月面
「この俺の構えは天地魔闘の構えと言ってな…全ての技を跳ね返し、無に返すという妖の類に伝わる最強の構えなのだ」
「風も返せるのかしら!」
「そもそも来ねえから意味ねえけどな」
ま、しゃーないしゃーない。だってあいつらが外すんだもん。俺の喉元にすら攻撃が来ないとはどういうことかね。無論、さっきのクソ雑魚共のせいでダメージを受けたのはそうだけど?俺は実質無限1UPだし?幾らでも来るよねーって。お話。
「せいっ!」ブァッ
「指を掲げると〜?」スァッ
「当たった!」
「当たり前だろ。風を遠隔操作出来るかどうかは知らんが、出来なければそのまま進む。攻撃する先に体を逸らす奴は馬鹿と同義だからな」
「わざと当たってあげた、ということか?」スパァンッ
「そゆこと。無駄だよ、背面から切りにかかっても。無論俺はそこらへんの刀でも切れるがな!」
「馬鹿にしてるのか?」ザンッ
「ところで酒飲まない?」
「断る!」
「…やば、流石に無茶だったか」
「私は良いと思うんだけどね。貴方と和解、純狐とも和解。これで済んだら」
純狐は無理だろうなぁ、と思いつつ後ろから謎にクソ重い扇子で俺の頭を割って来た。無論外れる。焦ることはない。むしろ焦って避けた方が致命傷を受ける。でもその扇子ガチモンだな。俺の指が消えよった。再生が出来んとは小癪な。石で代用するか
「純狐は無理だろうなぁ」
「それじゃあ残念♡」ゴァッ
「岩…か。どうやっても無駄だって言ってるのにねぇ」
「この間合いなら!」ザンッ
「いやん、切れちゃった。まあ、自分から無意識に避けようとしても、無理なものは無理だよね。失敬失敬」
「さて…次は上半身を貰おう」
「ヘカーティア〜」
「はいはーい…あら、やられてるわね」
「純狐と月の和解ってどうにかならない?」
「ならないわね」
「ダメか。じゃあ逃げ仰せましょ。とりあえず俺本返してくるからさ」
「そ。ピースちゃんと純狐止めなきゃねぇ」
「というわけで返す!」ブンッ
「っ!この!」スゥッ
「抵抗するだけ無駄みたいね」
「それでは皆さまさようなら〜。次は…十五夜お月様見てはねる時で」
「さようなら〜」
「あ、さようなら…?」
地底
「死んだ〜」
「便利だと思ってたら意外と違うのね」
「そんな能力があればまさに無敵。蘇る時点で蓬莱人と同じだが…そうだ、私の息子に」
「2枚くらい破いとくか」
「すまんかった」
そう言って『さあ受け止めるぞ』な体勢からしょんぼりと猫背になった。一体何がそんなに悲しいのか。他人に養子縁組を迫ったら断られる。当然の出来事だ。当然すぎて涙の一滴も出てこない。そう思いながら煎餅を…せんべい…重くね?
「この煎餅重くね?」
「純狐」
「私の仕業だ。これからお前の持つ物全て物理的に重くするぞ」
「そんな能力だっけお前?」
「ヘカーティアだ」
「てへぺろりん☆」
「…帰って良いかな」
「だーめよん。どっちか選んでから行きなさい」
「そうだ。息子になるかならないか。ならなかったら一生重いままだ」
「なりますよ!なりゃ良いんでしょーが!」
「よし。ならば家族の刻印をな」
「何それ」
「月ではみんなやっている。養子縁組、というのもあちらでは家族関係が地上と違うからな。子供の方に印を押す」
「知らねえよ?おい待て、なんだそのでかい焼きごて。待て、ちょっと、これなら一生重い方がいいかなぁって、だから、選び直しを」
「ダメだ。自分の選んだことを後悔しない奴に育て上げてやるぞ」ジュゥゥゥ
「んなぁぁぁぁああぁぁ!!!????」
くそが。ヘカーティアに本を渡さなければよかった。ヘカーティアだ。全てヘカーティアのせいだ。やっぱりあいつが全ての原因だ。クッ、殺せ!…しかし、お母さんという面では最強のお母さんではないだろうか?いや、俺はヘカーティアが良いがな?こう、お母さんとしての属性が
「私で変な妄想しないで」ゴツンッ
「あいたぁっ!?」
「さてと。これからは月に一度顔を見せに来てくれるだけで良いんだがな」
「緩いな養子縁組」
「会いたければ私のところへ、よん♪」
「あーはいはい。じゃあ帰りますわ」
「行ってらっしゃい」
「…焼印、足の裏でよかったのかしら?」
「本人がそこにしてくれって言ってたしな」
人里
「っす」
「あれ、干酢都さん?」
「おう、干酢都様だぜ」
「最近来てくれませんでしたよね。浮気ですか?」
「ざけんな。恋人の関係でもねえだろうが」
「私のことそんな風に思ってたんですか?悲しいです」
「何言ってんだお前…?」
「とにかく!久しぶりにお店に来てください!慧音先生との関係についても詳しく聞きます!」
「それなら本人連れて来た方が早いだろう」スッ
「ん?」
「…ほ、本人は良いかな!?干酢都さんも本人ですし!」グッグッ
「おい、頭から押すな。その声は…小鈴か。なんで私は中途半端な状態でスキマに突っ込まれてるんだ?」
まあ、確かに。頭のアレと脳天が少し出てるのはかなりシュールだ。が。うん。今は夜。良い子ではなかろう小鈴は良しとして。良い子の模範であられる慧音先生はなぜ起きてるでしょーかー?答えは知らん!なんで起きてんのお前。謎だわ。
「…小鈴が俺とお前の関係を知りたいってよ」
「ん?ああ、素人と達人ってくらいだな」
「妖怪同士の恋愛には?」
「発展するか?」
「そもそも種族が違うしなぁ」
「…そ、そうですよね!すいません!」
「とりあえずなんでまだ中途半端なんだ。どうせなら全身出してくれないか」
「ほれっ」ポイッ
「痛っ」
「わ、慧音先生の寝間着ってこんななんだ…」
「それどころじゃないぞ。下着も」
「喝ッッ!!」
慧音先生は夜と朝でスイッチのオンオフが200度くらい角度が違うと思ってます。
よくわかんね