本にする妖怪   作:覚め

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前回から続く(トンキー)


第27話

月面

 

「この俺の構えは天地魔闘の構えと言ってな…全ての技を跳ね返し、無に返すという妖の類に伝わる最強の構えなのだ」

 

「風も返せるのかしら!」

 

「そもそも来ねえから意味ねえけどな」

 

ま、しゃーないしゃーない。だってあいつらが外すんだもん。俺の喉元にすら攻撃が来ないとはどういうことかね。無論、さっきのクソ雑魚共のせいでダメージを受けたのはそうだけど?俺は実質無限1UPだし?幾らでも来るよねーって。お話。

 

「せいっ!」ブァッ

 

「指を掲げると〜?」スァッ

 

「当たった!」

 

「当たり前だろ。風を遠隔操作出来るかどうかは知らんが、出来なければそのまま進む。攻撃する先に体を逸らす奴は馬鹿と同義だからな」

 

「わざと当たってあげた、ということか?」スパァンッ

 

「そゆこと。無駄だよ、背面から切りにかかっても。無論俺はそこらへんの刀でも切れるがな!」

 

「馬鹿にしてるのか?」ザンッ

 

「ところで酒飲まない?」

 

「断る!」

 

「…やば、流石に無茶だったか」

 

「私は良いと思うんだけどね。貴方と和解、純狐とも和解。これで済んだら」

 

純狐は無理だろうなぁ、と思いつつ後ろから謎にクソ重い扇子で俺の頭を割って来た。無論外れる。焦ることはない。むしろ焦って避けた方が致命傷を受ける。でもその扇子ガチモンだな。俺の指が消えよった。再生が出来んとは小癪な。石で代用するか

 

「純狐は無理だろうなぁ」

 

「それじゃあ残念♡」ゴァッ

 

「岩…か。どうやっても無駄だって言ってるのにねぇ」

 

「この間合いなら!」ザンッ

 

「いやん、切れちゃった。まあ、自分から無意識に避けようとしても、無理なものは無理だよね。失敬失敬」

 

「さて…次は上半身を貰おう」

 

「ヘカーティア〜」

 

「はいはーい…あら、やられてるわね」

 

「純狐と月の和解ってどうにかならない?」

 

「ならないわね」

 

「ダメか。じゃあ逃げ仰せましょ。とりあえず俺本返してくるからさ」

 

「そ。ピースちゃんと純狐止めなきゃねぇ」

 

「というわけで返す!」ブンッ

 

「っ!この!」スゥッ

 

「抵抗するだけ無駄みたいね」

 

「それでは皆さまさようなら〜。次は…十五夜お月様見てはねる時で」

 

「さようなら〜」

 

「あ、さようなら…?」

 

地底

 

「死んだ〜」

 

「便利だと思ってたら意外と違うのね」

 

「そんな能力があればまさに無敵。蘇る時点で蓬莱人と同じだが…そうだ、私の息子に」

 

「2枚くらい破いとくか」

 

「すまんかった」

 

そう言って『さあ受け止めるぞ』な体勢からしょんぼりと猫背になった。一体何がそんなに悲しいのか。他人に養子縁組を迫ったら断られる。当然の出来事だ。当然すぎて涙の一滴も出てこない。そう思いながら煎餅を…せんべい…重くね?

 

「この煎餅重くね?」

 

「純狐」

 

「私の仕業だ。これからお前の持つ物全て物理的に重くするぞ」

 

「そんな能力だっけお前?」

 

「ヘカーティアだ」

 

「てへぺろりん☆」

 

「…帰って良いかな」

 

「だーめよん。どっちか選んでから行きなさい」

 

「そうだ。息子になるかならないか。ならなかったら一生重いままだ」

 

「なりますよ!なりゃ良いんでしょーが!」

 

「よし。ならば家族の刻印をな」

 

「何それ」

 

「月ではみんなやっている。養子縁組、というのもあちらでは家族関係が地上と違うからな。子供の方に印を押す」

 

「知らねえよ?おい待て、なんだそのでかい焼きごて。待て、ちょっと、これなら一生重い方がいいかなぁって、だから、選び直しを」

 

「ダメだ。自分の選んだことを後悔しない奴に育て上げてやるぞ」ジュゥゥゥ

 

「んなぁぁぁぁああぁぁ!!!????」

 

くそが。ヘカーティアに本を渡さなければよかった。ヘカーティアだ。全てヘカーティアのせいだ。やっぱりあいつが全ての原因だ。クッ、殺せ!…しかし、お母さんという面では最強のお母さんではないだろうか?いや、俺はヘカーティアが良いがな?こう、お母さんとしての属性が

 

「私で変な妄想しないで」ゴツンッ

 

「あいたぁっ!?」

 

「さてと。これからは月に一度顔を見せに来てくれるだけで良いんだがな」

 

「緩いな養子縁組」

 

「会いたければ私のところへ、よん♪」

 

「あーはいはい。じゃあ帰りますわ」

 

「行ってらっしゃい」

 

「…焼印、足の裏でよかったのかしら?」

 

「本人がそこにしてくれって言ってたしな」

 

人里

 

「っす」

 

「あれ、干酢都さん?」

 

「おう、干酢都様だぜ」

 

「最近来てくれませんでしたよね。浮気ですか?」

 

「ざけんな。恋人の関係でもねえだろうが」

 

「私のことそんな風に思ってたんですか?悲しいです」

 

「何言ってんだお前…?」

 

「とにかく!久しぶりにお店に来てください!慧音先生との関係についても詳しく聞きます!」

 

「それなら本人連れて来た方が早いだろう」スッ

 

「ん?」

 

「…ほ、本人は良いかな!?干酢都さんも本人ですし!」グッグッ

 

「おい、頭から押すな。その声は…小鈴か。なんで私は中途半端な状態でスキマに突っ込まれてるんだ?」

 

まあ、確かに。頭のアレと脳天が少し出てるのはかなりシュールだ。が。うん。今は夜。良い子ではなかろう小鈴は良しとして。良い子の模範であられる慧音先生はなぜ起きてるでしょーかー?答えは知らん!なんで起きてんのお前。謎だわ。

 

「…小鈴が俺とお前の関係を知りたいってよ」

 

「ん?ああ、素人と達人ってくらいだな」

 

「妖怪同士の恋愛には?」

 

「発展するか?」

 

「そもそも種族が違うしなぁ」

 

「…そ、そうですよね!すいません!」

 

「とりあえずなんでまだ中途半端なんだ。どうせなら全身出してくれないか」

 

「ほれっ」ポイッ

 

「痛っ」

 

「わ、慧音先生の寝間着ってこんななんだ…」

 

「それどころじゃないぞ。下着も」

 

「喝ッッ!!」




慧音先生は夜と朝でスイッチのオンオフが200度くらい角度が違うと思ってます。
よくわかんね
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