ゴジラ対エヴァンゲリオン(仮) リメイク版・改 作:蜜柑ブタ
待ってた方おられるのかな?
今回は、初号機から運び出されて地球防衛軍に保護されたシンジの治療と、シンジを通じて初号機の意思(notユイ)と尾崎が対話したり、ツムグが今後起こることを知っていて行動する話。
一部残酷表現があります、苦手な方は注意。
使徒襲来とゴジラの復活から2週間ぐらい経った頃。
ツムグが生活している特注の部屋に来訪があった。
地球防衛軍のエンブレムが刺繍された上着を纏う主に組織内の伝令などを担当する部署の職員だった。
「事前に…時間を取ってくれと連絡はしたが…、今のこれはどういう状況だ?」
「これ? いや~~~、ちょっとロボ●ミーを試されちゃって。」
「…誰にやられたのかは、だいたい予想できるが…、一応聞く。誰にやられた?」
「ナッちゃん。」
ツムグに何かする人間筆頭、ツムグ専属看護師ナツエさん。
ツムグに好意を示す手段として最悪のアカデミー賞を受賞した医療技術をするのは彼女しかいない。看護師として有能なのだが色恋沙汰に関してマトモな精神をしていない彼女のことは短期間で有名になっていた。
「………目頭に器具を刺しっぱなしである理由は?」
「俺が今日の予定忘れてて急いできたから。」
「せめて抜いてから来いって!!」
もう見ているだけで痛いから早く抜けと顔を手で覆って叫ぶ職員。ついでもう仕事抜きで、もうコイツ嫌だと叫ぶ。
「思ったより痛くないけど? 脳みそまでグッサリいってるけど。」
「あんたの感想は参考にならないんだ! 見てられないから早くそれ抜いてくれ! 抜け!」
「ハイハイ。」
そう言って右の目頭に刺さっていた長い器具を引っこ抜いた。血は出ない。すぐに塞がったようだ。
抜いたそれを指で弄ぶ時のボールペンみたいに片手の指で回しながらツムグは話の続きを促してきた。
「それで? 何の話だっけ?」
「……では、あらためて…。」
やっと本題に入れると思ってツムグの所へ来た目的を果たそうとする職員だったが、ロボ●ミー手術で脳みそをちょん切るための器具が刺さったままヘラヘラしてる光景があまりに衝撃的過ぎたせいでかなり気分が落ち込んでいるようだ。
「まっ、あのオモチャに乗せられてた少年のことでしょ? ミュータント兵のみんなに協力して貰ってるんだって? 思ったより遅かったね。」
「………あなたは精神的に人を潰したいんですか? 精神的に殺したいんですか?」
「どっちも変わんないね~。潰す気も殺す気もないよ? 先見しちゃったのは悪かったからさ~。そんな虚無顔しないで? ね?」
「……………………バケモノめ……。」
「アハっ。本当のことだから。」
心底気持ち悪くて怖いという意味で、ツムグのことを“バケモノ”と吐き捨てた職員にツムグはヘラヘラ笑って肯定した。
***
一方その頃。
地球防衛軍の傘下にある大病院にM機関所属のミュータント兵が入れ替わりで入って出て行く光景が見られた。
出てきた者は疲れた顔をしており、中にはそれに加えて泣きそうな顔をしている者もいた。
「よろしくお願いします。」
「はい、確認しました。では、こちらです。」
身分証を確認した看護師が尾崎を入院患者のいる一室に導いた。
その個室にはひとりの少年が寝かされていた。
医療用の機器に繋がる無数のコードや生命維持のための点滴。おおよそ14歳そこいらの子供につけるべきものではない。
どこを見てるか分からない虚ろな目と表情のまま病室のベッドに横たわる少年の名前は、碇シンジ。
使徒サキエル襲来時にエヴァンゲリオン初号機に乗せられて出撃させられていて、ゴジラの襲撃によって初陣は有耶無耶になりミュータント兵達によって初号機から引きずり出されて保護して地球防衛軍傘下の病院に収容したのだ。
初号機に乗せられた影響か、それともサキエルとゴジラの戦闘に巻き込まれたショックによるものか、保護されたシンジは精神崩壊を起こしていた。
肉体に外傷はなく、意識はあるが廃人も同然であるためこのまま精神病棟に送るのも未来ある子供には酷であるし、このままでは成長期の妨げになって肉体の健康が確実に損なわれるのが目に見えており、担当医がM機関に協力を求めたのだ。
M機関のミュータントの能力を使っての医療はまだ国の認証を得ていないが、新たな医療として国に申請を出せるほどのデータはほぼ取れている。地球防衛軍の管轄でなら直接M機関に依頼すれば少ない手続きで優れた能力を持つミュータントの手配ができるため今回の流れとなった。
治療の内容は、超能力を用いた精神の治療だ。精神感応(エンパシー)やテレパシーといった超能力を使い、シンジの精神を正常化に導こうというものだ。
しかし想像以上にシンジの精神の状態が悪いようで、優れた超能力を持っていて精神の医療実験にも関わった経験のあるミュータントが精神感応を使ってもほとんど成果が得られなかった。それどころか逆に精神崩壊に引きずられて自分の方が壊れそうになり、危うく二次被害が発生しかけた。
最後の頼みの綱として派遣されたのが、現在登録されたミュータントの中で“カイザー”と認定されている尾崎だ。
カイザーとは、皇帝を意味する言葉ではない。ある意味合っているが、研究のための仮の呼称として付けられた名称という方が正しいだろう。
カイザーは、ミュータントの中で突出した能力を有するミュータントのことである。それが認められたのは尾崎シンイチなのだ。
総合的な能力が他のミュータントを遙かに超える…というデータが取れているし、実験もかねた訓練でそれ以上の力を出せる可能性も示唆されたのだが……、当の本人の性格の問題で高すぎる能力に無意識でリミッターがかかっているようでいまだに全ての力を引き出せていない。良く言えば優しすぎるのだ。
だが人を助けるために、その時だけ強大な力を発揮することがあり無意識のリミッターは、尾崎によっぽどのその気になる機会がこないと自由自在に全てを出すのは無理だということをM機関で訓練教官を担当している熊坂は考えてミュータントの研究をしている研究者勢が唯一のカイザーとして認定した尾崎を実験動物にして隔離して無理矢理データを取ろうとするのを止めるネタにし、尾崎の人権を守るために手を回している。
尾崎は他の仲間が成果を出せなかったことは前もって聞かされていたのと、先にシンジの治療をしに行った風間が成果が出せなかったため帰ってきてから渋い顔をしていたから、M機関から出せる精神治療の最後の希望として来た尾崎はその重圧を感じていたいが、いざ病室には行ってシンジの有様を見た瞬間持ち前の正義感により心を奮い立たせ必ず助けると決意した。
担当医と看護師が万が一に備えて傍につき、シンジの寝かされているベッドの横に椅子を置き、そこに尾崎が座ってシンジの右手を両手で握る。
いざ精神感応を使用すると頭に流れ込むシンジの精神の情報。そして尾崎の意識がその世界にダイブする。
真っ黒の世界に、白い塵のようなものから紙吹雪のような白い欠片が浮いている世界。これが今のシンジの精神の状態だった。
これほど精神が壊れていたら回復は絶望的だ。だがほんの一欠片の希望がきっとあるはず。治療を最初に担当した医者はその可能性を信じてM機関に頭を下げて協力を求めた。尾崎も一欠片の希望を信じる。シンジはまだ完全に全ての生きる気力を失ってはいないはずだと。
塵のような白い欠片の中を移動しながら回復に繋がる部分を探す。気をつけないとコチラの干渉が原因でシンジにトドメを刺しかねないため、大胆に、だが慎重に動かないといけない。
ダイブしている精神の階層をより下へと変えてみようと考え、少しだけより深い精神の位置にダイブする。
すると世界が突然変化した。
何が起こったのか把握する前に尾崎は暗い世界から電車のような場所に落ちて尻もちをついた。
窓から入る光はほんのり赤く、夕方の時刻であるのが分かる。
電車の外から微かに子供の泣く声が聞こえた。
窓からそちらを見ると無人の駅で大きな荷物を隣に置いた小さい男の子がたったひとりで泣いている姿を見つけた。
斜め後ろから見ていたが、するとノイズが走り、世界が少し変化して今度は電車が走行する光景に変わった。
夕方の時間帯であることは変わらないが、尾崎が立っている場所の反対側の席に子供が座っていた。
服装は先ほど見た泣いていた男の子のもので、男の子本人かと思ったがすぐに違うと思った。
車内が薄暗いとはいえ、男の子顔が塗りつぶされたように黒いなんておかしい。
『………座らないの?』
顔が見えない子供が尾崎にそう話しかけてきた。
尾崎は言われるまま対面する形で近くの席に座った。
「君は、碇シンジくん?」
『…違う。』
「やっぱりか。じゃあ、君はシンジくんがどこにいるのか知っているのかい?」
碇シンジであるかどうかを質問したら否定されたため、碇シンジがどこにいるのかを聞いたが、相手はすぐに答えなかった。
ここが碇シンジの精神の世界だから本人だという可能性はあったから本人確認をしたのだが、どうやら別人らしい。
多重人格の可能性や、精神の脆い部分を守ろうとする自己防衛本能から発生した存在か。
『お兄ちゃん…は、ダレ?』
「俺? 俺は、尾崎シンイチ。シンジくんを助けに来た。」
『しんいち…、しん、イチ…お兄ちゃ…ん?』
首を傾げながら尾崎の名前を口にする相手。
声はハッキリしているが見た目以上に幼いようだ。
『覚えた!』
尾崎のことをしっかり覚えたと嬉しそうに言葉を発してきた。
『シンイチお兄ちゃんは、シンジを探してるの? どうして?』
「それはシンジくんを助けたからだ。このままだとシンジくんは、死んでしまう。」
『なんで?』
「なんでって…、死んだら悲しいことだ。」
心底シンジが死んでしまうから助けたいという尾崎の気持ちが理解できないと言わんばかりに言葉を出す相手に、尾崎の顔が微かに歪む。
『なんで死んじゃダメなの?』
「死んでしまったらそれでお終いだ。生きていれば良いことがたくさんある。もちろん辛いこともあるけど…。」
『シンジは生きたくないって思ってるのに?』
「それはシンジくんの本心なのか?」
『……。』
生きていればなにが得られるかを説こうとした尾崎に、シンジが死を望んでいると語るが、それに対してシンジの本心であるのかどうかを聞き返すと途端に口をつぐんだように黙った。顔が真っ黒に塗りつぶされたように見えないため、口の動きは分からない。
この反応を見て尾崎は確信が持てた。シンジはまだ生きたいという気持ちを完全に捨てていないと。
気を引き締め直して、尾崎が再度シンジの居所を教えて欲しいと聞こうとしたとき、世界に大きなノイズが走った。
見覚えがある巨大な人型兵器の顔。
巨大兵器が太い鉄筋のようなものに見えるもので固定されている研究所らしきこの場所で右往左往している無数の人間達の姿があった。
そして再び大きなノイズが走り、夕日の中の電車の車内に戻った。
『だいじょうぶ?』
「……あ…、なんでもない。だいじょうぶだから。」
先ほどの映像は精神へ干渉で流れ込んできた過去の記憶だろう。しかしシンジの視点とは思えなかった。
『なにを見たの?』
そう聞かれ、尾崎は思わず言葉を詰らせた。
『お兄ちゃん、すごいね。すごい力があるんだね。人間じゃないみたい。』
「……俺達のような普通の人間にはない力がある人間は、ミュータントと呼ばれている。」
『ふーん? そうなの? ……おかしいなぁ。』
「なにがだい?」
『お兄ちゃんは、他の人間よりずっと……、アイツらに近いのに…。ううん? アイツらよりずっと……。んん?』
「あいつら? 誰のことを言ってるんだ?」
『アダムとリリス。』
「?」
聞いたことがある言葉だがなぜそんな言葉を目の前の子供(?)が言うのか謎だ。
『アダムを起こしちゃったせいで南極無くなっちゃのに…。』
「はあ!?」
とんでもない情報がシレッと吐かれたため尾崎は思わず声を上げた。
「それはセカンドインパクトのことか!」
『うん、そう。あれって南極で寝てたアダムを人間が起こしちゃったのを止めようとして失敗して…、そしたらああなっちゃった。』
「誰が…そんなことを?」
あんな未曾有の大災害が、人災だったと言うのであればとんでもないことだ。追求せずにいられない。
『お兄ちゃんは、アダム? うーん…、でも違う。アダムよりもっと…、でも…。』
「俺が?」
南極を消滅させる未曾有の大災害、セカンドインパクトの原因になったアダムという存在が尾崎ではないかという疑惑を目の前の子供が首を捻ってブツブツ言っているが、どうもアダムではないという考えもあるようだ。
『も~なんでもいいや。あっ、そうだ!』
急に思考を切り替えた子供が良いことを思い付いたとばかりに声を明るくした。
尾崎は嫌な予感がした。
反射的に席から立とうとした時、なぜか今座っている座席から立つことができなかった。
まるで接着剤でくっつけられたように体が引っ付いている。
そのことに驚いた瞬間、小さな子供の手が尾崎の胴体に触れた。
見ると対面する座席に座っていた子供が尾崎のすぐ目の前にいて尾崎を押すように両手を尾崎の体に添えていた。
まずいと思った瞬間には、尾崎の体が座席に埋まり始めた。あるで粘度の高い泥に沈むように。
「なっ…、やめろ!」
尾崎が抵抗しようと手足を動かそうとすると、座席や床から筋繊維のような触手が伸びて尾崎を捕えて動きを封じた。
『お兄ちゃん、僕とひとつになろう? それはとても気持ちが良いことだよ。お兄ちゃんも独りぼっちじゃなくなる! 自分だけみんなと違うことに苦しいって思わなくていい! 良い考えでしょ!』
「ち、違う! 俺は! そんなこと…!」
それはM機関に所属する前と後も感じていた尾崎の心の内。
普通の人間じゃないこと。同じ力を持つ仲間達に出会えたと思ったら自分だけがその中でも違っていたこと。いまだに自分と同じ存在(カイザー)がいないことへの孤独感。
自惚れているわけではない。周りを見下していなんていない。違うということへの無意識の隔たりと寂しさ。
『だいじょうぶ! サードインパクトが起これば、みんなと違うことで苦しくないよ! 今苦しいんだから先に連れてってあげる!』
「離せ! やめろ! さ、サードインパクトだと!? お前はいったい…!?」
『シンジのお母さんが考えた方法だよ。みんながひとつになるために、僕は作られた。だからお兄ちゃんのことを連れていける。安心して。』
体がズブズブと沈むと共に体から力が抜けて睡魔が襲ってくる。
そんな中で思考を巡らせ、この子供の正体が分かってきた。
エヴァンゲリオン初号機。
使徒サキエルで初陣を決めるはずだったネルフの最終兵器。碇シンジが乗せられていたあの紫の人型兵器。この子供の正体はソレだったようだ。
いや、今はそんなことよりなんとかこの危機から逃れなければ。
だが、もう……。
その時だった。
「相手の見た目で気を抜きすぎだよ。尾崎ちゃん。」
そこに青白い光のエネルギーが炸裂し、子供…否、初号機と尾崎が引き離され尾崎が座席に沈められそうになっていた状態から弾き飛ばされるように床に倒れた。
「…うぅ…、つ…ツムグ?」
「も~~、尾崎ちゃんは優しすぎるから。見た目で隙を晒しちゃいけないよ? そのせいで復興活動中の救助で騙されて痛い目にあったの忘れた?」
「ぐ…。」
突然現れたツムグに痛いところを突かれて尾崎は倒れたまま呻いた。座席に沈み行く過程で力が抜けてしまって上手く動けなくなっていた。
このままだと精神世界から戻れなくなる。それぐらい危ない状態だった。
『なんでぇ…? おまえ…なんだよぉ? きもち…わるい…! なんなんだ、これ!? 気持ち悪い気持ち悪い!! なんだよおまえええ!!』
「ハハっ。気持ち悪いなんて数十年間ず~~と言われてきたから慣れっこだけど。お前から見ても俺ってそんな気色悪い? 生理的に無理? ふ~~~ん? なるほど。それって相性の問題?」
『消えろ! 消えろ、消えろ消えろ!! 気持ち悪いのいなくなれーーー!!』
初号機が狂乱したように叫び続け、それと共に世界が歪んでツムグを圧死させようとするように動くが、ツムグはヤレヤレと肩をすくめた。
「まだ本気で喧嘩する時期じゃないから、今は死にかけてる尾崎ちゃん連れて帰るだけ。以上。」
ツムグが面倒くさそうにそう言葉を言って、パンッと手を叩いた。
その瞬間に世界がガラスが割れるようにひび割れて砕け散り、白い光に飲まれた。
尾崎は意識を失う直後まで、初号機が痛みによる悲鳴を聞いていた。
***
「おはよ~。気分はどう?」
「……最悪だ。」
意識を取り戻した尾崎は、別の病室のベッドの上だった。
ベッドの横にはツムグが立っていて、尾崎の顔を見おろしている。金色がかかった赤毛という特徴的な髪色が妙に眩しく見える。
尾崎は最後に聞いた初号機の悲鳴が残る耳を手で揉むように触れてから、体を起こした。
「お疲れ、尾崎ちゃん。あの男の子に回復の兆しが出てるみたいで、お医者さん達が感謝してたよ。」
「…そうか。よかった。」
「回復の妨げになってたみたいでさ。アイツが居座ってたせいで。」
「初号機が…?」
「うん。そう。だからどかした。」
「ツムグ。もっといいやり方が…。」
ツムグが容赦なく精神世界を一撃で破壊する攻撃を行い、無理矢理にシンジの中にいた初号機を排除したのだ。
尾崎の感覚でだが、ビルを解体する用鉄球付きクレーン車両で無防備な顔面に一撃入れたぐらいの衝撃を与えていたと思われる。
「無邪気に邪悪なクソガキには、痛いお仕置きは必要だよ。痛みのないお仕置きがないと悪行をする恐怖心を持てない。」
「クソガキって……。言い方…。それ以前に体罰は反対だ。」
初号機にたいして精神世界を破壊するような形でダメージを与えたツムグに、尾崎は頭を押さえながらそう呟く。
「時と場合だよ。その優しい気持ちと考えは素晴らしいことだけど、悪人の更生と教育と、そのための拘束には物理的な痛みは避けられない。そうじゃなきゃ捕まえた悪人をどうやって捕まえて、どうやって閉じ込めておく?」
ツムグはこうやって彼なりの哲学と経験から来る言葉をしょっちゅう言ってくる。そのどれもが人間が抱える生まれながらの罪と罰を指摘するような、反論に困るものばかりで聞かされる方はしんどい。
「尾崎ちゃんは、それでいいと思う。強くて、優しい人がいないと、弱い人間は希望を持てない、道を外した悪人は心を入れ替えるきっかけを持てない。」
「…それって、俺が漫画のヒーローだってことか?」
「ヒーローっぽい、で、いいと思う。いいじゃん、リアルにまさにヒーローだ!ってキラキラした目で見られる人間がいても。フィクション通りにならなくていいけど、現実にそういう人間になる事はできるって証明にはなるよ?」
「ずっと前から思っていたんだが…、ツムグ…、あんたは人間が好きなのか嫌いなのか? どっちだ?」
「大嫌いだけど、大好き。」
「その答えは反則じゃないか!」
「正直な気持ちだよ? 嘘は言ってないもん。」
「…もういい。助けてくれたことについては礼を言う。…ありがとう。」
「どういたしまして。ところで色々見たり聞いたりしてるでしょ? あれ、どう思う?」
「……知ってるのか?」
尾崎が疑わしそうにツムグを見て言うと、ツムグはニコニコと楽しそうに笑って答えた。
ツムグが言わんとしてる尾崎が見たり聞いたしたこととは、初号機との対話中に知ったセカンドインパクトのことやアダムやリリスという単語などのことだ。
「知ってるけど、今の段階じゃ意味はないかな? 伏線っていうの? あれ。」
「教えてくれ。助けられない命を見捨てたくない!」
「……尾崎ちゃん。言霊って知ってる? 言葉にしたら現実になるかもよ?」
「!」
「それに、俺の未来予知は、今まで外したことがない。それってつまり、死ぬ時は死ぬし、生きるときは生きる。どうやってもね。誰かのせいにすれば楽になるのは本当だから。俺のせいにしてくれていいよ。俺が未来を視たせいで、悪い未来を引き寄せてしまったんだって。」
「……ツムグは、それでいいのか?」
「それで死ねるなら本望だから。」
ツムグの求める物は最初から最後までそれだけだ。人を挑発し、敵意を向けられるよう仕向けるのも全ては死ねない自分が死ぬために。
M機関に来た時からずっと顔見知りで、付き合いの長い尾崎はツムグのその願いを知っているつもりでいるが、持ち前の優しさと正義の心のせいで完全に納得できずにいる部分があった。
「さて…、ここからどーなるかな? ちょっと面倒なのを起こしちゃったかもだし。」
「えっ?」
「なんでもないよ。まあ、そのうち。」
「あっ! ……本当になんなんだ?」
意味深な言葉を残してツムグは病室から出て行った。
ツムグはよく何か意味深な言葉を零す。わざとなのか、無意識なのか。あの性格だと前者の可能性が高い。
それが遠くない未来に関係することが多いことを、付き合いの長い尾崎はよく知っている。
一方その頃。
ネルフにあった初号機の顔面が突然破損をして顔の前面が大きく割けたような有様になってしまい、ゲンドウが絶叫して高血圧で倒れて搬送されていた。
ゲンドウの醜態を見てため息を吐いたリツコだったが、不意にMAGIが初号機のコアに異常な数値を検知した。
「これは…?」
リツコは顔をしかめ、顔が破損した初号機を見上げた。
「まさか…ね…。」
リツコは、かつてゲンドウのことで大きな嫉妬の対象にしていた女の影を感じたような気がしたが、気のせいだと首を振り、初号機の修繕について地球防衛軍に話をするべくその場から離れた。
リメイク前からの加筆した部分は、ツムグとナツエの関係とやり取り(?)に周りがうんざりしているという描写。
恋仲ではなく、一方的にナツエがヤンデレ行動してツムグに色々と物理的にやってくる関係です。
ツムグは、ヤレヤレしょうがないな~っと受け止めています。何されても死ねないので。
もうひとつの加筆と変更は、初号機の意思(notユイ)の尾崎への興味と執着。
ポロッとセカンドインパクトの原因とかの重大な情報を喋っちゃうのはリメイク前も同じですが、ここでは情報の一部にとどまり、リメイク前よりは少ないという形にしました。
ですが、セカンドインパクトが人災であることと、アダムとリリスという単語を知れます。
最後にツムグが『面倒なのを起こしちゃったかも』と漏らしたり、最後の方でネルフで何故か壊れた初号機の異常数値からリツコがゲンドウとの確執の元凶の気配を感じていること。
リメイク前と新版では、ラスボスが違う予定なのでこの流れとしました。
早く執筆したいと思って勢いで書いたので、もっと練ることもできた気がするので、気が向いたら書き直して差し替えるかもしれません。