいか?」

「おう、どうしたモウディ」

「ミストハ……いったイどうしタノだ?」

「あ~……何か強くなる為にとりあえず強そうな人の真似をしてみてるらしい。

 こっから東の方の民家からやたら強そうな人が出てきたらしくてさ。あのアイクもビビってるとか」

「それハ……相当だナ。

 しカし、口調をマねただケでつヨくなれるのカ?」

「…………さぁ……?」

 

 

 

 

 

 

  ……騎士様視点……

 

 マッコヤー将軍に手出しは無用と言われたので民家の中で大人しくしていた訳だが……どういう訳か戦闘が終わる気配がしない。

 将軍の部隊が予想以上に貧弱だったか、あるいは敵が想像以上であったか。

 どちらであっても問題は無い。少し外に出てみるとしよう。

 

 周辺の様子を確認すると敵軍らしき姿が見えた。

 そしてその向こう側に青髪の青年……ガヴェインの息子の姿も。

 なるほど。グレイル傭兵団だったのか。将軍の部隊では少々荷が重かろう。

 

「……この場で見逃す理由は無いな。今の私はデインの将だ。

 ひとまずはマッコヤー将軍との合流を優先するとしよう。邪魔する者は、悉く切り捨てる」

 

 動き出した私の前に1人の女性剣士が立ち塞がった。

 愚かな。彼我の実力差を見切る事が出来たなら死ぬ事も無かっただろうに。

 

「どけ。貴様如きに私は止められん」

「いーや止めさせてもらうね! 大将から頼まれたんだから!!」

「指揮者の為に命を賭ける、か。ガヴェインの息子は将としても優秀なようだな」

「ガヴェイン? 誰の事?」

「問答は無用だ。せめて1撃で終わらせてやろう。ぬぅん!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 おかしい。何故倒れない!?

 

「はぁ、はぁ……まだ、通さないよ!! キルロイさんお願い!」

「う、うん……あの、本当に大丈夫?」

「大丈夫だよ! 大将からここを任されたんだ。絶対に大丈夫!!」

 

 私が神剣エタルドを一閃する度に後ろで僧侶が杖を振る。

 ならばと僧侶に狙いを変るが、それを察した剣士がすぐさま体当たりで僧侶を後方に逃がす。

 確かに杖で回復を続ければ傷を受けても立ち上がる事は可能だろう。

 

 しかしそれでも痛みを感じなくなる訳では無い。目の前の剣士は合算すれば優に数十、数百回は死んでいるであろう傷を受けている。

 身体は無事でも精神が持たない。持つはずが無い。

 

「何故だ。何故そこまで……」

「はぁ、はぁ……私が倒れたら、後ろに居る人が殺される。

 何度も受けたから分かる! あなたの攻撃に耐えらえる人はうちの傭兵団に半分も居ない!

 だから……倒れる訳にはいかないんだから!!」

 

 誰かを守る為、か。

 なるほど。デインの将という偽りの立場でこの戦いに望む私では破れないのは道理という訳か。

 だが、たとえ破れずとも退く理由にはなるまい。

 彼女の意思が砕け散るまで何度でもこの神剣を振るおう。

 

 

 

 

「っ! アイクからの退却指示が来たよ!」

「はぁ、はぁ……分かった。キルロイさんは先に……」

「いやいや、そんなフラフラなのに置いていける訳が無いでしょう! 一緒に逃げるよ!」

「あ、ありがと……キルロイさん……流石は私の運命の人……」

「宿命のライバルって言ってなかったっけ!?」

 

 

 マッコヤー将軍はやはり破られたか。今の私では傭兵団を追撃した所で撃破する事は不可能だろう。

 さて、どうしたものかな。

 

 そう言えばあの剣士、一体何者なのだ?

 守ろうとする意思は勿論だがその技量も群を抜いているものだった。

 あの若さであの技量、順当に伸びればあの神騎将ガヴェインに並ぶやも……

 ……そう言えば、ガヴェインには息子の他に娘が居たな。なるほど。

 

「フッ、そういう事か。

 また会おう、ガヴェインの娘よ」

 

 

 

 

 ……この時の勘違いに騎士様が気付くのは、ずっと後の話である。








 本作の構想段階では騎士様の渾身の奥義『月光』を受けて平然としているミストがメスガキ風に「ざぁこざぁこ♡」と煽るという案がありました。
 あまりにキャラが乖離しすぎていて書きにくい事、鍛え過ぎたミストのステータスはこの時期にしては強いけど前衛キャラとして他のユニットと比較すると貧弱の一言に尽きるので後半だとモブ兵士の軍団に普通に分からせられる事。
 そんな感じの理由から没になりました。

 なお、下級職のミストが敵将の攻撃をノーダメージで弾くのは実話です。
 流石に杖で打ち返すようなモーションは存在しませんが、微動だにせず『キンッ』という音を響かせる様は衝撃でした。
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