本にする妖怪   作:覚め

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月面探索って、腰抜けそうですよね。
重力6分の1らしいですし。


第50話

月の都

 

「…なんだ、怖いのか?」

 

「怖くねえよ」

 

「じゃあ、服の裾を掴んでいるのは誰だ?」

 

「…怖い」

 

「意外な弱点だ」

 

子供かこいつは…とか思ってたら話しかけられたよもー。どうすんの?俺なんて答えたら良いの?結構面倒くさい性格してるけど大丈夫か?…月の賢者がいるんだし大丈夫か!とか言うのに少し戸惑ってたら依姫が肩を掴んで引き寄せて夫だとあまりにもスラっと言った。

 

「依姫、良かったのか?」

 

「何がだ?」

 

「これやると俺帰りづらいんだが」

 

「お互い様になったな。月一で顔を見せに来てくれ」

 

「純狐と同じ日に伺うね」

 

「…色々と厄介なことになりそうだな」

 

「そうっすかね」

 

「まあ、月の都を見て行ってくれ。穢れのない生活もついでにな」

 

「ほぼ変わんねーぞ」

 

「む、そうか。まあ良い…か。さ、穢れを取ろうか」

 

「ちょちょ待て待って待って!?」

 

「なんだ?」

 

「何自然に俺此処に永住させようとしてんの?」

 

「対穢れの機械があるから安心しろ。お前が穢れに塗れることはない」

 

「ちげーよー」

 

月の都の次は訓練所に来ましたぁ!なんと皆さん銃がメインなのに近接も考えて剣道もやってられてるんですって!すごいですね〜…すごくねえよ。玉兎っていう、永遠亭に居る兎達と同種だと言い張る兎達は月では兵士らしい。ほぇ〜、ふっしぎ〜

 

「だからって手合わせにはならんだろうが!」

 

「木刀を二人とも持ったな。決着は相手が気絶した時だ。それでは…初め!」

 

「て、ていっ!」

 

「おや」

 

「そりゃぁ!」

 

「スカ」

 

「む、むー!」ブンッ

 

「あらよっと」

 

「あ、あれ!?どこ!?」

 

「木刀の上に立つ奴、やってみたかったんだよねー」

 

「うぇ!?重くないのに!?」

 

「刀なんて触るのはすごい久しぶりだぞ…阿修羅の剣と一緒か」

 

「ほりゃぁ!なぁ!」ブンッブンッ

 

「無駄無駄無駄無駄ァ!この大嶽丸は、生まれた時点で貴様ら凡人とは圧倒的な差を着けて来たのだァッッ!!」

 

「隙あり」パシンッ

 

「足!?」ドンッ

 

「追い討ち!」

 

「足裏白刃取りぃ!」タァンッ

 

「えぇ!?」

 

「無茶苦茶だけど出来た…よし、こっからは俺も本気を出させてもらう!」ズガンッ

 

「ひゃっ!?」ドカァンッ

 

「まだエンジン掛けてる途中だったのに」

 

「まだ気絶してないから分からんぞ」

 

「ええ嘘ぉ!?」

 

「んっ!」ブンッ

 

なんで木刀振るたびに声出してるのか少し気になったけど、どうでも良いか。さて、俺と同じくらいの身長の奴にやられるのは絶対嫌だから避ける。足が滑って危なくなる。が、最終的に浮くことによってそれを防止する。座禅組めばそれっぽくなるんじゃね?

 

「はぁぁぁぁぁ…!!」

 

「う、浮いてる…胡座で!」

 

「座禅って言わんか!」バシィンッ

 

「おゔっ!?」バタンッ

 

「決着か。皆も鍛錬を怠らないように!」

 

「依姫疲れた〜。夫のこと労われ〜」

 

「月では妻が労われる」

 

「あらま」

 

「そういうことだ。まぁ実際のところ労わることなんてほとんどないがな」

 

「ないか」

 

サグメ宅

 

「これから住むのならばここにも顔を見せておく必要がある」

 

「住むって言った?」

 

「サグメと言う、とある事情により話さない月の賢者だ」

 

「オラお喋りの時間だぁ!」

 

『やめてくれる?』

 

「こいつ、書面での対話を望んでいるぞ」

 

「事情があると言わなかったか?」

 

「おう、言ったな」

 

『なんでも良いけど、こっちは?』

 

「書くスピードだけは一丁前に速いな」

 

『無礼すぎないかしら』

 

「す、すみません…後でよく言っておきますので」

 

「夫に対して子供みたいに扱わないでくれる?」

 

『夫?』

 

「純狐の息子でもある」

 

『養子でしょうけど、面倒な関係ね』

 

マジで書くのだけは速いなこいつ。と言うか俺いつ帰れるんだ?穢れを取るって言ったよな。薬飲まされんのか?それともサグメって奴の事情が関わってんのか?分からん。分からんぞ。ただ無礼だったのは謝る。ごめんね。

 

「穢れを取ってくれませんか?」

 

『貴女が信頼するのであれば構わない』

 

「ありがとう」

 

「待ってよ依姫ちゃん。俺此処に永住するなんて聞いてないよ?」

 

「しかし、穢れを取らないことには何も変わらない。というわけで行け」ゲシッ

 

「ほあっぁ!?」

 

『機械への一直線な飛び方。芸術的ね』グッ

 

「え?まさかその機械がそうだと言うつもりはあるまいな??」

 

数分後

 

「もう地上に帰れない」

 

「良いじゃないか。さあ、姉様のところへ行こう」

 

「…思うんだがお前、義姉さんの前で呼び方変わるよな」

 

綿月宅

 

「ウラァ助けてください義姉様ぁ!」

 

「…え、何?」

 

「お姉様、夫を連れて参りました」

 

「!?」ガタタッダンッ

 

「おい、すげえ動揺してんぞ」

 

「そんな、依姫が夫を?本当に?地上での身分隠しのためじゃなくて???」

 

「そうですよ。なのにこうなってるのですよ。さあ、姉としてバシィッと言っちゃってください!」

 

「あ、え、えーっと…身分隠しの為なら此処に連れてくる必要は」

 

「婚姻の契りを」

 

「グハァッ!!!」

 

「豊姫ぇ!?」

 

「ぉ…お前を弟にしてたまるか!」

 

「直接的な拒絶!?」

 

俺の心はガラスのように儚く砕け散りましたとさ。めでたくないめでたくない。豊姫は俺をチラリと見て、一言だけポツンと言った。よく聞き取れなかったが、どーせサグメってやつと同じようにお前が認めるのならって奴だろう。知ってんだぞ?お?

 

「まあ良いわよ。でも、地上に行くことは」

 

「ここで住みます」

 

「でも穢れが」

 

「サグメのところで落として来ました」

 

「…」ピチューン

 

「豊姫、起きろ、おい待て起きた側から首絞めんな」

 

「お前さえいなければ…」

 

「お姉様?」

 

「いたたたたた骨が死ぬ死ぬ当たってるのは柔らかいのにいかんせん折れるって」

 

「やわらかい…説明してもらおうか?」

 

「たんま、待って、ね?こっちじゃん。悪いのお前の姉さんじゃん」




悪いのは戦争ふっかけてこんな関係にまで発展してしまった主人公です。
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