投稿期間が空いてしまいました。楽しみにしていた方、申し訳ないです。筆者はかなり気まぐれで、書く気が起きないと中々筆が進みません。のんびりお待ちいただけるとありがたいです。
…昔から自分が嫌いだった。
無駄にサラサラな白髪、大きい目、女子の様な顔立ち、低い身長。男っぽい要素といえば、やや線が細いが男の身体と性格くらいだ。別に幼少期からいじめられていたから…とかそういう訳ではない。むしろ逆だ。誰もオレに寄り付かなかった。同い年の奴らも、歳上も、教師さえオレを気味悪がって近づこうとしなかった。その原因がオレの白い瞳だ。白内障というわけではないが、瞳の色が常人とは違う。個人的には綺麗な銀色ぐらいだと思っているのだが。SAOに閉じ込められている間も、自分の容姿を馬鹿にされたくなくてずっと隠してたなぁ。本当に自分のことが嫌いで嫌いで大嫌いだった。
アイツが声を掛けてくれるまでは…。
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目が覚めるとそこは異世界…ということは無く、ただただ真っ暗闇な空間にポツンと姿見が置いてあった。
「とりあえずログインは出来た…のか?」
自分の身の丈よりも大きい姿見に近づくと、フォン、という効果音と共にメッセージが表示される。
《貴方の姿を思い出してください》
…なるほど。キャラメイクか。正直どんな姿でも良いんだが現実世界と同じ見た目だと個人情報が歩いてるようなものだしな。今のご時世では大変危険なので現実とはかけ離れた姿にした。体格は細いがスラっとした175cmほどの身長。切れ長な目。そしてサラサラとした長い黒髪を後ろで縛っている。イメージとしては達人の域に至った剣士だ。現実にいれば女の子にモテモテであろうイケメンキャラができてしまったが、ゲームなんてこんなもんだろう。オレは自分にそう言い聞かして次の項目に進む。
《貴方の武器を選んでください》
どうやら最初から武器を選ばせてくれるみたいだな。直剣、刺剣、斧、槍、杖…と色々なカテゴリーの武器が用意されてるが、その中でもオレが惹かれたのはこれだ。
【打刀】
まさか刀が初期装備にあるなんて…!SAO序盤から刀を使っていたオレとしては嬉しい事この上無い。この洗練された美しい刀身、舐めたくなってくるな…と、いかんいかん。落ち着かねば…。
その時、まるで見かねたように女性の声が響く。
《最後に餞別として貴方の思い出を具現化した品を用意しました。お好きな品を一つ、お選びください。》
…もしかして最初から話せたのか? 驚いて固まっているオレに向けて、またも声が響く。
《ふふふ。驚かせてしまい申し訳ありません。この空間は退屈で、暇つぶしがてら貴方のような“探求者(サーチャー)”を驚かせるのが唯一の楽しみなのです。それはそうと“思い出の品”は決めましたか?》
見れば姿見が消え、布を被った机の上に6種のアイテムが現れていた。
アイテム名は…【灰被りの指輪】【小壺のペンダント】【茹でエビ】【封じられた魔石剣】【禍の魔導書】【炎の貴石】か。指輪とペンダントはそれぞれHP、攻撃力を仄かに上昇させる。茹でエビは一時的に攻撃力を高める消耗品、炎の貴石は武器に炎属性を追加させる。
魔導書は記載された魔法を発動させる使い捨てアイテム、魔石剣は…説明欄の文字がほとんど読めない。どうやら封印された場所に入れるようになる鍵みたいだが…。
「決める前に、この世界について聞いても良いかな?」
《おや、私に話しかけてくるとは物好きなお方ですね。もちろん構いませんよ。伝承によると…かつてこの世界は“太陽の光の王グウィン”によって治められており、万物の起源『最初の火』から“王のソウル”を見出したグウィンは他に王のソウルを見出だした墓王ニト、イザリスの魔女、白竜シースと共に朽ちぬ古竜に戦いを挑み、勝利し、火の時代をつくり上げました。しかし突如として現れた“黒衣の剣士”によって、王のソウルを持つニトとシース、四人の公王、混沌の苗床、そしてグウィンすらも倒され、全ての王のソウルはこの剣士に奪われたのです。そしてグウィンを倒した黒衣の剣士は火を継ぎ、人の身でありながら神へと至りました。彼は得た王のソウルの力を使い何者かを生き返らせようしましたが、尋常ならざる力を扱うことが出来ず失敗に終わりました。その後、欲深き行為の代償によって世界はその形を崩壊させ、一つの世界に幾つもの時代、世界が結びついてしまったのです。》
まとめると、神になった“黒衣の剣士”の願望によって世界は壊れ色々な世界がくっついてしまった、ということか。………想像以上にスケールのデカい話だな。世界が幾つもくっついてるって言うなら…【封じられた魔石剣】にしようかな。こういう一見使えなさそうなアイテムこそ後々光るんだよなぁ。鍵を手に取ると、オレの体を光が包み始める。
《申し訳ありません、探求者のお方。時間が来てしまったようです。貴方の旅が有意義なものになりますよう、ここで祈っております。一時ではありましたが、楽しい時間をありがとうございました。》
「ああ、こちらこそ。」
言い終わるのが早いか、オレの体を浮遊感が襲う。転送の類か。それにしてもオレ、NPCと話してたんだよな?まるで本物の人間と話しているかのようだったが、最近のゲームってすげぇな…。それはそうと、この後どこに転送されるんだろうか。頼むからチュートリアルを始めてくださいまだキャラメイクしただけなんですぅ。この状態で放り出されたら恨むぞ開発者。
オレは浮遊感に身を任せ、そっと目を閉じた。
本当はチュートリアル終了まで書きたかったのですが、前回の投稿から期間が空いてしまったこと、そしてチュートリアルからは話が長くなりそうなので、この辺で一度分けさせていただきました。
それでは、ここいらで失礼させていただきます。
読んでくださり、ありがとうございました。