本にする妖怪   作:覚め

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紫さんは酷い扱いのままだがな


第33話

命蓮寺

 

「いや、しかし。結婚ですか…嘘であっても難しいのでは?」

 

「そこら辺はなんとかするさ」

 

「そこら辺はですか」

 

さて、次に行くところがなくなってきたな。次は地獄百年名物、稗田阿求の所へ行ってみるか?本屋か?あの泥魔法使いのところに行ってみるか?どこでも良いか。家でゴロゴロするのも良い。嫁なんぞ望んだことはあれど持ったことはないからなぁ

 

「なんだ?あいつ」

 

「こいしですね。私からすれば悟りの境地に達していると」

 

「あんなもん俺でも出来るわ」

 

「…本当ですか?」

 

「おう。んじゃ行くぜ」

 

「消えたぞ」

 

「消えたのでしょうか…こいしさん曰く、無意識は認識が難しくなると言っていたのですが」

 

「酷いな。ずっとここにいたのに」

 

「なんだ、いたのか」

 

「グサッと来た」

 

「あらら」

 

「さて、もう帰って家でゴロゴロしようぜ」

 

「そうだな。日も暮れてきたことだ」

 

「短い間でしたがお話しできて良かったですよ」

 

「月の賢者さんは勧誘しないのかい?」

 

「無理ですね」

 

「無理なのかい…」

 

人里

 

「ゆーやけこやけーのー」

 

「…おい、なんだあのへんな服装の女児は」

 

「ルーミアだ。それでも一時期は恐ろしや恐ろしやって怖がられてたんだぜ?」

 

「力が封印されているのか?」

 

「無論だ。だから無害ってわけ。帰るぞ」

 

そうかと言いつつ飴を出そうとする依姫にたんこぶ一つ。ご近所さんに変な噂が立たねえと良いけどな。こんな生活してるせいか、皆からの視線が少し冷えてる。八雲藍ちゃんにもそろそろ会いてーな。とか思ってたら隙間が開いた。なんて奴だ、紫はまた来たのか

 

「にゃっ」

 

「…」

 

「橙です!」

 

「橙ちゃんか」

 

「誰だ?」

 

「紫の部下の部下。化け猫。おーよしよし」

 

「ゴロゴロ〜」

 

「ゴロゴロ?」

 

「化け猫って言っただろ。元は猫。犬派だったか?」

 

「いや、どっちでも良いが」

 

「…そっちが、紫しゃまの言ってた嘘結婚のお相手ですか?」

 

「嘘結婚…ああ、そうだ」

 

「格好いいです!」

 

「こらこら、飛びつくな。知ってると思うがあいつら月の人間は森を一振りで素粒子に変える武器持ってっからな」

 

「森を一振りで!?にゃ、にゃん…」

 

「なんで脅かす?え、なんで?」

 

「ま、嘘だけどな。なんでこっちに来たんだ?」

 

「藍しゃまが私の自立したい気持ちを無視するからです!」

 

「…」

 

「ま、まさかとは思うがな橙。まさかお前」

 

「ここに暫くの間止めさせてください!」

 

だめだ、話を聞かねえ。霖之助に回すか。橙も面識あるだろうし。天邪鬼にでも渡したらいいのかなぁ。とりあえず、現実から目を背けるために嫁(仮)の体に顔を埋めてる。いやだー、なんで人が増えるのー。なんでー。もう、人の事情を考えないんだから。後で紫と藍に文句言ってやる

 

「はぁ…」

 

「というわけで、よろしく☆」

 

「顎関節を指で代用させてやんよ」グサッ

 

「中国には自分の目玉を食った人物がいるそうだ。お前の歯もお前が食え」

 

「ひぃ…」

 

「橙ちゃん…無理」

 

「ですよねー」

 

「自分の歯なんだから自分で噛み砕けない訳がないだろう。噛め。」

 

「むご、ぁが!」

 

「魔理沙辺りはどうだ?あの魔法使いはフランを手懐ける魔性の女だぞ。お前には帰る頃が来ないかもしれんがな」

 

「うー…あ、香霖堂」

 

「そこへのスキマ開いてやるよ。自分の意思で選んだ場所だ。ほれ、スーッとな」

 

「ありがとうございます!」

 

「おう、無事に生きて帰ってこい」

 

「…え、どういう」

 

「では香霖堂へゴー!」

 

「あの、すみまちぇん!無事にって」スッ

 

「依姫、食わせるなら耳だろ」

 

「それもそうだな。飲み物は血で良いか」

 

「味わいを感じさせるためにベロは残しとけ」

 

紫を虐めよう。その間紫は色々と叫び続けていたが、俺は知らん。俺は悪くない。悪いのはこんなタイミングに橙を送りつけてきた紫だ。いや、送り付けたのではないのかもしれないが。それを止めもしない紫が悪い。結果的に俺は悪くないってことだな。

 

「…依姫」

 

「なんだ?」

 

「そろそろ紫虐めるの飽きてきた」

 

「私もだ。そろそろ放免してやるか」

 

「おぇ…やってくれるわね、貴方達…」

 

「さーてもう夜だ。良い子は寝ろ寝ろ、悪い子は起きろ起きろ。俺は寝る。良い子だからな」

 

「私ももちろん良い子だから寝る」

 

「私は」

 

「悪い子だろ。無理して寝なくていいんだぞ」

 

「なんでよ!もう!」

 

「逆ギレして帰っていったな」

 

「本当だ」

 

「しっかし、お前はこれからここにいつくらいまで住むんだ?」

 

「あー、まあざっと1週間ほど」

 

「意外とすっくねーのな」

 

「そうか?」

 

「帰る時は俺が送るわ。それまでにお姉さんと話着けておかねえと」

 

「何故だ?」

 

「変なことになっても、俺の責任だなんだと素粒子まで分解されたら敵わんからな」

 

「それもそうだ」

 

「…そういやお前風呂入ったか?」

 

「入った。馬鹿にするな。月にも風呂くらいはある」

 

「ほお。衛生概念もあるのな」

 

月にも衛生概念があると知り、驚きを隠さないまま眠りにつく。フリをして頭だけ隙間に突っ込み、そこから次へと繋げ、依姫のお姉さんとこにつなげる。驚いた顔をしながらも、対応してくれるこの人はいい人だ。八雲紫と同じだなんてことはない。

 

「ええと、妹がお世話になってます」

 

「ウチの母がご迷惑をおかけしまして。その上頭だけなんて失礼ですが」

 

「良いんですよ。最愛の妹がそちらにいるんですから。それでですね」

 

「あの時地上に留まるって言った時の原因か?」

 

「そう。あの子は休みをあんまり取らないから。心配なのよ」

 

「…言っておくとな。俺が原い」

 

「貴方が原因なの?じゃあそんなところに置いては置けないわね。洗脳でもしたのかしら?」

 

「いや、怖い話したらな…お前さんに言われた言葉と似た言葉がその話に出てきてな。ちょっと怖いからってこっちに」

 

「そういうこと。なら良いわ。ただし、傷一つでもつけてみなさい。皮の繊維一本ずつ抜いていってあげるわ」

 

「やめてちょ」




皮に繊維ってあるよね。
ね?
月の技術にもそんなものあるでしょ。多分。
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