とある海軍の火山活動 作:ネシエル
ショッピングモールのトイレ前
御坂心陽は、
妹の御坂美琴を待つためにトイレの前に立ち、
スマホの画面を見つめていた。
指先で画面をスクロールしながら、
何度か検索をかける。
しかし、求めている情報は見つからなかった。
「上条当麻、上条当麻……。
検索にひとつもヒットせんのう。
やっぱり、レベル0か……。
じゃが、あの異質な右腕……。
見聞殺しとも違うし、ナンバーから話は聞いたことあるが、
会うんは初めてじゃのう……」
そう呟きながらスマホを弄っていると、
トイレから出てきた美琴が声をかけてきた。
「どうしたの、心陽姉?」
美琴の声に、
心陽はスマホの画面から目を離した。
「なんじゃ、美琴か。やっと出てきたんか」
「何を見てたの?」
「ちぃと調べもんしとっただけじゃ。
あの上条当麻いう黒髪の少年のことをの」
その名前を聞いた途端、
美琴の顔がぴくりと反応した。
「へ、へえ……。あいつのことね……」
「ふーん、
お前、あいつのこと気になるんか?」
「ち、違う! そういう関係じゃないし!」
「ははっ、そんなん言うても、
随分と心拍数上がっとるように見えるけどのう?」
「なっ! ちがうし!!
気になっていないし!! 勘違いしないでよ!!」
顔を赤くして叫ぶ美琴を見て、心陽はクスリと笑った。
「ははっ、すまんすまん、じゃったの」
美琴は頬を膨らませながら、少し不機嫌そうに心陽を見つめる。
「……心陽姉って、
いつも私の心を見透かしてるみたいな感じがするんだけど。
もしかして、そういう能力でも持っているのか」
「ただの技術じゃ。
美琴も訓練すりゃ、自然にこうなるわい」
そのとき、遠くからバタバタと駆け寄ってくる足音が聞こえた。
振り向くと、息を切らしながら初春が駆け寄ってくる。
「御坂さん! 心陽さん! た、大変です!」
「なんじゃ、慌てて」
心陽は初春の様子を見て、
直感的に状況の異常さを悟った。
『呼吸の乱れ、心拍と体温の上昇……。
わしらを探して随分と走ったんじゃな』
「大変です! このショッピングモールに爆弾が仕掛けられました!」
初春の言葉に、心陽の眉がピクリと動く。
「なんじゃと……?」
「それ、本当か!?」
「はい! 間違いありません!」
初春の説明を聞いた美琴と心陽は、即座に行動を開始した。
「じゃあ、私はみんなを避難させる!
心陽姉、一緒に手伝って!」
「わかった」
避難誘導をしながら、心陽は考える。
『見聞色を使って爆弾を探すか……。
いや、報告によれば爆発物のようなもんは見つかっとらん。
何より、この爆発は能力によるもんじゃ』
心陽は美琴と共に人々を安全な場所へと誘導する。
しかし、その最中、異変を感じ取った。
『……犯人の居場所はもう分かったの』
見聞色の覇気を発動し、周囲の感情や気配を探る。
そして、ある一点から感じる邪悪な思想――それが犯人だった。
『じゃが、ここから動けば避難誘導が……
いや、それよりも、爆発物の対処が先だ
一体どこに……!!』
そのとき、心陽の耳に初春の叫び声が届いた。
「逃げてください! あれが爆弾です!!」
反射的に振り向いた。
心陽の視界に飛び込んできたのは、
圧縮されたぬいぐるみと、それを庇う初春の姿だった。
『くそったれ……子供を利用するなんて』
距離は30メートル
爆発するまで2秒。
もう、間に合わな・・・
「剃」
瞬間的に地面に50回以上の振動を加わり、
地面は粉砕し。
反動に心陽の速度は音速の壁を越え、
爆弾を向かう。
「なっ……!」
美琴が驚愕の声を上げる。
上条当麻も目を見開いた。
『飛ばすか? いや、飛ばした先で爆発しても意味がない。
ならば、一番被害を抑える方法――それは』
爆発まで、あと1秒。
「武装色【硬化】」
心陽の腕が黒く染まり、まるで黒鋼のように光を反射する。
そのまま、心陽は爆弾を握り潰した。
バンッ!!!!!
轟音がモール全体に響き渡る。
煙の中、心陽は拳を開く。
「……終わりじゃ」
そこに残ったのは、灰と化したぬいぐるみと爆弾のカスだけだった。
「まじかよ……」
上条当麻が思わず呟く。
美琴は駆け寄り、心陽の手を掴んだ。
「ちょっと! 大丈夫!?」
「なんじゃ、美琴。怪我もしとらんわい。
知っとるじゃろ、わしに物理攻撃は効かんて」
「そんなこと関係ないでしょ! 手を見せて!」
「いや、それはええ……」
心陽はため息をつきながら、しゃがみ込んで庇われていた少女を見る。
「大丈夫か、お嬢ちゃん?」
「う、うわぁぁぁぁぁ!! 怖かったよぉ!! ママー!!」
「……誰がママじゃ、
まったく……。後は頼んだぞ、美琴」
そう言うと、心陽は瞬時にその場から立ち去った。
▲▲▲
路地裏
御坂心陽は、男を片手で軽々と投げ飛ばした。
「ぐはっ!」
壁に叩きつけられた男――介旅初矢は、ずるずると地面に崩れ落ちる。
心陽はそいつを見下ろし、冷たい声を投げかけた。
「お前が爆弾魔か?」
「な、何のことですか……?」
「しらばくれるなや、ゴミが……。
努力もせん、能力も低いクズが」
初矢の表情が変わる。怒りが露わになった。
「な、取り消せ!! 今の言葉ッ!!」
初矢が立ち上がろうとしたその瞬間――。
「ぐはっ!!」
心陽の蹴りが横っ面に炸裂する。
さらに、反対側からもう一撃。左右の頬を蹴られ、初矢は再び地面に沈んだ。
「その言葉を使うな。仮にも大切なもんを侮辱された怒りとは違う、
貴様の怒りは下種で愚かで無知で無能で……貴様が口開くだけで、空気が汚れるんじゃ」
心陽は初矢の頭に足を乗せた。
スカートの中が見えんように、片足でそいつの視界を遮る。
「ぐうぅ……」
「それに能力もお粗末じゃ。
あのチンケな爆発じゃあ、誰一人として傷一つ負うとらんぞ」
「ば、バカな……! 僕の……最大出力だったんだぞ……!」
「ほう……?」
足にさらに力を込める。
「いっ……痛い痛い痛いっ!!」
「やっぱりのう」
「!!」
心陽は踏みつけるのをやめ、初矢の胸倉を左手で掴み上げる。
片手で軽々と持ち上げられた初矢の顔が、恐怖に歪む。
「お前がやったんか?」
「あ、ああ……」
心陽はそいつのわずかな動きを見逃さんかった。
後ろ手に何かを掴もうとしとる――スプーンか。
「くだらんのう」
空いた右手で、初矢のスプーンを握る手ごと、握り潰した。
「ぎゃあああああ!!」
鈍い音とともに、血が滴る。
指の骨が砕け、皮膚を突き破って骨の一部が露出しとる。
「ゴミはやはりゴミか……」
「お、思い出した……常盤台の猛犬……!
誰にでも噛みつく、猛獣……!」
「……」
「いつもこうだ……!
何をしても、僕は地面に叩きつけられる……!
殺してやる……! お前みたいな奴が悪いんだ……!
力のある奴は、何でみんなそうなんだよ!!
風紀委員も、レベル5も……みんな僕たちを見下してるだろう!!
努力もせずに!! お前たちは俺たちみたいな才能のない奴を見捨てるんだ!!!」
「……どうでもええわ」
無感情にそう言い放ち、心陽は初矢を地面に投げ飛ばした。
「がはっ!!」
初矢は呻きながら、もがき苦しむ。
心陽はそいつを一瞥し、冷たく言い放つ。
「話が長い、声がうるさい。
正直に言うたら、貴様に一切同情できん。
どれほど悲しい過去があろうが――」
「う、うう……」
「わしには関係ない」
無差別に風紀委員を狙い続けて爆発を起こし、
さらに何も知らん子供にカエルのぬいぐるみ型爆弾を持たせ、
初春に渡させて爆発させた――。
……そんな卑劣な手段使うやつを、許せるはずがなかろう
「――犬噛紅蓮」
手を掲げると、煉獄のマグマが生まれる。
マグマは犬の牙の形を取り、初矢に喰らいつこうとする。
「ま、待て!!」
「……」
「待ってくれ!!!!
なんでだよ、なんでそんなに強いのよ
なんで、あのとき俺を助けてくれなかったのよ!!」
心陽は冷たく睨みつける。
「……」
そのとき、牙は僅かに止まった。
「お願いします……もうしません……!!!」
「・・・」
しかし、再び煉獄の犬の牙が、初矢へと振り下ろされる――その瞬間。
「お姉ちゃん!! どこ!??」
遠くから美琴の声が響く。
「!!」
一瞬、迷いが生じた。
その隙に、炎がかき消える。
犬噛紅蓮の発動が止まった。
「え……?」
初矢が目を見開いた次の瞬間。
「がああ!!」
心陽の蹴りが、初矢の頭を打ち抜いた。
そのまま意識を刈り取るような一撃。
初矢は声も出せず、意識を失い、地面に倒れ込んだ。
「――やっと見つけた!」
美琴が路地裏に駆け込んできた。
「お姉ちゃん! さっきマグマの煙が見えたから来たけど……何かあったの?」
心陽は背を向け、何気ない素振りで答える。
「いや……ちぃと手こずっただけじゃ。何もない」
『……あんとき、なんで止まったんじゃ。
情に流されたんか。
いや、そがぁなことはない。
まあ、ええじゃろう。
あいつが死んどろうが、生きとろうが、平和の脅威にはならん。
わしも甘くなったのう。』
心陽は静かにため息をついた。
次回投稿3/5
菊子さん コメントありがどうございます。
あと、応援してくれたみなさま
今まで投稿せずにごめんなさい
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