本にする妖怪   作:覚め

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前回
話の流れに任されて、怖くなった依姫ちゃんが地上に留まった
前回との繋がり知らんぷり出来なくなっちゃった


第30話

人里

 

「刀とかしまっとけ」

 

「ダメだ。これは私の」

 

「人里で何言われるか分かったもんじゃねえぞ。お前の立場どうする?」

 

「…別に、嫁とかが良いんじゃないか?」

 

何を言っているんだろうか。この月人。とりあえずくるぶし掴んで悶えさせる。うむ。どうすっかなぁ…俺の妹は無理だし…一部の人間には顔がバレてるし。養子縁組の母さんを使うか。幸い俺のことは正直者で通ってるし、いけるだろ

 

「どうしたんだ、その別嬪さんは。昨日とは別の女を連れて…まさかお前」

 

「お月様からの来人ですよ」

 

「おい、私の立場が危うくなるではないか。嫁ではなかったのか」

 

「全くふしだらな…」

 

「ち、ちがう、違いますって。やだなー。ほら、お母さんが出来たじゃないですか。その友人がって」

 

「なんでだ?嫁じゃなかったのか?」

 

「話が噛み合ってないぞ」

 

「…嫁です」

 

「変な奴だな」

 

「そうか。めでたいな」

 

「めでたいか。とりあえず永遠亭に行きたいんだけど」

 

「…行き方くらい知ってるだろう?」

 

「それもそうだな」ガシッ

 

「え?」

 

とりあえず飛ばしておこう。大丈夫、方角は覚えてるさ。俺の家に住んでるんだ、ちょっと激しく扱ったって文句を言われる筋合いはない。飛ばした後に、俺も飛び、スキマを開いて依姫を回収。後に永遠亭への道を開く。それで行こう。

 

「それっ」ブンッ

 

「んなぁっ!?」

 

「ていっ!」

 

永遠亭

 

「ふんふふんふーん♪今日はてゐの耳引きちぎったから気分が良いわね〜」

 

「よう」

 

「びっくりした…すごいびっくりした…!」

 

「…お、お久しぶりです!!」

 

「優曇華院か。久しぶりだな」

 

「ところで、何故そのような格好で?」

 

「この男のせいだ」

 

「その人純狐さんと一緒にいましたよね?」

 

「私が妙に感化されてしまってな」

 

「は、はぁ…」

 

「とりあえず永林先生出してくれる?」

 

「永林様が!?それはいけない、こんな格好ではダメだ、離せ!おいこら、このっ…離せ!」

 

「よーしよしよし。出せ」

 

「あ、はい」

 

「こら、ちょ、待て!待て優曇華院!」

 

「え…」

 

「呼ばなかったら目玉の神経引きちぎるからな」

 

「はい!」

 

「…おーい…」

 

「鈴仙〜?…えっ」

 

「お久しぶりです。先生」

 

「おひさ。お前んとこの弟子が来たからな。同じ月の人間だし挨拶させといた方が」

 

「こいつ、純狐と養子縁組を」

 

「知ってるけど…」

 

バカめ、新聞になっているから周知の事実だ。くそが。プライバシーもへったくれもクソも何もない。あるのはクソみたいなプライドと、新聞記者としての能力だけだ。だが安心したまえよ諸君。妖怪の山に大穴開けて脅してきた。河童は泣いていたがな。

 

「そう。そんなことがあったのね。貴女らしくない」

 

「私らしくないのは分かっています」

 

「お、てゐ。なんだ悪戯すんのか?」

 

「したらまた神経がどこまで千切れずに引っ張れるか試すに決まってるウサ。私はそんなに愚かじゃ」

 

「俺をなんだと思ってんだテメェ?」ガシッ

 

「あぐっ…!」ジタバタ

 

「今度は頸動脈から心臓引っ張ってみようか?」

 

「や、やめ…」

 

「いつもあんな感じなのか?」

 

「そうね。やられたら5億倍で返してるけど…貴女は?」

 

「私の場合、能力を使った変な戦い方であり、それを自慢してくる嫌な奴でしたが…」

 

「あんなことはしなかったと。おかしいわね。私の時は鼻の中に指突っ込まれて頭蓋骨突破されたのに」

 

「!?」

 

「ちょ、ちょっと…黒歴史はやめてくださいって」

 

「いえ、あれは私が謝るべきことよ。幻想郷をおかしくしてしまう一歩手前だったんだから」

 

「そのようなことを…」

 

とりあえず、これ以上ここにいると黒歴史掘り返されるから帰るぞ。てゐは脳みそ引っ張っちゃったし。家の中で寝ましょ。それが一番1日を安らかに送る一つの方法なんだからさ。休んだらどこ行こうかなぁ。旧戦闘狂、現友達のところに行ってみるか?

 

自宅

 

「あのお方にまた会えるとは」

 

「初恋は成就せず、人の恋は移り変わってようやく叶うものである」

 

「…なんだそれは?」

 

「俺の人生。初恋相手が神様だなんて、誰が信じるんだって…いや、本当だよ?そんな目を向けないで…」

 

「貴様、確か妖怪だろう?では何故」

 

「妖怪になる前は本。ある時は江戸の巻物、ある時は月へ旅立った時に置いてかれた本。俺の生まれはお前らであり、それ以前の神が記した本でもあり、ヘカーティア自身が書いた本でもある」

 

「で、その神様に恋煩いをと」

 

「そゆこと。大好きなのに、純狐さんにお母さん呼びを強制させられてしまう始末。恋は成就しないぜ」

 

「自分の息子と恋が出来るか…と言った感じか」

 

「そう。出来る人種ではなかったんだ。ヘカーティアは」

 

「可哀想な妖怪だな」

 

「うるせ。妖怪はな、仙人にだってなれんだぞ。大食い仙人が良い例だ。」

 

「ところで、あの来客は誰だ?」

 

「…え、誰?」

 

「私をぶっ叩きやがった奴、出てこい!」

 

「あー、すまん。天人さんだ」ピュッ

 

「私を゛」バタンッ

 

「あれで起きてきたら不死身だね。月に向かい入れてあげなさいな」

 

そう言って台所の水を飲む。依姫さんが俺の後ろに立っている。ちょっと殺気立っている。俺とヤル気なのだろうか?いや失敬。違うね。俺の目の前の奴だ。気がつけば八雲紫。一度妖怪を月に送り込み戦争したとかなんとか。俺は勘弁だね。

 

「依姫」

 

「なんだ?止められても」

 

「八雲紫の頸動脈引っ張ってみるかぁ!」

 

「えっちょっ」ブニュッ

 

「神経じゃない分難易度は低いが、皮を破る力と頸動脈を掴んでいる力のバランスを誤るなよ。頸動脈がプッツリ言って面白くないからな」

 

「や、やめて、謝るわよ。水飲んでる前に顔出してキスしようだなんて私が悪かったから」

 

「卑しい女だ。私は奥歯から順に抜いて行く」

 

「お、良いねぇ」

 

「歯の次は舌だ。覚悟しておけ」

 

「ぃっ!?」




翌日、横たわってる天人の先にある家には、血の付いた歯と、血の染みた畳があったという。
慧音先生の胃が壊れそう
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